高性能のRyzen 5000シリーズ搭載で、メモリは最大40GB、ストレージは最新のPCIe 4.0が搭載したハイスペック機種です。
15.6インチと大型なので毎日PCを持ち運びするような人じゃなく、据え置き用や時々持ち運ぶことがあるよと言う人、もしくは、重たくても外出先でがっつりと作業をしたいからと言う人に向いています。
購入機種はRyzen 3 5425U、メモリ8GB、SSD 512GBです。
まずはレビューのまとめからどうぞ。
良い点
・CPUの最大温度が下がったが、性能はかなり高い
・メモリを最大40GBに増設可能
・PCIe 4.0搭載
・低価格で必要十分以上の性能
・FHD 1080pのWebカメラが搭載可能
・Wi-Fi 6標準搭載
残念な点
・インターフェイスの品質や数は控えめ
・思ったほどメモリ性能が高くない
・ちょっと重い
Contents
ThinkPad E15 Gen 4(AMD)のスペックレビュー
CPU | Ryzen 3 5425U Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
---|---|
メモリ | 最大40GB |
ストレージ | SSD 最大1TB |
グラフィックス | Radeonグラフィックス |
ディスプレイ(15.6型) | FHD IPS液晶 マルチタッチあり、sRGB 100%あり FHD TN液晶 |
OS | Windows 11 Home/Pro |
無線 | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
有線 | 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T |
カメラ | FHD 1080p /720p |
生体認証 | 指紋センサー、IRカメラあり |
セキュリティ | パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード(NVMe パスワード)、スーパーバイザー パスワード、システム マネジメント パスワード、セキュリティ キーホール |
寸法(幅×奥行×高さ) | 365 × 240 × 18.9㎜ |
重さ | 1.78㎏~ |
バッテリー | 最大16.7時間 |
保証 | 1年間 |
価格 | 8.1万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるプロセッサーには、高性能Ryzen 5000シリーズが搭載です。ただし、今までのRyzen 5000シリーズじゃなく、上位モデルのリフレッシュ版になっています。
通常版(旧モデルに搭載) | 上位モデル | 本機搭載モデル | |
Ryzen 3 | 5300U | 5400U | 5425U |
Ryzen 5 | 5500U | 5600U | 5625U |
Ryzen 7 | 5700U | 5800U | 5825U |
Zen 3アーキテクチャですがTDPが低いので、上位モデルほどの性能はありません。ただし、より発熱を抑えた設計なので、高負荷な作業でもやりやすくなっていいます。
メモリはDDR4-3200MHzが搭載で、オンボードに8GB+メモリスロットに1つ空きがあり、最大32GBのメモリを搭載できます。合計すると最大40GBのメモリを搭載できるので、画像編集やPDFなどの大きなデータを大量に読み込むことがある人には特に有効です。
ストレージは最新のPCIe 4.0×4で、今まで搭載されていたPCIe 3.0にから帯域幅が倍になり、最大データ転送速度が倍くらいに速くなっています。シーケンシャル速度は倍にはならなかったですが、読み込みも書き込みも速かったです。ちなみに、スロットがもう1つあるので、増設も可能です(ただし、保証外になります)。
ディスプレイはモデルにもよりますが、高画質FHD IPS液晶かTN液晶が選べ、IPS液晶のモデルは広色域のsRGB 100%やマルチタッチディスプレイがあります。一般的な用途から、画像編集をするようなクリエイターにも向いているディスプレイが選べます。
CPUなどのスペックだけじゃなく、今まではハイエンドモデルのみ搭載していたFHD 1080pの高画質Webカメラや、Wi-Fi 6が標準搭載。高画質Webカメラはビジネスに必須と言っても良いものなので、これは助かります。
バッテリー駆動時間は45wHrモデルが最大14.1時間、57whrモデルが16.7時間と、どちらも長いので、丸1日充電なしでも使える人が多いと思います。
インターフェイスがちょっと少ないですが、総合的に見ると、この価格にしては総合的に高いスペックだと思います。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/ThinkPad E15 Gen 3>
