Lenovo ThinkStation P360 Ultraのレビュー 3.9Lの省スペースワークステーション

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ThinkCentre Tiny以上SFF以下の筐体で、2022年に初めて出たシリーズ・ThinkStation Ultraです。

Tinyはかなり人気ですが、お弁当箱大サイズとかなり小さいので、ワークステーションとしてしっかりした仕事をするときは、もう少しの拡張性やもう少し上のスペックが必要になると思います。

そういった人に、本機は合うと思います。

当サイトの評価は、以下のようになりました。

スペック [usr 4.9]
コスパ [usr 4.9]
総合評価 [usr 5.0]

2022年9月に初稿していますが、今年初めて星5つになりました。

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ThinkStation P360 Ultraのスペックレビュー

CPU Core i3-12100/12300
Core i5-12400/12400T/12500/12600/12600K
Core i7-12700/12700T/12700K
Core i9-12900T/12900/12900K
メモリ DDR5 最大128GB
ストレージ SSD×2+HDD
グラフィックス 内蔵グラフィックス
NVIDIA T400/T1000
NVIDIA RTX A2000/A5000
RAID RAID 0、RAID 1
OS Windows 11 Home. Pro
無線 なし/Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E
有線 2.5GbE+1Gbe
オーディオ High Definition Audio、スピーカー×1
セキュリティ TCG 2.0、パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、スーパーバイザー パスワー
ド、シャーシイントルージョンスイッチ、セキュリティケーブルスロットなど
寸法(幅×奥行×高さ) 87 × 223 × 202㎜
重さ 最大3.6㎏
電源 170W/230W/300W
標準保証 3年間プレミアサポート+翌営業日オンサイト修理
価格 19.9万円~

<性能評価>

 

パソコンの頭脳であるCPUは最新のインテル第12世代CPUが搭載で、幅広いバラエティがあるので用途に合ったものを選びやすいと思います。通常版はもちろん、末尾がTの省電力モデルや、末尾がKの最高峰モデルもあり、最高でCore i9-12900Kが搭載できます。

メモリは最新のDDR5-3600MHzか4000MHzがあり、メモリスロット4つ・最大128GBが搭載できます。

ストレージは最新のSSD PCI Express 4.0が最大2基搭載可能、HDD 7200rpmが1基搭載可能です。RAID 0か1の設定も可能です。

グラフィックスは内蔵グラフィックスか、ローエンドのNVIDIA T400から、最大でRTX A5000が搭載できます。T400はビデオメモリが4GBですが、その他のモデルは8,12,16GBと大きいので、ほとんどの用途に合います。

また、超高速回線の2.5ギガビットイーサネットが搭載で、1ギガビットイーサネットもあり、Wi-Fi 6かWi-Fi 6Eも搭載可能と、通信環境は抜群です。有線LANが2つあるので、サーバーとして使ったり、使っているファイルサーバーが別なので2つのネットワークを同時に使いたいなどにも対応できます。

スピーカーはありますが1つで、マイクは非搭載なので、Web会議などをするときはマイク付きヘッドフォンやマイクが別途必要になります。

13インチPCよりも小さな幅と奥行きで、コンパクトですね。

 

公式サイト

 

旧モデルとの比較

ThinkStation Ultraシリーズは2022年に出た新しいモデルで、旧モデルはありません。

筐体のサイズから見ると、Tinyより大きくSFFより小さいモデルです。

Tiny Ultra SFF
約1.2~1.4㎏ 約3.6㎏ 約5㎏
Tower C 数字だけのモデル
約9㎏ 15㎏前後 約24~30㎏

ThinkStation全機種はこちらで確認できます。

Lenovo ThinkStation(ワークステーション)全機種の特徴と比較レビュー

 

ThinkStation P360 Ultraの特徴

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 左斜め前から

本機はThinkStation Tiny以上の性能や拡張性が必要で、SFFほどは必要ないという中間のモデルになり、3.9Lと小型ですね。

寸法は

・幅  87㎜(≒クレカの横幅86㎜)
・奥行 223㎜(≒1,000円札1.5枚分225㎜)
・高さ 202㎜(≒500mlペットボトルの高さ205㎜)

となっており、かなり小さいですね。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 横置き 正面

縦置きの場合の右側面にはゴム足があり、この様に横置きにもできます。重量は最大でたったの3.6㎏なので、どこにでも設置しやすいと思います。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 正面

前面は大きな穴がたくさんあり、空気をガッツリ吸い込んでくれそうです。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 左側面

左側面には通気孔があります。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 右側面

右側面は横置きにした時に使うゴム足があり、通気孔はありません。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 背面

背面もエアフローがよさそうです。

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 内部

ファンが3つあるようで、裏配線できれいにまとめられていますね。

グラボとHDDを搭載時は、PCI Express x4(x8メカニカル)が1つ空いているだけで、拡張性はほとんどありません。

 

MILスペック

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 右斜め上から

本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。

 

ISV認証

ISV(独立系ソフトウェアベンダー)により、アプリケーションとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を取得しているので、安心して使えます。

