たったの1.2Lの筐体なのにパワフルな機種で、最大でIntel core i9にNVIDIA Quadroのグラフィックボードを搭載できます。動画編集や画像編集、3DCADも使いやすく、専門的な用途にも対応できる機種です。
また、最大で6つのディスプレイを使用できるので、FXなどの金融取引もやりやすいですね。
これだけ小さな筐体なので置き場所にも困らず、デスク上やデスクの下、デスクのそばのシェルフなど好きなところに置けます。
本機種は、3DCADや画像・動画編集、RAW現像などの専門的な事をやる人を対象にした機種になります。
Contents
ThinkStation P340 Tinyのスペックレビュー
<モニターは別売り>
CPU | Intel core i3-10100T/10100 Intel core i5-10400T/10400など Intel core i7-10700T/10700 Intel core i9-10900T/10900 |
メモリ | 最大64GB |
ストレージ | 最大SSD x2(4TB) |
OS | Windows 10 Pro Windows 10 Home |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA Quadro P620/P1000/ |
RAID | ー |
無線 | 無し WiFi6 AX201+Bluetooth |
有線 | イーサネット |
光学ドライブ | なし ウルトラスリムDVD-ROMドライブ ウルトラスリムDVDスーパーマルチドライブ |
セキュリティ | Windows Defender、TPM、パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、セキュリティケーブルスロット、USBロック(BIOS)、Smart USB Protection |
寸法(幅x奥行x高さ) | 37 x 182.9 x 179㎜ |
重さ | 最大1.4㎏ |
保証・サポート | 3年間翌営業日オンサイト修理保証・プレミアサポート |
付属 | キーボード、マウス、フロアスタンド(すべて付属無し可能) |
電源 | 170W(89%) 230W(89%) |
価格 | 税込)8万4000円~ |
最低価格は8万円台とワークステーションにしては激安ですが、最大構成で50万円ほどになるのでやはりスペックが上がればそれなりの値段になりますね。まぁ、個人的には激安のワークステーションは不安なので、それなりの値段をしてくれていた方がいいですが。
パソコンの頭脳であるCPUには普段使い用のCore i3-10110から、専門職向けのCore i7や10コア20スレッドのCore i9-10900も搭載可能です。
メモリは最大64GBとワークステーションにしては若干小さいですが、この小さな筐体とQuadroもエントリークラスなので、十分かなと思います。
ストレージは最大2基・4TB搭載でき、やはり筐体が小さいのでこれくらいが限界かなと思います。
グラフィックボードはエントリークラスのQuadroが搭載可能で、DirectX(3Dゲーム)に最適化されたGeForceじゃなく、高度な技術計算(OpenGL)に最適化されたQuadroが搭載なので、より専門的な用途に使えます。
セキュリティはワークステーションとしては比較的普通ですが、筐体が小さいので持ち出されないようにワイヤーを設置する箇所や、データの盗難やウイルス対策のためにUSBロック(パスワードを入れないとUSBが動作しない)など特別なものもあります。
保証は、3年間のオンサイト修理と言う「エンジニアが出張修理を行う」保証、サポートはプレミアサポートと言う「24時間365日専任エージェントが対応」するサポートが付いているので、安心です。
小型の筐体にしては高い性能で、使い勝手が良いと思います。
ThinkStation P340 Tinyの特徴
<本体と付属のバーティカルスタンド>
本機種は、ワークステーションとは思えないほどのサイズなんですよね。
・幅37㎜(1,000円札の短辺76㎜の半分/38㎜以下)
・奥行き182.9㎜(一万円札の長辺160㎜+2㎝)
・高さ179㎜(一万円札の長辺・160㎜+2㎝)
と、ほぼ同じサイズです。幅が千円札の短辺の半分くらいとかなり小さいので、色々な場所に設置できます。
寝かせて使う場合は、鉛筆(172㎜~178㎜)とほぼ同じくらいの寸法です。
縦でも横でも置けるので、机上でも、シェルフにも、どこでも置きやすいです。また、最大構成時の重量も1.4㎏と、楽々片手で持ち運べるくらいです。
これだけ小さいと万が一の時は盗まれやすいと思ったのですが、ワイヤーを設置する箇所もあるので、安心ですね。
フロント部分は大きなメッシュ状で、上部(立てた場合は左側面)には大きく排気口も取られているのでエアフローも良さそうですね。
立てた場合の右側面(寝かせた場合は底部)にも空気口があります。ツールレスオープンシャーシなので、工具を使わずに筐体内部へのアクセスが可能です。メンテナンスやカスタマイズがやりやすいですね。
カスタマイズから光学ドライブも搭載可能ですが、その場合は筐体が大きくなるので、付属のバーティカルスタンドが使えなくなり、Tiny-in-One(Tiny専用のモニター)などの背面に設置ができなくなります。
