ThinkCentreはMIL規格に準拠したビジネスデスクトップで、Tiny、Small、Towerと3種類の筐体があります。本機は一番小さなTinyで、お弁当箱大サイズの筐体なので、文字通りどこにでも置くことができます。
デスクに場所がない、デスク横のシェルフに置きたい、本棚に置きたい・・・などで迷うことはありませんね。
最新のインテル第12世代CPU搭載で、パワーアップしたThinkCentre M70q Tiny Gen 3をご紹介します。
Contents
ThinkCentre M70q Tiny Gen 3のスペックレビュー
CPU | Core i3-12100T/12300T Core i5-12400T/12500T/12600T Core i7-12700T Core i9-12900T |
---|---|
メモリ | 最大64GB |
ストレージ | SSD+HDD |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | ギガビットイーサネット Wi-Fi 6、Bluetooth 搭載可能 |
光学ドライブ | 外付けDVD-ROMドライブ、DVDスーパーマルチドライブ付属可能 |
セキュリティ | パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、アドミニストレーター パスワード、セキュリティ キーホール |
寸法(幅×奥行×高さ) | 36.5×182.9×179㎜ |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135W |
保証 | 1年間 |
価格 | 10.1万円~ |
<性能評価>
プロセッサーは最新のインテル第12世代で、省電力モデルの「Tシリーズ」が搭載です。通常版の基本消費電力が65Wに対し、Tシリーズは35Wと半分近くになっており、発熱が低くなっています。ただし、どのCPUもマックスパワーが69W~106Wと電源の容量を超えているので、最大パフォーマンスはそこまで伸びないと思います。
メモリスロットは2つで、最大64GBになります。ストレージはCドライブにSSDが搭載、そしてHDDも追加可能です。SSDはPCIe 3.0(公式サイトにはGen 3と記載)が標準搭載ですが、最新のPCIe 4.0(Gen 4)も選択できます。
OSはWindows 11で、モデルによってはHomeかProを選択可能、LANはギガビットイーサネットが標準搭載で、無線LANはWi-Fi 6も搭載できます。
ちなみに標準では無線無しになっており、無線を追加しないとBluetooth接続もできないのでご注意を。
約1.2Lの筐体でお弁当箱大サイズになり、もちろん、ノートパソコンよりも高性能、より多くのインターフェイスもあるので使い勝手が高い機種です。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/M70q Tiny>
旧モデルのThinkCentre M70q Tinyとの比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | M70q-Tiny | |
CPU | Core i3-12100T/12300T Core i5-12400T/12500T/12600T Core i7-12700T Core i9-12900T |
Core i3-10100T Core i5-10400T/500T/ Core i7-10700T |
メモリ | 64GB(3200MHz) | 64GB(2666MHz) |
ストレージ | SSD+HDD | |
通信 | RJ45、Wi-Fi、Bluetooth | |
電源 | 65W | |
重量 | 1.25㎏ | |
価格 | 10.1万円~ | 6.3万円~(割引価格) |
旧モデルはインテル第10世代CPUが搭載でしたが、本機は最新の第12世代になっており、メモリの動作周波数(MHz)も上がっています。また、本機ではPCIe 4.0が搭載できるので、シーケンシャル速度は倍くらいになっています。
その他、前面インターフェイスに変更がありますが、寸法や重量などは変わらずです。
プロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。まだ出たばかりのCPUでデータが出そろってないので、分かり次第追記します。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Core i9-12900T | |
---|---|
Core i7-12700T | |
Core i5-12600T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-12400T | |
Core i7-10700T | |
Core i5-10400T | |
Core i3-12300T | |
Core i3-12100T | |
Core i3-10100T |
兄弟モデルとの比較
<左から90q・M80q・M70q Gen 3>
ThinkCentre Mシリーズ Tinyには、本機の70q、そして80q、90qとあり、微妙にスペックが違っています。
M90q Tiny Gen 3 | M80q Tiny Gen 3 | M70q Tiny Gen 3(本機種) | |
CPU | 12世代通常版・Tシリーズ | 12世代CPU Tシリーズ | |
メモリ | DDR5 64GB | DDR5 64GB | DDR4 64GB |
ストレージ | SSD ×2+HDD | SSD+HDD ×2 | |
LAN | Wi-Fi 6E、ギガビットイーサネット | Wi-Fi 6、ギガビットイーサネット | |
吸気口 | 2面 | 1面 | なし |
電源 | 最大230W | 最大135W | |
増設スロット | PCI Express ×16 M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ (1つはSSD用、1つはWLAN用) |