旧モデルのThinkPad E15 Gen 3との比較です。旧モデルと言っても、E15 gen 3は2021年6月に発売されたばかりで、実質新機種の部類に入ります(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | E15 Gen 3 | |
CPU | Ryzen 3 5425U Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
Ryzen 3 5300U Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
メモリ | 40GB | 24GB |
ストレージ | SSD PCIe 4.0 | SSD PCIe 3.0 |
ディスプレイ | FHD TN/IPS | FHD TN/IPS |
無線 | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E | Wi-Fi 5/6 |
Webカメラ | 1080p/720p | 720p |
バッテリー | 14.5時間 | 14.2時間 |
重量 | 1.78㎏ | 1.7㎏ |
価格 | 8.1万円~ | 7.4万円~ |
変更点です。
・CPUが上位モデルでZen 3に
・最大メモリ容量が大きくなった
・SSDがPCI Express 4.0に
・標準でFHD 1080p Webカメラが搭載
・80g重くなった
本機種のスペックは旧モデルから劇的に変わったわけじゃないですが、Webカメラの品質だったり、Wi-Fiだったりと、いろいろな点で改善されています。。個人的に一番うれしいのは、メモリ容量が大きくなったところと、Webカメラにより高品質な1080pを搭載できる点です。
価格がちょっと上がっていますが、性能も上がっているので、妥当な値上げだと思います。新機種にこだわらない人は、旧モデルもいいかもしれません。
こちらはプロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5825U | |
---|---|
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 3 5300U |
ThinkPad E15 Gen 4(AMD)の特徴
外観は伝統的な「ThinkPad」でトップカバーはアルミニウム製、画面占有率は85%となっています。
ベゼル(画面の黒い枠)は実寸で上部11.5㎜、左右約8.5㎜、下部約17㎜で、2022年のLenovoノートパソコンとしては若干太いかなと思います。
寸法は
・幅365㎜(≒千円札2.5枚分/375㎜)
・奥行き240㎜(≒一万円札1.5枚分/240㎜)
・厚さ18.9㎜(≒一円玉の直径/20㎜)
になり、15.6インチなので大きめで、重さは1.78㎏と若干重たいです。ただし、持ち運びが少ない人なら影響は少ないと思います。
厚さは18.9㎜と大きめですが、筐体前部に向かい細くなっているので、太く見えません。コンパクトな15.6型モデルでも16㎜くらいなので、そこまで差はありませんね。
天板はシンプルな「ThinkPad」のロゴと、「Lenovo」のロゴがあります。シンプルでいいですね。また、トップカバーはアルミニウムになっており、強度も高く傷にも強い、そして剛性も高いです。
また、旧モデルに比べ若干指紋が付きにくくなっています。
こちらはThinkPad E15 Gen 3の天板ですが、こちらの方が指紋が付きやすいと思います。
底面カバーは、触ってすぐにわかるほどのチープなプラスチック素材です。メモリを増設したときにカバーを外したのですが、たわみもあり、壊れるかと思いました。人に見られる箇所じゃないですが、「天下のThinkPad」なので残念です。
この点は、兄弟モデルのThinkPad E14 Gen 4はアルミニウム素材だったので、強度も高そうです。
通気口は大きめで、ベンチマークを取っているときもそこまで熱くならなかったので、エアフローは良さそうです。
本機は約180度開くことができるので、地べたに座って作業をすることがあるエンジニアにも使いやすいです。
公式サイトでは専用イヤフォン収納モデルの写真もありますが、執筆時点ではこのモデルは販売されていません。
生体認証は顔認証と指紋センサー搭載可能
生体認証はモデルによっては指紋センサーも顔認証も無しで、カスタマイズからそれぞれ追加ができます。
指紋センサーを選んだ場合は、電源ボタンと指紋センサーが統合しているので、電源を入れたらサインインが完了です。
顔認証のIRカメラは、1080P FHDカメラ搭載になります。
Webカメラは高画質FHD 1080p搭載!
