ThinkPad Tシリーズと言うと、CPU性能などは高いですが、ハイエンドモデルのX1やXシリーズよりも筐体が大きく、バッテリー駆動時間が若干短いという特徴がありましたが、2022年に入り、筐体サイズはかなり小さくなり、バッテリー駆動時間も長くなってきました。
徐々に最高峰モデルとの差が小さくなっているのですが、本機は比較的低価格から購入できます。
レビューは、ThinkPad T14 Gen 3の愛用者である「SKYFさん(@SKYF9)」にご協力いただきました。ジャンク品購入して自作PCを作ったり、Blenderを使用している方です。面白いことしているので、興味がある方はツイッターをフォローしてみてください。
レビュー機のスペックは、Ryen 7 PRO 6850U、LPDDR5 32GB、SSD PCIe 4.0 256GBになります。まずは、レビューのまとめからどうぞ。
良い点
・小型軽量で持ち運びがしやすい
・クリエイターPCとして使えるスペック
・画面比が16:10で、縦に長いDCI-P3 100%
・CPUやメモリ、SSDが最新スペック
・グラフィック性能がめちゃくちゃ高い
・4Kディスプレイ・DCI-P3 100%もあり
・バッテリー駆動時間が長い
残念な点
・USB4がない
Contents
ThinkPad T14 Gen 3(AMD)のスペックレビュー
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(14型) | WUXGA、2.2K、WQUXGA IPS 光沢なし マルチタッチあり |
OS | Windows 11 Home/Pro |
無線 有線 |
Wi-Fi 6E、4G/5G LTE 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T |
オーディオ | Dolby Audio |
生体認証 | 顔認証、指紋センサー |
WEBカメラ | 720p/1080p |
セキュリティ | パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、スーパーバイザー パスワード、システム マネジメント パスワード、セキュリティ キーホール, HPDなど |
寸法(幅×奥行×高さ) | 317.7 × 226.9 × 17.9㎜ |
重さ | 1.21㎏~ |
バッテリー | 39.3Whr/約14.4時間 52.5Whr/最大21.1時間 |
保証 | 1年間 |
価格 | 13万円~ |
<性能評価>
本機は普通に使っている分には欠点を感じることもなく、家でも外出先でも高性能PCとして使え、処理落ちしたり、重くなったりすることもありません。
パソコンの頭脳であるCPUは最新のRyzen PRO 6000シリーズで、かなり高い性能になっています。Ryzen 5は6コア12スレッド、Ryzen 7は8コア16スレッドと多コアで、マルチタスクもサクサクできます。
レビュー機の搭載CPUはRyzen 7で、これはThreadripper 1900X(2017年発売)や、Ryzen 5 3600XTなどの数世代前のデスクトップ版超ハイエンドCPUと同等性能があるので、処理に困ることはまずないと思います。
メモリも最新のLPDDR5-6400MHz・最大32GB搭載可能で、重たいデータもサクサク処理できます。インテルCPUよりも対応周波数が高いのも、ポイントですね(インテルは5200MHzまで)。
ストレージはSSD PCIe 4.0で、旧モデルのPCIe 3.0よりも倍の帯域幅になっており、データ転送速度もかなり速くなっています。パソコンの起動やWebサイトの表示もサクサクですね。
グラフィックスは内蔵グラフィックスのRadeon 680M(Ryzen 7)が搭載で、デスクトップ版のGeForce GTX 1050クラスの性能があり、内蔵グラフィックスと呼べないほどの高性能になっています。
ディスプレイはアスペクト比が16:10と縦に長いので、より多くの情報を一目で見て取れます。14インチですが、15.6インチ並みの情報が表示されるので、作業効率も上がります。
また、最大で4K解像度のWQUXGAが選べ、色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3 100%と、クリエイティブワークをする人にも使いやすいです。
PCのコアスペックは最新スペックが満載で、高性能です。
機動性も高く、14インチなのに重さはたったの1.21㎏(最軽量モデル)、バッテリー駆動時間は20時間オーバー、Wi-Fi 6Eに対応、そして4G/5G LTEも搭載可能と、楽に持ち運べて外でも快適に作業ができます。またRJ45もあるので、据え置き用としても快適に使えますね。
その他のスペックも高く、Windows 11 HomeかProが選べ、顔認証と指紋センサーも搭載可能、セキュリティも豊富な機種となっています。
また、最低価格は13万円からと、このスペックにしては比較的低価格です。
2022年のトレンドと比較
2022年のハイエンドノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。
