コンパクトで、最軽量モデルは1.31㎏と軽いThinkPad P14s Gen 5 AMDのレビューです。
本機最大の特徴は、この軽さとコンパクトな筐体になります。当たり前ですが、軽さと引き換えにファンが1つだったり、ヒートパイプも1つだったりとなっているので、あまり重たい作業を長時間するような使い方には向いていません。
外出用のサブ機としてや、学生が授業で使うといった用途に合うと思います。
レビュー機はメーカーからお借りしており、スペックはRyzen 5 PRO 8640HS、メモリ16GB、SSD 256GBになります。
サクッと概要をつかむには、動画もどうぞ。
Contents
ThinkPad P14s Gen 5 AMDのスペック
CPU | Ryzen 5 PRO 8640HS Ryzen 7 PRO 8840HS |
---|---|
メモリ | DDR5-5600 最大96GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(14型) | WUXGA IPS 2.8K OLED |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 6E、5G、ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
WEBカメラ | 500万画素 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 315.9 × 223.7 × 17.7mm |
重さ | 1.31㎏~ |
バッテリー | 最大約10.2時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 19.9万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは最新のRyzen 8000シリーズで、Ryzen AIが搭載した機種になります。AIに力を入れた機種で、対応アプリなど使いやすさが増します。
グラボはなくCPU内蔵グラフィックスで、一般的にはそこそこの性能があるはずなので重たくない2D/3DCADや動画・画像編集もできる性能です。
メモリはDDR5-5600MHzで、最大96GBに対応しています。動作周波数も高いし、メモリもかなり大きくできるので、重たい作業もしやすいです。
ストレージはSSD PCIe 4.0で、最大2TBになります。ストレージは1枚だけ搭載可能で、増設はできません。
ディスプレイは画面アスペクト比が16:10と縦に長く、14インチでも15インチ並みの情報が表示でき、WUXGA(1920×1200ドット) IPS液晶か、2.8K OLEDの2種類があり、タッチパネルやPrivacy Gurad対応モデルもあります。
デフォルトの色域はNTSC 45%と狭いですが、sRGB 100%やDCI-P3 100%もあるので用途に合わせて選びやすいです。
その他のスペックは、OSはWindows 11 HomeかProが選べ、Wi-Fi 6Eに対応、WEBカメラは超高画質の500万画素でIRカメラ搭載モデルもあります。
14インチのワークステーションで1.31㎏からとかなり軽量で、最大バッテリー駆動時間は10.2時間と長めです。
2DCADや簡単な3DCADを扱う人や、画像動画編集などをする人で、PCの持ち運びが多く、外出先で作業をすることが多い人に合います。
2025年のトレンドと比較
2025年のノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。(〇/標準搭載、△/モデルによってはあり、×/なし)
– | NPU | Copilotボタン | DDR5 |
– | 〇 | 〇 | 〇 |
SSD PCIe 4.0 | アスペクト比16:10 | sRGB 100%以上 | Wi-Fi 6E |
〇 | 〇 | △ | 〇 |
輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ以上 | 生体認証 | バッテリー10時間以上 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
モデルによっては色域が狭いNTSC 45%もありますが、カスタマイズからsRGB 100%やDCI-P3 100%のディスプレイも選べます。
旧モデルとの比較
旧モデル | 本機種 | |
CPU | Ryzen 5 PRO 7540U Ryzen 7 PRO 7840U |
Ryzen 5 PRO 8640HS Ryzen 7 PRO 8840HS |
メモリ | LPDDR5X-6400MHz 64GB | DDR5 96GB |
ストレージ | SSD PCIe 4.0 2TB | |
GPU | NVIDIA RTX A500 | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ | WUXGA IPS タッチあり 2.8K OLED |
|
無線 | Wi-Fi 6E、4G LTE | Wi-Fi 6E、5G |
バッテリー | 22.4時間(JEITA 2.0) | 10.2時間(JEITA 3.0) |
重量 | 1.34㎏ | 1.31㎏ |
寸法 | 317.7 × 226.9 × 17.9mm | 315.9 × 223.7 × 17.7mm |
主な変更点です。
・CPUがRyzen 8000シリーズになりNPUが搭載
・メモリが2スロットになり最大96GBに
・グラボがなくなった
・筐体が少し小さくなり30g軽くなった
・コミュニケーションバーが搭載
・クイックメニューが搭載
一番の変更点はNPUが搭載したことと、メモリがオンボードじゃなくなったので自分で増設できる点です。以前はかなり高いお金を出して32GBや64GBにしなくちゃいけませんでしたが、新機種は自分でメモリを増設できるのでかなり安くスペックアップできます。(増設は自己責任・保証が外れる可能性あり)
それでは本機の特徴です。
NPUっていつ使うの?