執筆時点で販売されているモデルには、標準で高画質FHD 1080pのWebカメラが搭載しています。一般的なノートパソコンにはHD 720pが搭載していますが、FHD画質になると段違いにきれいになります。
また、プライバシーシャッターも搭載しているので、Webカメラを使用しないときは閉じておくと安心です。
こちらは720pと1080p WEBカメラの比較です。
720p HDカメラと比べると、全然きれいですよね。Web会議が多い人や、オンラインレッスンの先生や生徒も、高解像度の映像が相手に映し出されるので、印象アップしやすいと思います。
マイクはデュアルアレイマイクが搭載で、オーディオはBMWなどの高級外車に使用されることが多いハーマンカードンで、2W×2になります。
カメラとマイクの性能を計測したら、カメラは409、マイクは1297となりました。
他の機種との比較です。
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
ThinkPad E14 Gen 4 1080p | |
---|---|
ThinkPad E15 Gen 4 1080p | |
FHD 1080p平均 | |
HD 720p平均 |
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
IdeaPad Flex 570 | |
---|---|
Thinkbook 13s Gen 2 | |
Thinkbook 14 Gen 2 | |
ThinkPad E15 Gen 4 | |
ThinkPad E14 Gen 4 | |
IdeaPad Slim 550i |
カメラ性能は高め、マイク性能は普通よりちょっと上でした。
また、FHDカメラが必要ないという人向けに、720pのカメラも選択できるようになっています。
MILスペック
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。
安心して使える、高品質な機種です。
キーボード
<キーボードは日本語か英語が選べます。>
キーボードはJISキー・110キー、テンキー・バックライト付きになります。トラックパッドは100㎜×69㎜と小さいですが、スムースに動き操作性は高いです。また、赤いボタンのトラックポイントを使えば、手がキーボードから離れずに作業ができます。
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は実測18.8㎜ × 19.4㎜と、余裕を持ってタイピングできる幅があります。また、キーストローク(キーを押し込む距離)は約1.6㎜と深く、一般的なノートパソコンに比べると打鍵感が高いです。
また、ThinkPadのキーは湾曲しているので、タイピング時に中心からずれてタイプしても、しっかり反応してくれ、ミスタイプも減ります。
今回初めてバックライト無しのキーボードを購入したのですが、キーが若干ザラザラしており、プラスチック感が強いです。見た目はほぼ変わりませんが、触ると安っぽく感じます。
こちら↓はバックライト付きのキーですが、つやつやしてゴムっぽい感触でした。すごくタイピングがしやすいです。
こちらは本機のキーで、ザラザラしており見た目からプラスチック感が強いです
購入するなら、バックライト付きがおすすめです。
CPU
Ryzen 3 5425U | Ryzen 5 5625U | Ryzen 7 5825U | |
製造プロセス | 7nm | ||
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Zen 3 | ||
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 | 8/16 |
L3キャッシュ | 8MB | 16MB | |
GPUコア | 6 | 7 | 8 |
基本クロック | 2.7GHz | 2.3GHz | 2.0GHz |
ブーストクロック | 4.1GHz | 4.3GHz | 4.5GHz |
TDP | 15W |
アーキテクチャは最新のZen 3になっており、通常版のZen 2に比べ以下の様な特徴があります。
- コアからアクセスできるL3キャッシュが倍増(パフォーマンス向上)
- IPCが19%向上し、電力当たりのパフォーマンスが最大24%UP
- シングルスレッドの性能が最大23%UP
- マルチスレッドの性能が最大108%UP
- バッテリー効率が上がった
ただし先述した様に、TDPが15Wなので上位モデルのRyzen 3 5400UやRyzen 5 5600U、そしてRyzen 7 5800Uより若干低い性能になっています。ただし、発熱がより抑えられた設計なので、使いやすさは増しています。
こちらはCPUの性能を測るPassmarkスコアの計測結果で、8GBメモリ時は10946、メモリ2枚の24GB時は11759と、どちらも予想より高性能でした。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ハイエンドPCに搭載される
- 17000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5800H | |
---|---|
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 7 Pro 5850U | |
Ryzen 7 5825U | |
Ryzen 5 Pro 5650U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5400U | |
Ryzen 3 5425U 24GB | |
Ryzen 3 5425U 8GB | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5300U | |
Ryzen 3 5425U平均 | |
Core i3-1115G4 |
ビジネス用途でもスコア7000以上あれば比較的快適に使えるほどですが、本機は一番性能が低いRyzen 3 5425Uでも10946と、Core i7-1165G7以上の性能です。
TDPは下がりましたがこれだけ性能が高いので、高負荷な事でも十分快適に使えると思います。
次はCinebench R23の計測結果です。
こちらは8GB時でマルチコアは5239、シングルコアは1300と、Ryzen 3としては高性能です。ちなみに、メモリ24GB時もほぼ同じスコアでした。
Cinebench R23は、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコアは6000ほどで高性能、8000以上でかなり高性能、シングルコアは1500以上でかなり高性能になります。
