今までLenovoではThinkBook以外にCopilot+PCがありましたが、ついにThinkBookにも登場しました。ビジネスPCのThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonです。しかも、IdeaPad並みの価格で12.8万円からとなっています。
今までCopilot+PCと言えば20万円以上するものがメインでしたが、普段使い用のIdeaPadに続き、ビジネスPCでもこの価格で購入できるのはすごく大きなメリットだと思います。
Snapdragon XシリーズでArm版のOSを搭載しているので、人によっては使えないアプリが現在はあるかもしれませんが、対応アプリが増えているとのことです。
Contents
ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonのスペック
SoC | Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
---|---|
メモリ | LPDDR5X-8448 16GB/32GB |
ストレージ | SSD 512GB/1TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(16型) | WUXGA/WQXGA IPS、光沢なし |
OS | Windows 11 Home Arm版 |
無線 | Wi-Fi 7 |
生体認証 | 指紋センサー |
WEBカメラ | FHD |
寸法(幅×奥行×高さ) | 356 × 248.4 × 16.7mm |
重さ | 1.82㎏ |
バッテリー(JEITA3.0) | 最大約21.8時間 |
標準保証 | 1年間 |
カラー | クラウドグレー |
価格 | 11.8万円~ |
<性能評価>
最大45 TOPSのNPUパフォーマンスを持つSnapdragon X Plus X1P-42-100を搭載しており、Cinebench 2024のマルチコアスコアはApple M1 Maxに近いスコアで、なかなかの性能です。NPU搭載なのでローカルでもAI機能が使え、飛行機などWi-Fiがない時でもAIを使って作業ができます。
メモリはLPDDR5X-8448MHzのオンボード16GBで、32GBモデルもあります。筆者は所有しているCopilot+PCの1つに16GBがありますが、ヘビーユーザーであれば32GBがおすすめです。
ストレージはSSD PCIe 4.0で512GBか1TBと十分な容量です。
いつものThinkBookであればメモリやストレージの増設ができるのですが、本機は16インチと大きいのにもかかわらず増設はできません。
ディスプレイは16インチの画面比が16:10で、一般的な17インチ以上の表示量があります。解像度はWUXGA(1920×1200ドット)かWQXGA(2560×1600ドット)でIPS液晶を採用。
その他のスペックはOSはWindows 11 Homeで、高画質FHD Webカメラに指紋センサーも搭載、無線は最新のWi-Fi 7に対応です。
筐体は16インチではそこそこコンパクトですが、1.82㎏もあります。ただし、84Whrの大容量バッテリーを搭載しているためで、重たいですが外出先でも最大約21.8時間と長時間使えるようにしたスペックになっています。
旧モデルとの比較
旧モデルじゃないですが、兄弟モデルとして2024年に発売されたAMDモデルがあります。
同じ16インチですが筐体の大きさも若干違い、約1.7㎏からになっています。こちらはCopilot+PCじゃなく、NPUもありません。
Copilot+PCでできること
<コクリエイターで絵を描いた画像>
ここ最近、AI、AIと言われていますが、AIコアであるNPUっていつ使うの?っていう疑問ありますよね。
今使っているAI関連の機能って、その会社のサーバーでAI処理をしていて、自分のPCのNPUを使うことってほとんどないんですよね。今後いろいろなアプリが対応していくので、使えるケースも増えると思います。
で、本機はただのAI PCじゃなくCopilot+PCになります。最大45TOPSの演算処理能力を持っており、現時点ではNPUを使い以下のことができます。
・コクリエイター
・イメージクリエイター
・Windows Studio Effect
・ライブキャプション
・リコール(近日利用可能)
こちらにCopilot+PCでできることを紹介しているので、あわせてどうぞ。
ThinkBook 16 Gen 7 Snapdragonの特徴
外観
ちょっとこの壁紙じゃわかりにくいですが、ベゼルが細くすっきりとした見た目です。
16インチと大きいですが寸法は15.6インチ並みで、重さは1.82㎏になります。バッテリー駆動時間が長いので、この重さが許容範囲であれば、持ち運び時にすごく助かります。もしくは、社内移動であれば短時間の移動なので気にならない重さだと思います。
ディスプレイは16インチの画面比が16:10で、一般的な17インチ以上の表示量があります。解像度はWUXGA(1920×1200ドット)かWQXGA(2560×1600ドット)でIPS液晶を採用、WUXGAは300ニト、NTSC 45%、リフレッシュレートは60Hz、2.5Kは350ニト、sRGB 100%、そしてリフレッシュレートは120Hzとなります。
せっかくCopilot+PCを買うのでNTSC 45%のディスプレイは敬遠したいところですが、WQXGAは+17600円ですね・・・、高いな。
デザインはいつものThinkBookで、アルミニウムを使用した筐体です。MIL-STD-810Hにも準拠しており、堅牢性が高い機種です。
ちなみに外観はいつも通りですが、メモリとSSDの増設ができないモデルです。ThinkBookといえば13インチ以外はほぼすべて増設ができるので購入する個人や法人が多かったと思いますが、残念ですね。
キーボードは日本語配列で、バックライトにコパイロットキー付きです。テンキーは4列ですがちょっと縦長のキーになっています。
2Wスピーカーがキーボード左右に1つずつあり、Dolbyオーディオになります。電源ボタン統合型の指紋センサー搭載で、サインインも一瞬で完了です。
ただし、OSはArm版Windows 11
Arm版もWindowsはWindowsなので同じOSと言ったらそうですが、エミュレーターを使用しないと使えないアプリがあったりもします。
厄介な点は、使ってみるまでまでわからないんですよ。動くかどうか。
Windows 10の時はx64アプリが実行できなかったですが、Windows 11ではX86やX64アプリをバイナリ変換してArmプロセッサー上でも実行できるようにはなっています。あまりマイナーじゃなければ対応しているか、エミュレーターで動くようになっているようです。
筆者が良く使うところでプリンターですが、例えばCanonのインクジェットプリンターはArm版でも基本的な印刷はできますが、キャノン製ドライバはインストールされず、動作しません。ちなみに、Microsoft Officeとかは動くので、心配はないです。
また、VirtualBoxはインストール不可で、BlenderやParsecはエミュレーションで動いているのか重たいです。
SoCはSnapdragon X Plus X1P-42-100
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
プロセス | 4nm |
NPU | 最大45 TOPS |
コア | 8 |
トータルキャッシュ | 30MB |
ブーストクロック | 3.4GHz(シングルコア) |
マックスクロック | 3.2GHz(マルチコア) |
*TOPS・・・1秒間に何兆回演算を実行できるかの数値。45TOPSは45兆回/秒
