ThinkPadのLシリーズは、ちょっと特徴がある構成なんですよね。
Xシリーズよりサイズが大きいけど、似たようなスペックで価格が安め、Eシリーズよりもインターフェイスなどが豊富だけど高い。ThinkPadの中間にあたる機種なんですね。
中間と言ってもカスタマイズによっては40万円くらいするので、性能も中間というわけじゃないです。しかも本機種は超高性能のAMD Ryzen Pro4000シリーズが選べるので、ハイエンドのデスクトップ並みの性能ですよ。
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ThinkPad L14 Gen 1(AMD)のレビュー
APU | AMD Ryzen 7 PRO 4750U AMD Ryzen 5 PRO 4650U AMD Ryzen 3 PRO 4450U AMD Ryzen 5 4500U AMD Ryzen 3 4300U |
---|---|
メモリ | 最大64GB |
ストレージ | SSD 最大1TB(128GB以外OPAL対応) |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス AMD Radeon |
ディスプレイ(15.6型) | FHD IPS マルチタッチ 300nit 光沢なし FHD IPS 250nit 光沢なし HD TN 220nit 光沢なし |
OS | Windows 10 Home、Windows 10 Pro |
Office | Office Home &Business 2019搭載可能 |
指紋センサー | 搭載可能 |
顔認証 | 搭載可能 |
LTE | 搭載モデルあり |
セキュリティ | Windows Defender、TPM、ThinkShutter、セキュリティ キーホール、パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、スーパーバイザー パスワード、システム マネジメント パスワード |
無線LAN | WiFi6 AX200、Bluetooth 5.0 |
サイズ | 331 x 235 x 20.4 mm |
重さ | 1.61㎏ |
バッテリー | 最大15.8時間 |
価格 | 8.3万円~ |
本機種ではプロセッサーにRyzenシリーズとRyzen Proシリーズが選べ、どちらも最新の4000シリーズなので性能がかなり高いですね。
メモリも最大64GBと、ここまでいらないだろうというくらい大容量が選べ、ストレージもSSD 1TB搭載可能です。他にも、指紋センサーや顔認証、WiFi6にLTEもあり、セキュリティも豊富でさすがビジネスノートパソコンと言った機能が付いており、性能的に困る事は無い構成が可能です。
ただし、ちょっと気を付けたいのがディスプレイです。さりげな~く「HD TN液晶 220nit 光沢なし」と言う2万円台のパソコンに搭載されるようなディスプレイが混じっているので、間違って選択しないようにしないと8万円もするパソコンが台無しになります。(台無しは言い過ぎかもですが、それくらい質の低いディスプレイです)
ディスプレイ以外は特に言う事のないまともな性能なので、ご心配なく。
旧モデルとの比較
<左・本機種/右・L490>
旧モデルのThinkPad L490 インテルとの比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | L490 | |
CPU | Ryzen 7 PRO 4750U Ryzen 5 PRO 4650U Ryzen 3 PRO 4450U Ryzen 5 4500U Ryzen 3 4300U |
Core i3-8145U Core i5-8265U Core i7-8565U |
メモリ | 64GB | 64GB |
ストレージ | SSD 1TB | SSD+HDD |
ディスプレイ | FHD IPS/HD TN | FHD IPS/HD TN |
無線 | WiFi5/6、LTE | WiFi5/6、LTE |
バッテリー | 15.8時間 | 15.9時間 |
重量 | 1.61㎏ | 1.69㎏ |
価格 | 8.3万円~ | 6.4万円~ |
筐体が若干小さくなり、80g軽くなっています。また、以前はインテルモデルのみでしたが、本機種からAMDモデルがでました。
こちらはプロセッサーの性能を測る、Passmarkスコアです。
[visualizer id=”23396″ lazy=”no” class=””]かなり性能が上がっていますね。
ライバル機種
<左から本機種・L14 Gen 2・T14 Gen 2>
メモリ・ストレージ・バッテリーは最大値です。
L14 Gen 2 intel | 本機種 | ThinkPad T14 Gen 2 | |
CPU | Core i3-1115G4 Core i5-1135G7/1145G7 Core i7-1165G7/1185G7 |
Ryzen 7 PRO 4750U Ryzen 5 PRO 4650U Ryzen 3 PRO 4450U Ryzen 5 4500U Ryzen 3 4300U |
Core i5-1135G7/1145G7 Core i7-1165G7/1185G7 |
メモリ | 64GB | 64GB | 48GB |
ストレージ | SSD 1TB+HDD 2TB | SSD 1TB | SSD 2TB |
グラフィックス | Iris Xe GeForce MX450 |
