画面アスペクト比が16:10になり、全体的な性能が上がったThinkPad E14 Gen 5 AMDです。重量も1.41㎏と標準的な14インチの重さで、バッテリー駆動時間は最大約20.9時間と低価格モデルではありえないくらいの長さです。
全体的にしっかりとしたスペックで、7.9万円からの機種とは思えないほどのスペックです。
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スペック | [usr 4.4] |
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コスパ | [usr 4.9] |
総合評価 | [usr 4.8] |
Contents
ThinkPad E14 Gen 5 AMDのスペック
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
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メモリ | 最大24GB |
ストレージ | 最大SSD ×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
ディスプレイ(14型) | WUXGA/2.2K IPS 光沢なし、タッチあり |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 6/6E、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証あり |
WEBカメラ | FHD 1080p、FHD+IR |
オーディオ | ドルビーアトモス |
寸法(幅×奥行×高さ) | 313 × 219.3 × 18mm |
重さ | 約1.41㎏~ |
バッテリー | 最大約20.9時間 |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 7.9万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは最新のRyzen 7000シリーズが搭載で、CPU性能は高いですが、Ryzen 7000シリーズの中では下位モデルになっています。Ryzen 7のCPU Markは2万近いスコアですが、メモリは旧モデルのDDR4まで対応、ストレージも旧タイプのPCIe 3.0×4までの対応です。
と言っても、体感でそこまでの差はないので、気にしなくてもいいと思います。
メモリはDDR4-3200MHzで、オンボード+スロットで最大24GBになります。オンボードは最大8GBで、スロットに最大16GB搭載できます。
ストレージは最新のSSD PCIe 4.0が搭載ですが、CPUがPCIe 3.0×4までしか対応していないので、PCIe 4.0の速度は出ません。それでも高速で、パソコンの起動も10~15秒ほどと速いです。また、最大2つのSSDを搭載可能なので、アマゾンなどでSSDを購入して自分で増設できます(公式サイトでは2ndストレージのカスタマイズができません)。
ディスプレイはついに画面アスペクト比が16:10と縦に長くなり、14インチでも15.6インチ並みの情報が表示されます。(1920×1200ドット)か2.2K(2240×1400ドット)解像度があり、2.2Kは広色域のsRGB 100%になります。
無線はWi-Fi 6かWi-Fi 6Eに対応し、1ギガビットイーサネットもあるので有線接続も可能です。指紋センサーや顔認証もあり、モデルによっては標準搭載です。
Webカメラは高画質FHD 1080pで、IRカメラとのハイブリットカメラもあります。仕様書にはHD 720p解像度Webカメラもあるのですが、執筆時現在、選べませんでした。
重さは14インチでは標準的な1.41㎏で、バッテリー駆動時間は最大約20.9時間と長いので、外出先で多くの時間を過ごす人に向いています。ただし、この場合は57Whrのバッテリーを搭載しているので、標準搭載の47Whr時よりも重たくなります。
インターフェイスは悪くない程度にあり、2つあるUSB Type-Cのどちらも映像出力機能付きで、うち1つはデータ転送速度が10Gbpsと速いです。
ギリギリですが、7万円台のビジネスPCとしては十分過ぎるスペックかなと思います。
2023年のトレンドと比較
2023年のノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。(〇/標準搭載、△/モデルによってはあり、×/なし)
Ryzen 7000 | DDR5 | PCIe 4.0 | アスペクト比16:10 |
〇 | × | × | 〇 |
Wi-Fi 6/6E | sRGB 100%以上 | 輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ |
〇 | △ | 〇 | 〇 |
生体認証 | 重量1.4㎏前後 | 最大バッテリー14時間以上 | |
△ | 〇 | 〇 |
CPUが対応していないのでしょうがないですが、メモリとストレージは前世代の規格に対応です。広色域のsRGB 100%は2.2Kディスプレイのみで、指紋センサーやIRカメラはカスタマイズから搭載できますが、モデルによっては標準搭載です。
旧モデルとの比較
旧モデルのThinkPad E14 Gen 4 AMDとの比較です。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | Gen 4 | |
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
Ryzen 3 5425U Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
メモリ | 24GB | 40GB |
ストレージ | SSD ×2(PCIe 3.0) | |
ディスプレイ | WUXGA/2.2K IPS | FHD IPS |
無線 | Wi-Fi 6/6E | Wi-Fi 6 |
