Lenovoのビジネスデスクトップには、筐体がかなり小さい「Tiny」に、小型の「Small」、そしてタワー型としては小さい「Mini-Tower」があります。
その中でも人気の高い、超省スペースモデルのTinyシリーズの比較レビューです。
Contents
- 1 ThinkCentre Tinyの特徴
- 2 ThinkCentre MシリーズTiny全機種
- 2.1 ThinkCentre M75q Tiny Gen 5
- 2.2 ThinkCentre M70q Tiny Gen 5 Intel
- 2.3 ThinkCentre M90q Tiny Gen 4
- 2.4 ThinkCentre M80q Tiny Gen 4
- 2.5 ThinkCentre M70q Tiny Gen 4
- 2.6 ThinkStation P3 Tiny
- 2.7 ThinkCentre M90q Tiny Gen 3
- 2.8 ThinkCentre M80q Tiny Gen 3
- 2.9 ThinkCentre M70q Tiny Gen 3
- 2.10 ThinkCentre M75q Gen 2
- 3 旧モデル
- 4 最後に
ThinkCentre Tinyの特徴
上の写真を見てもらって分かる通り、「Tiny」はかなり小さいです。Tiny(タイニー)は英語で「すごく小さい」という意味なので、名は体を表すですね。
寸法は幅36.5㎜、奥行き182.9㎜、そして高さが179㎜となります。
- 幅は千円札の短辺(76㎜)の半分以下
- 奥行きと高さは一万円札の長辺(160㎜)+2㎝ほど
です。かなり小さいでしょ?このサイズなので、置き場所に困ることはまずないと思います。重さは1㎏前後と、ノートパソコンよりも軽いです。
もう一つの特徴で、ThinkCentre Tiny-in-Oneという専用のモニターを使えば、省スペースどころか、スペースはゼロです。
写真は、以前の職場で使っていたTinyとTiny-in-Oneの組み合わせです。
<ThinkCentre TinyをTiny-in-Oneモニターにはめ込んで使用>
<専用のモニター・モデルによっては壁掛けにもできます>
ちなみにThinkCentreを購入するとマウスとキーボードが付属になっていますが、そのマウスとキーボードのレビューもあるので、購入を考えている人はぜひこちらもどうぞ。
このPCは、お客さん用に使っているものなので、場所を取らない小型PCで助かっています。と言うのも、セキュリティの観点上パソコンの筐体を触られたくないし、例えば、仮に悪質な人が来たら来客用PCのポートからウイルス感染させることも出来るし、システムに侵入することも可能であろうし。(システムとは切り離していますが)
Tinyの場合だったら、さすがにお客さんがモニターを動かして裏のUSBポートを触っていたら不審だからすぐに気づきますよね。普通のPCは机の下にパソコンがあるので、0.5秒あればUSBポートを使って「何か」出来るから、セキュリティ上危険が潜んでいますしね。
バーティカルスタンドというパソコンを立てる専用スタンドも、公式ページで追加できます。
モデル別の特徴
MシリーズTinyには、70番台(旧機種は700番台)、80番台(旧機種は800番台)、90番台(同じく900番台)があり、違いはこの様になります。
vPro | PCI Express x8 | ロープロファイル | |
70シリーズ | 〇 | x | x |
80シリーズ | 〇 | x | x |
90シリーズ | 〇 | △ | 〇 |
注)vProとは、企業の情報システム部門など、システム管理に携わる人向けの機能
90シリーズはロープロのビデオカードの増設も可能ですが、基本的に自分でできるカスタマイズはメモリの増設や、SSD、HDDの増設くらいになります。
ThinkCentre Mシリーズ Tinyには70q、80q、そして90qとあり、微妙にスペックが違っています。
M90q | M80q | M70q | |
CPU | 13世代通常版・Tシリーズ | 13世代CPU Tシリーズ | 14世代CPU Tシリーズ |
メモリ | DDR5 64GB | DDR5 64GB | DDR5 64GB |
ストレージ | SSD ×2+HDD | SSD+DDS | |
LAN | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2.5Gbe、サーバーアダプター | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2Gbe | Wi-Fi 6、1Gbe、2Gbe |
吸気口 | 2面 | 1面 | なし |
電源 | 最大230W | 最大135W | |