Cinebench R23 マルチコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5800H | |
---|---|
Ryzen 7 5875U | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 7 4700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5300U | |
Ryzen 3 5300U | |
Ryzen 3 5425U | |
Core i7-1065G7 | |
Core i3-1115G4 |
Cinebench R23 シングルコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1185G7 | |
---|---|
Core i7-11850H | |
Ryzen 7 5875U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5600U | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 5700U | |
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 5 5500U |
最後にPCMark10です。
・Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」
・Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」
・Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」
を表しています。
総合性能は、以下が目安です。
5000以上・・・超ハイスペック(グラボ搭載機種はこれ以上)
4000以上・・・ハイスペック
3000以上・・・中位モデル
2000以下・・・エントリ―クラス
- 総合性能は4818
- Essentialは8743→通常用途やビデオ会議などはかなり使いやすい
- Productivityは8193→Offie系のアプリはかなり使い勝手が高い
- Digital content creationは4240→平均的
Essential
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i3-1215U | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5425U | |
Core i7-1065G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 3 Pro 4350G | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 5 5500U |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 3 5425U | |
---|---|
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 3 Pro 4350G | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i3-1215U | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Core i5-1235U | |
Core i7-1065G7 |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5700U | |
---|---|
Ryzen 7 4700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i3-1215U | |
Core i5-1235U | |
Ryzen 3 Pro 4350G | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5425U | |
Core i5-1135G7 | |
Core i7-1065G7 | |
Core i3-1115G4 |
ちなみに、メモリ増設後はすべての項目で+300~400くらいで、総合性能は+7.4%でした。
グラフィックス
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなります。
PerformanceTestで計測したGraphics Markのスコアは、故障かな?と思うくらい低い性能の「1127」でした。購入機種は8GBメモリでシングルチャンネルメモリで動作しているため、メモリ2枚時のデュアルチャンネルメモリよりも低い性能になりますが、それにしても低かったです。(5回計測して、一番良かったものを紹介しています。)
と言うことで、メモリを1枚追加して計測しました(オンボード8GB+スロット16GB)。
メモリ2枚時には1859まで伸びました。1800くらいあれば、Lightroomなどの写真編集アプリも使いやすいので、実用性はあります。ちなみに、メモリ1枚時のグラフィック性能は驚くほど低い性能ですが、前項で紹介したPCMark10の「Office系のアプリの使いやすさ」が、過去一番高い性能だったのが、不思議です。
他機種との比較です。
Video Card Benchmarks
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 PRO 6850U | |
---|---|
MX550 | |
MX450 | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i3-1215U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i5-1235U | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 3 5425U メモリ2枚 | |
Ryzen 5 4500U | |
Ryzen 3 5400U | |
Ryzen 3 5300U | |
Ryzen 3 4300U | |
Ryzen 3 5425U メモリ1枚 |
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 | コントラスト比 | 色域 | その他 |
FHD(未発売) | なし | TN | 250nit | 500:1 | NTSC 45% | 視野角90° |