ここ最近、AI、AIと言われていますが、AIコアであるNPUっていつ使うの?っていう疑問ありますよね。
今現在NPUコアを使ってできるものはWindows Studioエフェクトや、一部のアプリ(Photoshopなど)がNPU対応の機能を実装しています。
と言うことで、現在は対応アプリが少ないのでそこまで活躍する場がないですが、今後あると便利になるといったものになります。
AIエンジン付きRyzen 8000シリーズ搭載
Ryzen 5 PRO 8640HS | Ryzen 7 PRO 8840HS | |
製造プロセス | 4nm | |
アーキテクチャ | Zen 4 | |
Ryzen AI | 〇 | 〇 |
コア/スレッド | 6/12 | 8/16 |
L3キャッシュ | 16MB | |
ベースクロック | 3.5Hz | 3.3GHz |
ブーストクロック | 4.9GHz | 5.1GHz |
GPUコア | 8 | 12 |
NPU | 16 TOPS(全体で最大31 TOPS) | 16 TOPS(全体で最大39 TOPS) |
TDP | 28W(20W~30W) |
アーキテクチャはZen 4になり、主な特徴はこちらです。
・Zen 3の改良版
・L2キャッシュ増量
・ディープラーニング性能の向上
・Zen 3に比べIPCが約14%アップ
Zen 4はレイテンシの短縮とスルートップの向上を目的に作られており、順当に開発されていますね。
また、Ryzen 8000シリーズはRyzen AIというNPUコアがあり、4nmプロセスルールで電力効率が高まっています。最大TDPは30Wと低いですが、高性能です。
PROモデルはビジネス用途として開発されており、よりセキュリティが強化されたモデルになります。
最初はCPUの性能を測るCPU Markのスコアです。
Ryzen 5 PRO 8640HSの計測結果は22218と、なかなか良いスコアでした。
スコアの目安
- 10000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 13000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 18000~・ハイエンドPCに搭載される
- 20000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Core Ultra 9 185H | |
Ryzen AI 9 365 | |
Ryzen 7 8845H | |
Core Ultra 7 165H | |
Ryzen 7 8840HS | |
Core Ultra 5 135H | |
Core Ultra 7 155H | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Core i5-1335U | |
Core Ultra 5 135U | |
Core Ultra 5 125U | |
Core 5 120U | |
Core 7 150U | |
Core Ultra 7 165U | |
Core Ultra 7 155U |
Geekbench AIのONNXでCPUのAI性能を測りました。ONNXはOpen Neural Network eXchangeで、ディープラーニングや機械学習モデルのようなAIモデルの性能を計測します。
Single Precision(単精度)は2158、Half Precision(半精度)は1091、Quantized(量子化スコア)は3907とそこそこ高い性能でした。
Single Precision Score/単精度スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 5 125U | |
Core i7-1260P | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core i5-1335U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
Half Precision Score/半精度スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 5 125U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1335U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
Quantized Score/量子化スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Core i5-1335U | |
Core Ultra 5 125U | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。
総合性能の目安は以下になります。
・9000以上・・・超ハイスペック
・7500以上・・・ハイスペック
・5000以上・・・ミドルクラス
・2500以下・・・エントリ―クラス
本機種のスコアです。
- 総合性能は6335→ミドルハイクラス
- Essentialは10208→通常用途やビデオ会議などはかなり快適にでできる
- Productivityは9199→高速に使える
- Digital content creationは7419→そこそこ高い性能で動画編集などにも向いている
Essential
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 5 125H | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 3 7335U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 3 7335U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Core i5-1235U |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 7335U | |
