ThinkCentreのMシリーズTinyは、最近人気がある省スペースモデルの中でも抜群に小型の機種になります。
本機は3年ぶりに新しいモデルになり、旧モデルのGen 2から2つ飛ばしてGen 5になりました。
たった1Lの筐体で、寸法は幅3.65㎝、奥行き18.29㎝、高さ17.9㎝と、少年ジャンプより全然小さなサイズになっています!
スペースの都合上大きなデスクトップを置けない人や、来客用のPC、もしくは最大で3画面まで使えるのでトレーディングなど多くのモニターが必要な人に合います。
Contents
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ThinkCentre M75q Tiny Gen 5のスペック
CPU | Ryzen 3 8300GE Ryzen 3 PRO 8300GE Ryzen 5 8500GE Ryzen 5 PRO 8500GE Ryzen 7 8700GE Ryzen 7 PRO 8700GE |
---|---|
メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
LAN | 無し/Wi-Fi 6 |
有線LAN | イーサネット(RJ45) |
付属 | マウス、キーボード(付属無し可能) |
寸法 | 36.5 × 182.9 × 179㎜ |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65W/90W |
保証 | 1年間オンサイト |
価格 | 8.5万円~ |
パソコンの頭脳であるプロセッサーには、Ryzen 8000 GEシリーズが搭載です。TDPが35Wと省電力になっており、デスクトップ向けCPUですがノートパソコン向けCPU並みの消費電力になっています。
また、Ryzen 7のみRyzen AIを搭載しているので、価格は高くなりますがRyzen 7を選んだほうが長く快適に使えます。
PROモデルは「PROなし」と同じ性能ですが、ビジネス向けにセキュリティが強化されています。
メモリはDDR5-5200で最大64GBとまず困ることはない大きさで、ストレージはSSDが2枚搭載できます。
その他のスペックはOSは、あれ?最安値モデルはWindows 11 Homeしか選べませんね。Windows 11 Proが選べるモデルもあるので、購入時にご確認を。
LANはイーサネットコネクタ搭載で、無線はデフォルトで「なし」ですがWi-Fi 6を追加可能です。Wi-FiがないとBluetoothもないので、マウスやイヤフォンをBluetoothで接続予定の人は必須です。
また、こちらもデフォルトでマウスとキーボードがついていますが、必要ない場合は「カスタマイズ」から変更できます。
インターフェイスも豊富で、一般的なデスクトップ並みにあります。
旧モデルと比較
旧モデルはThinkCentre M75q Tiny Gen 2で、筐体は同じサイズ同じ外観ですがインターフェイスが若干違います。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
旧モデル | 本機種 | |
CPU | Ryzen 5 5650GE Ryzen 7 5750GE |
Ryzen 3 8300GE/PRO 8300GE Ryzen 5 8500GE/PRO 8500GE Ryzen 7 8700GE/PRO 8700GE |
メモリ | DDR4 64GB | DDR5 64GB |
ストレージ | SSD ×2(PCIe 3.0) | SSD ×2(PCIe 4.0) |
無線 | 無し/Wi-Fi 5/Wi-Fi 6 | 無し/Wi-Fi 6 |
電源 | 65W/90W | 90W |
重量 | 1.32㎏ | 1.25㎏ |
価格 | 6.4万円~ | 8.5万円~ |
変更点です。
・Ryzen 8000GEシリーズに
・メモリがDDR4からDDR5に
・SSDがPCIe 4.0に
・電源が90Wのみに
・若干軽くなった
詳しく言うと、旧モデルのGen 2は3年ほど名前を変えずにCPUを入れ替えて販売されていたのでもっと多くのCPUがありますが、最後のモデル(2024年現在販売されているモデル)は上記2つになります。
こちらはプロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 Pro 8700GE | |
---|---|
Ryzen 7 Pro 5750GE | |
Ryzen 5 Pro 8500GE | |
Ryzen 5 Pro 56500GE | |
Ryzen 3 Pro 8300GE |
豊富な用途に対応
本機の最大の特徴の一つとして、いろいろな用途に対応できるという点にあります。
小型筐体なので、自宅と事務所で使うように持ち運びもできます。昔使っていたレンタルオフィスで、ミニPCを持ち運んでいる人もいましたね。
昔の職場では来客用のパソコンとして使用していました。こういうパソコンって触られたら困るので、モニターの後ろに設置して見られないようにしていました。
購入した旧モデルは当サイトのライターにあげたのですが、自宅でこの様にモニターに設置してプログラミングなどに使用しています。
もしくは最大3画面表示が可能なので、多くのモニターが必要なトレーダーにも合うし、省スペースで低価格なので、コールセンターや事務用のパソコンとしても活躍します。
AIコア搭載のRyzen 8000GEも搭載可能
Ryzen 3 PRO 8300GE | Ryzen 5 PRO 8500GE | Ryzen 7 PRO 8700GE | |
プロセス | 4nm | ||
アーキテクチャ | Zen 4 | ||
Ryzen AI | × | × | 〇 |
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 | 8/16 |
