持ち運びができる超小型デスクトップワークステーションの、ThinkStation P3 Tinyです。ワークステーションとしてはエントリークラスのグラボが搭載で、CPUは最高でCore i9-13900とウルトラハイエンドです。
持ち運びができるし、置き場所にも困らない筐体ですが、小型なので通常サイズの筐体よりも熱がこもりやすく、性能も下がります。
当サイトの評価は、このようになりました。
スペック | [usr 4.2] |
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コスパ | [usr 3.7] |
総合評価 | [usr 4.0] |
Contents
ThinkStation P3 Tinyのスペック
CPU | Core i3-13100/13100T Core i5-13400/13400T Core i5-13500/13500T Core i5-13600/13600T Core i7-13700/13700T Core i9-13900/13900T |
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メモリ | 64GB |
ストレージ | SSD ×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA T400 NVIDIA T1000 |
OS | Windows 11 Home/Pro |
無線 | なし、Wi-Fi 6E、Wi-Fi 6E |
有線 | 1Gbe サーバーアダプターあり(オプション) |
オーディオ | 内蔵スピーカー |
寸法(幅×奥行×高さ) | 37 × 182.9 × 179㎜ |
重さ | 最大約1.4㎏ |
電源 | 170/230W |
標準保証 | 3年間プレミアサポート |
価格 | 13.7万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは最新のインテル第13世代で、通常版と省電力モデルのTシリーズが選択可能です。しかも、12種類のラインナップがあるので、好みのCPUを見つけることができると思います。
Core i3はそこそこ良い性能ですが、その他のCPUはかなり高い性能です。
メモリは最新のDDR5-4800MHzで、メモリスロット2つ・最大64GB搭載できます。
ストレージも最新のSSD PCI Express 4.0で、最大2枚搭載可能です。デュアルストレージにした場合は、RAID 0か1の設定も可能です。
グラフィックは内蔵グラフィックスか、旧称Quadroの次世代モデルであるNVIDIA Tシリーズが搭載可能です。ローエンドが中心ですが、T1000はVRAM 8GBモデルもあるので高負荷なこともしやすいです。
パソコンの性能は、ワークステーションとしてはエントリー~ミドルクラスになります。
その他のスペックは、Windows 11 HomeかProが選べ、無線は「なし」かWi-Fi 6、もしくはWi-Fi 6Eが搭載可能、ギガビットイーサネット搭載でインテル イーサネット・サーバー・アダプター I350-T4も搭載可能です。
マイクは非搭載ですがスピーカーは搭載、無線通信がある場合はBluetooth 5.1が搭載し、電源は170Wか230Wになり、どちらも電源変換効率は89%(80PLUS GOLD相当)になります。
執筆時現在販売されているモデルは、3年間のプレミアサポートが付いており、保証もサポートもばっちりです。
旧モデルとの比較
旧モデルのThinkCentre P360 Tinyとの比較です。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | 旧モデル | |
CPU | 13世代CPU | 12世代CPU |
メモリ | DDR5-4800 64GB | |
ストレージ | SSD×2 | |
GPU | 内蔵グラフィックス NVIDIA T400/ NVIDIA T1000 4GB/8GB |
内蔵グラフィックス NVIDIA T400/T600 NVIDIA T1000 4GB/8GB |
通信 | Wi-Fi 6/6E、イーサネット | |
電源 | 170/230W | |
重量 | 1.4㎏ |
同じ筐体を使用しており、変更点はCPUが最新になったところと、NVIDIA T600が搭載できなくなった点、そして通気孔が増えました。
こちらは、プロセッサーの性能を表すCPU Markスコアです。Core i3以外は大きく性能を上げており、よりサクサク使いやすくなっています。
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-13900 | |
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Core i9-12900 | |
Core i9-13900T | |
Core i9-12900T | |
Core i7-13700 | |
Core i7-12700 | |
Core i7-13700T | |
Core i7-12700T | |
Core i5-13600 | |
Core i5-12600 | |
Core i5-13600T | |
Core i5-12600T | |
Core i5-13500 | |
Core i5-12500 | |
Core i5-13500T | |
Core i5-12500T | |
Core i5-13400 | |
Core i5-12400 | |
Core i5-13400T | |
Core i5-12400T | |
Core i3-13100 | |
Core i3-12100 | |
Core i3-13100T | |
Core i3-12100T |
ThinkStation P3 Tinyの特徴
お弁当箱大サイズの筐体で、デスクトップですが持ち運びをする人もいますね。カフェなどで作業をすることがなく、家と会社を往復するような人であれば、パワフルなデスクトップを持ち運んで使えます。
寸法は
・幅 37㎜
・奥行 182.9㎜
・高さ179㎜
となっており、幅(縦置き時の幅)は一万円札の短辺の半分(36㎜)ほどと細いです。縦置き時の奥行と高さは、成人男性の平均的な手の大きさ(183㎜)ほどです。
これだけ小さいのでかばんにすっぽり入るし、重さはたったの1.4㎏と標準的な14インチノートPCと同じなので、手軽に持ち運べます。
LenovoにはTiny in oneモニターがあり、このモニターの後ろにTinyを取り付けることもできます。持ち運びをしない人や法人、不特定多数の人が使う用途の場合は安心です。