Radeon | Iris Xe GeForce MX450 |
ディスプレイ | HD、FHD | HD、FHD | FHD、UHD 画面比16:9 |
無線 | WiFi6、LTE | WiFi5/6、LTE | WiFi6、4G LTE |
バッテリー | 12.6時間 | 15.8時間 | 14.5時間 |
重量 | 1.58㎏ | 1.61㎏ | 1.47㎏~ |
価格 | 19.2万円~(通常価格) | 8.3万円~(割引価格) | 10.3万円~(割引価格) |
本機種とL14 Gen Intelは低解像度のHDディスプレイがありますが、T14 Gen 2はフルHDか4KのUHDディスプレイになっています。その他の機能は大まかに言うと同じくらいで、T14 Gen 2が若干軽いですね。
まずはPassmarkスコアです。
[visualizer id=”23401″ lazy=”no” class=””]総合性能のPassmarkは本機種・Ryzenが飛びぬけて高いですね。
こちらはグラフィック性能を表すVideo Card Benchmarksです。
[visualizer id=”23406″ lazy=”no” class=””]比較機種のインテルモデルの方が高いグラフィック性能なので、複数画面を使う作業をしたり、画像編集などのクリエイティブワークをする人は、インテルモデルが使いやすいと思います。
メリット・デメリット
良い点
・ThinkPadシリーズなのに低価格
・プロセッサーの性能が高い
・タイピングしやすいキーボード
残念な点
・標準でHDディスプレイ
・14型にしては大きく重い
・Thunderboltがあったらより良かった
ThinkPad L14 Gen 1(AMD)の特徴
外観は「ザ・ThinkPad」と言った感じで、出来るビジネスパーソンが使っていそうな見た目ですね。
寸法は幅331㎜、奥行き235㎜で、大学ノートA4サイズ(297×210㎜)と比べても、幅+3.4㎝、奥行き+2.5㎝なのでカバンに入れて持ち運びもしやすいです。
厚さは20.4㎜で、1円玉(直径20㎜)とほぼ同じ大きさなので、持ち運び時もかさばらないと思います。重さは1.6㎏なので、標準的な重さです。
OSは、最新のWindows 10 HomeかProが選べます。個人で使う場合はビジネス用途であってもHomeを選ぶことが多いと思いますが、ProにはWindowsをカスタマイズするのに必要な機能や、複数のOSをインストールできるHyper-Vと言った機能、Bitlocker(デバイスの暗号化)などがあります。
生体認証には指紋センサーと顔認証(IRカメラ)が搭載可能なので、ログインが一瞬で終わります。特に顔センサーはすっごく便利ですよ。
天板には控えめに「ThinkPad」のロゴが入っていて、かっこいいと思います。
キーボードは特徴的なThinkPadのキーボードで、ストロークが深いので打感も良く、サクサクタイピングができます。初めての人は慣れが必要ですが、真ん中のトラックポイントはカーソルを動したり、ズームしたりできるので、指がホームポジションから離れずに作業が出来ます。
慣れたら、本当に使いやすいですよ。
また、日本語配列か英語配列、バックライト有り、無しも選択できます。
ディスプレイ
ディスプレイは3種類から選べます。
右にスクロールできます↓
光沢 | 液晶 | 輝度 | コントラスト比 | 色域 | 視野角 | |
HD | 無し | TN | 220nit | 400:1 | NTSC 45% | 90度 |
FHD | 無し | IPS | 250nit | 700:1 | NTSC 45% | 170度 |
FHD マルチタッチ |
無し | IPS | 300nit | 700:1 | NTSC 45% | 170度 |
HD | ハイディフィニション、解像度は1366x768 |
---|---|
FHD | フル・ハイディフィニション、解像度1920x1080 |
IPS | 視野角が広く、コントラストも高めの液晶 |
TN | 視野角が狭く、コントラストも低め |
nit | 輝度(明るさ)を表す単位で、通常250nit前後が標準 |
マルチタッチ | スマホの様にタップできる液晶 |
光沢なし | 映り込みが軽減された液晶 |
最初にも言ったように、HDディスプレイは解像度も低いし、TN液晶なので見にくいし、目が疲れやすいし、色合いも青みがかった感じです。
プロセッサー
パソコンの頭脳であるプロセッサーは、性能が低いと動きが遅いし、性能が高いとサクサク動きます。本機種・ThinkPad L14 Gen 1(AMD)では、その名の通りAMDのプロセッサーで超高性能のRyzen 4000シリーズと、Ryzen Pro 4000シリーズが選べるので、かなりのハイスペックになっています。
ちなみにRyzen Proは、通常版よりもセキュリティが強化され、暗号化にも対応しています。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCなど専門的な機種に搭載されることが多い
(グラフをタップすると数値が表示されます)
[visualizer id=”13323″ lazy=”no” class=””]本機種では一番性能が低いRyzen 3でも、十分ビジネス用途として使える目安のスコア7000以上で、8067となっています。一般的なIntelのハイスペックモデル・Core i7-10510Uよりも高性能です!