最大ブーストクロック | 4.9GHz | 5.0GHz | 5.1GHz |
ベースクロック | 3.5GHz | 3.4GHz | 3.6GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 16MB | 16MB |
TDP | 35W | 35W | 35W |
アーキテクチャはZen 4になり、主な特徴はこちらです。
・Zen 3の改良版
・L2キャッシュ増量
・ディープラーニング性能の向上
・Zen 3に比べIPCが約14%アップ
Zen 4はレイテンシの短縮とスルートップの向上を目的に作られており、順当に開発されていますね。
また、製造プロセスも4nmと微細化が進んでおり、高機能化や必要な電力も減らせるというメリットがあります。
重要な点で、2024年にはAIコアが搭載したPCが続々発売されており、今後ビジネスのみならずいろいろな用途で真価を発揮します。ですので、2024年に買うPCであればAIコアを搭載したものをお勧めします。
本機のケースで言えば、Ryzen 7のみAIコアが搭載しているので予算に余裕があればこちらが良いですが、もし2~3年でまた買い替える予定というのであれば、Ryzen 3やRyzen 5でも良いかもしれません。というのも、今は対応アプリが少なく、そこまで真価を発揮できないという点もあります。
ちなみに筆者はRyzen 3モデルを購入しました。と言うのも、筆者はノートパソコンにAコアを搭載したものをいくつか持っているし、毎年何十というPCを買うので今回はそこまで必要ないかなと思いました。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアです。先述したようにPROモデルと通常版は同じスペックなので、PROのみのスコアを記載しています。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴などストレスなくできる
- 14000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 20000~・ハイエンドPCに搭載される
- 30000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700T | |
---|---|
Ryzen 7 Pro 8700GE | |
Core i5-14400T | |
Ryzen 7 Pro 5750GE | |
Ryzen 5 Pro 8500GE | |
Ryzen 5 Pro 56500GE | |
Core i3-14100 | |
Ryzen 3 Pro 8300GE | |
Core i3-13100T |
Geekbench 6のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700T | |
---|---|
Ryzen 7 Pro 8700GE | |
Ryzen 5 Pro 8500GE | |
Core i3-14100 | |
Ryzen 3 Pro 8300GE | |
Core i3-13100T |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 Pro 8700GE | |
---|---|
Core i7-14700T | |
Ryzen 5 Pro 8500GE | |
Core i3-14100 | |
Ryzen 3 Pro 8300GE | |
Core i3-13100T |
新しいCPUはデータが少ないので、わかり次第アップデートします。
NPUっていつ使うの?
ここ最近、AI、AIと言われていますが、AIコアであるNPUっていつ使うの?っていう疑問ありますよね。
今現在NPUコアを使ってできるものはWindows Studioエフェクトや、一部のアプリ(Photoshopなど)がNPU対応の機能を実装しています。
と言うことで、現在はそこまで活躍する場がないですが、今後あると便利になるといったものになります。
現在どの程度使えるのか当サイトで筆者の用途で検証してみましたが、検証時点ではPhotoshopなどでAIコア対応機能が実装されていなかったので、参考程度に見てください。
筆者がやることで、NPUを使いそうなものはこちらです。
・Lightroomで編集
・PhotoshopでAI画像生成・Youtube動画作成
・Web会議・オンラインレッスン
・AI音楽生成ソフトで音楽作成
動画にまとめたので、どうぞ。
この中でNPUを使ったものは、Webカメラを使用時にWindows Studioエフェクトを使ったときのみです。ちなみに動画にはありませんが、Copilotで画像を生成しているときもNPUは動きませんでした。
それではその他の特徴です。
その他の特徴
外観
手のひらサイズの小さな筐体です。
昔使っていたレンタルオフィスで、こういったミニPCを自宅とオフィスに持ち歩いて使っている人がいましたね。一般的なノートパソコンよりも軽い(最大構成時1.25㎏)ので、機動性は抜群ですね。
小さいのにインターフェイスは豊富で、USB 3.2 Gen 2(データ転送速度10Gbps)が4つ(うち1つはType-C/データ転送と外部電源供給対応)、そして背面にUSB 2.0が3つもあります。
HDMIやDisplayPort、RJ45もあるし、インターフェイスはカスタマイズから増やすこともできます。カスタマイズからポートを追加したら最大で3台の外部ディスプレイに接続できるので(追加しない場合は最大2台)、トレーディングやCADなど専門的なことをする場合でも使いやすいです。
筐体上部・底面はこんな感じです。
上部や底面と言っても本機は横でも縦でも置けるし、縦置きならバーティカルスタンドを合わせて購入したら倒れる心配もありません。