増設スロット | PCI Express ×8 M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ (1つはSSD用、1つはWLAN用) |
重量 | 1.25㎏ | ||
vPro | 対応 | 対応 | 2024年より対応 |
3機種を簡単にまとめると、このようになります。
・高性能ならM90q(ビデオカードも追加可能)
・vProが必要ならM80q、M90q(2024年よりM70qもvProあり)
・SSDが2つ欲しいならM80q、M90q(2024年よりM70qもSSD2枚)
スペック
Tinyは超小型ですが、性能は高いです。高いですとは言っても、発熱の影響で、大きな筐体に比べると不利であるのは確かです。
と言うのも、拡張性は乏しいし、小型の筐体なので発熱を抑えるため、ほとんどのモデルでは通常のデスクトップ用のCPUじゃなく省電力モデルが使用されています。
通常版のCPUに比べCore i3とCore i5は約20%、Core i7は約40%ほど性能に差がありますが、それでもビジネス用途に使えるほどの性能なのでご心配なく。
また、大きな筐体であればアレもコレも詰め込めるし、エアフローがいいために大きな電源の搭載も可能です。電源のワット数が大きいと、より高いパフォーマンスを発揮できます。
なので、Tinyを購入する場合は、Tinyでないといけな理由がある人だと思います。
例えば私のような使い方をしたり、普通のデスクトップを置いたらインテリアの外観が壊れるとか、スペースが無いから、もしくはケーブルの抜き差しが多いので机上にパソコンを置きたい、とかですね。
こういった理由が無い限り、性能だけを見たらSmallシリーズやMini-Towerシリーズの方がより高い性能があるので、そちらが良いと思います。
MIL規格
Lenovoのビジネスモデルは、MIL規格と言う「米軍の物資調達規格」に準拠した堅牢性があります。これはTinyだけじゃなく、全てのThinkCentreに共通したスペックです。
衝撃テストに温度、湿度などを変えてのテストなどを行っており、耐久性は抜群です。
セキュリティ
ビジネスモデルの本機種には、多くのセキュリティが搭載しています。モデルによって若干セキュリティは異なりますが、多くのモデルに以下のセキュリティが搭載されています。
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアやフィッシングなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- DASH(Desktop and Mobile Architecture for System Hardware)・・・保護されたアウトバンド管理やリモート管理が可能
- セキュリティキーホール・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所
- Smart USB Protection・・・USBポートからのデータ流出や、外部からUSBポート経由でシステムやネットワークに侵入を防ぐ
- AMD GuardMIテクノロジー・・・マルウェアやフィッシングなどのサイバーセキュリティ―に対処(プロセッサーのRyzen Proに搭載)
- シャーシ イントルージョン スイッチ(カスタマイズにより搭載)・・・筐体へのアクセスを記録できる(誰かが勝手に開けて内部を触っても分かる)
また、ThinkShieldという包括的なセキュリティによって保護されているので、安心して使えます。
増設可能
TinyシリーズはメモリとSSDの増設が可能で、90qはビデオカードの増設もできます。簡単にできますが、保証が外れるので自己責任で行ってください。
サポート・保証
Lenovo製品は、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、保証は1年間になっています。電話サポートは、Lenovo休業日以外の毎日朝9時から18時までで、Lenovo休業日は通常第2第4日曜日と、年末年始などです。
ビジネスモデルは基本的に「オンサイト修理」と言って、技術員が直接家や事務所に来て修理をする保証が付いています。(一部の古いモデルは有料でオンサイト修理にできます)
最長で5年まで延長も出来るので、保証は長い方がいいと思います。また、ビジネスモデルには「プレミアサポート」と言うサポートがあり、「24時間365日、専任エージェントが対応」してくれる保証も選ぶことが出来ます。
詳細はこちら「プレミアサポート」で確認できます。
ThinkCentre MシリーズTiny全機種
ThinkCentre M75q Tiny Gen 5
筆者購入機種!
