Ryzen 5 PRO 6650Uのベンチマークです。
発熱も低く、安定して使えるAPUでしたが、Cinebench R23のマルチコアが意外に伸び悩みました。レビュー機がLenovo ThinkPad Z13と、13.3インチの超薄型コンパクトな機種なのでこうなったのかなと思います。
このAPUに限らず、16インチなどの大きな筐体のほうが性能は高くなる傾向にあるので、大きな筐体の機種を購入する人は、より快適に使えると思います。
Ryzen 5000シリーズまでは、グラフィック性能がそこまで高くなく、インテルに差をつけられていましたが、Ryzen 6000シリーズになり、グラフィック性能もかなり上がっています。
レビュー機はThinkPad Z13で、LPDDR5 16GB、SSD PCIe 4.0 1TBになり、電源モードはバランスです。
Contents
Ryzen 5 PRO 6650Uの仕様
Ryzen 5 PRO 6650U | |
アーキテクチャ | Zen 3+ |
製造プロセス | 6nm |
コア/スレッド | 6/12 |
キャッシュ | 16MB |
基本クロック | 2.9GHz |
ブーストクロック | 4.5GHz |
GPUコア | 6 |
TDP | 15-28W |
Ryzen 6000シリーズはすべてがZen 3+のアーキテクチャで、以下の様な特徴があります。
・前世代と比較して最大30%高速
・最大24時間のバッテリー
・内蔵GPUがRDNA2(リアルタイムレイトレーシング対応)
・統合型グラフィック性能は最大約2倍に
・DDR5/LPDDR5のメモリに対応
・USB4対応
・PCIe Gen 4対応
・Wi-Fi 6E対応
また、APUの最大温度が95°と、2021年発売のRyzen 5000シリーズより10°も低くなっているので、使っていても安定感がありますね。
ベンチマーク
各種のベンチマークを紹介していきます。
CPU Mark
CPUマークは16,935と、予想通りの性能が出ました。薄型pcで、これだけの性能が出たらもう充分だと思います。
その他のCPUとの比較です。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 14000~・ハイエンドPCに搭載される
- 15000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ/本機搭載 青/比較
Core i9-12900H | |
---|---|
Core i7-12700H | |
Ryzen 7 Pro 6850U | |
Core i5-12500H | |
Core i7-1280P | |
Core i7-1270P | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 Pro 6650U | |
Core i7-1265U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 |
Cinebench R23
Cinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコアは6000ほどで高性能、8000以上でかなり高性能、シングルコアは1500以上でかなり高性能になります。
本機のスコアはマルチコア7676、シングルコア1486となりました。マルチコアはもうちょっと上がると思ったのですが、そこまで上がりませんでしたね。
他の機種との比較です。
Cinebench R23 マルチコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-12700H | |
---|---|
Ryzen 7 PRO 6860Z | |
Ryzen 7 PRO 6850U | |
Ryzen 9 5900HX | |
Core i9-11900H | |
Core i7-11800H | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 PRO 6650U/平均 | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 5 PRO 6650U/本機 | |
Ryzen 7 4700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 |
Cinebench R23 シングルコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-12900H | |
---|---|
Core i7-12700H | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 7 PRO 6850U | |
Ryzen 7 PRO 6860Z | |
Core i9-11900H | |
Core i7-1165G7 | |
Core i7-11800H | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 PRO 6650U/本機 | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 5 PRO 6650U/平均 | |
Ryzen 5 5600U | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 5 5700U | |
Ryzen 5 5500U |
Geekbench 5
Geekbench 5はクロスプラットフォームのベンチマークで、CPUやGPUコンピューティングのスコアを計測できます。
その他の機種との比較です。
Geekbench 5はクロスプラットフォームのベンチマークで、CPUやGPUコンピューティングのスコアを計測できます。
Geekbench 5 マルチコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Core i5-1240P | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i3-1215U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5425U |
Geekbench 5 シングルコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Core i5-1240P | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U |
PCMark10
こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。
総合性能の目安は以下になります。
・5000以上・・・ハイスペック
・4000以上・・・ミドルハイ
・3000以上・・・ミドルクラス
・2000以下・・・エントリ―クラス
本機のスコアです。Essentialは予想よりも低調なスコアでしたが、ビジネス用途でもがっつり使えるスペックです。
- 総合性能は5136
- Essentialは8130→通常用途やビデオ会議など使いやすい
- Productivityは8026→かなり高速に使える
- Digital content creationは5636→外付けGPU無しにしては高性能
Essential
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Core i5-1240P | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5425U | |
Core i3-1115G4 | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5700U | |
---|---|
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i3-1215U | |
