ThinkCentreのMシリーズTinyは、最近人気がある省スペースモデルの中でも抜群に小型の機種になります。
たった1Lの筐体で寸法は幅3.65㎝、奥行き18.29㎝、高さ17.9㎝と持ち運びができるほどのサイズです。
スペースの都合上大きなデスクトップを置けない人や、来客用のPC、もしくは最大で3画面まで使えるのでトレーディングなど多くのモニターが必要な人に合います。
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ThinkCentre M70q Tiny Gen 5 Intelのスペック
CPU | Intel 300T Core i3-14100T Core i5-14400T/14500T/14600T Core i7-14700T |
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メモリ | DDR5-4800 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
LAN | 無し/Wi-Fi 6/6E |
有線LAN | 1Gbe/2.5Gbe(RJ45) |
付属 | マウス、キーボード(付属無し可能) |
寸法 | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65W/90W/135W |
保証 | 1年間プレミアサポート |
価格 | 8.7万円~ |
パソコンの頭脳であるプロセッサーには、Ryzen 8000 GEシリーズが搭載です。ベースパワーが35WT省電力モデルTシリーズが搭載ですが、Core i7は最大ターボパワーが106Wと高いです。
また、Core i5-14500Tと14600T、そしてCore i7-14700TはvPro対応なので、多くのPCを管理する企業にも使いやすいです。
メモリはDDR5-4800で最大64GBとまず困ることはない大きさで、ストレージはSSDが2枚搭載できます。
その他のスペックはOSは一部モデルはWinodws 11 Homeのみで、Proが選べるモデルもあるのでご注意ください。
LANは1ギガビットイーサネットか2.5ギガビットイーサネットが搭載でき、無線はデフォルトで「なし」ですがWi-Fi 6か6Eを追加可能です。Wi-FiがないとBluetoothもないので、マウスやイヤフォンをBluetoothで接続予定の人は必須です。
また、こちらもデフォルトでマウスとキーボードがついていますが、必要ない場合は「カスタマイズ」から変更できます。
インターフェイスも豊富で、一般的なデスクトップ並みにあります。
旧モデルと比較
旧モデルはThinkCentre M70q Tiny Gen 4で、外観は同じですが筐体内部が少し変わっています。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
旧モデル | 本機種 | |
CPU | Core i3-13100T Core i5-13400T/13500T/13600T Core i7-13700T |
Intel 300T Core i3-14100T Core i5-14400T/14500T/14600T Core i7-14700T |
メモリ | DDR4 64GB | DDR5 64GB |
ストレージ | SSD+HDD | SSD ×2 |
無線 | 1ギガ/ 2.5ギガビットイーサネット なし/Wi-Fi 6/6E |
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電源 | 65W/90W/135W | |
重量 | 最大1.25㎏ |
変更点です。
・CPUが13世代インテルから14世代に
・メモリがDDR4からDDR5に
・SSDが2枚搭載可能に
・筐体内部が変更
ほぼ同じ筐体でCPUやメモリが変わった、ブラッシュアップモデルです。以前は筐体内部の半面にCPUなどがあり、反対面にメモリとSSDが入っていたのですが、本機は全部同じサイドに入るようになりました。
こちらはプロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Core i7-14700T | |
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Core i7-13700T | |
Core i5-14600T | |
Core i5-13600T | |
Core i5-14500T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-14400T | |
Core i5-13400T | |
Core i3-14100T | |
Core i3-13100T |
豊富な用途に対応
本機の最大の特徴の一つとして、いろいろな用途に対応できるという点にあります。
小型筐体なので、自宅と事務所で使うように持ち運びもできます。昔使っていたレンタルオフィスで、ミニPCを持ち運んでいる人もいましたね。
昔の職場では来客用のパソコンとして使用していました。こういうパソコンって触られたら困るので、モニターの後ろに設置して見られないようにしていました。
もしくは最大3画面表示が可能なので、多くのモニターが必要なトレーダーにも合うし、省スペースで低価格なので、コールセンターや事務用のパソコンとしても活躍します。
インテル14世代CPU搭載