FHD | なし | IPS | 300nit | 800:1 | NTSC 45% | 視野角170° |
FHD | なし | IPS | 300nit | 1200:1 | sRGB 100% | 視野角170° |
FHD(未発売) | あり | IPS | ― | ― | ― | 視野角170°、マルチタッチ |
FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質で解像度は1920×1080ドット |
---|---|
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
コントラスト比 | 最少輝度と最大輝度の差。差が大きい方が力強い描写が可能 |
液晶 | IPS液晶はコントラスト比が高く、視野角も広い。TN液晶はその逆 |
nit | 明るさを表す単位。室内であれば250nit~、350~400nitあれば日光の当たる場所でも見やすい |
液晶は上記した4種類があり、執筆時点ではTN液晶モデルとタッチパネルモデルはまだ販売されていませんが、ほとんどの人はTN液晶を選ばないと思うので、問題ないと思います。
現在販売されているディスプレイが一番人気で、標準的なものになります。
解像度はフルHD、視野角が広くコントラスト比も高いIPS液晶、そして、現在は300ニトと輝度が高くなっています。
i1 Display Proで色域や輝度を調べました。
・sRGBカバー率は61.8%
・輝度は278ニト
でした。色域はNTSC 45%なのでこのくらいかなと思いますが、輝度は公称値300ニトですがそれよりも低い278ニトでした。
余裕があれば色域が広いsRGB 100%のディスプレイを選ぶと(+3300円)、全然きれいな色が描写されるので、個人的にはお勧めしたいです。
<左・NTSC 45%/右・sRGB 100%>
sRGB 100%はWeb用画像編集にも向いているし、単純に全てがより鮮やかに描写されるので、写真・動画・映画などを見る時に見やすいです。
最後に視野角のチェックです。
視野角は170°と広いので、特に問題ないです。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
本機搭載のメモリはDDR4-3200MHzで、オンボードに8GB1枚搭載しています。メモリスロットが1つ空いており、最大32GBのメモリを搭載できます。メモリは2枚1組で使うのが基本なので、必ずもう1枚追加した方が良いです。
こちらはMemory Markの計測結果で、メモリ1枚・8GB時は1880と遅めで、メモリ2枚・24GB時は2389と普通でした。
もしメモリが1枚の場合はシングルチャンネルメモリと言って、グラフィック性能が大幅に下がり、全体的な処理速度も遅くなります。
追加するメモリはオンボードにある8GBに合わせるのが常套手段ですが、大きなデータを扱う人は16GBや32GBを搭載しても使いやすくなるので良いと思います。
他の機種との比較です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Thinkbook 13s Gen 2 16GB | |
---|---|
Ideapad Flex 550i 14型 8GB | |
ThinkPad X12 Detachable 16GB | |
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 16GB | |
Yoga 660 16GB | |
ThinkPad E15 Gen 4 24GB | |
Thinkbook 15 Gen 2 8GB | |
ThinkPad T14 Gen 3 AMD 32GB | |
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 8GB | |
IdeaPad Slim 360(17) 8GB | |
Ideapad Flex 550i 15型 8GB | |
ThinkPad E14 Gen 4 | |
Thinkbook 14 Gen 2 8GB | |
ThinkPad E15 Gen 4 8GB | |
Ideapad s145 AMD 8GB |
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 30秒~2分(新品の場合) | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機には最新のPCIe 4.0×4が搭載しており、PCIe 3.0×4よりも帯域幅が倍になり、データ転送速度がかなり上がっています。SSDの増設も可能なので、大容量にできますね。
CrystalDiskMarkでシーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み)は3187MB/秒、ライト(書き込み)は3031MB/秒とかなり高速でした。
PCIe 4.0にしてはリードが伸びなかったので調べたら、ストレージのスロットがPCI Express 3.0×4までしか対応していませんでした。
その他の機種との比較です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
ThinkPad E14 Gen 2 Intel 256GB | |
---|---|
Ideapad Flex 570 14型 256GB | |
ThinkPad T14 Gen 3 AMD 256GB | |
ThinkPad E15 Gen 4 PCIe 4.0 | |
Thinkbook 14 Gen 2 256GB | |
ThinkPad E14 Gen 4 Intel 256GB | |
Yoga 660 512GB | |
ThinkPad X12 Detachable | |
Thinkbook 13s Gen 2 512GB | |
Thinkbook 15 Gen 2 256GB | |
IdeaPad Slim 360(17) 256GB | |
Ideapad s145 AMD 256GB |
また、M.2スロットが1つ空いているので増設も可能ですが、保証が外れます。
筆者も増設しようとしたのですが、ネジが硬くてネジ穴がつぶれたのでできませんでした。ちなみに、兄弟モデルのE14 Gen 4も同じようにネジ穴がつぶれました・・・。今までで初めてです、こんなこと。
<潰れたネジ穴>
セキュリティ
セキュリティは
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
- パワーオンパスワード・・・電源を入れた時のログインパスワード