Core i5-1135G7 | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Core i3-1115G4 | |
Core i5-1235U |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i3-1215U | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5425U | |
Core i5-1135G7 |
グラフィックス
Ryzen 5 PRO 6650Uは、内蔵グラフィックスのRadeon 660Mになります。
3D Graphics Markで計測したら、3526と高い数値が出ました。
その他のCPとの比較です。
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなります。
3D Graphics Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 PRO 6850U | |
---|---|
MX550 | |
Core i7-1165G7 | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 7 PRO 5850U | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 3 5400U |
ゲームのベンチマーク
ゲームはドラゴンクエストXと、FFXIV ENDWALKER 暁月のフィナーレでベンチマークを取りました。
ドラクエは「標準品質・FHD」、FFは「標準品質・ノートパソコン」で計測です。
ドラゴンクエストXは、「とても快適 7949」でしたが、もうちょっと高い数値かと思っていました。
次は、FFXIV ENDWALKER 暁月のフィナーレで、10140と高い数値でした。
その他のCPUとの比較です。
ドラクエX FHD画質
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1165G7 | |
---|---|
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5345U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i3-1115G4 | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Core i3-1215U | |
Core i5-1235U |
FFXIV 標準品質
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 5 PRO 6650U | |
---|---|
Core i5-1240P | |
Core i7-1260P | |
Core i3-1215U | |
Core i7-1165G7 | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1235U | |
Core i3-1115G4 |
FFXIVがここまでスコアが良かったので、グラフィック性能は高いですね。
発熱
発熱は機種によるので、参考程度に見てください。下のグラフは、CPU性能をフルで使用するCinebench R23のマルチコアのベンチマーク時です。
ケルビンで記載されているので驚きますが、これをマイナス273°すると摂氏になり、
平均温度・・・79°
最小温度・・・38°
最大温度・・・95°
でした。
Ryzen 5 Pro 6650U搭載機種
ベンチマークのレビューに使用した機種は、Lenovo ThinkPad Z13 Gen 1で、Lenovoでは数機種に同じCPUが搭載しています。
ThinkPad X13 Gen 3 AMD
Ryzen PRO 6000シリーズ搭載の本機種は、メモリやSSDも最新で、スペックが高いです。X1シリーズよりも若干ベゼルが太めですが、1.19㎏と軽く、バッテリーも16.2時間と長いです。13.3型ですが画面アスペクト比が16:10と縦に長いので、14インチ以上の情報が表示されます。
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(13.3型) | WUXGA、WQXGA IPS 16:10 |
無線 | Wi-Fi 6E、LTEあり、Bluetooth 5.2 |
生体認証 | 顔認証(オプション)、指紋センサー |
Webカメラ | 720p、1080p |
重さ | 1.19㎏~ |
バッテリー 電源 |
41Whr・16.2時間 45W、65W |
価格 | 14.5万円~ |
ThinkPad T14 Gen 3 AMD
スリムタイプのT14s Gen 3よりも軽量で低価格、ただし、スペックは同等クラスに高いです。筐体が樹脂素材なので若干安いので、この点にこだわらない人は格安にハイスペック機種を購入できます
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(14型) | WUXGA、2.2K、WQUXGA IPS 光沢なし マルチタッチあり |
無線 有線 |
Wi-Fi 6E、4G/5G LTE 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T |
生体認証 | 顔認証、指紋センサー |
WEBカメラ | 720p/1080p |
重さ | 1.21㎏~ |
バッテリー | 39.3Whr/約14.4時間 52.5Whr/最大21.1時間 |
価格 | 13万円~ |
ThinkPad T16 Gen 1 AMD
1つ前に紹介した機種のAMDモデルで、似た様なスペックですが、グラフィック性能がかなり高く、2.5Kディスプレイもあり、クリエイターにも使いやすいし、Office系アプリを多用する人にも向いています
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(16型) | WUXGA、WQXGA |
通信 | Wi-Fi 6E、4G LTE、イーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
重量 | 約1.65㎏~ |
バッテリー | 最大約17.3時間(52.5Whr時) |
価格 | 15.3万円~ |
ThinkPad P14s Gen 3 AMD
高性能・低発熱のRyzen 6000シリーズが搭載で、最新スペックが満載の機種です。iGPU性能が高いのでインテルモデルの様にビデオカードはありませんが、発熱が低くバッテリー駆動時間も長い、そしてたったの1.28㎏からと軽量です
CPU | Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
---|---|
メモリ | LPDDR5 32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(14型) | WUXGA/WQUXGA IPS タッチあり |
通信 | Wi-Fi 6E、LTEあり、ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
WEBカメラ | 720p、1080p+IRカメラ |
重さ | 1.28㎏~ |
バッテリー | 最大21.7時間 |
価格 | 15万円~ |
最後に
ベンチマークを取っていて思ったことは、本機は安定した性能があり、高負荷な作業も長時間しやすいと思います。
レビュー機はかなり小さい機種なので、もうちょっと低いスコアになってもおかしくないと思いますが、全然、標準以上の性能で、外出先でも性能に妥協せずに、やりたい作業も快適にできると思います。
他にもCPUのベンチマークを取っているので、こちらも併せてどうぞ。
もしくは、Lenovoではセールをやっているので、こちらも併せて読んでみてください。