スペースの都合上デスクトップをあきらめる人は多いですが、このサイズならどこにでも設置できますね。
<バーティカルスタンド/1100円>
本機種はアメリカ軍の物資調達規格であるMILスペック準拠の堅牢性があり、気温や湿気などの耐久性テストをクリアーしています。
ツールレス設計
本機はツールレス設計で、その名の通り工具なしで筐体内部にアクセスできます。
こちらは旧モデルですが、参考までにどうぞ。
ツールレスですが、ねじがしっかりと締められているので、初回はドライバーが必要でした。
筆者が購入したモデルはHDDとSSDが搭載できましたが、現在はSSDが2枚・メモリ2枚搭載可能です(PCI Expressの空きは無し)。
ちなみにデスクトップでは珍しく、内蔵スピーカーもあります。
専用のTiny in Oneモニターを購入すると、この様にモニターに筐体を収納することが出来ます。
こちらでTiny-in-Oneのモニターが確認できますが、中にはAll-in-Oneなど似た名前のものもあるので、ご注意を。
メモリ
メモリはパソコンの作業台で、大きければ大きい程より大きなデータが扱いやすくなります。
メモリスロットが2つあり、公式サイトでは最大16GB×2枚の32GBにできますが、自分でやる場合は最大64GBまで増設できます。
メモリはDDR5-5200MHzです。筆者はいつもCrucialのメモリやストレージを買うのですが、高くないけど高品質です。
こちらは当サイト計測の、メモリ性能平均値です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
LPDDR5X平均 | |
---|---|
DDR5平均 | |
LPDDR5平均 | |
LPDDR4X平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。全てのストレージはOPAL対応です。OPAL(オパール)とは自己暗号化ドライブ、ハードウェアレベルでデータを暗号化できます。
搭載ストレージは最新のPCIe 4.0で、データ転送速度もパソコンの起動も爆速です。
公式サイトでは最大1TBのSSD PCIe 4.0を2枚搭載できますが、もしできるのであれば自分で増設したほうが安上がりです。公式サイトは1TBが8~11万円!!ですが、CrucialのSSD PCIe 4.0は2TBで2万円、500GBは7600円です。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
LAN
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
無線は残念ながらWi-Fi 6か無しになり、Wi-Fi 6Eはないようです。まぁ、Wi-Fi 6でもデータ転送速度は速く標準搭載でイーサネットコネクタがあるので、問題ないと思います。
先述しましたが、Wi-Fi「なし」を選ぶと(デフォルトで無し)Bluetoothもないのでご注意を。
セキュリティ
Think製品は全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られており、堅牢性が高い機種になっています。
主なセキュリティです。
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアやフィッシングなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- ケーブルロック・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所(オプション)
- Smart USB Protection・・・USBポートからのデータの流出や、外部から USB ポート経由でシステムやネットワークに侵入を防ぐ
- AMD Memory Guard・・・メモリを暗号化
- DASH(Desktop and Mobile Architecture for System Hardware)・・・保護されたアウトバンド管理やリモート管理が可能
- OPAL・・・自己暗号化ドライブ
一般的なパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
電源
電源は65Wもあるようですが、確認できたのは90Wのみでした。大きめのノートパソコン並みですね。
どちらも電力変換効率が89%と高く、80PLUS Gold並みです。
インターフェイス
1. 電源ボタン 2. USB-C 3.2 Gen2 Type-C 3. USB-A 3.2 Gen2 4. USB-A 3.2 Gen2 5. コンボジャック |
6. 電源コネクタ 7. DisplayPort 8. USB 3.2 Gen2 9. HDMI 10. USB 2.0(×3) 11. RJ45 12. セキュリティキーホール |
これだけ小さな筐体なのに、十分すぎるほどのインターフェイスがありますね。カスタマイズからまだまだ追加できるので、確認してみてください。
サポート・保証
執筆時現在、標準で1~3年間の「オンサイト修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
プレミアサポートにアップグレードしたら、翌営業日オンサイト修理保証になります。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
筆者購入時の納期
6月24日に購入し目安納期(出荷予定)は1~3週間です。到着したら、情報をアップデートします。
まとめ
良い点
・小型軽量で置き場所に困らない・持ち運びも可能
・小型だがインターフェイスも豊富
・最新スペックが多く採用されている
・メモリとSSDの増設が可能
残念な点
・Wi-Fi 6Eが選べたらよかった