バッテリー | 20.9時間 | 16.7時間 |
重量 | 1.41㎏ | 1.64㎏ |
寸法 | 313 × 219.3 × 18㎜ | 324 × 220.7 × 17.9㎜ |
変更点です。
・CPUがRyzen 7000シリーズに
・最大メモリ容量が24GBにダウン
・画面比が16:10に
・バッテリー駆動時間が4.2時間伸びた
・230gも軽くなり、筐体幅が1㎝以上小さくなった
・Wi-Fi 6Eに対応
画面アスペクト比がようやく16:10になり、重量も14インチの標準的な約1.4㎏になりました。ようやく持ち運びが多い人にもお勧めできる機種になっています。
こちらは、プロセッサーの性能を表すCPU Markスコアです。
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Ryzen 7 7730U | |
---|---|
Ryzen 7 5825U | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 3 7330U | |
Ryzen 3 5425U |
旧モデルの性能が高かったので、スコア自体はそこまで変わりがありませんが、若干性能が高くなり、バッテリー駆動時間が伸びているので、省電力性が上がっていますね。
ThinkPad E14 Gen 5 AMDの特徴
液晶が16:10と縦に長くなりましたが、筐体は旧モデルより少し小さくなっています。WEBカメラ部分はノッチになり、カメラやマイクがある部分だけ大きく、その他の部分は細くなっています。このおかげで開けるときに指に引っ掛かりができ、開けやすくなりました。
寸法は
・幅 313㎜
・奥行 219.3㎜
・高さ 18㎜
で、かなりコンパクトです。これ、フラッグシップモデルのThinkPad X1 Carbon Gen 11(20万円以上!)よりもコンパクトです。
比較です。
X1 Carbon・315.6 × 222.5 × 15.36㎜
本機・313 × 219.3 × 18㎜
厚さは負けますが、その他は本機の方が小さいです(笑)。20万のPCよりもコンパクトなんて、すごいですね。
高さは18㎜と普通、重量も1.41㎏と普通です。ただし、今までのE14シリーズは重たかったので、持ち運びが楽になりました。
天板はアルミニウムを使用し、手触りもよく高級感がありますが、指紋が付きやすいので時々拭くと良いです。
MILスペックに準拠
MIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
WEBカメラ周り
Webカメラは高画質FHD 1080pでプライバシーシャッター付き、そして顔認証用のIRカメラモデルもあります。
IRカメラを選んだ場合はハイブリットカメラになり、1つのカメラでWebカメラとIRカメラの機能が付いています。
FHD Webカメラは高画質で、Web会議などで相手に表示される自分の映像が高精細ですが、ハイブリットカメラの場合は、若干画質が劣ります。
マイクはデュアルアレイで2つ搭載、そしてドルビーアトモス対応の2Wスピーカーが2つあります。また、周囲の騒音があるときや、複数人で会議をしているときに、自動的に音量を調整するDolby Voiceにも対応しています。
キーボード
キーボードはフルサイズの89キーで、日本語キーか英語キーが選べ、バックライト有り無しも選べます。
ThinkPadは打鍵感が良く、タイピングがしやすいのが特徴ですね。ただし、バックライト無しのキーボードはプラスチック感が強く打鍵感も低いので、バックライトありを強くお勧めします。
指紋センサーを選んだ場合は、電源に統合されているので、電源を入れたらサインインも完了です。
Ryzen 7000シリーズプロセッサー搭載
Ryzen 7 7730U | Ryzen 5 7530U | Ryzen 3 7330U | |
製造プロセス | 7nm | ||
アーキテクチャ | Zen 3 | ||
コア/スレッド | 8/16 | 6/12 | 4/8 |
L3キャッシュ | 16MB | 8MB | |
ベースクロック | 2.0Hz | 2.3GHz | |
ブーストクロック | 4.5GHz | 4.3GHz | |
GPUコア | 8 | 7 | 6 |
TDP | 15W |
アーキテクチャはRyzen 5000シリーズと同じZen 3になり、TDPは省電力の15Wです。最大温度が95°と低いので、今までよりも長時間高負荷な作業がしやすくなっています。
性能は高いのですが、先述したように、最新規格のメモリやストレージ、そしてUSB4にも対応していません。新しいCPUですが、旧モデルの技術を移植しただけです。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアです。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 14000~・ハイエンドPCに搭載される
- 15000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i5-1340P | |
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Ryzen 7 7730U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 7530U | |
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1255U | |
Ryzen 3 7330U | |
Core i7-1165G7 |
Ryzen 3でも、ビジネス用途で快適に使える目安のスコア1万を超えており、特に心配することはないと思います。
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 |
14型 WUXGA | なし | IPS | 300nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角 | その他 |
