今までLenovoではSnapdragon Xシリーズ搭載のCopilot+PCしかありませんでしたが、2024年9月にAMD Ryzen搭載のYoga Pro 7 Gen 9 14.5型が、Intel搭載のYoga Slim 7i Aura Edition Gen 9が発売開始しました。
最大50TOPSのRyzen AI 9を搭載し、Puresight Pro 14.5型 2.8K OLEDディスプレイを採用した本格クリエイターPCです。
Contents
Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)のスペック
CPU | Ryzen AI 9 365 |
---|---|
メモリ | 32GB |
ストレージ | SSD 1TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(14.5型) | 2.8K OLED 10bit True Black 500 光沢あり |
OS | Windows 11 Home |
無線 | Wi-Fi 6E |
生体認証 | 顔認証 |
WEBカメラ | FHD、IRカメラ |
オーディオ | ドルビーアトモス、2Wスピーカー×4 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 325.5 × 226.49 × 16.6mm |
重さ | 1.54㎏ |
バッテリー(JEITA3.0) | 最大約11.5時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 25.9万円~ |
<性能評価>
最大50TOPSのNPUパフォーマンスを持つAMD Ryzen 9 365を搭載しており、CPU Markスコアは約3.1万のハイエンドプロセッサーです。ローカルでもAI機能が使えるので、飛行機などWi-Fiがない時でもAIを使って作業ができます。
メモリはLPDDR5X-7500MHzのオンボード32GBで、ストレージはSSD PCIe 4.0で1TBになります。メモリやストレージの増設はできませんが、容量も大きいので安心です。
ディスプレイは14.5インチの画面比が16:10で、15.6インチ並みの表示量があります。高解像度の2.8KのOLEDディスプレイを採用し、10.74億色の10bitに対応、ハイダイナミックレンジのTrue Black 500、Dolby Visionにも対応しています。
タッチパネルではないですが光沢ありの液晶で、リフレッシュレートは120Hzとなっています。
その他のスペックはOSはWindows 11 Homeで高画質FHD Webカメラ、顔認証のIRカメラもあります。無線はWi-Fi 6Eに対応し、オーディオはドルビーアトモスで2Wスピーカーが4つも搭載です。
14インチとほぼ変わらないコンパクトな筐体で、質量は1.54㎏と軽量じゃないですが持ち運びもしやすい重さです。
バッテリーはJEITA 3.0測定(ビデオ再生時)で最大約11.5時間と長く、作業内容や輝度によっては1日使えると思います。
2024年のトレンドと比較
2024年のノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。(〇/標準搭載、△/モデルによってはあり、×/なし)
Ryzen 8000/AI | NPU | Copilotボタン | DDR5 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
SSD PCIe 4.0 | アスペクト比16:10 | sRGB 100%以上 | Wi-Fi 6E |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ | 生体認証 | バッテリー10時間以上 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
プロセッサはRyzen 8000シリーズではなく、最新のAI PC向けRyzen AI 300シリーズです。
旧モデルとの比較
旧モデルはありませんが、兄弟モデルにIntel Core Ultraシリーズ2搭載のYoga Slim 7i Aura Edition Gen 9があります。
Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)の特徴
外観
ベゼルが細く、スリム筐体です。先述しましたが、14インチの筐体に14.5インチを詰め込んで作った感じなので、コンパクトですが画面は大きいです。
今までYogaには小さくLenovoと書かれたロゴがあったのですが、新機種はLenovoのみでYogaのロゴがないですね。ちょっと残念。
アルミニウムボディで、高級感もありそうですね。今までのYogaよりも底面通気口が大きくなってますね。
ファンは2つ、ヒートパイプも2つと上位モデルの排熱機構で、ソフトウェアアクセラレータがリアルタイムでオペレーションを最適化しながら、ハードウェアに冷気を循環させるバイオミメティックファンで安定したパフォーマンスを提供します。
キーボードは84キーの日本語配列で、バックライト付きです。タッチパッドは135㎜×80㎜と大きく、操作性も高いと思います。
キーボードは新しくなっており、キーストロークは1.5㎜で0.3㎜のキーキャップを採用し、ミスをしにくくなっているようです。また、耐油性に優れシルクのような手触りのコーティングをしており、長時間の使用にも耐える設計になりました。
スピーカーはキーボード左右にあり、2Wツイーターが2つ、2Wウーファーが2つあり、108Hzから20KHzの広い周波数帯域を提供し、最大80dBのパワフルなサウンドになっています。オーディオはドルビーアトモスで、立体的な音響になっています。
80dBってすごいですね。救急車のサイレンが80dBくらいらしいですよ(笑)
AIでできること
さて、AIが搭載したと言っても「おー、すごい。でも何に使えるの?」って疑問がありますよね。
有名どころで言えばWindows Studio EffectやCocreatorなどWindowsのAIに対応した機能が使え、例えばPhotoshopなどもAI対応の機能を追加していくとのことで、今後多くのアプリの機能がNPUで動くようになります。
これは、今までCPUで処理をしていたことをNPUがするようになり、よりCPU性能を必要なことに使うことができます。
今現在は劇的に何かが変わるというよりも、今後少しずつ変わっていくと思われます。
Ryzen AI 300シリーズを採用
