ThinkCentreにはTiny、Small、Towerの3種類があり、本機は一番小さなTinyで、お弁当箱大サイズの筐体なので文字通りどこにでも置くことができます。
小型PCなので、当然大きなPCには性能的に負けますが、大きなPCを何かしらの理由で置けない/置きたくないという人に向いています。もしくは、家と事務所を往復するような人であれば、Tinyを持ち運んでと言うこともできますね。
最大で第13世代Core i9-13900Tが搭載でき、メモリは最大64GB、SSD2枚とHDD 1基も搭載可能です。また、1ギガビットイーサネットが搭載しており、カスタマイズから2.5Gbイーサネットも搭載できます。
vProにも対応しているので、企業でも管理しやすいです。
当サイトの評価は、このようになりました。
スペック | [usr 4.5] |
---|---|
コスパ | [usr 4.0] |
総合評価 | [usr 4.3] |
Contents
ThinkCentre M80q Tiny Gen 4のスペックレビュー
CPU | Core i3-13100T Core i5-13400T/13500T/13600T Core i7-13700T Core i9-13900T |
---|---|
メモリ | DDR5-4800 最大64GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット Wi-Fi 6/6E、Bluetooth 搭載可能 |
光学ドライブ | 外付けDVD-ROMドライブ、DVDスーパーマルチドライブ付属可能 |
セキュリティ | パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、アドミニストレーター パスワード、セキュリティ キーホール |
寸法(幅×奥行×高さ) | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65/90/135W |
保証 | 1年間 |
価格 | 8.6万円~ |
<性能評価>
プロセッサーは最新のインテル第13世代で、省電力モデルの「Tシリーズ」が搭載です。通常版の基本消費電力が65Wに対し、Tシリーズは35Wと半分近くになっており、発熱が低くなっています。ただし、どのCPUも最大ターボパワーが69W~106Wと大きいので、それなりに高い性能になります。
メモリはDDR5-4800MHzで、スロットは2つ・最大64GBになります。ストレージは、SSD PCIe 4.0が2枚と2.5インチHDDが搭載できます。SSDはPCIe 4.0で、パソコンの起動もデータ移動もサクサクです。
OSはWindows 11で、モデルによってはHomeかProを選択可能、LANはギガビットイーサネットが標準搭載で、2ndイーサネットに2.5Gbeが選択可能、無線LANはWi-Fi 6かWi-Fi 6Eも搭載できます。
ワークステーションに採用される2.5Gbeも搭載できるので、用途が広がりますね。
ちなみに標準では無線無しになっており、無線を追加しないとBluetooth接続もできないのでご注意を。
また、執筆時現在販売されているモデルは、標準で2Wスピーカーが1つ搭載しています。スピーカーは、通常カスタマイズから追加するので、念のため購入時に確認しておいた方が良いです。
小さな筐体ですが若干の拡張性もあり、スペックも高くできます。
旧モデルとの比較
旧モデルのThinkCentre M80q Tiny Gen 3との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
旧モデル | 本機種 | |
CPU | Core i3-12100T/12300T Core i5-12400T/12500T/12600T Core i7-12700T Core i9-12900T |
Core i3-13100T Core i5-13400T/13500T/13600T Core i7-13700T Core i9-13900T |
メモリ | 64GB(3200MHz) | 64GB(4800MHz) |
ストレージ | SSD+HDD | |
通信 | 1Gbe、Wi-Fi 6 | 1Gbe、2.5Gbe、Wi-Fi 6/6E |
電源 | 65/90/135W | |
重量 | 1.25㎏ | |
寸法 | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
筐体やインターフェイスは全く同じで、変更した個所は以下になります。
・CPUが12世代から13世代に
・2.5Gbeが搭載可能に
CPUの比較です。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Core i9-13900T | |
---|---|
Core i9-12900T | |
Core i7-13700T | |
Core i7-12700T | |
Core i5-13600T | |
Core i5-12600T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-13400T | |
Core i5-12400T | |
Core i3-13100T | |
Core i3-12100T |
兄弟モデルとの比較
<左から90q・M80q・M70q Gen 4>
ThinkCentre Mシリーズ Tinyには70q、80q、そして90qとあり、微妙にスペックが違っています。
M90q Tiny Gen 4 | M80q Tiny Gen 4(本機種) | M70q Tiny Gen 4 | |
CPU | 13世代通常版・Tシリーズ | 13世代CPU Tシリーズ | |
