14インチのワークステーションで、持ち運びに特化した機種です。
最軽量モデルはたったの1.34㎏と軽く、毎日持ち運ぶ人に合います。ワークステーションとしてのスペックはローエンドですが、2DCADや簡単な3DCAD、画像/動画編集をする人に向いています。
当サイトのワークステーションとしての評価は、このようになりました。
スペック | [usr 4.2] |
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コスパ | [usr 4.2] |
総合評価 | [usr 4.2] |
Contents
ThinkPad P14s Gen 4 AMDのスペック
CPU | Ryzen 5 PRO 7540U Ryzen 7 PRO 7840U |
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メモリ | 最大64GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA RTX A500 |
ディスプレイ(14型) | WUXGA IPS タッチあり 2.8K OLED |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 6E、4G LTE、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
WEBカメラ | 720p/1080p/500万画素 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 317.7 × 226.9 × 17.9mm |
重さ | 1.34㎏~ |
バッテリー | 39.3Wh/52.5Wh 最大約22.4時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 16.1万円~ |
<性能評価>
パソコンの心臓であるCPUは最新のRyzen 7000シリーズで、上位モデルの7040Uシリーズになります。Zen 4アーキテクチャで4nm、DDR5やPCIe 4.0、そしてUSB4にも対応しています。
メモリはLPDDR5X-6400MHzが搭載で、オンボードで最大64GBになります。軽さを重視したので、オンボードになったようですね。
グラフィックスは内蔵グラフィックスで、インテルモデルの様にビデオカードは搭載できませんが、Ryzenの内蔵グラフィックスは性能が高いので、あえて搭載しなかったのかなと思います。
ストレージはSSD PCIe 4.0で、最大2TBになります。ストレージは1枚だけ搭載可能で、増設はできません。
ディスプレイは画面アスペクト比が16:10と縦に長く、14インチでも15.6インチ並みの情報が表示できます。解像度はWUXGA(1920×1200ドット)と2.8K(2800×1800ドット)があり、sRGB 100%やDCI-P3 100%の色域もあります。
その他のスペックは、OSはWindows 11 HomeかProが選べ、最新のWi-Fi 6Eに対応、4G LTEも選択可能です。
生体認証は指紋センサーに顔認証も搭載可能で、カスタマイズから追加できます。WebカメラはHD解像度の720pか、FHD解像度の1080p、そして2.8K並みの500万画素になります。
1080pはWebカメラと顔認証用のIRカメラのハイブリットになり、500万画素はWebカメラとIRカメラは独立したものになります。また、720p以外は人感検知機能もあるので、離席時はゼロタッチでログインできたりします。
14インチのワークステーションで1.34㎏とかなり軽く、バッテリー駆動時間は最大約22.4時間と長いです。
2DCADや簡単な3DCADを扱う人、画像編集や簡単な動画編集をする人に合い、PCの持ち運びが多く、外出先で作業をすることが多い人に合います。
2023年のトレンドと比較
2023年のノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。(〇/標準搭載、△/モデルによってはあり、×/なし)
Ryzen 7000 | DDR5 | PCIe 4.0 | アスペクト比16:10 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Wi-Fi 6E | sRGB 100%以上 | 輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ |
〇 | △ | 〇 | △ |
USB4 | 生体認証 | 重量1.4㎏前後 | バッテリー14時間以上 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
△の項目はカスタマイズから追加でき、モデルによっては標準搭載です。
旧モデルとの比較
旧モデルのThinkPad P14s Gen 3 AMDとの比較です。サイズが違うように見えますが、同じ筐体を使用しており、外観に変化はありません。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | 旧モデル | |
CPU | Ryzen 5 PRO 7540U Ryzen 7 PRO 7840U |
Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
メモリ | LPDDR5X-6400MHz 64GB | LPDDR5X-6400MHz 32GB |
ストレージ | SSD 2TB | |
GPU | 内蔵グラフィックス | |
ディスプレイ | WUXGA IPS タッチあり 2.8K OLED |
WUXGA/WQUXGA IPS |
無線 | Wi-Fi 6E、4G LTE | |
バッテリー | 22.4時間 | 21.7時間 |
重量 | 1.34㎏ | 1.28㎏~ |
寸法 | 317.7 × 226.9 × 17.9mm |
主な変更点です。
・CPUがRyzen 7000シリーズに
・メモリ容量が最大64GBに
・ストレージ容量が最大2TBに
・WQUXGA(4K)がなくなり2.8Kが追加
・OLED液晶が追加
・バッテリー駆動時間が若干伸びた
・60g重たくなった
こちらは、プロセッサーの性能を表すCPU Markスコアです。
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Ryzen 7 PRO 7840U | |