Core i5-1235U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 3 5425U |
5分の4K動画を撮影し、Davinci Resolveでレンダリングにかかった時間です。当然ですが、時間が短いほうが高性能です。3回計測し、平均は4分15秒でした。
4K動画レンダリング速度
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 7535U | |
Core i5-1335U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core i7-14700+RTX 4060 | |
Ryzen AI 9 HX 370+RTX 4060 |
グラフィックス性能はあまり高くない
グラフィック性能が高いとOfficeを使った作業や複数画面での作業、そして画像・動画編集などがしやすくなります。
3D Graphics Markのスコアは3741とそこそこ高いスコアですが、期待したほど高いわけじゃありませんでした。今回はシングルチャンネルメモリ(メモリが1枚)だったので性能は伸びませんでしたが、2枚にすると大きく性能が上がります。
3D Graphics Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Ryzen 7 8845HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i7-1260P | |
Core i7-1355U | |
Core i5-1335U | |
Core i5-1340P | |
Ryzen 7 PRO 5850U | |
Ryzen 3 7335U |
次はゲームの3DMarkを使い、グラフィック性能を測ります。
Steel Nomad Lightは1530、Wild Lifeは8855、Fire Stikeは4192、そしてNight Raidは17414と、こちらもあまり伸びませんでした。
Steel Nomad Liteは、DirectX 12 Ultimateの性能をテストし、レイトレーシングを使用しない中量級ゲームを想定したベンチマークです。スマホなどの他のデバイスとスコアを比較できる、クロスプラットフォームです
Steel Nomad
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
GTX 1650 Max-Q | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Wild Life
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 Ti | |
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Core Ultra 7 258V | |
GTX 1650 Ti | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
GTX 1650 Max-Q | |
Ryzen 7 8845HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 5 PRO 8640HS |
Fire Strike
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
GTX 1650 | |
Core Ultra 5 125H | |
GTX 1650 Max-Q | |
Arc A350M | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Night Raid
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 4050 | |
---|---|
RTX 3050 | |
RTX 3050 Ti | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
GTX 1650 Ti | |
Core Ultra 5 125H | |
GTX 1650 Max-Q | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
次は2Dゲームのベンチマークで、ドラゴンクエスト10は7593で「すごく快適」、FFXIV黄金のレガシーは3159で「設定変更を推奨」でした。
ドラクエX FHD画質
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 258V | |
---|---|
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5345U | |
Ryzen 7 7730U | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Core i7-1355U | |
Core i5-1335U |
FFXIV 標準品質
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 258V | |
---|---|
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 8845HS | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 5 PRO 8640HS | |
Ryzen 3 7335U |
ワークステーションなのに1.31㎏からと軽い
<レビュー機は1407グラム>
本機の最軽量モデルは1.31㎏と超軽量で、14インチのワークステーションとしては業界を見渡しても最軽量モデルになると思います。
