ThinkCentreにはTiny、Small、Towerの3種類があり、本機は一番小さなTinyでお弁当箱大サイズの筐体です。
そのTinyの中では一番性能が高いM90qになり、M80qやM70qよりもカスタマイズの幅が広く、側面に排気口もあります。(2024年9月現在、M80q Tinyは未発表)
他にもメモリは最大64GB、SSD2枚搭載可能で、1ギガビットイーサネットが搭載しており、カスタマイズから2ndイーサネットとして2.5Gbイーサネットも搭載できます。
vProにも対応しているので、企業でも管理しやすいです。
Contents
ThinkCentre M90q Tiny Gen 5のスペックレビュー
CPU | Core i5-14500/14500T Core i5-14600 Core i7-14700 Core i9-14900 |
---|---|
メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット/インテルイーサネットサーバー Wi-Fi 6/6E、Bluetooth 搭載可能 |
セキュリティ | ThinkShield |
寸法(幅×奥行×高さ) | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 90/135/230W |
保証 | 1年間 |
価格 | 13.2万円~ |
<性能評価>
プロセッサーは最新のインテル第14世代で、省電力モデルの「Tシリーズ」と通常版が搭載可能です。Tシリーズを選ぶと電源が90Wか135Wで、通常版は135Wか230Wになります。
通常版もTも同じ価格なので、何かしらの理由がない限り通常版を選んだほうがお得です。
メモリはDDR5-5200MHzで、スロットは2つ・最大64GBになります。ストレージは、SSD PCIe 4.0が2枚搭載できます。SSDはPCIe 4.0で、パソコンの起動もデータ移動もサクサクです。
OSはWindows 11で、モデルによってはHomeかProを選択可能、LANはギガビットイーサネットが標準搭載で、2ndイーサネットに2.5Gbeが選択可能、無線LANはWi-Fi 6かWi-Fi 6Eも搭載できます。
ワークステーションに採用される2.5Gbeも搭載できるので、用途が広がりますね。
標準では無線LANは無しになっており、無線を追加しないとBluetooth接続もできないのでご注意を。
音は悪いですが標準で2Wスピーカーが1つ搭載しており、外付けスピーカーがない場合は助かりますが、スピーカーは購入したほうが良いです。
旧モデルとの比較
旧モデルのThinkCentre M90q Tiny Gen 4との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | 旧モデル | |
CPU | 第14世代Core i5~i9 通常版とTシリーズ |
第13世代Core i3~i9 通常版とTシリーズ |
メモリ | 64GB(DDR5-5200MHz) | 64GB(DDR5-5200MHz) |
ストレージ | SSD×2 | SSD×2+HDD |
通信 | 1Gbe、2.5Gbe、Wi-Fi 6/6E | 1Gbe、2.5Gbe、Wi-Fi 6/6E |
電源 | 90/135/230W | 65/90/135/230W |
重量 | 1.25㎏ | |
寸法 | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
筐体やインターフェイスの数は全く同じで、変更した個所は以下になります。
・CPUが13世代から14世代に
・USB 3.2 Gen 2 Type-CがGen 2×2にグレードアップ
・1つのUSB 3.2 言1はGen 2に
CPUの比較です。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・旧モデル 青・・・本機種
Core i9-14900 | |
---|---|
Core i9-13900 | |
Core i9-13900T | |
Core i7-14700 | |
Core i5-14600 | |
Core i5-13500 | |
Core i5-14500 | |
Core i7-13700 | |
Core i7-13700T | |
Core i5-13600 | |
Core i5-13600T | |
Core i5-14500T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-13400 | |
Core i5-13400T | |
Core i3-13100 | |
Core i3-13100T |
豊富な用途に対応
本機の最大の特徴の一つとして、いろいろな用途に対応できるという点にあります。
小型筐体なので、自宅と事務所で使うように持ち運びもできます。昔使っていたレンタルオフィスで、ミニPCを持ち運んでいる人もいましたね。
昔の職場では来客用のパソコンとして使用していました。こういうパソコンって触られたら困るので、モニターの後ろに設置して見られないようにしていました。
もしくは最大4画面表示が可能なので、多くのモニターが必要なトレーダーにも合うし、省スペースで低価格なので、コールセンターや事務用のパソコンとしても活躍します。
ThinkCentre Tinyの兄弟モデル
ThinkCentre Tinyって、M90q、M80q(Gen 5は未発売)、M70q、そしてM75q(唯一のAMD搭載モデル)があるのですが、さすがに(ほぼ同じものなので)4機すべて購入することはできず、筆者はAMDモデルのM75q Tiny Gen 5を購入しました。