英語版のみですが、Lenovoのサイトでどのベンダーのどのソフトと互換性があるか確認が出来ます。例えば下の画像は本機種「ThinkStation P360 Ultra」「Autodesk」「Autodesk 3ds Max 2023」で検索した結果です。

Lenovo ThinkStation P360 Ultra ISV認証

もちろん、Certified(認証済み)となっています。

ほとんどの場合は大丈夫だと思いますが、購入前に確認しても良いと思います。

 

 

CPU

Core i3-12100 Core i3-12300 Core i5-12400
開発コード Alder Lake
製造プロセス 14nm 10nm
Pコア 4 4 6
Eコア 0 0 0
スレッド 8 8 12
キャッシュ 12MB 12MB 18MB
GPU実行ユニット 24 24 24/32
ターボブースト 4.3GHz 4.4GHz 4.4GHz
Pコア最大周波数 4.3GHz 4.4GHz 4.4GHz
Pコア基本周波数 3.3GHz 3.5GHz 2.5GHz
ベースパワー 60W 60W 65W
最大パワー 89W 89W 117W
Core i5-12500/12600 Core i7-12700 Core i9-12900
開発コード Alder Lake
製造プロセス 10nm
Pコア 6 8 8
Eコア 0 4 8
スレッド 12 20 24
キャッシュ 18MB 25MB 30MB
GPU実行ユニット 24/32 32 32
ターボブースト 4.6/4.8 GHz 4.9GHz 5.1GHz
Pコア最大周波数 4.6/4.8 GHz 4.8GHz 5.0GHz
Pコア基本周波数 3.0/3.3 GHz 2.1GHz 2.4GHz
Eコア最大周波数 3.6GHz 3.8GHz
Eコア基本周波数 1.6GHz 1.8GHz
ベースパワー 65W 65W 65W
最大パワー 117W 180W 202W

こちらはKシリーズです。

Core i5-12600K Core i7-12700K Core i9-12900K
開発コード Alder Lake
製造プロセス 10nm
Pコア 6 8 8
Eコア 4 4 8
スレッド 16 20 24
キャッシュ 20MB 25MB 30MB
GPU実行ユニット 32 32 32
ターボブースト 4.9 GHz 5.0GHz 5.2GHz
Pコア最大周波数 4.9 GHz 5.0GHz 5.2GHz
Pコア基本周波数 3.7 GHz 3.6GHz 3.2GHz
Eコア最大周波数 3.6GHz 3.8GHz 3.9GHz
Eコア基本周波数 2.8 2.7GHz 2.4GHz
ベースパワー 125W 125W 125W
最大パワー 150W 190W 241W

通常版と省電力版(末尾がT)のCore i7以上はCPUはPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。

末尾がKのモデルは、Core i5でもPコアとEコアの2つがあります。

また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。

Core i5-12500以上はvProに対応しており、企業の情報システム部門など、システム管理に携わる人向けの機能になります。詳しくは「Intel vProプラットフォーム」をどうぞ。

こちらはCPUの性能を測るCPU markスコアです。

 

スコアの目安

  • 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
  • 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
  • 14000~・ハイエンドPCに搭載される
  • 15000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い

Passmarkスコア

オレンジ色/通常版 赤/Tシリーズ 青/Kシリーズ

Core i9-12900K  41151
Core i9-12900  38272
Core i9-12900T  35833
Core i7-12700K  34206
Core i7-12700  32105
Core i5-12600K  27443
Core i7-12700T  22774
Core i5-12600  21092
Core i5-12500  20311
Core i5-12400  19447
Core i5-12400T  16492
Core i3-12300  14955
Core i3-12100  14089

 

グラフィックス

RTXシリーズはRTコア(レイトレーシング用コア)やTensorコア(行列演算コア)があり、VRAMも大きめなので本格的な作業ができます。

ただし、この中で最上位モデルのRTX A5000はデスクトップ用じゃなくノートパソコン用のものが搭載です。Lenovo公式サイトでは、RTX A2000より30万円以上高い価格設定になっているので、コスパが悪いです。A2000の方が断然良いと思います。

RTX A5000 Mobile RTX A2000
アーキテクチャ Ampere
CUDAコア 6144基 3328基
RTコア 48基 26基
Tensorコア 192基 104基
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 16GB 12GB
メモリ帯域幅 448GB/秒 288GB/秒
TDP 115W 70W

Tシリーズも最新のグラボですが、RTコアやTensorコアはありません。ただし、最大8GBのVRAMなので、比較的高負荷な作業もしやすいと思います。

T1000 T400
アーキテクチャ Turing
CUDAコア 896基 384基
RTコア
Tensorコア
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 8GB 4GB
メモリ帯域幅 160GB/秒 80GB/秒
TDP 50W 40W

 

各グラフィックボードを搭載したら、以下のポートが付いてきます。

NVIDIA T400 mini Display Port 1.4 x3
NVIDIA T1000 mini Display Port 1.4 x4
NVIDIA RTX A2000 mini Display Port 1.4a x4
NVIDIA RTX A5000 mini Display Port 1.4a x4