800:1 1500:1 |
NTSC 45% sRGB 100% |
170° | タッチあり |
ディスプレイは14インチで、画面アスペクト比が16:10と縦に長く、14インチでも15.6インチ並みの情報が表示されます。
一目でより多くの情報を見て取れるので、作業効率が上がります。
解像度はWUXGA(1920×1200ドット)か2.2K(2240×1400ドット)があり、2.2Kは若干高精細ですが、色域がsRGB 100%と広いので、画像編集をするクリエイターにも向いています。
左がsRGB 100%で、右がNTSC 45%の色域です。全然色が違いますね。sRGB 100%の液晶は、クリエイターのみじゃなく、動画配信を見るような人にも向いています。
輝度は全モデル300ニトとそこそこ明るく、WUXGAモデルにはタッチパネルモデルもあります。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
メモリはDDR4-3200MHzで、最大でオンボードに8GB+スロットに16GBの24GBと大容量です。
メモリ自体は旧モデルですが、処理速度も普通に速く、問題なくサクサク使えます。
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
ストレージは最新のSSD PCIe 4.0が搭載ですが、CPUが対応していないため、PCIe 3.0×4の接続になります。
また、SSDを増設できるので、自信がある方はやってみると良いと思います。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
セキュリティ
ThinkPadは、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
Wi-Fi 6/6Eに対応し、RJ45もあり
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6、もしくは6Eに対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
イーサネットコネクタもあり、最大1Gbpsになります。
バッテリー駆動時間
バッテリーは47Whrが標準搭載で、57Whrも選べます。57Whrを搭載した場合は、最大バッテリー駆動時間が約20.9時間と長めです。
インターフェイス
インターフェイスは十分にありますが、1つのUSBを除き、データ転送速度は5Gbpsとなっています。
右側面インターフェイスはUSB 3.2 Gen 1、RJ45、そしてセキュリティキーホールになります。
左側面はUSB 3.2 Gen 2 Type-C(充電兼用/映像出力機能付き・データ転送速度10Gbps)、USB 3.2 Gen 1 Type-C(映像出力機能付き)、USB 3.2 Gen 1、HDMI、マイク/ヘッドフォンジャックになります。
イーサネットコネクタもあるので、据え置き用として使うときにも使いやすいです。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
ライバル機種
ThinkPad X13 Gen 4 intel
13.3インチとコンパクトで、重さも1.09㎏からと羽のような軽さです。ハイエンドなモバイルPCで、性能も機動性は抜群です。それでいて、13万台からと低価格です
CPU | Core i3-1315U Core i5-1335U/1345U Core i7-1355U/1365U |
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メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大2TB |
ディスプレイ(13.3型) | WUXGA IPS 2.8K OLED |
無線 | Wi-Fi 6E、4G LTE/5G |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証 |
WEBカメラ | HD、FHD、500万画素 |
重さ | 1.09㎏~ |
バッテリー | 最大約22.9時間 |
価格 | 13.6万円~ |
ThinkPad E14 Gen 5 Intel
本機の兄弟モデルで、インテルCPUが搭載です。Thunderbolt 4も搭載しており、SSDも最新のPCIe 4.0に対応しているため、AMDモデルよりも若干便利でハイスペックです
CPU | Core i3-1315U Core i5-1335U Core i7-1355U Core i5-1340P Core i7-1360P |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | 最大SSD ×2 |
ディスプレイ(14型) | WUXGA IPS 光沢なし、タッチあり |
通信 | Wi-Fi 6/6E、1ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証あり |
WEBカメラ | FHD 1080p、FHD+IR |
重さ | 約1.41㎏~ |
バッテリー | 最大約15.4時間 |
価格 | 8.1万円~ |
まとめ
良い点
・かなりコンパクトな筐体
・天板にアルミニウム素材を使用し、高級感がある
・画面比が16:10で、14型でも15.6型並みの情報が表示される
・メモリとストレージの増設が可能
・Wi-Fi 6かWi-Fi 6E搭載
・イーサネットもあり
・Webカメラが高画質
・バッテリー駆動時間が長い
残念な点
・価格を考えたら特にないが、メモリとストレージも最新規格に対応していたら良かった。(ただし、もし対応していたら、7.9万円じゃ販売されていないと思います)
総合評価
画面アスペクト比が16:10になり、重量も改良化され、筐体もコンパクト、そして全体的なスペックが高い機種です。これ、7.9万円からって、コスパが高いですね。
個人的には、画面が大きくなったのに軽くなり、バッテリー駆動時間も伸びたので、言うことなしだと思います。