ThinkPad Eシリーズは低価格モデルで、コスパが高いことでも有名ですが、本機はついに画面アスペクト比が16:10と縦に長くなり、体感性能では上位モデルとそこまで変わらないくらいの、スペックです。
インターフェイスが「ぼちぼち」と言う以外は、全体的にしっかりとした機種です。
当サイトの評価は、このようになりました。
スペック | [usr 4.1] |
---|---|
コスパ | [usr 4.7] |
総合評価 | [usr 4.4] |
Contents
Lenovo ThinkPad E16 Gen 1 AMDのスペック
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
---|---|
メモリ | 最大24GB |
ストレージ | SSD×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(16型) | WUXGA/WQXGA IPS タッチあり |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 6/6E、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー/顔認証(オプション) |
WEBカメラ | FHD、FHD+IRカメラ |
寸法(幅×奥行×高さ) | 356.1 × 247.7 × 19.9mm |
重さ | 1.77㎏~ |
バッテリー | 最大約20.7時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 7.9万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは最新のRyzen 7000シリーズが搭載で、十分な性能があります。ただし、Ryzen 7000シリーズの中では下位モデルで、メモリはDDR4、SSDはPCIe 3.0×4までの対応です。
メモリはDDR4-3200MHzが搭載で、オンボードに8GBがあり、1つあるスロットには16GBまで搭載可能です。合計24GBなので、そこそこメモリが必要な作業をする人にも使いやすいです。
ストレージは最新のSSD PCIe 4.0が搭載ですが、CPUがPCIe 3.0×4までしか対応していないので、PCIe 4.0の速度は出ません。それでも、データ転送速度は速いので、気にならないと思います。
また、最大で2つのSSDが搭載できるので、自信がある方は自分で増設してもいいと思います。ここ最近SSDの価格が下がっており、CrucialのSSDでも1TBで1万円くらいであるので、かなり安く増設できます。
ディスプレイはついに画面アスペクト比が16:10になり、2.5K解像度にsRGB 100%も、そしてタッチパネルもあるので、用途や予算に合わせていろいろなスペックが選べます。
ThinkPad Eシリーズの欠点と言えば、ディスプレイが挙げられますが、これでようやく文句なしにお勧めできるようになりました。
その他のスペックは、Winodws 11 HomeかProが選べ、無線は高速安定通信ができるWi-Fi 6かWi-Fi 6E、そして有線接続も可能、Webカメラは高画質FHD 1080pになります。
バッテリー駆動時間は最大20.7時間と長く、重さは1.77㎏と標準的な16インチの重さです。2022年に発売された15.6インチのE15 Gen 4は1.78㎏だったので、筐体や画面が大きくなったのに、軽量化されているので、本機はすごく進化しています。
インターフェイスはそこそこの数があり、1つのUSB Type-Cのデータ転送速度は10Gbpsと速いです。
ギリギリですが、7万円台からこのクラスのスペックのノートパソコンを買えるのは、すごいと思います。
2023年のトレンドと比較
2023年のノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。(〇/標準搭載、△/モデルによってはあり、×/なし)
Ryzen 7000 | DDR5 | PCIe 4.0 | アスペクト比16:10 |
〇 | × | × | 〇 |
Wi-Fi 6/6E | sRGB 100%以上 | 輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ |
〇 | △ | 〇 | 〇 |
USB4 | 生体認証 | 重量1.8㎏前後 | バッテリー14時間以上 |
× | △ | 〇 | 〇 |
×の項目が3つありますが、これらはCPUが対応していないのでこうなっています。色域のsRGB 100%と生体認証の指紋センサーや顔認証は、カスタマイズから選択可能です。
旧モデルとの比較
ThinkPad E16 Gen 1 AMDは、ThinkPad E15 Gen 4とい う15.6インチの後継モデルとして出ているので、旧モデルのE15 Gen 4と比較します。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | E15 Gen 4 | |
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
Ryzen 3 5425U Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
メモリ | DDR4 24GB | DDR4 40GB |
ストレージ | SSD×2 | SSD×2 |
ディスプレイ | WUXGA/WQXGA IPS 16インチ | FHD IPS 15.6インチ |
無線 | Wi-Fi 6/6E | Wi-Fi 6/6E |
バッテリー | 20.7時間 | 16.7時間 |
重量 | 1.77㎏ | 1.78㎏ |
寸法 | 356.1 × 247.7 × 19.9㎜ | 365 × 240 × 18.9㎜ |
変更点です。
・CPUが最新のRyzen 7000シリーズに
・ディスプレイが16インチと大きくなり、画面アスペクト比が16:10と縦に長くなった