レビュー機は39.3Whrのバッテリーを搭載して、LTEとスマートカードリーダーがあるので1407グラムとなりました。、14インチノートパソコンとしては普通ですが、ワークステーションとしては軽い方です。
ただし、52.5Whrのバッテリーを選ぶとバッテリー駆動時間は伸びますが、より重たくなります。
寸法は幅315.9ミリ、奥行き223.7ミリ、そして厚さ17.7ミリとコンパクトで、持ち運びがしやすい筐体です。
この軽量コンパクトさが本機最大の特徴だと思います。
最高で2.8K OLEDディスプレイを選択可能
<レビュー機はWUXGA IPS sRGB 100%>
本機のディスプレイは種類が多いですが、解像度はWUXGA(1920×1200)と2.8K(2800×1800)になります。
・WUXGA IPS 光沢無し NTSC 45% 400ニト
・WUXGA IPS 光沢無し sRGB 100% 400ニト 省電力
・WUXGA IPS 光沢無し NTSC 45% 400ニトタッチパネル
・WUXGA IPS 光沢無し sRGB 100% 500ニト タッチパネル Think Privacy Guard
・2.8K OLED 反射・汚れ防止 DCI-P3 100% 400ニト
レビュー機は一番人気のWUXGA sRGB 100%(上の赤文字のディスプレイ)で、色域が広いので色鮮やかな描写ができます。
本機は真ん中で、左はデフォルトのNTSC 45%、一番右は2.8K OLED DCI-P3 100%になります。左は色が薄く、右はすごく色鮮やかですね。
sRGB 100%は画像編集やYoutubeやSNS用の動画編集などに向いており、DCI-P3 100%はプロ向けのデジタルシネマ規格で映像編集に向いています。
また、DCI-P3 100%は2.8Kと高精細で詳細も描写され、OLEDディスプレイはまっ黒を描写できるのですっきりとくっきりな描写ができます。
こちらは黒の描写をチェックする画像で、左の本機は黒が明るすぎですね。しっかりとした画像編集や動画編集をするなら、DCI-P3 100%のディスプレイを選んだほうが良いかもしれません。
画面アスペクト比が16:10と縦に長いので、一般的な16:9の14インチよりも多くの情報が一目で見て取れます。
次は視野角のチェックです。どこから見ても薄暗くなる部分もなく見やすいです。
輝度は400ニトか500ニトで、こちらは輝度の目安です。
220ニト | 室内ならなんとか使える。明るい室内では暗く見える |
---|---|
250ニト | 室内向け。屋外では日陰ならギリギリ使える |
300ニト | 屋外の日陰でも見える |
400ニト | 屋外でも使いやすいが、直射日光が当たるとちょっとくらい |
500ニト | 屋外でも比較的見やすい |
600ニト | 画面に直射日光が当たっても比較的見える |
コミュニケーションバー搭載で500万画素WEBカメラ搭載
ちょっと飛び出したようになっている部分がコミュニケーションバーと言い、このおかげでカメラやマイクのスペックが上がっています。
WEBカメラは超高画質の500万画素(おおよそ2.8K解像度)で、プライバシーシャッター付き、そしてカスタマイズから顔認証用のIRカメラモデルも選べます。
ビジネスPCにはHD画質やFHD画質のカメラが多いですが、本機は500万画素と高解像度なので比べると全然違いますね。
高画質なので、Web会議などで映し出される自分がより良い見た目になります。
また、先述しましたが本機はAIコアがあるのでWindows Effect Studioが使えます。自動フレーミングやアイコンタクト、背景のぼかしなど、Web会議などに「あったらいいな」があります。
マイクはDolby Voice(周囲の騒音があるときや、複数人で会議をしているときに、自動的に音量を調整する機能)に対応しており、360度遠距離マイクが2つ内蔵、そしてスピーカーは2Wが2基です。
生体認証が2つある
カスタマイズから電源ボタン統合の指紋センサーと、顔認証用のIRカメラを搭載できます。
それぞれ1100円かかりますが、2つあるとサインインやアプリのログインの時にすごく便利です。
最大96GBの大容量メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-5600MHzで、2スロット・最大96GB(48GB×2枚)になります。
Memory Markでメモリ性能を測ったら、メモリ16GB(メモリ1枚)のレビュー機はシングルチャンネルメモリで動作しているので、2368とかなり低いスコアでした。メモリを増設して2枚組にしたらスコアは大きく上がります。(手元にDDR5-5600がなかったので増設できませんでした)
その他のメモリとの比較です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
LPDDR5X平均 | |
---|---|
DDR5平均 | |
LPDDR5平均 | |
LPDDR4X-4266MHz平均 | |
本機種 | |
DDR4-3200MHz平均 |
メモリスロットはこの赤枠部分で、今は左に1枚のみです。右の白い部分にもう1枚入れて増設できます。
5G搭載可能
5GはQuectel RM520N-GL 5G Sub6を搭載でき、最大ダウンロード速度は2.4Gbps、アップロードは900Mbpsになります。
さすが5Gなので、速いですね。ただし、+44,000円と高いですね。
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができます。
また、1ギガビットイーサネットも搭載しており、無線でも有線でもサクサク使えます。
その他の特徴
外観
いつものThinkPadと言った外観で、かっこいいですね。
上ベゼルは12ミリ、左右のベゼルは約7ミリと細めです。
先述しましたが、ワークステーションとしてはコンパクトで軽量です。
旧モデルは右側面に排気口がありましたが、マウスを使っていると温風が当たって嫌な人は多かったと思いますが、排気口は背面に移動したので安心です。
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