※M80qのみGen 4のデータを使用
M90q Tiny | M80q Tiny | M75q Tiny | M70q Tiny | ||
CPU | 14世代通常版・Tシリーズ | 13世代CPU Tシリーズ | AMD Ryzen 8000 | 13/14世代CPU Tシリーズ | |
メモリ | DDR5 64GB | DDR5 64GB | DDR5 64GB | DDR5 64GB | |
ストレージ | SSD×2 | ||||
LAN | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2.5Gbe、サーバーアダプター | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2.5Gbe | Wi-Fi 6、1Gbe | Wi-Fi 6、1Gbe、2.5Gbe | |
側面排気口 | 2面 | 1面 | なし | なし | |
電源 | 最大230W | 最大135W | |||
増設スロット | PCI Express ×8 メモリスロット×2 M.2×2 |
メモリスロット×2 M.2×2 |
メモリスロット×2 M.2×2 |
メモリスロット×2 M.2×2 |
|
重量 | 1.25㎏ | ||||
vPro(PRO) | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
昔はもっといろいろな個所に違いがあったのですが、2024年に入りあまり違いがなくなりました。それでも、数字が大きなシリーズのほうが電源も大きく、排熱性能も若干高くなると思われます。
左側は本機で、右はM70q Tiny Gen 5の筐体です。左右の排気口があるかないかの違いです。あと、細かいことを言えばM90qは昔と同じ筐体で、筐体内部が表面と裏面(メモリとSSDスロット搭載)に分かれていますが、M70qは筐体が新しくなり筐体内部には一面しかありません。
参考までに、筆者購入モデル(M75q Tiny Gen 5)の写真です。
ThinkCentre M90q Tiny Gen 5の特徴
お弁当箱大サイズの筐体で、寸法は横置きで
高さ36.5㎜(≒千円札の短辺の半分/38㎜)
横179㎜(≒一万円札/160㎜)
奥行き182.9㎜(≒一万円札/160㎜)
になり、約1Lの筐体になります。以前通っていたコワーキングスペースでは、Tinyみたいな小型PCを持ち運んでいる人もいました。特定の場所でしか作業をしないなら、ノートパソコンよりも性能が高いTinyを持ち運ぶのもありですね。
<Tiny-in-OneにThinkCentre Tinyを設置>
Lenovo 公式サイトでTiny in Oneモニター も販売されているので、興味がある方は確認してみてください。Tiny in Oneモニターの背面に、VESAマウントで設置できます。
縦置きでも横置きでも設置できるので、いろんなシチュエーションに合いますね。
筐体前面のまわりに通気孔があり、縦置き時の左右の側面にも通気孔があります。
本機には若干の拡張性があり、SSDは2枚、メモリスロットが2つ、そしてPCI Express ×8 ロープロファイルがあります。
<筆者所有のM75q Tinyの画像で、ツールレスじゃない機種です>
ねじ1つ外せばカバーが外せ、筐体内部にアクセスできます。カスタマイズからツールレス(オープンシャーシ)を選ぶと、取っ手が付いたネジになるので、ドライバーを使わずに筐体内部にアクセスできます。
ちなみに、本機は米軍の物資調達規格であるMIL規格テストをクリアしており、信頼性の高い機種でもあります。
CPU
Core i9-14900 | Core i7-14700 | Core i5-14500/14600 | |
P/Eコア | 8/16 | 8/12 | 6/8 |
スレッド | 32 | 28 | 20 |
L2キャッシュ | 32MB | 28MB | 24MB |
ターボブーストマックステクノロジー | 5.6GHz | 5.4GHz | 5.0GHz |
Pコア最大クロック | 5.4GHz | 5.4GHz | 5.0GHz |
Eコア最大クロック | 4.3GHz | 4.2GHz | 3.7GHz |
GPU実行ユニット | 32EU | 32EU | 32EU |
ベース/ターボパワー | 65/219W | 65/219W | 65w/154w |
※Core i5-14500Tはキャッシュ11.5MB/最大クロック4.8/4.8/3.4GHz/TDP 35/92W。ここ以外は通常版と同じ
※全CPUはvPro対応
CPUはPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。
vPro対応モデルもあるので、企業で多くのPCを一括管理するには便利です。
また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。
ターボブーストマックステクノロジー3.0は、プロセッサーの中の最もパフォーマンスの高いコアを識別し、電力と熱のヘッドルームを利用して、必要に応じてそれらのコアの周波数をあげることにより更なるパフォーマンスを提供します。
Core i5-14500Tのベースパワーは35Wとノートパソコン並なので、何かしらの理由で性能を下げたい人や発熱を気にする人に合います。
また、2024年に何かと話題になるNPU(AIコア)ですが、本機にはありません。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアで、公開されているスコアや当サイトで計測したものになります。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-14900 | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Core i9-12900K | |