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでストレージにパスワードを設定
- スーパーバイザーパスワード・・・BIOSなどの設定を見たり変更する時のパスワード
- セキュリティキ―ホール・・・ワイヤーなどを繋げて持ち運びできないようにする
などがあり、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られています。(詳しくは、公式サイトをどうぞ。)
基本的にビジネスモデルなので十分なセキュリティがありますが、追加のセキュリティをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
Wi-Fi 6に対応
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWiFi6に対応しており、現在主流のWiFi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、カフェなどの混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
公式サイトではWi-Fi 6Eも搭載できると記載されていますが、執筆時現在、Wi-Fi 6Eは選べません。
旧モデルと同時に同じ場所でWi-Fi速度を計測したら、本機120Mbpsに対し、旧モデルは57Mbpsでした。同時にやったので1台ずつやるより速度は劣りますが、それでも良いスコアでした。2倍くらい差が出ていますね。
計測結果から見ると、Wi-Fiのアンテナも良くなっているみたいで、Wi-Fi 6はかなり速いですね。
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間は標準の45Whrで最大約14.1時間、モデルによってはカスタマイズから57Whr・最大約16.7時間のものが選択できます。
どちらを選んでも長いバッテリー駆動時間なので、持ち運ぶことが多い人でも使いやすいと思います。
インターフェイス
右側面インターフェースはUSB 2.0、RJ45、そしてセキュリティキーホールになります。
左側面インターフェースはUSB Type-C 3.2 Gen 1、USB 3.1、HDMI、そしてマイク/ヘッドフォンジャックになります。USB Type-Cは電源で使いますが、映像出力機能も付いています。
USB-CとUSB 3.1のデータ転送速度は5Gbpsと遅いので、大きなデータ(数十GB以上のデータ)の移動を頻繁にする人はご注意を。
また、まともに使えるポートはUSB 3.2と、電源共有のUSB-Cなので、こういったハブを持っておくと便利かもしれません。
サポート・保証
標準で1年間の「片道引き取り修理保証(修理時は片道送料負担)」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3つにアップグレードできます。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
修理拠点は日本国内なので対応も速く、安心して任せることができます。
ライバル機種
<左から本機種・E14 Gen 3・T14 Gen 3>
本機種と似たような最新機種との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできま
本機 | ThinkPad E15 Gen 3 | ThinkPad T14 Gen 3 | |
CPU | Ryzen 3 5425U Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
Ryzen 5 PRO 6650U Ryzen 7 PRO 6850U |
メモリ | 40GB | 24GB | 32GB |
ストレージ | SSD×2 | SSD ×2 | SSD×1 |
ディスプレイ | FHD IPS 15.6型16:9 |
FHD IPS 15.6型16:9 |
WUXGA,2.2K 4K相当 14型画面比16:10 |
無線 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5/6 | Wi-Fi 6E, 4G/5G LTE |
バッテリー | 16.7時間 | 14.2時間 | 21.1時間 |
重量 | 1.78㎏ | 1.7㎏ | 1.21㎏ |
価格 | 8.1万円~ 9.2万円(Ryzen 5) |
8.9万円~ (Ryzen 5) |
13万円~ |
各機種の特徴です。
・本機種・・・Zen 3のRyzen 5000シリーズでメモリも大容量、ストレージも増設可能とポテンシャルが高い機種。Ryzen 3モデルならダントツでお買い得。Ryzen 5以上でも全体的な品質は旧モデルより上なので、おすすめ
・E14 Gen 3・・・2021年に発売された旧モデルですが、Ryzen 5でも8.9万円と価格が安い。最新機種にこだわらないなら、コスパが高い本機がいいかも
・ThinkPad T14 Gen 3は上位モデルで、5万円ほど高いですがかなり性能・品質が高いです。また、唯一の画面アスペクト比が16:10と縦に長いので、15インチ並みの情報が表示されます。持ち運びにも便利な1.21㎏で、バッテリー駆動時間は丸1日使っても十分な容量です
筆者購入時の納期
7月5日に購入し目安納期(出荷予定)は1~2週間で、到着は7月20日と15日ほどで来ました。Webサイトに書かれた通りの納期だったので、不満はないです。
まとめ
良い点
・CPUの最大温度が下がったが、性能はかなり高い
・メモリを最大40GBに増設可能
・PCIe 4.0搭載
・低価格で必要十分以上の性能
・FHD 1080pのWebカメラが搭載可能
・Wi-Fi 6標準搭載
残念な点
・インターフェイスの品質や数は控えめ
・思ったほどメモリ性能が高くない
・ちょっと重い
総合評価
リフレッシュ版の新しいRyzen 5000シリーズ搭載で、メモリは最大40GB、ストレージはPCIe 4.0と、スペック的には十分だと思います。特殊な専門分野での使用じゃないかがぎり、困ることは無いと思います。
また、生体認証も指紋センサーと顔認証を搭載でき、WebカメラがFHDと高画質、高速通信が可能なWi-Fi 6搭載と、Eシリーズとは思えないほどです。
ただし、やはり低価格モデルなので、底面カバーは樹脂素材を使用、1.78㎏と若干重ため、インターフェイスが少ないといったマイナス要素もあります。
使い方によっては標準装備で大丈夫な人もいれば、先ほど紹介した様な7 in 1ハブなどないと使いにくいという人もいると思いますが、8万円台とビジネスモデルにしては低価格で十二分の性能があります。