Lenovoはここ最近AIに力を入れており、パソコンはもちろん、インフラストラクチャーやIT運用など多くのものと組み合わせてハイブリッドAIを推進しています。
パソコンで言えば、2023年からNPUコアを搭載した機種が登場し、2024年にはAI PCがどんどん市場に出ています。
例えばThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionや、筆者のメイン機種であるYoga Slim 7i Gen 9 Aura Editionなど、最大50 TOPSのNPU性能を持つCopilot+PCなどがありますね。
その中でLenovo AI NowというMeta LlaMa 3 モデルを微調整したパーソナルAIエージェントも発表されました。
何が良いかって、これローカルで全部処理されるし、データをアップロードして自分好みにできる、ファイル検索やドキュメントの要約など無料でオフラインでできます。
簡単に言うと、完全無料でインターネット不必要、そして完全にローカルで処理をするChat GPTと言った感じで、プラスアルファの機能があります。(一部クラウドAIモードなどネットが必要な機能もあり)
Contents
Lenovo AI Nowの特徴
- 現在Beta版
- Meta LlaMa 3 モデルを使用
- 現在対応言語は英語のみ
- 会話はモデルトレーニングに使用されない
- 使用制限なし
- ローカルで動作するのでインターネット接続無しでも使える(クラウドAIモードもあり)
- 翻訳は非対応(できることはできるが品質保証なし)
- NPUを使うかと思ったら、GPUで動作していた
- 結構メモリを喰う(メモリ24GB以上推奨)
特徴は上記した通りで、一番の特徴は「簡単にローカルにチャットGPTみたいなものを構築できる」と言うことだと思います。しかも無料(商用版もあるようです)。
また、アウトプットはモデルトレーニングに使用されないし、ローカルAIモードだとすべてローカルで処理をするので外部にLenovo AI Now経由で情報が漏洩することもありません。
しかも、ローカルで処理するのでインターネットがなくても使えます。Chat GPTとかはネットないと使えないので、この点が大きく違いますね。
少し驚いたのは、処理にNPUを使うと思いきやGPUを使っていた点ですね。NPUは一切使われていませんでした。でもアプリ対応機種はNPU搭載機種のみです。
また、Lenovo AI Now を使用しているとき、メモリ消費量は8GBほどでした(pfmService+Lenovo AI Now)。結構メモリを喰います。
全ての機種にダウンロードできるわけじゃない
Lenovo AI Nowはどの機種にでもダウンロードできるわけじゃなく、特定の機種のみサポートしているようです。
今ちょうどレビュー中のThinkBook 13x Gen 4やThinkBook 14 Gen 7、ThinkPad E14 Gen 6、Yogaなどですね。ダウンロード要件は、「6GB以上のVRAMと16GB以上のメモリを搭載したdGPU (RTX4050+)、24GB以上のメモリを搭載したiGP」がある機種です。
使用にはメモリ24GB以上などのハイスペックなPC環境が必要ですが、これは「Lenovo AI Now」に限らず、今後オフラインでAIアシスタントを活用する場合、同様に高性能なPCが必要となりますね。
リストにないですが、Core Ultra 5 125H(メモリ16GB)搭載のIdeaPadで試しましたが、ドライバの更新ができずにダウンロードできませんでした。
自動更新できなかったので手動更新でBIOSをアップデートしたらインストーラーはDLできましたが、アプリのダウンロードは無理でした。IdeaPad Slim 5i Gen 9はNPUはありますが、メモリが16GBだったからダメなんでしょうか?