ハイエンドPCは2022年に入り、基本スペックが高く、欠点が減ってきている状況です。欠点というと、例えばWebカメラが720Pの低画質や、マイクの質だったりですが、今まで別途購入が必要だったものが搭載できるようになってきたイメージです。
Ryzen 6000 | LPDDR5 | PCIe 4.0 | |
〇 | 〇 | 〇 | |
アスペクト比16:10 | sRGB 100%以上 | 輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Wi-Fi 6E | メタル 素材 | Dolby Atmos | 全方位360°マイクが4つ |
〇 | × | × | × |
USB4 | 生体認証 | 重量1.2㎏前後 | 18時間以上バッテリー |
× | 指紋/IR | 〇 | 〇 |
全方位マイク4つ搭載はハイエンドモデルのThinkPadに搭載していますが、本機種は遠距離マイクが2つになっています。
素材は樹脂で、オーディオは一般的なドルビーオーディオ、そしてUSB4はないですが、USB Type-C 3.2 Gen 2(映像出力機能付き)が2つあります。
パソコンの速度に関するスペックはハイエンドモデルと同じですが、総合的に見るとミドルハイエンドと言った機種です。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/ThinkPad T14 Gen 2>
旧モデルのThinkPad T14 Gen 2との比較です。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | T14 Gen 2 AMD | |
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
Ryzen 3 Pro 5450U AMD Ryzen 5 5600U/Pro 5650U AMD Ryzen 7 Pro 5850U |
メモリ | LPDDR5 32GB | DDR4 48GB |
ストレージ | SSD PCIe 4.0 | SSD PCIe 3.0 |
ディスプレイ アスペクト比 |
WUXGA、2.2K、WQUXGA 16:10 |
FHD、UHD 16:10 |
無線 | Wi-Fi 6E、LTE | Wi-Fi 6、LTE |
バッテリー | 21.1時間 | 16.9時間 |
寸法 | 317.7 × 226.9 × 17.9㎜ | 329 × 227 × 17.9㎜ |
重量 | 1.21㎏ | 1.47kg |
価格 | 13万円~ | 9.9万円~ |
変更点です。
・CPUがRyzen 5000シリーズから6000シリーズに
・メモリがDDR4からLPDDR5になったが、スロットがなくなった
・SSDがPCIe 3.0から4.0に
・画面アスペクト比が16:10に
・2.2Kディスプレイが追加
・Wi-Fi 6がWi-Fi 6Eに
・バッテリー駆動時間が約4時間伸びた
・筐体がコンパクトになり、260g軽くなった
・価格が約3万円上がった
ディスプレイが大きくなったにもかかわらず、筐体が小さくなっています。また、メモリスロットがなくなりましたが、260gも軽くなっています。
プロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Ryzen 7 Pro 6850U | |
---|---|
Ryzen 7 Pro 5850U | |
Ryzen 5 Pro 6650U | |
Ryzen 5 Pro 5650U | |
Ryzen 3 PRO 5450U |
ThinkPad T14 Gen 3 AMDの特徴
旧モデルから幅が11.3㎜も小さくなっており、ディスプレイは縦に長くなりましたがほぼ同じ寸法なので、ベゼル(画面の黒い枠)が細くなっていますね。
ディスプレイは約180°開くことができるので、情報共有するときや、地面にパソコンを置いて作業をするエンジニアにも使いやすいです。
筐体の寸法は、
・幅 317.7㎜
・奥行き 226.9㎜
・高さ 17.9㎜
で、A4サイズ(210㎜×297㎜)より一回り大きいくらいです。
厚さは17.9㎜と平均的ですが、有線LANポート付きです。重量は1.21㎏~約1.3㎏と軽量の13.3インチ並みで、画面アスペクト比が16:10の14インチでこの軽さなのはすごいです。持ち運びも楽にできますね。
通常、ベゼルそばの背面部分に通気口がありますが、本機は背面にLTEで使うnanoSIMスロットがあるので、右側面に通気口があります。
<右側にあるnanoSIMスロット>
底面の通気口は、かなり大きいですね。Ryzen 7は8コア16スレッドのCPUに、GTX 1050並みの内蔵グラフィックスと高性能ですが、内部には2本のヒートパイプと大きなファンがあり、この広い通気口のおかげで底面が熱くなることが少なく、膝の上で作業をすることができます。
排熱性能が高いです。
天板も底面も樹脂素材を使用しており、指紋が付きにくくなっています。
比較のために紹介しますが、こちらは↓ThinkPad E14 Gen 2でアルミニウム天板でしたが、指紋が付きまくっていました。ふき取るのが面倒でしたね。
<ThinkPad E14 Gen 2>
WEBカメラ
<FHD 1080p Webカメラ>
