個人的に大好きなThinkPad Tシリーズは、最高峰モデルのXシリーズとそこまで性能差がないんですよね。それでいて、価格はXシリーズに比べ結構安くなっているんです。
基本的にXシリーズとの違いは、筐体のサイズになります。Xシリーズは小型軽量モデルばかりですが、Tシリーズは普通サイズです。なので、あまり持ち運びしない人や、据え置き用として考えている人には一番コスパが高いシリーズなんです。
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ThinkPad T15 Gen 2のスペックレビュー
CPU | Intel core i7-1185G7/1165G7 Intel core i5-1145G7/1135G7 |
---|---|
メモリ | 最大48GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
グラフィックス | NVIDIA GeForce MX450 Iris Xe インテルUHDグラフィックス |
ディスプレイ(15.6型) | UHD IPS液晶、HDR Dolby Vision FHD IPS液晶 マルチタッチあり |
OS | Windows 10 Pro、Home |
無線 | WiFi6、4G LTE、Bluetooth |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証搭載可能 |
Microsoft Office | Office Home &Business 2019搭載可能 |
セキュリティ | パワーオン パスワード、スーパーバイザー パスワード、システム マネジメント パスワード、ハードディスク パスワード(NVMe パスワード)、セキュリティ キーホール |
寸法 | 365.8x248x19.1㎜ |
重さ | 1.75㎏~ |
バッテリー | 最大16.8時間・3セル |
保証 | 1年間引き取り修理 |
価格 | 11.5万円~ |
パソコンの頭脳であるCPUにはインテル11世代CPUが搭載で、その中でも性能が高いCore i5とCore i7から選べます。Passmarkスコアを見ても、10世代からかなり性能が上がっているので、使いやすくなりましたね。内蔵グラフィックスに搭載のIris Xeは、外部グラフィックボードのNVIDIA GeForce MX350並みの性能があり、動画編集や画像編集がやりやすくなりました。
メモリは最大48GBと大容量で、オンボード1つとスロット1つになります。オンボードのみの場合は内蔵グラフィックスが「UHDグラフィックス」になるので、ご注意を。
ストレージは最速モデルのM.2 PCIe NVMeで、最大2TBです!パソコンの起動も速いし、データ移動も速いので、生産性アップです。
ディスプレイはFHDか4K画質のUHDが選べ、UHDはHDR(ハイダイナミックレンジ)対応、Adobe RGB 100%と印刷用の画像編集にも使えるほどの色域があります。
無線環境も良く、WiFi6対応、LTE搭載モデルもあるので、常時インターネット接続も可能です。移動が多い人には便利ですね。また、3セルバッテリー搭載で、最大バッテリー駆動時間は16.8時間と長く、充電アダプターの持ち運びも必要ない場合が多いと思います。
15.6型なので大きいですが、外出先でも大画面でじっくり作業をしたい人や、ハイスペックなので据え置き用としても活躍できるほどです。
前モデルとの比較
旧モデルのThinkPad T15 Gen 1との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | ThinkPad T15 Gen 1 | |
CPU | Intel core i7-1185G7/1165G7 Intel core i5-1145G7/1135G7 |
Intel core i5-10210U/10310U Intel core i7-10510U/10610U |
メモリ | 最大48GB(3200MHz) | 最大48GB(3200MHz) |
ストレージ | SSD 2TB | SSD 2TB |
ディスプレイ | FHD、UHD | FHD、UHD |
無線 | WiFi6、4G LTE | WiFi6、4G LTE |
バッテリー | 最大16.8時間 | 最大14.9時間 |
重量 | 1.75㎏~ | 1.82㎏~ |
価格 | 11.5万円~ | 10.4万円~ |
CPUが第10世代から11世代に変わり性能が上がっていますが、どちらも3セルバッテリーですが、本機種は駆動時間が伸びているので、バッテリーの質が上がったのかもしれません。重量も最小構成モデルで70g軽くなっており、機動性も上がっています。
スペックは上がって、価格は下がっていますね。
ライバル機種