最近はRyzenの性能が上がってきたので、Intel搭載機種じゃなくRyzen搭載機種を選ぶ人が多いですよね。
Ryzen 3 Pro以上は、スコア1万オーバーの超高性能スペックです。かなり快適にパソコンが動きます。
また、プロセッサーの性能でコアとスレッドがあるのですが、この数値が高いと性能も高く、複数の事を同時にしやすくもなります。
<アプリの数は例です>
- Ryzen 7 Pro 4750U・・・8コア16スレッド
- Ryzen 5 Pro 4650U・・・6コア12スレッド
- Ryzen 5 4500U・・・6コア6スレッド
- Ryzen 3 Pro 4450U・・・4コア8スレッド
- Ryzen 3 4300U・・・4コア4スレッド
4コアは結構大きめで特段困る事はない大きさですが、6コア12スレッドや8コア16スレッドなどはかなり大きく、ゲーミングPCや動画編集などの特別な用途向けに搭載されるほどの性能になります。
グラフィックス
動画や画像編集をするときに必要なグラフィック性能で、性能が高いとOfficeワークなどもしやすくなります。
先ほども紹介したVideo Card Benchmarksです。
[visualizer id=”23406″ lazy=”no” class=””]内蔵グラフィックスとしては普通な性能で、クリエイティブワークをしない人はそこまで気にしなくても大丈夫です。
メモリ
メモリは最大で、64GBの大容量になります。通常8GB、大きめで16GBあれば困る事は無いくらいです。
また、メモリの種類はDDR4 SODIMM PC4-25600で、メモリの動作周波数は3200MHzと高性能モデルです。性能が高いパソコンに搭載されることが多いメモリで、市販されているパソコンに搭載されているメモリの最高峰になります。
動作周波数(MHz)が高いと同じ時間内に処理できるデータ量が上がるので、より快適にパソコンが使えます。
ちなみに、本機種では4GB、8GB、12GB、16GB、32GB、64GBが選べますが、メモリは通常対になったものを使うので、12GBはおすすめしません。例えば8GBだったら4GBx2、16GBは8GBx2の様に2つの同じメモリを使うのが一番良く、12GBは4GB+8GBになるので組合わせが良くありません。
ストレージ
ストレージは最大1TB搭載可能なので、かなり大容量ですね。
ストレージの種類はM.2 PCle-NVMe 2242と2280がありますが、どちらもPCIe 3.0×4で、最大データ転送速度は32GB/秒と高速です!
また、256GB以上のSSDは、自己暗号化ドライブのOPALに対応です。ハードウェアレベルで暗号化するので、セキュリティは抜群です。
セキュリティ
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれる
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- ThinkShutter・・・前面カメラの物理カバー
- セキュリティキーホール・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤーを設置する個所
インターフェイス
- マイクロホン/ヘッドホン・コンボ・ジャック
- USB 3.1 Gen1
- セキュリティ・キーホール
- USB3.1 Type-C Gen 1(電源と共用)
- USB3.1 Type-C Gen 2
- ドッキングコネクタ-(1.2.と合わせて使用)
- USB 3.1 Gen1x1(Powered USB)
- HDMI
- microSDメディアカードリーダー
- Nano SIMカードスロット
- イーサネットコネクター(RJ-45)
- スマートカードリーダー(一部構成でのみ選択可能)
インターフェイスは豊富で、ドッキングコネクターも使え、外部モニターに接続も簡単にできますね。
まとめ
ThinkPadシリーズは、米軍の物資調達規格であるMIL規格に準拠しているので、堅牢性が高く、安心して使えます。
MIL規格とは、紛争地に行く軍関係者でも安心して使えるほどの耐久性があるもので、落下テストや気温・気圧の変化、ディスプレイ部分の開閉耐久性などのテストをしてものですね。
ビジネス用途のノートパソコンとしては比較的安めの8.3万円からなので、コスパも高いですね。