<Tiny-in-Oneモニター>
インターフェイス
前面インターフェイスは、イヤフォン・マイクなどのコンボジャック、USB-A 3.1 Gen2、USB-C 3.1 Gen 1、電源ボタンがあります。
背面には、セキュリティスロット、電源コネクタ、Display Port、USB-A 3.1 Gen1、HDMI、USB-A 3.1 Gen2、イーサネットがあり、12番の項目はグラフィックボードを搭載したらmini Display Portが4つ付きます。
小型なのに普通のPCよりもインターフェイスが充実していますね。すごいと思います。
グラフィックボードには、以下のインターフェイスがあります。
インターフェイス | 最大搭載数 | |
P620 | mini Display Port x 4 | 1 |
P1000 | mini Display Port x 4 | 1 |
標準でHDMIとDisplay Port、そしてグラフィックボードを選んだ場合はMini Display Portが4つ追加されるので、合計6つのモニターに接続できます。
個人的にうれしいのは、Expansion Cardと言う項目からThunderboltを搭載できることです。データ転送速度が速いし、より快適にパソコンを使えるようになります。
ISV認証
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)により、アプリケーションとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を取得しているので、安心して使えます。
英語版のみですが、Lenovoのサイトでどのベンダーのどのソフトと互換性があるか確認が出来ます。例えば下の画像は本機種「P340 Tiny」「Autodesk」「Autodesk Alias(工業デザイン用ソフト)」で検索した結果です。
結果は「Certified(認証済み)」や「Recommended(推奨)」などでてきます。ほとんどのソフトは認証済みですが、利用者が少ない・マイナーなソフトを使っている場合は、確認してから購入した方がいいと思います。
CPU
右にスクロールできます↓
Intel core i3-10100 | Intel core i5-10400/500/600 | Intel core i7-10700 | Intel core i9-10900 | |
開発コード | Comet Lake | Comet Lake | Comet Lake | Comet Lake |
製造プロセス | 14nm | 14nm | 14nm | 14nm |
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 | 8/16 | 10/20 |
ベースクロック(GHz) | 3.6GHz | 2.9/3.1/3.3 | 2.9 | 2.8 |
ターボブースト時(GHz) | 4.3GHz | 4.3/4.5/4.8 | 4.8 | 5.2 |
キャッシュ | 8MB | 12MB | 16MB | 20MB |
DirectX | 12 | 12 | 12 | 12 |
OpenGL | 4.5 | 4.5 | 4.5 | 4.5 |
TDP | 65W | 65W | 65W | 65W |
本機種には通常版のCPU(Core i3-10100など)と、超省電力版のTシリーズ(Core i3-10100Tなど)の2種類がありますが、TシリーズはTDPが35Wになり、クロック数も抑えられていますが、それ以外の項目は同じです。
この小さな筐体で「どれだけ負担がかかる作業を、どのくらいするか」によって選んだ方がいいと思いますが、私だったら、こういう風に選びます。
・高負荷 長時間作業・・・Tシリーズ
・高負荷 短時間作業・・・通常版(グラボが必要ならTシリーズ)
・中~低負荷・・・通常版/Tシリーズ
ただし、執筆時現在通常版CPUを選ぶとQuadroが搭載できません。内蔵グラフィックスになります。
それでは性能の比較です。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCなど専門的な機種に搭載されることが多い
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”17643″ lazy=”no” class=””]Tシリーズは通常版より、15%前後性能が低くなっています。TDPが半分近くなっているのに15%減は、許容範囲だと思います。
Core i3はワークステーションとしてはライトユーザー向けですね。Core i5はスコア1万以上なので、Core i5以上を選ぶ人が多いと思います。
こちらはレンダリングを行ってスコアを出すテスト・Cinebench R20です。スコアは状況によって変わるので参考値として見て下さい。
[visualizer id=”17650″ lazy=”no” class=””] [visualizer id=”17648″ lazy=”no” class=””]グラフィックス
通常のパソコンにはグラフィックボードにGeForce(3Dゲーム/DirectXに最適化)が使われますが、本機種ではQuadro(CADなどの専門的な高度な技術計算/OpenGLに最適化)が搭載です。