Gen 2から3、4と飛ばしてGen 5として2024年に発売開始。Ryzen 8000GEシリーズ搭載で省電力ですがパワフルな機種です。ただし、Ryzen AIを搭載しているのはRyzen 7のみなので、最新スペックを楽しむには価格がちょっと上がります。
CPU | Ryzen 3 8300GE Ryzen 3 PRO 8300GE Ryzen 5 8500GE Ryzen 5 PRO 8500GE Ryzen 7 8700GE Ryzen 7 PRO 8700GE |
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メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
LAN | 無し/Wi-Fi 6 |
有線LAN | イーサネット(RJ45) |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65W/90W |
保証 | 1年間オンサイト |
価格 | 8.5万円~ |
ThinkCentre M70q Tiny Gen 5 Intel
インテル14世代CPUが搭載で、メモリ最大2スロット64GBにSSDも2枚搭載可能です。AMDモデルよりもCPUの発熱が高いので、あまり高性能なCPUはおすすめしません。
CPU | Intel 300T Core i3-14100T Core i5-14400T/14500T/14600T Core i7-14700T |
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メモリ | DDR5-4800 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
LAN | 無し/Wi-Fi 6/6E |
有線LAN | 1Gbe/2.5Gbe(RJ45) |
付属 | マウス、キーボード(付属無し可能) |
重さ | 最大1.25㎏ |
価格 | 8.7万円~ |
ThinkCentre M90q Tiny Gen 4
Tinyシリーズで一番性能が高いM90qは、通常版のCPUも搭載でき、ロープロファイルも搭載可能です。兄弟モデルの70qや80qよりも通気孔が多く、排熱性能もあります。
CPU | Core i3-13100/13100T Core i5-13400/13400T Core i5-13500/13500T Core i5-13600/13600T Core i7-13700/13700T Core i9-13900/13900T |
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メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット/インテルイーサネットサーバー Wi-Fi 6/6E、Bluetooth 搭載可能 |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135/230W |
価格 | 10.0万円~ |
ThinkCentre M80q Tiny Gen 4
Tinyシリーズのミドルクラスモデルで、最高でCore i9-13900Tが搭載できます。また、vProにも対応しており、2.5ギガビットイーサネットも搭載可能と、ヘビーな使い方にも対応できます
CPU | Core i3-13100T Core i5-13400T/13500T/13600T Core i7-13700T Core i9-13900T |
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メモリ | DDR5-4800 最大64GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
通信 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット Wi-Fi 6/6E、Bluetooth 搭載可能 |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135W |
価格 | 8.6万円~ |
ThinkCentre M70q Tiny Gen 4
第13世代CPUを搭載し、メモリは最大64GB、SSDとHDDのデュアルストレージが可能です。1ギガビットイーサネットが搭載しており、2.5ギガビットイーサネットも搭載可能です
CPU | Core i3-13100T Core i5-13400T/13500T/13600T Core i7-13700T |
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メモリ | 最大64GB |
ストレージ | SSD+HDD |
通信 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット Wi-Fi 6、Bluetooth 搭載可能 |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135W |
価格 | 9.0万円~ |
ThinkStation P3 Tiny
小型筐体のTinyは、会社や自宅を往復するような人の持ち運びデスクトップとして合います。もしくは大きなデスクトップを置きたくない人ですね。エントリークラスのワークステーションですが、NVIDIA T1000は8GBのものもあるので、そこそこ高負荷なこともできます