WEBカメラはHD画質の720pか、高画質FHD 1080pのカメラが選べます。Web会議が多い人やチームリーダー、もしくはオンラインレッスンの先生などは、相手に映し出される自分の映りが良くなるので、高画質1080pを選ぶと良いと思います。
顔認証に使用するIRカメラも選択でき、これは1080p Webカメラとのハイブリットカメラになります。(Webカメラで顔認証もするという意味です。中には専用のIRカメラが搭載しているモデルもあります)
また、ThinkShutterという物理シャッターが搭載しているので、カメラを使わないときは閉じておくと安心です。
電源統合指紋センサー
電源ボタンは指紋センサーが統合しており、電源を入れたらサインインも完了です。素早く作業を始めることができます。
MILスペック
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
キーボード
キーボードはフルサイズ89キーで、バックライト付き、日本語か英語が選べます。バックライトは2段階ですが、他のキーボードに比べ若干暗い気がします。キーボード自体見やすいので、そこまで気になりませんが、、、。
タッチパッドは61 × 115㎜で、そこそこ幅も広く使いやすいと思います。また、キーストロークは1.8㎜前後と深く打鍵感が高いので、サクサクタイピングできます。資料作成やSEの人に人気ですね。
また、トラックポイントもあるので、慣れたらマウスを使わなくても操作しやすいです。
キーボード上部には2Wのスピーカーが2つあり、オーディオはドルビーオーディオになります。スピーカーが目の前にあるので、音もクリアに聞こえやすいと思います。
高性能Ryzen 6000シリーズ
Ryzen 5 PRO 6650U | Ryzen 7 PRO 6850U | |
アーキテクチャ | Zen 3+ | Zen 3+ |
製造プロセス | 6nm | |
コア/スレッド | 6/12 | 8/16 |
キャッシュ | 16MB | |
基本クロック | 2.9GHz | 2.7GHz |
ブーストクロック | 4.5GHz | 4.7GHz |
GPUコア | 6 | 12 |
TDP | 15-28W |
Ryzen 6000シリーズはZen 3+のアーキテクチャで、以下の様な特徴があります。
・前世代と比較して最大30%高速
・最大24時間のバッテリー
・内蔵GPUがRDNA2(レイトレーシング対応)
・統合型グラフィック性能は最大約2倍に
・DDR5/LPDDR5のメモリに対応
・USB4対応(ただし、本機には非搭載)
・PCIe Gen 4対応
・Wi-Fi 6E対応
プロセッサーはかなり高い性能で、PROモデルというセキュリティが強化されたビジネスモデルです。
こちらはCPUの性能を測るPassmarkスコアです。
Ryzen 7 PRO 6850Uのスコアは、20740とかなり高いスコアでした。他のスコアも今言及すると、左端のオレンジがCPUで、青が2D Mark 829、紫が3D Mark 5663、緑がメモリマーク 2204、最後の赤がDisk Mark(ストレージ)で18646になりました。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ハイエンドPCに搭載される
- 15000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-12900H | |
---|---|
Core i7-12700H | |
Core i5-12500H | |
Core i7-1280P | |
Ryzen 7 Pro 6850U | |
Core i7-1270P | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 5 Pro 6650U | |
Core i5-1240P | |
Core i7-1265U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 |
スコアは7000ほどあれば、ビジネス用途でもがっつり使えるのですが、全然異次元のスコアになりました。また、これ何がすごいかって、こんなコンパクトなノートパソコンで2万オーバーの性能が出るって、よほど排熱効率が高くないと難しいんですよね。
すごいの一言です。
こちらはCinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコアは6000ほどで高性能、8000以上でかなり高性能、シングルコアは1500以上でかなり高性能になります。
Ryzen 7 Proはこんなになりました。
Cinebench R23 マルチコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-12700H | |
---|---|
Ryzen 9 5900HX | |
Core i9-11900H | |
Core i7-11800H | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 7 PRO 6850U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 4700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 |