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Ryzen 7 Pro 6850U | |
Ryzen 5 PRO 7540U | |
Ryzen 5 Pro 6650U |
ThinkPad P14s Gen 4 AMDの特徴
ワークステーションにしてはかなりコンパクトですね。ベゼル(画面の黒い枠)もそこそこ細く、外見からはワークステーションとはわからないと思います。(従来ワークステーションは大きいので、それだけコンパクトと言う意味です)
寸法は
幅317.7㎜
奥行き226.9㎜
高さ17.9㎜
で、普段使い用PCサイズです。普通のバッグに入れて持ち運びもできますね。
17.9㎜と薄く、たったの1.34㎏です。14インチだったら1.4㎏が平均ですが、ワークステーションの本機がそれを下回っています。軽いです。
排気口は右側面のみです。マウスを使う人は、温風が手に当たるので、冬は良いですが夏は気持ちが良いものではないですね。
ディスプレイをほぼ180°開くことができるので、床に座って作業をすることがあるエンジニアには特に使いやすいです。
MILスペック
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
ISV認証
本機種はISV(独立系ソフトウェアベンダー)により、アプリケーションとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を得ています。
ISV認証はこちらから確認できますが、まだリストに載っていませんでした。
とは言え、ほとんどのソフトやアプリケーションは対応しているので、購入時に確認してみてください。
WEBカメラ周り
WEBカメラは3種類あり、低解像度のHD 720pとFHD 1080p、そして500万画素になります。
FHDカメラの場合は顔認証用のIRカメラとのハイブリットで、500万画素の場合は独立したIRカメラが搭載です。もちろん、ハイブリットよりも独立したカメラ方が高画質で高性能です。
IRカメラ搭載モデルは人感検知(HPD)機能付きになるので、のぞき見されていると警告を出した、離席するとロック、戻るとアンロックされたりします。
これは別機種ですが、こんな感じで人がPCの前に来ると検知してスリープから復帰し、IRカメラでサインインできます。
タッチレスログインは便利
Yoga pro 7i gen 8 pic.twitter.com/YuBIIvPmLV
— パソコンガイド (@pc_reviewer) October 9, 2023
マイクはDolby Voice(周囲の騒音があるときや、複数人で会議をしているときに、自動的に音量を調整する機能)に対応しており、遠距離マイクが2つ内蔵されています。また、2Wスピーカーが2つ搭載です。
キーボード
ThinkPadのキーボードはタイピングがしやすいことで有名で、打鍵感が良く、トラックポイントを使えば、ホームポジションから離れずに作業が可能です。
キーボードはフルサイズ89キーで、バックライトの有無はカスタマイズから変更できます。ただし、バックライト無しのキーボードはプラスチック感が強く打鍵感も低いので、バックライトありを強くお勧めします。
トラックパッド(タッチパッド)は61㎜×115㎜と大きく、操作性も高いです。
指紋センサー搭載モデルは、電源ボタンと指紋センサーが統合されているので、電源を入れたらサインインも完了です。
CPU
Ryzen 5 7540U | Ryzen 7 7840U | |
製造プロセス | 4nm | |
アーキテクチャ | Zen 4 | |
コア | 6 | 8 |
スレッド | 12 | 16 |
L3キャッシュ | 16MB | 16MB |
ベースクロック | 3.2GHz | 3.3GHz |
ブーストクロック | 4.9GHz | 5.1GHz |
GPUコア | 4 | 12 |
TDP | 15-30W | 15-30W |
CPUは上位モデルの7040Uシリーズで、最新アーキテクチャのアーキテクチャはZen 4になり、主な特徴はこちらです。
・Zen 3の改良版
・L2キャッシュ増量
・ディープラーニング性能の向上
・Zen 3に比べIPCが約14%アップ
Zen 4はレイテンシの短縮とスルートップの向上を目的に作られており、順当に性能アップしています。
また、本機搭載CPUはRDNA3を採用し、USB4にも対応しています。製造プロセスも4nmと微細化が進んでおり、インテルの10nmが時代遅れ感満載に見えますね。
また、PROモデルはセキュリティが強固になったモデルで、ビジネスPCによく搭載されます。
こちらはCPUの性能を測るCPU markスコアです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機 青・・・比較
Core i7-13700HX | |
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Ryzen 7 PRO 7840U | |
Ryzen 7 7735U | |
Core i7-1360P | |
Core i5-1350P | |
Core i5-1340P | |
Core i7-1270P | |
Ryzen 5 PRO 7540U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1250P | |
Core i5-1240P | |
Core i5-1335U | |
Core i7-1165G7 |
インテルのCore Pシリーズに引けを取らない性能です。
Cinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 7840HS | |
---|---|
Ryzen 7 PRO 7840U | |
Ryzen 9 PRO 6950H | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 7 7730U | |
Ryzen 5 7520U | |
Athlon Silver 7120U |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 7840HS | |
---|---|
Ryzen 7 PRO 7840U | |