本機種と似たような15型最新機種との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの方は表を右にスクロールできます)
本機種 | ThinkPad E15 Gen 2 | ThinkPad L15 Gen 2 | |
CPU | インテル11世代(Core i5~) | インテル11世代(Core i3~) | インテル11世代(Core i5~) |
メモリ | 48GB | 32GB | 64GB |
ストレージ | SSD 2TB | SSD 1.5TB | SSD 1TB+HDD 2TB |
グラフィックス | Iris Xe GeForce MX450 |
Iris Xe GeForce MX450 |
Iris Xe GeForce MX450 |
ディスプレイ | FHD、UHD | FHD | HD、FHD |
無線 | WiFi6、4G LTE | WiFi5/6 | WiFi5/6 |
バッテリー | 16.8時間 | 12.1時間 | 11.3時間 |
重量 | 1.75㎏ | 1.7㎏ | 1.98㎏ |
価格 | 11.5万円~ | 8.4万円~(Core i5) | 19.7万円~ |
注)L15 Gen2は現在、割引対象機種じゃないので正規の値段を記載。その他は割引後の価格
本機種は唯一LTE搭載なので持ち運びを想定した機種、もしくは自宅にWiFiを引きたくない人に合いますね。E15 Gen 2はその他の機種と違いドッキングステーションが使えないですが、「それいらないよ」と言う人や「UHDディスプレイもいらない」のであれば、一番コスパが高いです。
L15 Gen2はストレージも大きくできるので、持ち運びをしない人・家にデスクトップを置きたくない人などに合うと思います。
ThinkPad T15 Gen 2の特徴
キーボードのカーソルキーの配置が少し変わっていますが、それ以外は「いつものThinkPad」と言った外観です。
寸法は幅365.8㎜、奥行き248㎜、厚さ19.1㎜で、大学ノートA4サイズ(297×210㎜)と比べると、幅約+6.9㎝、奥行き+3.8㎝となっています。15型としては普通サイズなので、今お使いのカバンにすっぽり入ると思います。
厚さは閉じた状態で19.1㎜と、一円玉(直径20㎜)とほぼ同じサイズです。重さ1.75㎏は、標準的ですね。
底面には結構大きな吸気口があります。エアフローはよさそうです。
モダンスタンバイ機能搭載で、システムを瞬時に起動させ、インターネットにも素早く接続ができます。スリープからの復帰が速いので、すぐに使い始めることができます。
また、本機種にはステレオスピーカー2Wが2つと、2つのマイクが内蔵されています。
MILスペック
12項目の米軍物資調達規格に準拠し、落下テストや気温、湿度変化、ディスプレイの開閉テストなど様々なテストを行っており、堅牢性が高い機種です。
キーボード
ThinkPadのキーボードは、タイピングがしやすいと有名ですよね。と言うのも、キーピッチ(1つのキーから次のキーまでの距離)が広く、キーストローク(キーを押し込む深さ)が1.8㎜前後と深いので、打感がいいんですよね。サクサクタイピングできます。
また、15型なのでテンキー付きのキーボードです。カーソルキーが若干下に出っ張っており、カーソルキーも大きいのでミスタイプが減りますね。
真ん中の赤いボタン(トラックポイント)はカーソルを動かしたり、ズームにしたりできるので、使い慣れると手がホームポジションから離れずに作業ができます。
CPU
製造プロセス | コア/スレッド キャッシュ |
グラフィックス | ベースクロック シングルコアターボ時 |
|
Core i7-1185G7 | 10nm SuperFin |
4/8 12MB |
Iris Xe | 3GHz 4.8GHz |
Core i7-1165G7 | 10nm SuperFin |
4/8 12MB |
Iris Xe | 2.8GHz 4.7GHz |
Core i5-1145G7 | 10nm SuperFin |
4/8 8MB |
Iris Xe | 2.6GHz 4.4GHz |
Core i5-1135G7 | 10nm SuperFin |
4/8 8MB |
Iris Xe | 2.4GHz 4.2GHz |
※最大TDP 28W
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”19562″ lazy=”no” class=””]CPUの性能を測るPassmarkスコアは、全てのCPUで1万オーバーですね。Core i5は旧モデルから比べると倍近く性能が上がっていますね。ビジネス用途で快適に使える目安の7000を超えているので、基本的にどれを選んでも快適に使えると思います。
こちらは、シングルコアとマルチコア性能を測るCineBench R20のスコアです。