CPU | Core i3-13100/13100T Core i5-13400/13400T Core i5-13500/13500T Core i5-13600/13600T Core i7-13700/13700T Core i9-13900/13900T |
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メモリ | 64GB |
ストレージ | SSD ×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA T400 NVIDIA T1000 |
無線 | なし、Wi-Fi 6E、Wi-Fi 6E |
有線 | 1Gbe サーバーアダプターあり(オプション) |
重さ | 最大約1.4㎏ |
電源 | 170/230W |
標準保証 | 3年間プレミアサポート |
価格 | 13.7万円~ |
ThinkCentre M90q Tiny Gen 3
最新のインテル12世代CPUで、メモリもSSDも最新モデルが搭載です。M80やM70に比べ性能が高いため、筐体に通気口が2つあり、電源も大きくできます。ロープロファイルのビデオカードも追加と高きスペックにできますが、筐体が小さいので詰め込みすぎると、発熱が高くなるのでご注意を。
CPU | Core i3-12100/12300 Core i5-12400/12500/12600 Core i7-12700、Core i9-12900 Tシリーズもあり |
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メモリ | DDR5 最大64GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | ギガビットイーサネット Wi-Fi 6/6E、Bluetooth 搭載可能 |
光学ドライブ | 外付けDVD-ROMドライブ、DVDスーパーマルチドライブ付属可能 |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135/230W |
価格 | 9.5万円~ |
ThinkCentre M80q Tiny Gen 3
CPUは最新のインテル12世代、メモリも最新のDDR5、そしてSSDもPCIe 4.0と最新スペック満載の機種です。ストレージは最大でSSD2つにHDDも搭載でき、電源も大きくなりました。省電力版のCPUとは言え、かなり性能が高く、がっつり使う人にも使いやすいスペックです。
CPU | Core i3-12100T/12300T Core i5-12400T/12500T/12600T Core i7-12700T Core i9-12900T |
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メモリ | DDR5 最大64GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | ギガビットイーサネット Wi-Fi 6E、Bluetooth 搭載可能 |
光学ドライブ | 外付けDVD-ROMドライブ、DVDスーパーマルチドライブ付属可能 |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90W/135W |
価格 | 8.4万円~ |
ThinkCentre M70q Tiny Gen 3
最新のインテル第12世代CPU搭載で、かなり性能が高くなった機種です。CPU以外の基本的なスペックは過去モデルと同じですが、これだけ小型なのにインターフェイスも豊富で使いやすい機種になります
リリース | 2022年3月15日 |
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CPU | インテル12世代CPU |
メモリ | 最大64GB |
ストレージ | HDD +SSD |
光学ドライブ | 搭載可能 |
無線LAN | 無し、AC 9260(WiFi5)、WiFi6 |
有線LAN | イーサネット(RJ45) |
付属 | マウス、キーボード(付属無し可能) |
寸法 | 36.5×182.9×179㎜ |
重さ | 最大構成時 1.25㎏ |
価格 | 10.1万円~ |
ThinkCentre M75q Gen 2
高性能Ryzen 5000シリーズのCPU搭載で、メモリも最大64GBと大きく、かなり高い性能になります。Proと付いたCPUは、ビジネスモデルで、24か月のプロセッサー提供保証やビジネスに耐えうる性能を持ったものになります。性能的にはProも通常版も同じくらいです。
CPU | Ryzen 5 PRO 5650GE Ryzen 7 PRO 5750GE |
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メモリ | 最大64GB |
ストレージ | HDD 最大1TB+SSD 最大1TB |
OS | Windows 10 Home、Windows 10 Pro |
光学ドライブ | 無し ウルトラスリムDVD-ROM ウルトラスリムDVDスーパーマルチドライブ |
無線LAN | 無し、AC 9260(WiFi5)、WiFi6 |
有線LAN | イーサネット(RJ45) |
付属 | マウス、キーボード(付属無し可能) |
寸法 | 36.5×182.9×179㎜ |
重さ | 最大構成時 1.25㎏ |
価格 | 5.3万円~ |
旧モデル
最後に
Tinyはある程度高い性能がありますが、長時間作業をする場合は発熱が心配です。当然ですが、大きな筐体より熱がこもりやすいので当たり前ですね。
メインのパソコンとして使用してもいいですが、メインで作業をするパソコンと言うよりも、 来客用だったり、通常のタワー型が置けない場所での使用になると思います。