覚えている限りでは初のSnapdragonを搭載したYogaの登場です。
しかもただのSnapdragonじゃなく、NPUを搭載したSnapdragon X Elite X1E-78-100を搭載した機種で、45TOPS(1秒間で45兆回の演算処理が可能)もの性能です。
MicrosoftによるとSnapdragon Xシリーズを搭載したPCは、M3チップを搭載するMacよりもCinebench 2024のスコアが最大55%も高かったそうです。
もしかして、ものすごいPCかもしれません。
追記)
実機のレビューをしたので、詳細はこちらをどうぞ。
Contents
Yoga Slim 7x Gen 9のスペック
SoC | Snapdragon X Elite X1E-78-100 |
---|---|
メモリ | LPDDR5X-8448 32GB |
ストレージ | SSD 1TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(14.5型) | 3K OLED |
OS | Windows 11 Home |
無線 | Wi-Fi 7 |
生体認証 | 顔認証 |
WEBカメラ | FHD+IRカメラ |
オーディオ | ドルビーアトモス対応2Wスピーカー×4 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 325 × 225.15 × 12.9mm |
重さ | 1.28㎏ |
バッテリー | 最大約21.5時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 253,220円 |
<性能評価>
本機はIntelやAMDといういつものCPUじゃなく、タブレットなどに搭載されることが多いSoCが搭載で、超高性能Snapdragon X Elite X1E-78-100になります。
なので、本機はArm版の’Windows 11になり、使えないアプリやソフトがあるかもしれません(詳しくは後述)。ビジネス用途で購入する場合は、「Armじゃないといけない」理由がない限り、検討しなおした方が良いかもしれません。
メモリは最新のLPDDR5X-8448MHzで、オンボード32GBになります。動作周波数が高く、処理もサクサク快適です。
ストレージも最新で、SSD PCIe 4.0で1TBと大容量です。
ディスプレイは業務用クリエイター向けで、高精細3KにOLEDディスプレイを採用、HDR True Black600に対応し、10 bit 10.74億色の発色、そしてデジタルシネマ規格のDCI-P3 100%になります。
また、14.5インチで画面アスペクト比が16:10と縦に長く、15.6インチ(16:9)よりも多くの情報を表示できるので、より作業がしやすいです。
その他のスペックはWindows 11 Home Armが搭載し、最新のWi-Fi 7に対応、Webカメラは高画質FHDに顔認証のIRカメラ付き、そしてドルビーアトモス対応2Wスピーカーが4つも搭載です。
14.5インチで1.28㎏と軽く、バッテリー駆動時間は最大約21.5時間と長めで、外出先でもがっつり作業をする人に合います。
旧モデルとの比較
Slim 7xは初のシリーズで、旧モデルはありません。
Copilot +PC
Copilot+PC(コパイロットプラスピーシー)と言うのは、Microsoftが「Microsoft Build 2024」で発表した新しいカテゴリのPCで、AI技術を活用するための機種と位置付けられています。
主な特徴です。
・NPU搭載
・16GB以上のDDR5/LPDDR5メモリ
・256GB以上のストレージ
・40+TOPS(1秒当たり40兆回の演算)
・終日のバッテリー寿命
・最先端のAIモデルへのアクセス
・RecallでPCで見たものを簡単に検索
・CocreatorでほぼリアルタイムにAI画像の生成及び調整
・Live Captionで40以上の言語の音声を英語に翻訳
・薄型軽量、美しいデバイス
40TOPSはすごいですね。執筆時現在(2024年5月)にこの基準をクリアしているのはクアルコム(Snapdragon)のみで、インテルやAMDは後塵を拝しています。
超高性能Snapdragon X Elite搭載
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
コア | 12コア |
Cache | 合計42MB |
TFLOPS(GPU) | 最大4.6 TFLOPS |
TOPS(NPU) | 最大45 TOPS |
このSoCの最大の特徴は、AI専用のNPUコアですね。最大45TOPSとSoC単体でここまで高いスコアは、IntelにもRyzenにもありません。
また、以前はx86プロセッサやAppleのArm CPUに比べ最大性能が劣っていましたが、本製品はシングルコア性能がIntel 13世代HシリーズやApple M2も上回っているとのことです。
また、多くのアプリからArm版Windows向けネイティブアプリケーションが提供されており、今まで以上に使えるアプリが多くなっています。
こちらはGeekbench 6のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-14900HX | |
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Core i7-14700HX | |
Core i7-13650HX | |
Core Ultra 7 165H | |
Core Ultra 9 185H | |
Core i5-13450HX | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 5 135H | |
Core Ultra 7 155U | |
Core Ultra 5 135U |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-14900HX | |
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Core i7-14700HX | |
Core i7-13650HX | |
Core Ultra 9 185H | |
Core Ultra 7 165H | |
Core Ultra 7 155U | |
Core i5-13450HX | |
Core Ultra 7 155H | |
Core Ultra 5 135H | |
Core Ultra 5 125H | |
Core i7-1365U | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 |
ギークベンチの性能を見る限り、マルチコアはかなり高い性能で、シングルコアはそこそこ良いスコアです。
NPUっていつ使うの?