Core i7-13700 | |
Core i7-14700T | |
Core i9-12900 | |
Core i5-14600 | |
Core i5-13600 | |
Core i5-14500 | |
Core i5-14600T | |
Core i5-14400 | |
Core i5-13400 | |
Core i5-14400T | |
Core i5-14500T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-13400T | |
Core i3-14100 | |
Core i3-14100T |
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-5200MHzで、メモリスロットが2つの最大64GBまで増設できます。
この周波数(MHz)が高いと処理速度も速く、容量も大きいので安心です。
こちらは当サイト計測の、Memory Markの平均値です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
DDR5-4800MHz平均 | |
---|---|
LPDDR4-4266MHz平均 | |
LPDDR5平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大約6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 本機ではDドライブなので起動時間に影響なし | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
最新のSSD PCIe 4.0が搭載しており、パソコンの起動もデータ移動もサクサクできます。最大で2TBのSSDが2つ搭載できます。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
Think製品は、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
が、追加のセキュリティをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
Wi-Fi 6/ 6Eに対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6に対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができます。
標準ではWi-Fi無しになっているモデルがあるので、必要であればカスタマイズから追加できます。また、Wi-Fi無しの場合はBluetoothも無しなのでご注意を。
有線は1ギガビットイーサネットが搭載で、追加で2ndイーサネットに2.5ギガビットも選べます。ワークステーションに搭載しているような高速イーサネットで、大きなデータを扱う人に向いています。
インターフェイス
小さな筐体の割にインターフェイスは豊富で、標準でUSB Type-Cが1つ、Type-Aは6つあり、最大でUSB-Aを4つか、USB Type-Cを1つ、そしてDisplayPortを追加できます。
前面インターフェイスは左から、マイク/ヘッドフォンジャック、USB-3.2 Gen 2が2つ、USB Type-C 3.2 Gen 2×2、電源ボタンになります。USB-3.2 Gen 2のデータ転送速度は10Gbps、Gen 2×2は20Gbpsです。
背面は電源コネクタ、DisplayPort、USB-3.2 Gen 2、HDMI、USB 3.2 Gen 1、USB-3.2 Gen 2が2つ、RJ45、そしてセキュリティキーホールになります。オプションでいろいろなポートが追加できます。
Wake On LANに対応しており、これはネットワークを通じてPCを起動するための技術で、PCをリモート管理したり、テレワーク用で遠隔地からPCを起動させたりできます。
モニター
Lenovoではセール中のモニターのコスパが高いので、購入をお考えの人はこちらも併せてどうぞ。
セキュリティ
Think製品は、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
サポート・保証
標準で1年間の「翌営業日オンサイト修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
翌営業日オンサイト修理とは、翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理をしてくれるものです。発送しなくていいので、楽ですね。
まとめ
良い点
・小型軽量でどこにでも置ける・省スペース
・小さくても高性能
・インターフェイスが豊富で高品質
・メモリやストレージのカスタマイズも可能
・2.5Gbe搭載可能
・USBポートをもっと増やせる
・Wake On LANに対応
・ロープロファイルを追加できる
残念な点
・なし
総合評価
約1Lの超小型筐体で、最大Core i9-14900を搭載でき、メモリとストレージの増設も可能、そして豊富なインターフェイスにさらに追加できるポートもあり、小型とはいえ侮れないですね。
個人的に欠点なんてないんじゃないかな?と思う機種ですが、小型な分、一般的なデスクトップに比べ排熱性能が低くなり最大性能も下がります。
この点が困るのであれば、ThinkCentre TowerやSmallといった筐体が大きなシリーズもあるので、チェックしてみてください。