ちなみにDispalyport 1.4と1.4aはスペックにほぼ同じですが、1.4aはDSC 1.2aが実装されており、HDRを適切にサポートします。

 

 

メモリ

メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 搭載メモリ

メモリは最新のDDR5が搭載で、4000MHzと3600MHzの2種類がありますが、実際はDDR5-4800MHzが搭載しています。

ただし、DDR5はクセのあるメモリで、以下のような特徴があります。(ベンダーによってはクロック数を上げている可能性もあり)

  • メモリスロットが2つの場合は、シングル/デュアルランクどちらでも最大4800MHzで動作
  • メモリスロットが4つでメモリ2枚搭載の場合は、シングル/デュアルランクどちらでも4400MHzで動作
  • メモリスロットが4つでメモリ4枚搭載の場合は、シングルだと4000MHzで動作、デュアルランクだと3600MHzで動作

また、メモリコントローラー周波数(Memory Controller Freq)がメモリ速度の半分から等いろいろあるのですが、とりあえず、DDR5-4000MHzを選んでおけば、より速く処理できる可能性が高いです。

 

ECCメモリにも対応とのことですが、執筆時現在、ECCメモリは搭載できません。後々搭載できるようになるのか、もしくはDDR5はECCメモリの機能をサポートするといわれているので、そのことかもしれません。

 

ストレージ

ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。

ストレージは最新のSSD PCI Express 4.0が最大2枚と、HDDが搭載可能です。SSDを2枚搭載した場合は、RAID設定が可能です。

  • RAID 0・・・読み込み書き込みが高速で出来るし、分散してデータを保存ができる反面、1つのストレージに障害が発生すると復旧できません。
  • RAID 1・・・読み書きが遅いが、複数のストレージに「同じデータを書き込む」ので、1つのストレージに障害があってももう一つの方のデータを使って作業が出来ます。

こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。

シーケンシャルリード

オレンジ色・・・リード 青・・・ライト

PCIe 4.0×4  3000~7000MB/秒
 2000~5000MB/秒
PCIe 3.0×4  1800~3000MB/秒
 1200~2000MB/秒
HDD  600MB/秒
 200MB/秒

 

 

セキュリティ

ThinkShield

ThinkPadは、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。(詳しくは、公式サイトをどうぞ。)

 

 

2.5GbEとWi-Fi 6Eに対応

イーサネットは2つあり、1つは最大2.5ギガビット、もう一つは最大1ギガビットに対応しています。2つのネットワークを使うときに、楽ですね。

対応周波数 速度
IEEE802.11ax
(Wi-Fi 6E)
2.4/5/6GHz 9.6Gbps

無線は次世代通信規格のWi-Fi 6/6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。

 

 

電源

パソコンの電源の種類

電源は170W、230W、300Wが選べ、熱変換効率は90%と高いです。

  • 80PLUS GOLD・・・87%~90%
  • 80PLUS Platinum・・・90~92%

80 PLUSで言えばGOLDかPlatinum相当なので、高品質です。

 

インターフェイス

インターフェイス高品質で、Thunderbolt 4は最大40Gbps、その他のUSBは10Gbpsのデータ転送速度があります。

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 正面

前面インターフェイスは、電源、コンボジャック、USB 3.2 Gen 2、USB Type-C 3.2 Gen 2(Thunderbolt 4対応)が2つになり、Thunderbolt 4にはこういった機能・性能があります。

  • Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
  • 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
  • PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
  • 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
  • 8K出力にも対応

 

Lenovo ThinkStation P360 Ultra 背面

背面は、PCI Expressカードスロットが4つ、Displayportが3つ、USB 3.2 Gen 2が4つになります。これに、グラフィックボードについているインターフェイスが付いてきます。

PCI Expressカードスロットにはmini DisplayPortがあるので、変換ケーブルを使って画面出力に使えます。

 

最大8台のモニターに接続できるので、まず困ることはないと思います。

 

モニター

モニターの購入をお考えの場合は、こちらも併せてどうぞ。

Lenovo おすすめモニター

 

サポート・保証

Lenovo サポートと保証

標準で3年間の「翌営業日オンサイト修理保証」と、24時間365日専任のエージェントが電話対応するプレミアサポートになります。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)

  • 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理

何かあっても、安心のサポートですね。

 

まとめ

良い点

・小型軽量で設置しやすい
・超高性能最新スペック満載
・CPUの種類が多く、選びやすい
・最大8台のディスプレイにつなげる
・2.5Gbe搭載
・イーサネットが2つある

 

残念な点

・無し

 

総合評価

たったの3.9Lの小型ボディで、場所取らずの機種です。コンパクトだけど性能はかなり高く、個人が購入する機種としては十二分じゃないかなと思います。

ただし、これだけ小さな筐体なので拡張性は低く、グラボの消費電力も下げられているので、当然、タワー型と比べると性能は劣ります。

それでもこの大きさで、このスペック、そして価格も20万円を切るので、購入しやすい機種だと思います。

 

 

公式サイト

 

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