Ryzen 9 PRO 6950H | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 7 6800H | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 7 7730U | |
Ryzen 5 7520U | |
Athlon Silver 7120U |
ディスプレイ
ディスプレイは4種類もあります。
- WUXGA IPS 光沢なし 300ニト NTSC 45%
- WUXGA IPS 光沢なし 300ニト NTSC 45% タッチ
- WUXGA IPS 光沢なし 400ニト sRGB 100%
- 2.8K OLED 光沢なし/反射防止 400ニト DCI-P3 100% HDR500
人気がありそうなのは1、3、4番のスペックだと思います。
1番は標準搭載のモデルで、外付けモニターを使う人やビジネス用途じゃない場合はこれでよいと思います。
3番は色域も広く、輝度も400ニトと高めなので、ビジネス用途向きです
4番は最高峰のスペックで、本格的な画像・動画編集をするような人向けです。
解像度はWUXGA(1920×1200ドット)と2.8K(2800×1800ドット)で、2.8Kはとても高精細です。細かいものまで見やすく、本格的な作業がしやすいです。
2.8KのみOLED液晶を採用しており、完全な黒を描写できるし、HDR500に対応でコントラスト比も10万対1と高いので、くっきりシャープにものが見えます。
また、画面アスペクト比が16:10と縦に長いので、14インチでも15.6インチ並みの情報が表示されます。今までの14インチじゃ見えなかったところも見えるので、作業効率アップです。
15.6インチには若干劣りますが、16:9の14インチよりもかなり見やすいです。
左からNTSC 45%、sRGB 100%、そしてDCI-P3 100% OLED液晶です。同じものを見ても、全然違う色になります。sRGB 100%はWeb用画像編集向き、DCI-P3 100%はデジタルシネマ規格で、動画編集向きの広色域です。
輝度は300か400ニトで、こちらは輝度の目安です。ディスプレイの品質にもよるので、あくまでも目安として紹介しています。
220ニト | 室内ならなんとか使える。明るい室内では暗く見える |
---|---|
250ニト | 室内向け。屋外では日陰ならギリギリ使える |
300ニト | 屋外の日陰でも見える |
400ニト | 屋外でも使いやすいが、直射日光が当たるとちょっとくらい |
500ニト | 屋外向け |
600ニト | 画面に直射日光が当たっても比較的見える |
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはLPDDR5X-6400MHzで、オンボード・最大64GBになります。メモリが大きいので、作業の幅が広がりますね・
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
最新のSSD PCIe 4.0×4が搭載で、最大2TBと大容量です。パソコンの起動も10秒ほどと速いです。
軽さと引き換えにM.2スロットは1つしかないので、ストレージの増設はできません。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
ThinkPadは、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
Wi-Fi 6Eに対応し、イーサネットも搭載
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
また、1ギガビットイーサネットも搭載しており、無線でも有線でもサクサク使えます。
LTE
4G LTEは、Quectel EM05-GかFibocom L860-GLが搭載可能です。
・Fibocom L860-GL CAT 16・・・ダウンロードは最大1Gbps、アップロードは最大75Mbps
・Quectel EM05-G・・・ダウンロードは最大150Mbps、アップロードは最大50Mbps
Quectelはそこまで速くないですが、最大速度が出ればストレスも感じにくい速度ですね。
LTE用の格安SIMなら、大手のIIJmioがおすすめですよ。
バッテリー駆動時間
バッテリーは3セル/39.3Whrか4セル・52.5Whrが選べ、最大バッテリー駆動時間は22.4時間とかなり長いです。
外出していることが多い人には、特に使いやすいです。
インターフェイス
インターフェイスは左に偏っていますが、そこそこ豊富です。
右側面はスマートカードリーダー(オプション)、USB 3.2 Gen 1、そしてセキュリティスロットになります。
左側面はイーサネットコネクタ、USB4が1つにUSB 3.2 Gen 2 Type-Cが1つ、HDMI、USB 3.2 Gen 1、そしてマイク/ヘッドフォンジャックになり、USB4は以下のような特徴があります。
- 最大データ転送速度が40Gbps
- 最大100WのUSB Power Delivery対応
- 映像出力機能付き
ちなみにLTEを搭載した場合は、背面にSIMカードスロットがあります。
サポート・保証
標準で1年間のプレミアサポート付きで、24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は3番の翌営業日オンサイト修理なので、万が一の際も安心です。ただし、後々販売されるモデルがオンサイト修理があるか分からないので、購入時にご確認を。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
まとめ
良い点
・小型軽量で持ち運びがしやすい
・最新スペック満載
・画面比が16:10で、14型でも15.6インチ並みの情報が表示される
・最大メモリ容量が大きい
・ディスプレイがハイスペック
・500万画素のWEBカメラが搭載可能
・バッテリー駆動時間が長い
・USB4搭載
・保証・サポートがばっちり
残念な点
・グラボがない分、ローエンドワークステーション
総合評価
一般的なPCとして見た場合、性能も十分高く困ることはないと思います。ただし、本機はワークステーションとしてはローエンドモデルで、ある程度の作業しかできません。
と言うことは、メインの機種を持っていて持ち運び用として購入したり、学生の学校用の機種として使いやすいです。もしくは、SNS用の画像・動画編集などの簡単なことしかしない人であれば十分使えます。