一応対象機種に名前があるThinkPad E16 Gen 2 AMD(Ryzen 7535U/メモリ32GB)で試しましたが、Intelモデルじゃないので無理でした。こっちもドライバの更新でつまづきました。
と言うことで、今回レビューができたのはYoga Slim 7i Gen 9 Aura Editionのみです。これには普通にダウンロードできました。
使い方
Lenovo AI Nowには以下の機能があります。
・Local Chat
・Knowledge Assistant
・PC Assistant
・Cloud Chat
・Explore
ExploreはLenovo AI Nowができることをまとめた場所なので、最初に目を通してもいいかもしれません。
Live Chat
Live ChatはChat GPTやGeminiみたいなものですね。
まず最初に「日本語で質問しても大丈夫?」と聞いたら、もちろんダメでした(笑)。現在英語のみの対応なのでしょうがないですね。
次は当サイトのことも紹介されるかなと言う淡い期待を抱いて「Is there any good web sites for lenovo PC review in japanese?(Lenovoパソコンの良いレビューサイトってある?)」と聞いたら、当サイト・パソコンガイドと、なぜだかgigazineが紹介されました。ギガジンもPCのレビューをしていますが、専門チャンネルってわけじゃないですしね・・・。
まぁとりあえず、当サイトが紹介されたのでよしとしましょう。ただし、Local AIモードなので、別のPCだと違う結果になりそうですね。
Knowledge Assistant
Knowledge Assistantは自分好みのAIアシスタントを簡単に構築できます。
パーソナルナレッジベース (PKB) にファイルをアップし(ローカルに保存される)、検索、要約、洞察などができます。筆者の場合は書き仕事が多いので、PKBに今までの記事をアップし、テクニカルなベンチマークなど以外はAI Nowにやってもらおうと思います。
こんな感じでいろんな記事をPDFにしてアップしました。
アップできるのは Word、PowerPoint、Excel、PDF、テキストファイルで1ドキュメントあたり最大500MBもしくは20万文字、画像はJPG/JPEG/PNG/BMPで1イメージファイルあたり最大50MBになります。
色々とファイルをアップした後に参考にするファイルを選び、プロンプトを出しました。
数点のミスがありましたが(重さやデータ転送速度など)、おおむね上手くまとめてくれました。ただし結果に満足していないので、もう少し精度を高めて再検証したいと思います。
ちなみにこれは英語なので日本語に翻訳したら、約1700文字ほどになり翻訳もうまくできていると思います。
ただし、時々日本語と中国語が混ざったり、ファイルを読み込めなかったりしました。また、一度会話をやめると(アプリを閉じる)、以前の会話がなくなっているので、Chat GPTの様に過去の会話を検索することができません。
一応、Coversation memoryと言っていくつの会話を覚えるか設定ができ、最大3つのラウンド(トピック)になります。
ただし、どこからこの3つの会話を表示するかわかりません。
PC Assistant
PC Assistantは各種設定をやってくれる機能で、これ、意外に便利なんです。すべての機能の場所を知っている人は少ないと思うし、時々しか使わないことってショートカットも忘れますよね?
例えば「Set up a background」を選ぶと、壁紙を交換できる場所まで連れて行ってくれます。
次はスクショを撮った時の「タラ~ン」って音が嫌いだし、システム音を消したかったので「Mute System sound」と入れたらボタンが出てきたのでクリック。
「Successful Setting」と自画自賛していますが、今回はシステム音だけじゃなくすべての音がミュートされました。
本当は設定→システム→サウンド→音量ミキサーからシステム音を選んでここだけがミュートされなくちゃいけないんですけどね。
Cloud Chat
現在使えないですが、Cloud Chatと言うものもあります。
名前からすると、オンライン版のチャットのようですね。
Lenovo AI Nowが使える機種
・ThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Edition
・ThinkBook 16 Gen 7 Intel(日本未発売)
・Yoga slim 7i Gen 9 Aura Edition
・IdeaPad Pro 5 Gen 9 16インチ(日本未発売)
・Yoga AIO 7 27APH8(日本未発売)
・Yoga AIO 9 32IRH8(日本未発売)
まとめ
ローカルでここまでできるので、企業も個人も安心して使えると思います。
今からの時代、うまくAIを使いながら仕事を効率化できる人とできない人では雲泥の差が表れてくると思うので、今までは情報漏洩を気にしてこういう事を試せなかった人にも気軽にやってみることができます。
それにしても、これ無料で使えるし、完全オフラインで作業ができるのは最高ですね。
現在の日本語版OS環境では一部の機能が制限されますが、このようなAIアシスタントは、パソコン環境において主流になりつつあるので、今後のアップデートや日本語版対応が進めば、より活用機会が見込まれるためAIアシスタントの未来に触れる第一歩として、「Lenovo AI Now」をぜひお試しください。
参考資料