重量 | 1.25㎏ | ||
vPro | 対応 | 対応 | 非対応 |
3機種を簡単にまとめると、このようになります。
・高性能ならM90q(ビデオカードも追加可能)
・vProが必要ならM80q、M90q
・SSDが2つ欲しいならM80q、M90q
・SSDも1つ、vProもいらないという場合はM70q
ThinkCentre M70q Tiny Gen 3の特徴
何と言っても、一番の特徴はこの筐体ですね。
寸法は横置きで、
高さ36.5㎜(≒千円札の短辺の半分/38㎜)
横179㎜(≒一万円札/160㎜)
奥行き182.9㎜(≒一万円札/160㎜)
になり、約1.2Lの筐体になります。かなり小さな筐体なので、置き場所に困ることは無いと思います。
横置きでも縦置きでも使えるので、本棚やシェルフにも設置できるし、専用モニターのTiny-in-Oneを使えば、完全に場所を取りません。
<Tiny-in-OneにThinkCentre Tinyを設置>
こちらは縦置きにしたら右側面、横置きにしたら底面部分で、通気口も幅広く取られています。
こちらは縦置きにしたら左側面、横置きにしたら上部分で、同じく通気口が幅広く取らています。
ちなみに縦置きで見た上下にも通気口があります。
カスタマイズからツールレス(オープンシャーシ)を選ぶと、取っ手が付いたネジになるので、ドライバーを使わずに筐体内部にアクセスできます。
本機は米軍の物資調達規格であるMIL規格テストをクリアしており、信頼性の高い機種でもあります。
CPU
Core i3-12100T | Core i3-12300T | |
開発コード | Alder Lake | |
---|---|---|
製造プロセス | 14nm | |
Pコア | 4 | 4 |
Eコア | 0 | 0 |
スレッド | 8 | 8 |
キャッシュ | 12MB | 12MB |
GPU実行ユニット | 24 | 24 |
ターボブースト | 4.1GHz | 4.2GHz |
Pコア最大周波数 | 4.1GHz | 4.2GHz |
Pコア基本周波数 | 2.2GHz | 2.3GHz |
ベースパワー | 35W | 35W |
最大パワー | 69W | 69W |
Core i5-12400T/500T/600T | Core i7-12700 | Core i9-12900 | |
開発コード | Alder Lake | ||
---|---|---|---|
製造プロセス | 10nm | ||
Pコア | 6 | 8 | 8 |
Eコア | 0 | 4 | 8 |
スレッド | 12 | 20 | 24 |
キャッシュ | 18MB | 25MB | 30MB |
GPU実行ユニット | 32 | 32 | 32 |
ターボブースト | 4.2/4.4/4.6GHz | 4.7GHz | 4.9GHz |
Pコア最大周波数 | 4.2/4.4/4.6GHz | 4.6GHz | 4.9GHz |
Pコア基本周波数 | 1.8/2.0/2.1GHz | 1.4GHz | 1.4GHz |
Eコア最大周波数 | – | 3.4GHz | 3.6GHz |
Eコア基本周波数 | – | 1.0GHz | 1.0GHz |
ベースパワー | 35W | 35W | 35W |
最大パワー | 74W | 99W | 106W |
パソコンの頭脳であるCPUには最新のインテル第12世代の省電力モデルが搭載で、これは発熱を抑える反面、通常版に比べ性能が下がるという特徴があります。とは言っても、12世代CPUなので高い性能です。
また、Core i7とi9モデルはPコアとEコアの2つがあり、負荷が低いものは省電力のEコアで処理をし、高負荷な事はPコアを使うというように分けており、省電力性とハイパフォーマンスを兼ね揃えた仕様になっています。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ハイエンドPCに搭載される
- 17000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・通常版
Core i9-12900 | |
---|---|
Core i9-12900T | |
Core i7-12700 | |
Core i7-12700T | |
Core i5-12600 | |
Core i5-12400 | |
Core i5-12600T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-12400T | |
Core i3-12100 | |
Core i3-12300T | |
Core i3-12100T |
青が通常版でオレンジが省電力版ですが、今あるデータを見ると約10%ほどの性能差があると思います。過去のモデルを見ると、大体10~20%くらいの差になります。
発売されたばかりのモデルなので、入手次第Passmarkスコアの情報を更新します。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR4-3200MHzで、メモリスロットが2つの最大64GBまで増設できます。動作周波数は3200MHzと高いのでサクサク処理できますが、CPUがDDR5-4800MHzに対応しているので、こちらを搭載できたら嬉しかったですね。
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | Dドライブなので起動時間に影響なし | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
標準搭載のSSDは128GBで、これのみPCIe 3.0になります。その他のSSDは全てGen 4(PCIe 4.0)になっているので、Gen 4を選んだ方が倍くらいデータ転送速度が速いです。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