本機最大の特徴は、コレですよね。アーキテクチャがZen 5(本機はZen 5とZen 5cが搭載)になったRyzen AI 300シリーズです。
Ryzen AI 9 365 | |
製造プロセス | 4nm |
アーキテクチャ | Zen 5、Zen 5C |
NPU | 最大50TOPS |
コア | 10 |
スレッド | 20 |
L3キャッシュ | 24MB |
ブーストクロック | 5GHz |
ベースクロック | 2GHz |
デフォルトTDP | 28W |
*TOPS・・・1秒間に何兆回演算を実行できるかの数値。50TOPSは50兆回/秒
最大50TOPSのNPUを兼ねそろえるRyzen AI 9 365は、アーキテクチャにZen 5とZen 5cを採用しています。CはコンパクトのCで、IntelにはパワフルなPコアと高効率なEコアがありますが、Intelっぽく言えば、Zen 5はPコア、Zen 5cはEコアになります。
Zen 5cは1コア当たり1MBのキャッシュで(Zen 5は1MB当たり4MB)ピーククロック数も抑えており、電力効率が上がります。低負荷な作業をするときはZen 5cを使用し、バッテリー駆動時間が伸びるわけですね。IntelのPコアEコアと同じ概念ですが、AMDはEコアって言う名称を使いたくないようです。(笑)
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアで、PassMark Softwareが公表している数値です。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 9 185H | |
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Ryzen AI 9 365 | |
Ryzen 7 8845H | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 7 165H | |
Ryzen 7 8840HS | |
Ryzen 7 8840U | |
Core Ultra 7 155H | |
Ryzen 5 8645HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 8640U | |
Ryzen 5 8540U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | ディスプレイ | 輝度 |
14.5型 2.8K | あり | OLED | 400nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角 | その他 |
100万:1 | DCI-P3 100% ΔE<1 |
175° | Dolby Vision、Factory キャリブレーション、HDR True Black 500 |
14.5インチとあまり見ない大きさですが、画面アスペクト比が16:10と縦に長いので、15.6インチ並みの情報が表示されます。
左は本機と同じディスプレイで、真ん中は15.6インチです。15.6インチよりも情報量が多いですね。ちなみに一番右の16:10 14インチディスプレイと比べても、全然情報量が違います。
高解像度の2.8Kと細かな部分ましっかりと見え、完全な黒を描写できるOLEDディスプレイを採用し、業務用レベルの10bit 10.74億色にも対応、そしてHDR(ハイダイナミックレンジ)のTrue Black 500とDolby Visionにも対応したハイスペックディスプレイです。
色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3 100%で、ΔE<1になっています。現実の色彩に近い色の表現が可能です。
リフレッシュレートは120Hzと高く、軽いゲームをするときに役に立つと思います。
ディスプレイはPureSight Proとなっており、PureSightはいくつかの旧モデルにも採用されており、よりシャープな映像がより速く、そしてより現実の様に描写できるとのことでした。今回はPro版なので性能が上がっているんだと思います。
輝度は400ニトで、こちらは輝度の目安です。
220ニト | 室内ならなんとか使える。明るい室内では暗く見える |
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250ニト | 室内向け。屋外では日陰ならギリギリ使える |
300ニト | 屋外の日陰でも見える |
400ニト | 屋外でも使いやすいが、直射日光が当たるとちょっとくらい |
500ニト | 屋外向け |
600ニト | 画面に直射日光が当たっても比較的見える |
Wi-Fi 6Eに対応
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができます。
インターフェイス
右側面は①から電子式プライバシーシャッター、電源ボタン、マイク/ヘッドフォンジャック、USB 3.2 Gen 2(データ転送速度10Gbps)になります。
左側面はHDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(データ転送速度10Gbps)、USB4(データ転送速度40Gbps)になります。
インターフェイスの数は多くないですが高品質で、USB4もあるのでドックを使ってもいいですね。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長4年まで延長できます。また、Premium Care Plus/プレミアムケアと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理になります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
ライバル機種
同時期に4機種発表されたので、こちらも併せてごらんください。
まとめ
本機最大の特徴は、Lenovo初のAMD搭載Copilot+PCという点ですね。今まではスナドラだったからエミュレーターを使わないと使えないアプリとかも多かったですが、本機ではそういったこともなく今まで通り使えます。というか、むしろ今まで以上に使いやすくなりますね。
全体的にハイエスペックな機種で、持ち運び用でも据え置き用でもどちらでも使いやすいと思います。
先ほども言いましたが今現在劇的に使いやすくなるわけじゃなく(劇的に使いやすくなる機能もありますが)、今後いろいろなアプリが対応していく過程で、どんどん使いやすくなります。