Cinebench R23 シングルコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-12900H | |
---|---|
Core i7-12700H | |
Core i7-1260P | |
Core i9-11900H | |
Core i7-1165G7 | |
Core i7-11800H | |
Ryzen 7 PRO 6850U | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5600U | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 5 5700U | |
Ryzen 5 5500U |
どちらもかなり高い性能ですが、マルチコアはもうちょっと高い性能が出るかな?と思っていましたが、伸びませんでした。
グラフィックス
グラフィックは内蔵グラフィックスで、Ryzen 5 6600UがRadeon 660M、Ryzen 7 6800UがRadeon 680Mになります。
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなります。
今回はメモリが32GBと大きめだったのでスコアも伸びましたが、それにしてもありえないくらい高性能でした。
5663!!!
嘘でしょ?ってくらい、高い性能です。NVIDIAの最新ビデオカードのMX550(ローエンドモデル)よりも高い性能でした。
VRAMもメインメモリと共有で最大4GBに設定でき、レイトレーシングやFSR2.0に対応しています。
Video Card Benchmarks
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 PRO 6850U | |
---|---|
MX550 | |
MX450 | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Core i5-1130G7 | |
MX250 | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 7 4700U |
ちなみに、内蔵グラフィック性能が高いインテル11世代Core i7-1165G7よりも、50%以上高い性能です。
画像編集や動画編集、簡単な3D CAD、軽い3Dゲームも全然できるほどの性能です。
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 画面比 | 輝度 |
WUXGA | なし/IPS | 16:10 | 300nit 300nit 400nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角 | その他 |
700:1 700:1 800:1 |
NTSC 45% NTSC 45% sRGB 100% |
170° | ― マルチタッチ 省電力 |
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 |
2.2K WQUXGA |
なし | IPS | 300nit 500nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角 | その他 |
1500:1 | sRGB 100% DCI-P3 100% |
170° | ― HDR400、マルチタッチ |
WQUXGA | 4K解像度で、3840×2400ドット |
---|---|
2.2K | 解像度は2240×1400ドット |
WUXGA | フル・ハイディフィニション相当で、一般的な画質で解像度は1920×1080ドット |
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
コントラスト比 | 最少輝度と最大輝度の差で、700~800:1が標準。差が大きい方が力強い描写が可能 |
IPS液晶 | コントラスト比が高く、視野角も広い |
nit | 明るさを表す単位。通常250~300nitが標準 |
HDR | ハイ ダイナミックレンジの頭文字。白はより白く、黒はより黒く描写でき、より現実に近い色彩 |
ディスプレイは画面アスペクト比が縦に長い16:10で、14インチでも15.6インチ並みの情報が表示されます。一目でより多くの情報が見て取れるので、作業効率もアップします。
解像度は3つあり、フルHD相当のWUXGA、2.2K、そして4K相当のWQUXGAになります。
WUXGAは3種類あり、標準搭載のものは良くも悪くもない普通のもので、同じスペックでタッチパネルのモデルもあります。
輝度が400ニトのものはsRGB 100%と色域が広く、画像編集をするクリエイター向けの品質です。
<左・NTSC 45%/右・sRGB 100%>
右のディスプレイの方がより鮮やかで、多くの色が描写されていますね。
2.2Kと4K相当のWQUXGAは、sRGB 100%かデジタルシネマ規格のDCI-P3 100%になり、より高品質です。
DCI-P3 100%のディスプレイは、動画編集をするクリエイター向けの色域です。