- セキュリティキーホール・・・ワイヤーを付けて持ち出されないように固定するためのスロット
最低限のセキュリティはありますが、追加のセキュリティをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
Wi-Fi 6に対応
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
インテルWireless-AC 9560 2×2(Wi-Fi 5) | 2.4/5GHz | 1.7Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWiFi6に対応しており、現在主流のWiFi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
標準ではWi-Fi無しになっているモデルがあるので、必要であればカスタマイズから追加できます。また、Wi-Fi無しの場合はBluetoothも無しなので、ご注意を。
有線は、ギガビットイーサネットが搭載です。
インターフェイス
前面インターフェイスは左から、マイク/ヘッドフォンジャック、USB-3.2 Gen 2が2つ、USB Type-C 3.2 Gen 1、電源ボタンになります。
背面は左から電源コネクタ、DisplayPort、USB-3.2 Gen 1、HDMI、USB 2.0、USB-3.2 Gen 2が2つ、RJ45になります。右上の灰色部分はオプションで追加できるポート用です。
USBはややこしい名称なので解説します。USB-3.2 Gen 2のデータ転送速度は10Gbps、Gen 1は5Gbpsです。
USB 2.0はマウスやキーボード接続に使うポートで、「Smart power on」に対応しているので、ここにキーボードを接続したら、「Alt+P」でパソコンが起動できます。わざわざ電源ボタンを押さなくて良いので、楽です。
モニター
Lenovoではセール中のモニターのコスパが高いので、購入をお考えの人はこちらも併せてどうぞ。
サポート・保証
標準で1年間の「オンサイト修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証はオンサイト修理と、翌営業日オンサイト修理の2種類があります。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
修理拠点は日本国内なので対応も速く、安心して任せることができます。
ライバル機種
<左から本機種・M70s Small Gen 3・M70t Tower Gen 3>
本機種と兄弟機種の比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | M70s-Small Gen 3 | M70t Tower Gen 3 | |
CPU | Core i3-12100T/12300T Core i5-12400T/12500T/12600T Core i7-12700T Core i9-12900T |
Core i5-12400/12500 Core i7-12700 Core i9-12900 |
|
メモリ | 64GB | 128GB | |
ストレージ | SSD+HDD | SSD +HDD×2 | |
通信 | ギガビット、Wi-Fi | ||
電源 | 65W | 260~380W | |
重量 | 1.47㎏ | 5.3㎏ | 5.9㎏ |
価格 | 10.1万円~ | 12.4万円~ | 12.3万円~ |
こちらの3機種は兄弟モデルで、ビジネスデスクトップになります。本機のみ筐体がかなり小さいので省電力用のCPUが搭載し、メモリやストレージが小さくなります。
それぞれの特徴は、この様になります。
・本機種・・・超小型筐体でどこにでも置ける。何なら持ち運びも可能。ただし、省電力モデルなので性能は若干下がる。
・M70s-Small・・・筐体はそこそこの大きさで拡張性もある。大きな電源も選べるのでパフォーマンスも高め。
・M70t Tower・・・この中では一番大きな筐体だがミニタワークラスで、高負荷な作業を長時間する人におすすめ。
基本的に大きな筐体の方がエアフローが良く、筐体が熱くなりにくいため、長時間高いパフォーマンスを維持できます。
こちらはPassmarkスコアです
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・通常版
Core i9-12900 | |
---|---|
Core i9-12900T | |
Core i7-12700 | |
Core i7-12700T | |
Core i5-12600 | |
Core i5-12500 | |
Core i5-12400 | |
Core i5-12600T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-12400T | |
Core i3-12300T | |
Core i3-12100T |
まとめ
良い点
・小型軽量でどこにでも置ける・省スペース
・小さくてもパワフル
・インターフェイスが豊富
・メモリやストレージのカスタマイズも可能
残念な点
・メモリにDDR5が搭載していたら嬉しかった
・CPUの最大パワーが本機の電力以上なので、性能が若干制限される
総合評価
本機の特徴は、何と言っても小型・省スペースなので場所を取らない、と言うことですね。当然、通常のタワー型やミニタワーに比べ性能は落ちますが、それでも全然高い性能なので、気にならないと思います。
ただし先述した様に、CPUのマックスパワーが本機の最大消費電力以上なので、当然、電力以上の性能は出ないため、本機の最大性能は若干下がります。
本機を選ぶ人は性能どうこうと言うよりも、「小型筐体じゃないとダメ」と言う人や、ある程度の高い性能があり小型モデルが欲しい人向けなので、性能が下がる点は許容範囲だと思います。
その他の点を見ても、インターフェイスは豊富だし、サポートや保証も万全なので、使い勝手が高いと思います。