[visualizer id=”19564″ lazy=”no” class=””]11世代CPUってマルチコアはもちろんですが、シングルコア性能がすごく高いんですよね。CADなどのシングルコア性能が必要なソフトを使う人は、特に使い勝手が上がっています。
グラフィックス
グラフィックスは、内蔵グラフィックス最高性能があるIris Xe搭載で、Core i7は外部グラフィックボードのNVIDIA GeForce MX350並みの性能があります。
[visualizer id=”19566″ lazy=”no” class=””]内蔵グラフィックスとは思えないほど、高い性能ですね。
NVIDIA GeForce MX450は誤差の範囲ですが、Core i7より若干下のスコアです。こちらはGDDR6でVRAM(ビデオメモリ)が2GBあるので、複数画面を使った作業や、Officeワークがより快適にでき、動画・画像編集もより快適にできます。
詳細は「メモリ」の項目で後述していますが、メモリが1枚の場合はIris XeでなくインテルUHDグラフィックスとして動くので、グラフィック性能が下がります。
ディスプレイ
解像度 | 液晶 /光沢 |
タッチ | 輝度 | コントラスト比 | 色域 | 視野角 |
FHD 1920×1080 |
IPS/無し | ― | 300nit | 700:1 | NTSC 45% | 170度 |
FHD 1920×1080 |
IPS/無し | 〇 | 300nit | 800:1 | NTSC 45% | 170度 |
UHD/HDR 3840×2160 |
IPS/無し | ― | 600nit | 1400:1 | Adobe 100% | 170度 |
HD | ハイディフィニション、低解像度で安い機種に使用される | |||||
FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質 | |||||
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい | |||||
IPS液晶 | コントラスト比が高く、視野角も広い | |||||
コントラスト | 最少輝度(黒色)と最大輝度(白色)の差。差が大きいとより鮮やかで、力強い描写が可能 | |||||
nit | 明るさを表す単位。通常250nitが標準 | |||||
NTSC | 色域の規格。NTSC 45%は一般的なノートパソコンのディスプレイ | |||||
Adobe RGB | Adobe社の色域の規格。高色域で印刷用画像編集向け | |||||
HDR | ドルビー社のDolby Vision HDR対応で、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)は最大輝度を高め、より大きなコントラストに滑らかなグラデーション、そして高い色域を表現できる |
ディスプレイは比較的高品質で、フルHDと4K UHDディスプレイもあります。どちらもコントラスト比が高く視野角が広いIPS液晶が搭載です。
色域とは人間の目で見る色に対し、どのくらいカバーしているかを表し、UHDディスプレイはAdobe RGB 100%とかなり高い色域になっています。製版向けの画像を編集する人は、UHDディスプレイを選べば、実際に印刷される色と近い色で編集作業ができます。また、編集をしない人でも、鮮やかな色が描写されるので、見やすいディスプレイですね。
FHDのNTSC 45%は一般的な色域で、画像編集などをしないのであれば気にならないです。
また、ディスプレイにはPrivacy Shutterが搭載しているので、Web会議の離席中や、Webカメラを使用していない時に閉じておくと、プライバシーが守られます。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する場所で、大きなメモリは、より大きなデータ・より多くのデータを処理しやすくなります。
本機種にはDDR4-3200MHzが搭載で、オンボードに1つと、スロットに1つメモリが搭載できます。オンボードメモリ(8GB/16GB)のみ(シングルチャンネルメモリ)を選んだ場合は、内蔵グラフィックスのIris XeがUHDグラフィックスで動作するので、グラフィック性能はかなり落ちます。
Iris Xeで動作させる場合は「デュアルチャンネルメモリ」と言って、メモリ2枚(オンボード+スロット)必要になり、その場合は最低16GBからになります。
まぁどちらにしても、これだけ性能が高い機種なので、8GBメモリじゃもったいないですね。16GBの方がいいと思います。(8GBでも問題なく使えますが)
ストレージ