ここ最近、AI、AIと言われていますが、AIコアであるNPUっていつ使うの?っていう疑問ありますよね。
今現在NPUコアを使ってできるものはWindows Studioエフェクトのみですが、このCopilot+PCでは以下のこともできます。
・ペイントでイラスト生成
・フォトで画像生成
・ライブキャプションのリアルタイム翻訳
・リコール(執筆時現在まだ使えません)
今後いろいろな機能が追加予定です。また、これらの機能はオンラインじゃなくローカル(自分のPC)でできるため、ネットにつながっていなくても利用可能です。(ペイントのイラスト生成のみネット環境必須)
また、現在ではPhotoshopやLightRoom、DaVinci Resolve StudioなどでAIコアを使う機能がどんどんリリースされています。
と言うことで、当サイトで筆者の用途で検証してみましたが、検証時点ではPhotoshopなどでAIコア対応機能が実装されていなかったので、参考程度に見てください。
筆者がやることで、NPUを使いそうなものはこちらです。
・Lightroomで編集
・PhotoshopでAI画像生成・Youtube動画作成
・Web会議・オンラインレッスン
・AI音楽生成ソフトで音楽作成
動画にまとめたので、どうぞ。
この中でNPUを使ったものは、Webカメラを使用時にWindows Studioエフェクトを使ったときのみです。ちなみに動画にはありませんが、Copilotで画像を生成しているときもNPUは動きませんでした。
Copilotキー搭載
<Copilotキー>
コパイロットはWordやExcelなどのMicrosoft製品をサポートする生成AIで、Chat GPTのような使い方もできます。
例えばCopilotで「Lenovoパソコンを購入するのに、おすすめのパソコンレビューサイトは?」と質問したら、当サイトも紹介されました。信頼性が高いAIです(笑)。
冗談はさておき、このボタン1つでいろいろなことができるので、最近Copilotキーを押すことが増えました。
その他の特徴
さすが、Copilot+PCに準拠しているのでおしゃれな筐体です。ベゼル(ディスプレイ周りの黒い枠)も細く、(画面が黒いこともあって)ほとんど見えないですね。(笑)
ディスプレイは高精細3K解像度で、完全な黒を表現できるOLEDディスプレイを採用、タッチパネルで最大輝度は1000ニト、標準で500ニトとは高いです。ダイナミックハイレンジのDolby VisionとHDR True Black600にも対応しており、メリハリのあるシャープな描写が可能です。
また、一般的なIPS液晶の発色数である1677万色を大きく上回る10.74憶色を表現でき、業務用スペックです。
色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3 100%で、正確な色を見ながら編集作業ができます。ちなみにリフレッシュレートは90Hzと若干高く、滑らかな映像です。
ディスプレイはあまり見慣れない14.5インチで、画面アスペクト比が16:10と縦に長いので15.6インチディスプレイ以上の情報が表示されます。
15.6インチ以上の情報が表示されるのに、質量はたったの1.28㎏と13.3インチ並みで持ち運びも軽々ですね。
コスミックブルーの濃い青でアルミニウムを使用しており、高級感があります。底面カバーの通気口も大きく、エアフローもよさそうです。
キーボードは日本語キーにバックライトとCopilotキー付きで、キーボード左右にスピーカーがあるので音も聞きやすいです。Lenovoでは最高峰の2Wスピーカーが4つも搭載です。
このクラスのスペックを搭載した機種とは思えないほど薄い機種で、たったの12.9㎜です。Copilot+PCはおしゃれなだけじゃなく薄くないといけないので、この点もネックになってIntelやAMDが搭載していないんじゃないかなと思います。
インターフェイスは電子式プライバシーシャッター、電源ボタン、そして’USB4が3つ搭載です。据え置き時はドックがあると便利ですね。
また、セキュリティは安全なAIパフォーマンスを実現するために独自に設計されており、ぷらーばしーやデータなどのもっとも機密性の高い情報を保護します。
Wi-Fi 7に対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11be (Wi-Fi 7) |
2.4/5/6GHz | 46Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 7に対応しており、現在主流のWi-Fi 6の約5倍、低価格モデルのPCに採用されるWi-Fi 5の約13倍の最大通信速度があります。また、理論上16本のストリームになり、今まで以上に多くのデバイス(理論上2倍)を接続して快適に使えます。
6GHzで最大320MHzのチャンネル幅があり、Wi-Fi 6E(最大160MHz)の2倍の帯域幅になります。
関連リンク