メモリ | DDR5 64GB | DDR5 64GB | DDR4 64GB |
ストレージ | SSD ×2+HDD | SSD+HDD | |
LAN | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2.5Gbe、サーバーアダプター | Wi-Fi 6/6E、1Gbe、2Gbe | Wi-Fi 6、1Gbe、2Gbe |
吸気口 | 2面 | 1面 | なし |
電源 | 最大230W | 最大135W | |
増設スロット | PCI Express ×8 M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ WLAN用M.2 |
M.2スロット2つ (1つはSSD用、1つはWLAN用) |
重量 | 1.25㎏ | ||
vPro | 対応 | 対応 | 非対応 |
3機種を簡単にまとめると、このようになります。
・高性能ならM90q(ビデオカードも追加可能)
・vProが必要ならM80q、M90q
・SSDが2つ欲しいならM80q、M90q
・SSDも1つ、vProもいらないという場合はM70q
ThinkCentre M80q Tiny Gen 4の特徴
Tinyはすごく小さいという意味ですが、名は体を表しますね。お弁当箱大サイズの筐体です。
寸法は横置きで
高さ36.5㎜(≒千円札の短辺の半分/38㎜)
横179㎜(≒一万円札/160㎜)
奥行き182.9㎜(≒一万円札/160㎜)
になり、約1.2Lの筐体になります。
本機は発売されたばかりで実機が来ていないのですが、分かりやすいように旧モデルを紹介します。クリックすると大きな画像が見れます。
かなり小さな筐体で、特殊な環境にも合うと思います。例えば机の下にPCを置きたくない、Tiny in Oneモニターに付けて使いたい、来客用や不特定多数の人が使うPC用で、PC本体を触られたくない、もしくは隠したい場合などですね。
もちろん、パワフルなPCなのでメインPCとして使っても大丈夫です。
縦置きでも横置きでも設置できるので、場所を選びません。
<Tiny-in-OneにThinkCentre Tinyを設置>
Lenovo 公式サイトでTiny in Oneモニター も販売されているので、興味がある方は確認してみてください。Tiny in Oneモニターの背面に、VESAマウントで設置できます。
筐体前面のまわりに通気孔があり、縦置き時の右側面にも小さな通気孔があります。
若干の拡張性があり、SSDは2枚、2.5インチHDDが1基、そしてメモリスロットが2つあります。
HDDを自分で増設する場合、もしブラケットを持っていなかったら、カスタマイズから購入することもできます。
<筆者所有の旧モデルの画像で、ツールレスじゃない機種です>
ねじ1つ外せばカバーが外せ、筐体内部にアクセスできます。カスタマイズからツールレス(オープンシャーシ)を選ぶと、取っ手が付いたネジになるので、ドライバーを使わずに筐体内部にアクセスできます。
ちなみに、本機は米軍の物資調達規格であるMIL規格テストをクリアしており、信頼性の高い機種でもあります。
CPU
Core i3-13100T | Core i5-13400T/500T/600T | |
開発コード | Raptor Lake | |
---|---|---|
製造プロセス | 10nm | |
Pコア | 4 | 6 |
Eコア | 0 | 4/8/8 |
スレッド | 8 | 16/20/20 |
キャッシュ | 12MB | 20/24/24MB |
GPU実行ユニット | 24 | 24/32/32EU |
ターボブースト | 4.2GHz | 4.4/4.6/5.3GHz |
Pコア最大周波数 | 4.2GHz | 4.4/4.6/4.8GHz |
Pコア基本周波数 | 2.5GHz | 1.3/1.6/1.8GHz |
Eコア最大周波数 | – | 3.0/3.2/3.4GHz |
Eコア基本周波数 | – | 1.0/1.2/1.3GHz |
ベースパワー | 35W | 35W |
最大パワー | 69W | 82/92/92W |
Core i7-13700T | Core i9-13900T | |
開発コード | Raptor Lake | |
製造プロセス | 10nm | |
Pコア | 8 | 8 |
Eコア | 8 | 16 |
スレッド | 24 | 32 |
キャッシュ | 30MB | 36MB |
ターボブースト | 4.9GHz | 5.3GHz |
Pコア最大周波数 | 4.9GHz | 5.1GHz |
Eコア最大周波数 | 3.6GHz | 3.9GHz |
GPU実行ユニット | 32EU | 32EU |
ベースパワー | 35W | 35W |
マックスパワー | 106W | 106W |
パソコンの頭脳であるCPUには最新のインテル第13世代の省電力モデルのTシリーズが搭載で、消費電力が低く発熱も低い反面、通常版(末尾にアルファベットがないモデル)に比べ性能が劣ります。
Core i3以外はPコアとEコアの2つがあり、負荷が低いものは省電力のEコアで処理をし、高負荷な事はPコアを使うというように分けており、省電力性とハイパフォーマンスを兼ね揃えた仕様になっています。
Core i5-13500以上はvProに対応しているので、企業で一括管理もしやすいです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・通常版
Core i9-13900T | |
---|---|
Core i9-12900T | |
Core i7-13700T | |
Core i7-12700T | |