SSD(PCIe) | SSD(SATA) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 15秒前後 | 30秒~2分(新品の場合) |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 中価格 | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動などにも関係するパーツです。本機種に搭載されているのは、最速モデルのM.2 PCIe NVMeで、パソコンの起動もデータ移動も爆速です。
ストレージにはPCIe NVMe、PCIe 3.0×4とPCIe 4.0×4(2TBのみ)があり、4.0は最新規格で3.0の倍の帯域幅になったので、シーケンシャル速度もかなり速いです。
また、128GB以外にはOPALが搭載で、データをハードウェアレベルで暗号化できる機能になります。
バッテリー駆動時間
バッテリーは3セルで、最大駆動時間は16.8時間と長いです。これだけバッテリー駆動時間が長いので、充電アダプターやモバイルバッテリーを持ち運ばなくてもいい人が多いと思います。
15型で1.75㎏ありますが、14型PCとアダプターを持ち運ぶのとほぼ同じ重量なので、そこまで気にならないと思います。
セキュリティ
- パワーオンパスワード・・・電源を入れた時のログインパスワード
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでストレージにパスワードを設定
- スーパーバイザーパスワード・・・BIOSなどの設定を見たり変更する時のパスワード
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
- セキュリティキーホール・・・ワイヤーを設置できる箇所
WiFi6
次世代通信規格のWiFi6に対応しており、混雑した回線でも安定した高速通信が可能なので、カフェや社内無線LANを使う場合でも作業がやりやすくなりますね。
WiFi6は旧規格のWiFi5よりも、同時により多くのデバイスに電波を飛ばすことができ、最大通信速度もWiFi5より約40%速くなっているので、遅延も少なく、高画質のビデオ会議などにも対応できます。
- WiFi5の最大通信速度・・・6.9Gbps
- WiFi6の最大通信速度・・・9.6Gbps
LTE
LTEはnanoSIMを使って、常時インターネットに接続できる機能です。
こちらは、LTEモデルがまだ出ていないので詳細が分かっていません。販売され次第、情報をアップデートします。
インターフェイス
左側面インターフェイスにはUSB 4(Thunderbolt 4)が2つ、ドッキングコネクタ―(1,2,3併用)、USB-A 3.2 Gen 1(最大データ転送速度5Gbps)、HDMI、マイク/ヘッドフォンジャック、microSDカードリーダーがあります。
右側にはUSB-A 3.2 Gen 1、イーサネットコネクター、セキュリティキーホールがあります。8番の横にあるスロットは「スマートカードリーダー」で、認証用カードリーダーも搭載できます。
インターフェイスは充実していますね。
新規格のThunderbolt 4には、こういった機能・性能があります。
- Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
- 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
- PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
- 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
- 8K出力にも対応
サポート・保証
通常ThinkPadは、1年間引き取り修理保証と標準サポート(電話・チャット・メール・LINE)が付いており、サポートは朝9時から夕方6時までになります。引き取り修理とは、万が一の際にLenovo指定業者が引き取りに来て、リペアセンターに配送、修理後、郵送してくれるサービスで、保証期間内は郵送費などは無料です。
保証とサポートは以下のものにアップグレードできます。
- オンサイト修理保証・・・エンジニアが指定住所に来て現地で修理(一部機種には標準保証)
- 翌営業日オンサイト修理・・・通常、翌営業日にエンジニアが指定住所に来て修理
- プレミアサポート・・・専任エージェントが24時間365日対応。一般のコールセンターとは別のコールセンターで対応
また、アクシデントダメージプロテクションといった「通常保証ではカバーしない」水濡れや破損にも対応する保証があります。
まとめ
2021年のビジネスPCと言った機種で、最新機能が多く搭載されていてより使い勝手が上がっています。
高品質ディスプレイにWiFi6、LTEも搭載可能、イーサネットコネクターにThunderbolt 4と、ビジネスで必要な機能はほぼすべて付いていると思います。
また、モダンスタンバイによりスリープからの復帰も速いので、ストレスなく短時間で使い始めることができますね。
据え置き用としてや、外出先でも大画面で作業をしたい人に向いた機種です。