小さな筐体でパワフルですが、5面に通気孔があるので、エアフローは良いです。
縦置きにしたときの左側面です。旧モデルのP360 Tinyは通気孔が1つでしたが、本機は2つに増えました。実は、2世代前のP350 Tinyは本機と同じ様に通気孔が2つありましたが、P360で1つに変更し、おそらく排熱処理が上手くいかなかったので2つに戻したのかなと思います。
ちなみに、CPUなどが入っている方を触るときは、こちら側を開けます。
ツールレス オープンシャーシを選ぶと、ねじに取っ手が付くので、ドライバーなしでも筐体内部にアクセスできます。(初回は固いのでドライバーを使うこともあり)
縦置きにしたときの右側面です。メモリやSSDの増設をする時は、こちら側を開けてやります。
オプティカルドライブは、もちろん内蔵じゃなく上に置くタイプです。ただし、執筆時現在販売されているモデルは、オプティカルドライブの購入はできません。
バーティカルスタンド(モデルによっては標準搭載)があると、倒れにくくなります。
MILスペック
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
ISV認証
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)により、アプリケーションとの互換性や安定稼働、高い運用性をテストされてISV認証を取得しているので、安心して使えます。
英語版のみですが、Lenovoのサイトでどのベンダーのどのソフトと互換性があるか確認が出来ます。例えば下の画像は本機種「P3 Tiny」「Autodesk」「Autodesk 3ds Max 2023」で検索した結果です。
もちろん、Certified(認証済み)と出ました。
CPU
CPUはかなり多くの種類がありますが、大きく分けて通常版と、性能が下がる省電力版のTシリーズになります。カッコ内はPコア、Eコア、スレッド数です。
・Core i3-13100/13100T(P:4、E:0、スレッド 8)
・Core i5-13400/13400T(P:6、E:4、スレッド16)
・Core i5-13500/13500T(P:6、E:8、スレッド20)
・Core i5-13600/13600T(P:6、E:8、スレッド20)
・Core i7-13700/13700T(P:8、E:8、スレッド24)
・Core i9-13900/13900T(P:8、E:16、スレッド32)
Core i3のみEfficientコアがありませんが、その他はPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。
また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-13900K | |
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Core i9-13900 | |
Ryzen 9 7900 | |
Core i7-13700K | |
Core i9-13900T | |
Core i7-13700F | |
Core i9-12900K | |
Core i7-13700 | |
Core i9-12900 | |
Core i5-13600K | |
Ryzen 7 7700 | |
Core i7-12700K | |
Core i5-13600 | |
Core i5-13500 | |
Core i7-13700T | |
Ryzen 5 7600 | |
Core i5-12600K | |
Core i5-13600T | |
Core i5-13400 | |
Core i5-13400F | |
Core i5-13500T | |
Core i5-13400T | |
Core i3-13100 | |
Core i3-13100T |
選べるCPUが多すぎて逆に分かりづらいと思いますが、省電力のTシリーズも通常版も同じ価格をしており、コスパで見ると通常版が良いです。
ただし、小さな筐体なので、Core i7やi9を選ぶ場合はTシリーズが良さそうです。
グラフィックス
こちらは最新のグラボでRTコアやTensorコアもないですが、最大8GBのVRAMなので、比較的高負荷な作業もしやすいと思います。
T1000 | T400 | |
アーキテクチャ | Turing | |
CUDAコア | 896基 | 384基 |
RTコア | – | – |
Tensorコア | – | – |
メモリタイプ | GDDR6 | |
メモリ容量 | 4GB/8GB | 4GB |
メモリ帯域幅 | 160GB/秒 | 80GB/秒 |
TDP | 50W | 40W |
また、各グラフィックボードを搭載したら、以下のポートが付いてきます。
NVIDIA T400 | mini Display Port x3 |
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NVIDIA T1000 | mini Display Port x4 |
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-4800MHzで、最大64GB(32GB×2)になります。この小さな筐体で64GB搭載できるので、文句なしだと思います。
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
ストレージも最新のSSD PCIe 4.0が搭載で、最大2枚搭載できます。公式サイトからだと、最大2TB×2になりますが、自分で増設できる人は自分でやった方がお得です。というのも、2ndストレージに2TBを搭載したい場合は13.2万円、1TBでも6.6万円もかかりますが、一般的なSSD 1TBは1万円ちょっとなので格安です。
ただし、公式サイトでストレージを2つ搭載した場合は、ワンクリックでRAID設定ができます。
RAIDは0か1が設定でき、以下のような仕様になります。
- RAID 0は読み込み書き込みが高速で出来るし、分散してデータを保存ができる反面、1つのストレージに障害が発生すると復旧できません。(出来ない可能性が高いです)
- RAID 1は読み書きが遅いが、複数のストレージに「同じデータを書き込む」ので、1つのストレージに障害があってももう一つの方のデータを使って作業が出来ます。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