Core i5-13600T | |
Core i5-12600T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-13400T | |
Core i5-12400T | |
Core i3-13100T | |
Core i3-12100T |
Core i9-13900Tって、めちゃくちゃ性能が高いですね。本機は小型筐体なのでここまでの性能は出ないと思いますが、すごいです。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-4800MHzで、メモリスロットが2つの最大64GBまで増設できます。
この周波数(MHz)が高いと処理速度も速く、容量も大きいので安心です。
こちらは当サイト計測の、Memory Markの平均値です。旧モデルのDDR4から大きくスコアが上がっています。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
DDR5-4800MHz平均 | |
---|---|
LPDDR4-4266MHz平均 | |
LPDDR5平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大約6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 本機ではDドライブなので起動時間に影響なし | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
最新のSSD PCIe 4.0が搭載しており、パソコンの起動もデータ移動もサクサクできます。最大で2TBのSSDが2つ搭載でき、2.5インチ 7200rpmのHDD SATA 1TBも搭載できます。
ただし、HDDは1TBで15,400円もするので、自分でできる方は自分でやった方がかなり安上がりです。同じくらいの価格で、Wester Digitalの6TB HDDがアマゾンで購入できます。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
Think製品は、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
が、追加のセキュリティをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
Wi-Fi 6/ 6Eに対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6に対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
標準ではWi-Fi無しになっているモデルがあるので、必要であればカスタマイズから追加できます。また、Wi-Fi無しの場合はBluetoothも無しなので、ご注意を。
有線は、1ギガビットイーサネットが搭載で、追加で2ndイーサネットに2.5ギガビットも選べます。ワークステーションに搭載しているような高速イーサネットで、大きなデータを扱う人に向いています。
インターフェイス
小さな筐体の割にインターフェイスは豊富で、標準でUSB Type-Cが1つ、Type-Aは6つあり、最大でUSB-Aを4つか、USB Type-Cを1つ追加できます。
前面インターフェイスは下から、マイク/ヘッドフォンジャック、USB-3.2 Gen 2が2つ、USB Type-C 3.2 Gen 2、電源ボタンになります。USB-3.2 Gen 2のデータ転送速度は10Gbps、Gen 1は5Gbpsです。
背面は電源コネクタ、DisplayPort、USB-3.2 Gen 1、HDMI、USB 3.2 Gen 1、USB-3.2 Gen 2が2つ、RJ45になります。右上の灰色部分はオプションで追加できるポート用です。
RJ45はWake On LANに対応しており、これはネットワークを通じてPCを起動するための技術で、PCをリモート管理したり、テレワーク用で遠隔地からPCを起動させたりできます。
電源
電源はスペックにより分かれており、65W、90W、そして135Wがあります。電力変換効率は89%になり、80 PLUSで言えばゴールドかプラチナになります。
ノートパソコン並の筐体なので電源は大きくないですが、このくらいがちょうど良さそうですね。
モニター
Lenovoではセール中のモニターのコスパが高いので、購入をお考えの人はこちらも併せてどうぞ。
サポート・保証
標準で1年間の「翌営業日オンサイト修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
翌営業日オンサイト修理とは、翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理をしてくれるものです。発送しなくていいので、楽ですね。
まとめ
良い点
・小型軽量でどこにでも置ける・省スペース
・小さくても高性能
・インターフェイスがそこそこ豊富
・メモリやストレージのカスタマイズも可能
・2.5Gbe搭載可能
・USBポートをもっと増やせる
・Wake On LANに対応
残念な点
・なし
総合評価
Tinyシリーズはすごくコンパクトで性能も高いので人気がありますが、もちろん、大きなPCよりも排熱性能が劣るので、スペックも下がります。
それでもほとんどの人に十分な性能があるので、大きなPCを置きたくない人や、Tiny in Oneモニターと組み合わせて使う人など、何かしらの理由がある人にはすごくお勧めです。
また、若干ですが拡張性もあり、メモリも増設ができるし、ストレージも増やすことができるので、カスタマイザーにもうれしいですね。