Core i3-14100T | Core i5-14400T /14500T/14600T |
Core i7-14700T | |
P/Eコア | 4/0 | 6/4 6/8,6/8 |
8/12 |
スレッド | 8 | 16/20/20 | 28 |
L2キャッシュ | 5MB | 9.5/11.5/20MB | 28MB |
ターボブーストマックステクノロジー | – | 4.5/4.8/5.1GHz | 5.2GHz |
Pコア最大クロック | 4.4GHz | 4.5/4.8/5.1GHz | 5.0GHz |
Eコア最大クロック | – | 3.2/3.4/3.6GHz | 3.7GHz |
GPU実行ユニット | 24EU | 24/32/32EU | 32EU |
ベース/ターボパワー | 35/69W | 35/82W 35/92W,35/92W |
35/106W |
※Core i5-14500/14600、Core i7-14700はvPro対応
Intel T300はPコア2コアで4スレッド、35Wになります。
T300とCore i3以外のCPUはPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。
vPro対応モデルもあるので、企業で多くのPCを一括管理するには便利です。
また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。
ターボブーストマックステクノロジー3.0は、プロセッサーの中の最もパフォーマンスの高いコアを識別し、電力と熱のヘッドルームを利用して、必要に応じてそれらのコアの周波数をあげることにより更なるパフォーマンスを提供します。
ベースパワーは35Wと省電力ですが、最大パワーはCore i7では最大106Wもあるのでこの小さな筐体には大きすぎると思います。Core i5くらいまでが現実的かと思います。
また、2024年に何かと話題になるNPU(AIコア)ですが、本機にはありません。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアで、公開されているスコアや当サイトで計測したものになります。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700 | |
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Core i9-12900K | |
Core i7-13700 | |
Core i7-14700T | |
Core i9-12900 | |
Core i5-14600 | |
Core i5-13600 | |
Core i5-14500 | |
Core i5-14600T | |
Core i5-14400 | |
Core i5-13400 | |
Core i5-14400T | |
Core i5-14500T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-13400T | |
Core i3-14100 | |
Core i3-14100T | |
Core i3-13100 |
それではその他の特徴です。
その他の特徴
外観
CPU違いのAMDモデルを購入したのですが、全く同じ筐体なのでそちらの写真をご紹介します。
5歳の息子に持ってもらっているのですが、手のひらサイズの小さな筐体です。スペースの都合上デスクトップをあきらめる人は多いですが、このサイズならどこにでも設置できますね。
昔使っていたレンタルオフィスで、こういったミニPCを自宅とオフィスに持ち歩いて使っている人がいましたね。一般的なノートパソコンよりも軽い(最大構成時1.25㎏)ので、機動性は抜群ですね。
実測1152gとかなり軽いですね。ハイエンド13.3インチノートパソコン(平均約1.2㎏)より軽いです。
小さいのにインターフェイスは豊富で、USB 3.2 Gen 2(データ転送速度10Gbps)が4つ、USB 3.2 Gen 1が2つ(うち1つはType-C/データ転送と外部電源供給対応)、そして背面にUSB 2.0が1つあります。
HDMIやDisplayPort、RJ45もあるし、インターフェイスはカスタマイズから増やすこともできます。カスタマイズからポートを追加したら最大で3台の外部ディスプレイに接続できるので(追加しない場合は最大2台)、トレーディングやCADなど専門的なことをする場合でも使いやすいです。
旧モデルのように側面には通気口はありません。
ちなみに撮影で使用しているバーティカルスタンドは1100円で購入できますが、横置きにする人は必要ありません。また、バーティカルスタンドに立てた状態で電源を押すと、机の素材によっては筐体もちょっと動きます。
<バーティカルスタンド/1100円>
本機種はアメリカ軍の物資調達規格であるMILスペック準拠の堅牢性があり、気温や湿気などの耐久性テストをクリアーしています。耐久性や堅牢性が高いので、安心して使えます。
ツールレス設計
こちらはAMDモデルですが、同じ構造なので参考にどうぞ。
本機はツールレス設計で、その名の通り工具なしで筐体内部にアクセスできます。カスタマイズからオープンシャーシを選ぶと、唯一のネジに取っ手が付いてくるので、ドライバー無しで内部にアクセスできます。
今までのモデルと違い、反対側は開きません。こちら側だけになります。
SSDは見えるのですが、メモリスロットが見えないですね。
と思ったら、ファンの下にありました。ちなみにデスクトップでは珍しく、内蔵スピーカーもあります。