色域が広い方が鮮やかできれいなので、画像・動画編集をしなくても、画像や映画を見る時も、Webサイトを見る時もよりきれいです。
また、どちらもコントラスト比が1500:1と高く、4KディスプレイはHDR400にも対応しており、よりくっきりとした描写が可能です。
輝度はどれも300ニト以上と明るいですが、日の光が当たる屋外で使うことが多い人は、400ニトや500ニトのモデルがおすすめです。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはLPDDR5-6400MHzで、オンボードになります。6400MHzってかなり高い周波数で、現行最高になります。ちなみに、本機にはThinkPad T14 Gen 3 Intelモデルもあるのですが、インテルモデルはDDR4-3200MHz搭載で、本機の半分の周波数です。
この周波数が高いと処理速度が速いので、本機はインテルモデルよりもかなり速い処理速度になります。
Memory Markの計測結果は、2204と普通でした。LPDDR6-6400MHzにしては、遅いかなと言うスコアです。
その他の機種との比較です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Thinkbook 13s Gen 2 16GB | |
---|---|
Ideapad Flex 550i 14型 8GB | |
ThinkPad X12 Detachable 16GB | |
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 16GB | |
Yoga 660 16GB | |
Ideapad slim 550i 8GB | |
Thinkbook 15 Gen 2 8GB | |
ThinkPad T14 Gen 3 AMD 32GB | |
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 8GB | |
Thinkbook 14 Gen 2 8GB | |
Ideapad s145 AMD 8GB |
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 30秒~2分(新品の場合) | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機は最新のPCIe 4.0搭載で、最大データ転送速度が旧モデルの倍・64Gbpsになっています。パソコンの起動も、Webサイトの表示も速いです。
CrystalDiskMarkで計測した、シーケンシャル速度です。
Read(読み込み)は速いですが、Write(書き込み)は十分な速さですが思ったほどではありませんでした。どちらにしてもPCIe 4.0にしては、スコアが伸び悩みました。
ストレージは256GBモデル以外はPerformanceモデルになっており、こちらの場合は速度もより速いのかと思います。
他機種との比較です。本機種のみPCIe 4.0で、その他はPCIe 3.0になります。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 256GB | |
---|---|
ThinkPad T14 Gen 3 AMD 256GB | |
Thinkbook 14 Gen 2 256GB | |
Ideapad Flex 550i 15型 512GB | |
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 256GB | |
Yoga 660 512GB | |
ThinkPad X12 Detachable | |
Thinkbook 13s Gen 2 512GB | |
Thinkbook 15 Gen 2 256GB | |
Thinkbook 14 Gen 3 8GB |
セキュリティ
- パワーオンパスワード・・・電源を入れた時のログインパスワード
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでストレージにパスワードを設定
- スーパーバイザーパスワード・・・BIOSなどの設定を見たり変更する時のパスワード
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
- セキュリティキーホール・・・ワイヤーを設置できる箇所
- AMDメモリー・ガード・・・システムへの物理的な攻撃が懸念される場合に、多くのコンピューティ ング・システムにシンプルかつ信頼性の高いセキュリティーを提供するメモリー暗号化テクノロジー
などがあり、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られています。ThinkShieldについては、公式サイトをどうぞ。
この様に、一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
通信環境は抜群
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
また、ギガビットイーサネットもあるので、室内で使う時も安心です。