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PCIe 3.0×4 | |
HDD |
Wi-Fi 6Eに対応、サーバーアダプターもあり
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6に対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
有線接続は標準でギガビットイーサネットが搭載で、オプションでインテル イーサネット・サーバー・アダプター I350-T4に変更できます。2.5Gbeやサーバーアダプターを追加できます。
有線の最高速度は5GT/s(ギガトランスファー パー セカンド)になっています。
サーバーアダプターは、通常のコンピューターアダプターに比べ、転送速度が速く信頼性が高くなっています。
電源
電源は170Wか230Wになり、どちらも電源変換効率は89%(80PLUS GOLD相当)になります。
ただし、執筆時現在、すべてのモデルは230Wを使用しており、170Wは選べませんでした。まぁ、大きな電源の方がよりパワフルなので、これで良しだと思います。
インターフェイス
前面インターフェイスは、イヤフォン・マイクコンボジャック、USB-A 3.2 Gen2が2つ、USB Type-C 3.2 Gen 2、電源ボタンがあります。
背面には、セキュリティスロット、電源コネクタ、Display Port、USB-A 3.2 Gen1が2つ、HDMI、USB-A 3.2 Gen2が2つ、そしてイーサネットがあり、グラフィックボードを搭載したらmini Display Portが最大4つ付きます。
モニター
モニターは付属していないので、持ってない、もしくは買い替えを考えている場合は、こちらの記事も併せてどうぞ。
サポート・保証
標準で3年間のプレミアサポートが付いており、24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があり、プレミアサポートは翌営業日オンサイト修理になります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
ライバル機種
カフェなどの外出先で作業をするという人は、ノートパソコンの方が良いかもしれません。
ThinkPad P16s Gen 2 Intel
16インチで1.7㎏と軽く、持ち運び兼据え置き用として使いやすい機種です。ワークステーションとしてはエントリークラスで、2DCADや簡単な3DCADを扱う人、また学生にも合います
CPU | Core i5-1340P/1350P Core i7-1360P/1370P |
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メモリ | 最大64GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA RTX A500 |
ディスプレイ(16型) | WUXGA IPS タッチあり WQUXGA OLED |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 6E、4G LTE、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
重さ | 1.7㎏~ |
バッテリー | 最大約16.7時間 |
価格 | 20.2万円~ |
持ち運びをしないというのであれば、これも候補に入るかもしれません。
ThinkStation P360 Tower
ミニタワー型で最大9.4㎏と、ワークステーションとしては軽い方です。メモリは最大4枚・128GB、ストレージはSSD 3枚+HDD 4基の最大7つが搭載でき、RAID設定もできます。
CPU | Core i3-12100/12300 Core i5-12400/12500/12600/12600K Core i7-12700/12700K Core i9-12900/12900K |
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メモリ | DDR5 最大128GB |
ストレージ | 最大 SSD×3+HDD×4 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA T400/T600/T1000 NVIDIA RTX A2000/A4000/A4500/A5000 |
RAID | RAID 0, 1, 5 |
無線 | なし/Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E |
有線 | 1Gbe |
重さ | 最大9.4㎏ |
電源 | 500W/750W |
価格 | 21.8万円~ |
ThinkStation P360 Ultra
3.9Lの小型筐体で、最新のインテル第12世代CPUにRTX Aシリーズも搭載可能と基本性能は高く、2.5ギガビットイーサネットと1ギガビットイーサネットの2つのLANポートがあります。Tinyじゃもの足りないから、もうちょっとパワフルな機種が欲しいというニーズに合います
CPU | Core i3-12100/12300 Core i5-12400/12400T/12500/12600/12600K Core i7-12700/12700T/12700K Core i9-12900T/12900/12900K |
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メモリ | DDR5 最大128GB |
ストレージ | SSD×2+HDD |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス NVIDIA T400/T1000 NVIDIA RTX A2000/A5000 |
RAID | RAID 0、RAID 1 |
無線 | なし/Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E |
有線 | 2.5GbE+1Gbe |
重さ | 最大3.6㎏ |
電源 | 170W/230W/300W |
価格 | 19.9万円~ |
まとめ
良い点
・小型軽量で持ち運びもできる
・インターフェイスが豊富
・CPU性能が高い
・最新スペックが多い
・イーサネットが2つ搭載可能で、2つ目は通信速度がかなり速い
・若干の拡張性あり
残念な点
・当たり前ですが、筐体が小さい分、大きな筐体に比べ熱がこもりやすい