ディスプレイは180度開くことができるので、床に座って作業をすることがあるエンジニアにも使いやすいです。
底面の通気口は大きく、がっつりとフレッシュエアーを吸ってくれそうです。
排熱性能は意外にも低価格モデルと同じで、ファンとヒートパイプが1つずつでした。軽量化のためにファンもヒートパイプも1つに抑えたんだと思います。
ISV認証
本機種はISV(独立系ソフトウェアベンダー)により、アプリケーションとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を得ています。(ISV認証はこちらから確認できます)
上の画像は「Autodesk VRED 2023,2024,2025」の認証を確認した画像で、Certifiedとなっています。
キーボード
ThinkPadのキーボードはタイピングがしやすいことで有名で、打鍵感が良く、トラックポイントを使えば、ホームポジションから離れずに作業が可能です。
キーボードはフルサイズ89キーで、バックライトの有無はカスタマイズから変更できます。ただし、バックライト無しのキーボードはプラスチック感が強く打鍵感も低いので、バックライトありを強くお勧めします。
ちなみにレビュー機はバックライトなしだったので、ThinkPad愛好家からするとかなり違和感があるキーボードでした。
キートップは湾曲しているので、ちょっと中心をずれてタイピングしてもしっかりと中心を叩け、ミスをしにくい造りです。
キーピッチ(キーの中心部から隣のキーの中心までの距離)は19.0×19.0㎜とフルサイズで、手が大きな人にも使いやすいです。
キーストロークは1.0㎜と浅いですが、ここはさすがのThinkPadなので程よい打鍵感はありました。ただし、先ほども言いましたが、レビュー機はバックライトなしでキーの材質も違うので、バックライトありのキーボードを選ぶ必要があります。
トラックパッド(タッチパッド)は60㎜×115㎜と大きく、操作性も高いです。アクセシビリティ向上のため、エンターキーやFnキー、F2とF3キーに突起(ポジションバー)が付きました。重要なキーの押し間違いが減りそうです。
そして、トラックポイントをダブルタップすると、TrackPoint Quick Menuがポップアップし、カメラやマイク、ノイズ抑制などの設定ができるようになりました。Web会議が多い人には使いやすいです。
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
最新のSSD PCIe 4.0×4が搭載で、最大2TBと大容量です。軽さと引き換えにM.2スロットは1つしかないので、ストレージの増設はできません。
シーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み速度)は4051MB/秒、ライト(書き込み速度)は1966MB/秒と遅いわけじゃないですが、この価格のワークステーションとしては褒められる速度ではありませんでした。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
起動時間を計測しました。
1回目 | 20秒 |
---|---|
2回目 | 19秒 |
3回目 | 20秒 |
4回目 | 19秒 |
5回目 | 20秒 |
平均 | 19.6秒 |
セキュリティ
ThinkPadは、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
バッテリー駆動時間
バッテリーは39.3Whrか52.5Whrが選べ、最大10.2時間の動画再生時間があります。そこそこ長いバッテリー駆動時間で、外出先でも長時間作業ができます。
インターフェイス
インターフェイスはそれほど困らない程度にあり、Thunderbolt 4は2つもあるので、ドックを持っていたら据え置き用としても使いやすいです。Lenovoではいくつかのドックやハブが販売されているので、Lenovoドックのレビューも併せてどうぞ。
左側面にはThunderbolt 4が2つ、HDMI、USB 3.2 Gen 1、そしてマイク/ヘッドフォンジャックになります。
右側面はスマートカードリーダー(オプション)、SIMスロット、USB 3.2 Gen 1、イーサネットコネクタ、そしてセキュリティスロットになります。
Thunderbolt 4にはこういった機能・性能があります。
- Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
- 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
- PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
- 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
- 8K出力にも対応
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
まとめ
良い点
・最軽量モデルは小型軽量で持ち運びがしやすい
・AIコア搭載
・最新スペック満載
・画面比が16:10で、14インチでも15インチ並みの情報が表示される
・最大メモリ容量が大きい
・2.8K OLED搭載可能
・500万画素のWEBカメラが搭載
・5G搭載可能
残念な点
・小さなバッテリー搭載でも1.4㎏あったので、大きなバッテリーを搭載したらもっと重くなる
・レビュー機はバックライトなしのキーボードだったので、あまり打鍵感が良くない
・軽量化のため筐体内部のファンとヒートパイプが1つずつ
総合評価
本機は軽さに重点を置いたワークステーションなので、軽量化のために排熱性能を落としています。できないことはないですが、高負荷な作業を毎日何時間もするというよりも、外出先でちょっと編集をしたりといった補助的な使い方が良いかもしれません。
本機をメイン機種として使う予定の場合は、あまり高負荷な作業を長時間しないような使い方の人には良いと思います。
また、工学部などの生徒が授業で使うなどであれば問題ない性能です。