LTEは4GのFibocom L860-GLか5Gが搭載可能とのことですが、執筆時現在4Gしか販売されていません。また、仕様書にも5Gのことは記載されていないので、もしかしたら公式サイトの記載ミスかもしれません。
Fibocom L860-GLの速度は、ダウンロード最大1Gbps、アップロード最大75Mbpsになります。アップロードは普通の速さですが、ダウンロードは速いですね。1Gbpsもあったら、Wi-Fiのギガ契約よりもはやい速度です。
LTE用の格安SIMを購入するなら、大手のIIJmioがおすすめですよ。
バッテリー駆動時間
バッテリーは3セル・39.3Whrか、4セル・52.5Whrが選べ、3セルの場合は最大約14.4時間のバッテリー駆動時間が、4セルの場合は最大21.1時間のバッテリー駆動時間があります。
4セルにしたらバッテリー駆動時間は伸びますが、1.32㎏と重たくなるので、軽さ重視かバッテリー重視かで選んだらよいと思います。
また、電源は45Wか65Wが選べます。
インターフェイス
右側面インターフェースは、スマートカードリーダー(カスタマイズ)、USB 3.2 Gen 1、そしてセキュリティーキーホールになります。
左側面はRJ45、USB Type-C 3.2 Gen 2が2つ(映像出力機能付き)、HDMI、USB 3.2 Gen 1、そしてマイク・ヘッドフォンジャックになります。
USB4がないですが、USB Type-Cは速度が10Gbpsと速く、映像出力機能付きなので使いやすいと思います。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
修理拠点は日本国内なので対応も速く、安心して任せることができます。
ライバル機種
<左から本機種・X1 Carbon Gen 10・T14s Gen 3>
本機種と似たような最新機種との比較です。全機種軽量コンパクトで、バッテリー駆動時間も長いです(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | ThinkPad X1 Carbon Gen 10 | ThinkPad T14s Gen 3 | |
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
Core i5-1240P/1250P Core i7-1260P/1270P/1280P |
Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
メモリ | LPDDR5 32GB | ||
ストレージ | SSD PCIe 4.0 | ||
ディスプレイ | WUXGA 2.2K 4K | WUXGA 2.2K 4K 2.8K OLED |
WUXGA 2.2K 2.8K OLED |
無線 | Wi-Fi 6E 4G LTE |
Wi-Fi 6E 4G/5G LTE |
Wi-Fi 6E 4G/5G LTE |
有線 USB4 |
あり なし |
なし あり |
なし なし |
素材 | 樹脂 | カーボン/マグネシウム | カーボン/アルミ |
バッテリー | 21.1時間 | 24.9時間 | 22.98時間 |
重量 | 1.21㎏ | 1.12㎏ | 1.22㎏ |
価格 | 13万円~ | 22.5万円~ | 15.7万円~ |
すべて最新モデルなので似たようなスペックですが、素材やマイク、スピーカーなど細かな点が違います。
各機種の特徴です。
本機種・・・唯一RJ45搭載で、5G LTEがなく、樹脂素材を使用。ただし、価格がかなり安い。
X1 Carbon Gen 10・・・インテルCPUで、スピーカーやマイクも高品質、そして特別なPCにのみ与えられるEvoプラットフォーム認証。Lenovo最高峰機種。
ThinkPad T14s Gen 3・・・兄弟モデルでSが付いたスリムモデル。とは言っても本機とほぼ同じ筐体で、厚さが1㎜薄いだけ。本機と似たスペックだが、5G LTEがあり、筐体もアルミニウムやカーボンファーバーを使用しており、より高級がある
まとめ
良い点
・小型軽量で持ち運びがしやすい
・クリエイターPCとして使えるスペック
・画面比が16:10で、縦に長いDCI-P3 100%
・CPUやメモリ、SSDが最新スペック
・グラフィック性能がめちゃくちゃ高い
・4Kディスプレイ・DCI-P3 100%もあり
・バッテリー駆動時間が長い
残念な点
・樹脂素材
・USB4がない
総合評価
CPUやメモリ、SSDなどの速度に関するスペックはかなり高く、ハイエンドモデルと同じくらいです。バッテリー駆動時間も長いし、Wi-Fi 6E対応、LTEもあり、そして有線接続も可能なので、外でも中でも使い勝手が高い機種です。
特に一番驚いたのは、グラフィック性能がめちゃくちゃ高いことです。これ、内蔵グラフィックのレベルじゃないですよ。クリエイティブワークもサクサクできますね。
また、素材が樹脂だったり、USB4がない、マイクやスピーカーの品質がハイエンドモデルよりも劣るので、価格もハイエンドモデルに比べ安くなっています。
言い換えると、全部のスペックが高いモデルは必要ないから、サクサク快適に使える機種が欲しいという場合は、本機はコスパも高くお勧めです。もしくは、スピーカーやマイクは外付けのものを持っているという人にも、合いますね。