SoCの最大の特徴は、45 TOPSの性能を持つNPUを搭載している点ですね。ほぼすべての人はこれがあるから本機を購入すると思います。
以下のSnapdragon X Plus X1P-42-100スコアは、当サイトの別機種(IdeaPad 5x 2-in-1 Gen 9)で計測したものになります。
まずはCPU Markのスコアで、 19377となりました。Ryzen 5 8640UやCore Ultra 5 125Hくらいのスコアです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 9 185H | |
---|---|
Core Ultra 7 165H | |
Core Ultra 5 135H | |
Core Ultra 7 155H | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 5 8540U | |
Core Ultra 5 135U | |
Core Ultra 5 125U | |
Core 5 120U | |
Core 7 150U | |
Core Ultra 7 165U | |
Core Ultra 7 155U | |
Core i7-1355U |
Cinebench 2024のスコアで、Cinema 4DのデフォルトレンダリングエンジンであるRedshiftのパワーを利用して、CPUとGPUの能力を計測します。計測結果はマルチコア702、シングルコア107と高性能です。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 8845HS | |
---|---|
Apple M1 Max | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Apple M1 | |
Core i7-1280P | |
Ryzen 3 8300GE |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Apple M1 Max | |
---|---|
Apple M1 | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 3 8300GE | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core i7-1280P |
グラフィックス
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなりますが、これらのベンチマークはエミュレーターで動いているので低めの性能でした。
どちらにしてもゲーム向けのSoCじゃないので、ゲーム関係では使わないと思います。
Steel Nomad Liteは、DirectX 12 Ultimateの性能をテストし、レイトレーシングを使用しない中量級ゲームを想定したベンチマークです。スマホなどの他のデバイスとスコアを比較できる、クロスプラットフォームです
Steel Nomad
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 | |
---|---|
GTX 1650 Max-Q | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 7 7735U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Wild Life
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 Ti | |
---|---|
GTX 1650 Ti | |
Core Ultra 5 125H | |
GTX 1650 Max-Q | |
Ryzen 7 8845HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Fire Strike
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3050 | |
---|---|
GTX 1650 | |
Core Ultra 5 125H | |
GTX 1650 Max-Q | |
Arc A350M | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
Night Raid
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 4050 | |
---|---|
RTX 3050 | |
RTX 3050 Ti | |
GTX 1650 Ti | |
Core Ultra 5 125H | |
GTX 1650 Max-Q | |
Ryzen 7 7735U | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 |
同じSoCで動画編集のしやすさを検証したので、こちらもどうぞ。
結論を言うと、動画編集自体はできるがメモリが16GBなので、Davinci ResolveとPhotoshopなどの他のアプリを同時に開くと厳しい動きになります。
時々しか動画編集をしないというライトな使い方であれば、そんなに影響はないと思います。
Wi-Fi 7に対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11be (Wi-Fi 7) |
2.4/5/6GHz | 46Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 7に対応しており、現在主流のWi-Fi 6の約5倍、低価格モデルのPCに採用されるWi-Fi 5の約13倍の最大通信速度があります。また、理論上16本のストリームになり、今まで以上に多くのデバイス(理論上2倍)を接続して快適に使えます。
6GHzで最大320MHzのチャンネル幅があり、Wi-Fi 6E(最大160MHz)の2倍の帯域幅になります。
インターフェイス
インターフェイスはUSB4がないですが、USB 3.2 Gen 2 Type-Cが2つあるので悪くないです。
右側面にはSDカードリーダー、USB 3,2 Gen 1(データ転送速度5Gbps)が2つ、ケーブルスロットロックが1つです。
左側面はHDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(データ転送速度10Gbps/Power deliver、映像出力機能付き)が2つ、マイク/ヘッドフォンジャックになります。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長4年まで延長できます。また、Premium Care Plus/プレミアムケアと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理になります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
ライバル機種
まとめ
ThinkBook初のCopilot+PCで、ビジネスPCなのにIdeaPad並みの価格なので、購入しやすい機種だと思います。
また、ThinkPadよりも万人受けする外観なので、普段使い用途でもビジネス用途でも性別に関係なく合うおしゃれな機種です。
ThinkBookの特徴であるメモリとSSDの増設ができないので残念です。また、公式サイトではQualcom(Snapdragonを作っている会社)では独立系ソフトウェアベンダーと提携してネイティブに使えるアプリをどんどん増やしているということですが、まだまだ使えないアプリもあるし、使えてもエミュレーションで動作して性能が落ちるものもあるので、確認してから購入するのが吉です。