↓右にスクロールできます↓
Quadro P620 | Quadro P1000 | |
GPUアーキテクチャ | Turing | Turing |
CUDAコア | 512 | 640 |
メモリ帯域 | 80Gbps | 82Gbps |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量 | 2GB | 4GB |
API | Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
TDP | 40W | 50W |
グラフィックボードはエントリークラスですが、P1000はVRAM(ビデオメモリ)が4GBもあるのでそれなりの用途に使えますね。
メモリ
メモリはPC4-23400(2933MHz)で、スロットは2つ・最大64GB搭載できます。ワークステーションとしては若干小さい気もしますが、小型であることや、グラボを考えたら十分かと思います。
メモリはPC4-23400で、2933MHzでの動作になります。この動作周波数(MHz)が高いとデータ処理速度も上がるので、より快適に作業ができるのですが、2933MHzはCPUが対応している上限値なので問題なしです。速いです。
ストレージ
ストレージは最大でSSD 2基・4TB搭載になります。こちらもこの筐体を考えたら、悪くないと思います。
SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は従来のHDDに比べデータ転送速度がかなり速いので、パソコンの起動もサクサクだし、データ移動も速いです。
SSD | HDD | |
最大データ転送速度 | 16Gbps~32Gbps | 6Gbps |
平均起動時間 | 約15秒~20秒 | 30秒~2分(新品の場合) |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 安い |
また、ストレージはOPAL(オパール)対応になります。OPALとは自己暗号化ドライブのことで、ハードウェアレベルでデータを暗号化するので解読されにくいという特徴があります。
WiFi6
次世代通信規格のWiFi6対応で、最大通信速度は9.6Gbpsとかなり速いです。
LANケーブルを使って有線接続することが多いと思いますが、WiFiでつなぐ場合や、Bluetoothが必要な場合は無線LANアダプターを追加しておいた方がいいです。
セキュリティ
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- セキュリティケーブルスロット・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所
- OPAL・・・自己暗号化ドライブ。データが流出した時など、暗号化されているので解読されにくいという特徴があります。
- USBロック・・・設定したパスワードを入力しないと、USBポートが使えなくなる機能
- Smart USB Protection・・・USBポートからのデータ流出や、外部からUSBポート経由でシステムやネットワークに侵入を防ぐ
LenovoのThinkStationには「ThinkShield」というセキュリティ機能があり、いくつものセキュリティが搭載されています。
BitLockerや自己修復BIOS、エンタープライズ暗号化など、法人向けのセキュリティです。詳しくはこちらをどうぞ。
電源
電源は170W(89%)か230W(89%)で、電源変換効率が高いですね。
例えば100Wの電源だからと言って100W供給されるわけではなく、変換効率(電源の質)によって変わります。
通常はStandardやBronze、Goldなどで表示されますが、本機種は%で表示されていて、変換効率が89%なのでGOLD相当の電源だと思います。
- 80PLUS Bronze・・・82%~85%
- 80PLUS Silver・・・85~88%
- 80PLUS GOLD・・・87%~90%
- 80PLUS Platinum・・・90~92%
- 80PLUS Titanium・・・92~94%
変換率が高いと若干省エネにもなるし、パソコンも長持ちします。と言うのも、パソコンも人間も同じで、100%の力でマラソンをするより、50%の力でマラソンをした方が長時間走れますよね?パソコンも同じで、フルパワーで稼働するよりも余力を持って電力を供給した方が長持ちするんです。
保証
本機種には標準サポートして「プレミアサポート」、保証には「翌営業日オンサイト修理保証」が3年間付いています。
・翌営業日オンサイト修理・・・万が一の場合はエンジニアが通常、翌営業日に直接伺って修理をしてくれます。
・プレミアサポート・・・専用コールセンター(24時間365日!)にて専任エージェントがサポートしてくれる
まとめ
小さな筐体なので発熱が少ないTシリーズのCPUを選んだり、本体を風通しが良いところに置くなどしてエアフローを高めたら、ハイスペックにしてもがっつり使いやすいと思います。
まぁ、あえてこんなに小さな筐体を選ぶので「それなりの用途」で使うと思いますが、性能的にはメインの機種としても活躍できるほどですね。