増設方法はこちらにまとめているのでどうぞ。
メモリ
メモリはパソコンの作業台で、大きければ大きい程より大きなデータが扱いやすくなります。
搭載メモリはDDR5-4800MHzでメモリスロットが2つあり、最大64GBまで増設できます。
筆者はいつもCrucialのメモリやストレージを買うのですが、高くないけど高品質です。
こちらは当サイト計測の、メモリ性能平均値です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
LPDDR5X平均 | |
---|---|
DDR5平均 | |
LPDDR5平均 | |
LPDDR4X平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。全てのストレージはOPAL対応です。OPAL(オパール)とは自己暗号化ドライブ、ハードウェアレベルでデータを暗号化できます。
搭載ストレージは最新のPCIe 4.0で、データ転送速度もパソコンの起動も爆速です。
公式サイトでは最大1TBのSSD PCIe 4.0を2枚搭載できますが、もしできるのであれば自分で増設したほうが安上がりです。公式サイトは2TBが19~22万円!!ですが、CrucialのSSD PCIe 4.0は2TBで2万円、500GBは7600円です。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
LAN
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
無線はWi-Fi 6か6E、そしてWi-Fi無しになり、標準搭載で1ギガビットイーサネットコネクタがあるので、問題ないと思います。高速通信が必要な場合は2.5ギガビットイーサネットも搭載できます。
先述しましたが、Wi-Fi「なし」を選ぶと(デフォルトで無し)Bluetoothもないのでご注意を。
Wi-Fiを選ぶとこういったアンテナも付いてきます。
セキュリティ
Think製品は全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
主なセキュリティです。
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアやフィッシングなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- ケーブルロック・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所(オプション)
- Smart USB Protection・・・USBポートからのデータの流出や、外部から USB ポート経由でシステムやネットワークに侵入を防ぐ
- AMD Memory Guard・・・メモリを暗号化
- DASH(Desktop and Mobile Architecture for System Hardware)・・・保護されたアウトバンド管理やリモート管理が可能
- OPAL・・・自己暗号化ドライブ
一般的なパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
電源
電源は65Wと90W、135Wがあり、筆者が購入したモデルは65Wでした。すべて電力変換効率が89%と高く、80PLUS Gold並みです。
インターフェイス
1. 電源ボタン 2. USB-C 3.2 Gen 1 Type-C 3. USB-A 3.2 Gen2 4. USB-A 3.2 Gen2 5. コンボジャック |
6. 電源コネクタ 7. DisplayPort 8. USB 3.2 Gen1 9. HDMI 10. USB 2.0 11. USB 3.2 Gen 2(2つ) 12. RJ45 13. Wi-Fiアンテナをつけるところ 14.セキュリティロック |
これだけ小さな筐体なのに、十分すぎるほどのインターフェイスがありますね。カスタマイズからまだまだ追加できるので、確認してみてください。
サポート・保証
執筆時現在、標準で1~3年間の「オンサイト修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
プレミアサポートにアップグレードしたら、翌営業日オンサイト修理保証になります。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
まとめ
良い点
・小型軽量で置き場所に困らない・持ち運びも可能
・小型だがインターフェイスも豊富
・最新スペックが多く採用されている
・メモリとSSDの増設が可能
・ビジネス用途にも十分な速度のストレージ
残念な点
・AIコアがない
総合評価
本機は省スペースのデスクトップで、通常デスクトップの置き場所がない人や、デスクの上をコンパクトにまとめたい人、大量購入をするので少しでも場所を節約したい人や企業などに向けたPCです。
まぁ、興味本位で購入する人もいると思いますが、基本は「このサイズじゃないとダメ」って人向けです。大きなPCを置けるならそちらのほうが性能は高いので、そっちのほうがいいですしね。(大きなPCでもよい人はThinkCentre全機種の比較もどうぞ)
また、小さいながらもメモリとSSDの増設ができるので、長く使っていくことができます。
小さくても性能は高いので、ビジネス用途でもサクサクこなせるスペックがありますが、筐体が小さいので、発熱が大きいインテルCPUを搭載する場合はCore i5くらいまでが良いと思います。