・2.5Kディスプレイが追加
・10g軽くなった
・ディスプレイが大きくなったが、筐体幅が小さくなった
・バッテリー駆動時間が4時間伸びた
残念な変更点です
・メモリが最大40GBから最大24GBに
こちらは、プロセッサーの性能を表すCPU Markスコアです。
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Ryzen 7 7730U | |
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Ryzen 7 5825U | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 3 7330U | |
Ryzen 3 5425U |
旧モデルのRyzen 5000シリーズの性能が高かったので、それほど伸びていませんが、バッテリー駆動時間が伸びた点は評価できますね。
ThinkPad E16 Gen 1 AMDの特徴
当サイトではCPUのスペック以外は全く同じであるE16 Gen 1 Intelをレビューしており、全く同じ筐体なので、雰囲気をつかみやすいようにIntelモデルの写真を紹介します。
16インチと大きいですが、ベゼル(画面の黒い枠)が細くてスリムです、上ベゼルはWEBカメラ部分のみ大きくなっており、その他の部分が細くなっているので、よりスリムに見えます。
ベゼル幅は左右4.9㎜、上7.8㎜(最薄部)、下11.2㎜とすべてが狭額です。これだけ細いベゼルなので、筐体もすっきりとスリムに見えます。
寸法は、
・幅 356.1㎜
・奥行 247.7㎜
・高さ 19.9㎜
で、19.9㎜と大きめですが、大きな筐体の方が内部が熱くなりにくいのでOKだと思います。
重さは標準的な1.77㎏で、持ち運びがしやすいわけではないですが、画面比16:10の16インチと思えば、妥当な重さです。
天板はアルミニウムを使用し、手触りもよく、高級感があります。底面カバーは樹脂素材です。
MIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
ディスプレイは180度開くことができ、床に座って作業をすることがあるエンジニアにも使いやすいです。
WEBカメラ周り
Webカメラは高画質FHD 1080pでプライバシーシャッター付き、そして顔認証用のIRカメラモデルもあります。
ただし、IRカメラを選んだ場合はハイブリットカメラになり、1つのカメラでWebカメラとIRカメラの機能が付いています。
FHD Webカメラは高画質で、Web会議などで相手に表示される自分の映像が高精細ですが、ハイブリットカメラの場合は、若干画質が劣ります。
また、プライバシーシャッターもあるので、カメラを使用していないときは、閉じておくと安心です。
マイクはデュアルアレイで2つ搭載、そして2Wのスピーカーが2つあります。また、周囲の騒音があるときや、複数人で会議をしているときに、自動的に音量を調整するDolby Voiceにも対応しています。
キーボード
ThinkPadのキーボードはタイピングがしやすいことで有名で、打鍵感が良く、トラックポイントを使えば、ホームポジションから離れずに作業が可能です。
本機はフルサイズの110キーで、テンキー付き、バックライトの有無はカスタマイズから変更できます。ただし、バックライト無しのキーボードはプラスチック感が強く打鍵感も低いので、バックライトありを強くお勧めします。
トラックパッド(タッチパッド)は68㎜×115㎜と大きく、操作性も高いです。
ちなみに、指紋センサーありのモデルは電源ボタンと統合されているので、電源を入れたらサインインも完了です。
Ryzen 7000シリーズプロセッサー搭載
Ryzen 7 7730U | Ryzen 5 7530U | Ryzen 3 7330U | |
製造プロセス | 7nm | ||
アーキテクチャ | Zen 3 | ||
コア/スレッド | 8/16 | 6/12 | 4/8 |
L3キャッシュ | 16MB | 8MB | |
ベースクロック | 2.0Hz | 2.3GHz | |
ブーストクロック | 4.5GHz | 4.3GHz | |
GPUコア | 8 | 7 | 6 |
TDP | 15W |
アーキテクチャはRyzen 5000シリーズと同じZen 3になり、TDPは省電力の15Wです。最大温度が95°と低いので、今までよりも長時間高負荷な作業がしやすくなっています。
性能は高いのですが、先述したように、最新規格のメモリやストレージ、そしてUSB4にも対応していません。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 14000~・ハイエンドPCに搭載される
- 15000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i5-1340P | |
---|---|
Ryzen 7 7730U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1255U | |
Ryzen 3 7330U | |
Core i7-1165G7 |
Ryzen 3でも、ビジネス用途で快適に使える目安のスコア1万を超えており、特に心配することはないと思います。
ディスプレイ
解像度 | 液晶/光沢 | インチ | 輝度 |
WUXGA WQXGA |
IPS/なし | 16インチ | 300nit 400nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角 | その他 |
800~1000:1 1200:1 |
NTSC 45% sRGB 100% |
170° | ― ブルーライト軽減 |
ディスプレイは4種類あり、用途に合わせてスペックを選べます。
- WUXGA IPS 300ニト NTSC 45%
- WUXGA IPS 300ニト sRGB 100% EyeSafe
- WUXGA IPS 300ニト NTSC 45% タッチパネル
- WQXGA IPS 400ニト sRGB 100% EyeSafe
WUXGAはFHD相当で1920×1200ドット、WQXGAは2.5Kで2560×1600ドットと高精細です。
液晶は視野角が広いIPS液晶で、本機では上下左右各85°になります。大きな画面でも、四隅が暗くなったりしにくいです。
色域は2種類あり、一般的なNTSC 45%か、Web用画像編集に向いているsRGB 100%になります。
<左sRGB 100%/右NTSC 45%>
Web用画像編集をするような人は、sRGB 100%を選んだほうが良いです。また、よく映画やインスタを見る人も、より鮮やかな色が表示されるので合いますね。
また、本機はThinkPad Eシリーズで初の画面アスペクト比が16:10になります。
左は16インチ16:10で、右は旧モデルの15.6インチ16:9のディスプレイです。17インチ並みの情報量になっているので、据え置き用としても使いやすいし、1.76㎏とそこまで重たくないので、外出先でも大画面で作業をしたい人に向いています。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR4-3200MHzで、オンボード+スロットになり、最大24GB(オンボード8GB+スロット16GB)になります。大きなデータを扱う人は16GBモデルか、24GBモデルが使いやすいです。
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
ストレージは最新のSSD PCIe 4.0×4が搭載ですが、先述したように、PCIe 3.0×4までしか対応していません。それでも、高速データ転送速度があり、パソコンの起動も10秒ほどです。
また、M.2スロットがもう一つあるので、増設も可能です。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
ThinkPadは、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
Wi-Fi 6/6Eに対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6、もしくは6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
そして1ギガビットイーサネットも搭載しており、無線でも有線でも快適に使えます。
バッテリー駆動時間
バッテリーは47Whrと57Whrがあり、最大バッテリー駆動時間は20.7時間になります。これだけバッテリー駆動時間が長いので、外出が多い人にも合います。
インターフェイス
インテ―フェイスは十分な数がありますが、4つあるUSBのデータ転送速度は、10Gbpsが1つ、残りは5Gbpsになります。また、2つあるUSB Type-Cは、どちらも映像出力機能付きなので、モバイルモニターやUSB-Cポートのあるモニターも使えます。
右側面インターフェイスはUSB 3.2 Gen 1、RJ45、そしてセキュリティキーホールになります。
左側面インターフェイスはUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1、HDMI、そしてマイク/ヘッドフォンジャックになります。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
ライバル機種
ThinkPad E14 Gen 5 AMD
本機と全く同じスペックで、14インチになります。もし、もっと持ち運びに適した機種がいいという場合は、こちらがおすすめです
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
---|---|
メモリ | 最大24GB |
ストレージ | 最大SSD ×2 |
ディスプレイ(14型) | WUXGA/2.2K IPS 光沢なし、タッチあり |
通信 | Wi-Fi 6/6E、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証あり |
重さ | 約1.41㎏~ |
バッテリー | 最大約20.9時間 |
価格 | 7.9万円~ |
ThinkPad T16 Gen 1 AMD
上位モデルのTシリーズで、全体的に高性能高品質になります。同じ16インチですが120gも軽いので、より持ち運びに便利です
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
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メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(16型) | WUXGA、WQXGA |
通信 | Wi-Fi 6E、4G LTE、イーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
重量 | 約1.65㎏~ |
バッテリー | 最大約17.3時間(52.5Whr時) |
価格 | 15.3万円~ |
まとめ
良い点
・16インチとしては比較的コンパクトで、1.77㎏と重たくない
・画面アスペクト比が16:10と縦に長い
・2.5Kディスプレイや、sRGB 100%もあり
・Wi-Fi 6/6Eに対応
・Webカメラが高画質FHD
残念な点
・最大メモリ容量が40GBから24GBに下がった
・インターフェイスの速度がちょっと残念
総合評価
これだけのスペックで、7万円台からとコスパが高いですね。16インチの大画面で、画面比が16:10なので、17インチ並みの情報が表示され、より多くのものが一目で見て取れます。
また、重さは普通ですが、バッテリー駆動時間が20時間以上と長いので、外出先で作業をすることが多い人にも向いています。
メモリ最大容量が減りましたが、まぁ、32GBや40GBにする人も少ないので、そこまで影響はないと思います。