work-from-anywhere(どこからでも働ける)を実践するThinkPad Zシリーズは、Z世代や今までThinkPadを使わなかった人にもアプローチした機種で、今までのThinkPadと一味違う機種になっています。
全体的なスペックも上がっており、細かな部分も高スペック、しかも、標準搭載です。
サステナビリティを意識した機種で、今後の指標になるような機種だと思いました。
それでは、まずはレビューのまとめをどうぞ。
良い点
・サステナビリティを意識した機種で、リサイクル素材/リサイクル可能な素材を多用
・小型軽量で持ち運びがしやすい
・アルミニウム素材で耐久性が高く頑丈
・今までのThinkPadとは違うおしゃれな筐体
・画面比が16:10で、16インチがより大きく見える
・CPU・メモリ・SSDが最新スペック
・グラフィックボード搭載モデルもあり
・4K OLEDもあり、ディスプレイが高品質
・色域が広く、クリエイターも満足する品質
・WEBカメラが高画質FHD 1080p
・指紋センサーと顔認証があるのでサインインも楽
・セキュリティが豊富
残念な点
・インターフェイスが少ない
・16インチと大きいのにカスタマイズできない
Contents
ThinkPad Z16 Gen 1(AMD)のスペックレビュー
CPU | Ryzen 5 PRO 6650H Ryzen 7 PRO 6850H Ryzen 9 PRO 6950H |
---|---|
メモリ | LPDDR5 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大1TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス Radeon RX 6500M |
ディスプレイ(16型) | WUXGA IPS タッチあり WQUXGA OLED タッチ |
OS | Windows 11 Home |
無線 | Wi-Fi 6E、4G LTE |
オーディオ | ドルビーアトモス |
生体認証 | 顔認証、指紋センサー |
WEBカメラ | 1080p、IRカメラ |
セキュリティ | ThinkShield、パワーオン パスワード、スーパーバイザー パスワード、システム マネジメント パスワード、ハードディスク パスワードなど |
寸法(幅×奥行×高さ) | 354.4 × 237.4 × 15.8 ㎜ |
重さ | 1.81㎏~ |
バッテリー | 72Whr・最大約25.9時間 |
保証 | 1年間 |
価格 | 25.2万円~ |
<性能評価>
※グラフィックス性能は内蔵グラフィックスのスコアで、RX 6500Mは未計測です
パソコンの頭脳であるCPUは、最新のRyzen PRO 6000シリーズが搭載で、ハイパフォーマンスモデルのHシリーズになっています。通常版でも高い性能ですが、Hシリーズという事で、よりパワフルなPCになっています。
グラフィックボードもRadeon RX 6500Mを搭載できるので、本格派のクリエイターにも向いています。
メモリは最新のLPDDR5-6400MHzが搭載で、現行最高の動作周波数があります。また、SSDも最新のPCIe 4.0なので、パソコンの起動やWebサイトの表示など速く、快適に使うことができます。
ディスプレイは画面アスペクト比が縦に長い16:10で、解像度はフルHD相当のWUXGA IPS液晶か、4KのWQUXGAが選べます。4KディスプレイはOLED(有機EL)液晶で、より迫力ある映像・画像が楽しめます。
色域はIPS液晶がsRGB 100%、OLED液晶がDCI-P3 100%となっており、どちらもクリエイター向けの広色域です。クリエイターでも、クリエイターじゃなくても、美しさを実感できるディスプレイですね。
パソコンのコア性能は、文句なしのハイスペックです。
また、バッテリー駆動時間は最大25.9時間とかなり長く、重さは1.81㎏と標準的です。ここまでバッテリーの持ちがよいので、パソコンを持ち歩く人にも使いやすいですね。
その他のスペックはWindows 11 Homeに、最新のWi-Fi 6Eに対応、LTEモデルもあり、Webカメラは高画質の1080p、指紋センサーや顔認証もあります。
インターフェイスはUSB4が2つと、USB Type-C 3.2 Gen 2が1つ、そしてSDカードリーダーもあります。USBは左側に2つあり、そのうちの1つは充電兼用になります。じつは、充電兼用のUSBが左に1つ、右に2つ以上のUSBを搭載しているモデルが多かったのですが、ようやく左に2つ搭載してくれました。
というのも、充電兼用のポートが1つしかないと、充電していたら左側のポートを使えないんですよね。使い勝手が悪かったですが、本機ではそこも改善されています。
ただし、15.8㎜と薄い筐体なので、USB-AやHDMIがありません。人によっては、USBハブがあった方が使いやすいと思います。
2022年のトレンドと比較
2022年のハイエンドノートパソコンのトレンドをまとめたので、本機がどのくらい満たしているか比較してみます。
ハイエンドPCは2022年に入り、基本スペックが高く、欠点が減ってきている状況です。欠点というと、例えばWebカメラが720Pの低画質や、マイクの質だったりですが、今まで別途購入が必要だったものが標準搭載、もしくは搭載可能になってきたイメージです。
Ryzen 6000 | DDR5 | PCIe 4.0 | |
〇 | 〇 | 〇 | |
アスペクト比16:10 | sRGB 100%以上 | 輝度300nit以上 | 1080P Webカメラ |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Wi-Fi 6E | メタル素材 | Dolby Atmos | 全方位360°マイクが4つ |
〇 | アルミニウム | 〇 | × |
USB4 | 生体認証 | 重量1.7㎏前後 | 18時間以上バッテリー |
〇 | 指紋/顔 | × | 〇 |
本機は全方位360°マイクが2つ搭載と、若干ハイエンドモデルと差がありますが、全方位360°マイクが4つ搭載している機種の方が珍しいので、あまり気にならない点だと思います。また、一般的なマイクじゃなく、2つとは言え全方位マイクが搭載なので、性能は高めです。
重さは1.81㎏と、16インチとしては標準的です。
本機はThinkPadの最高峰モデルであるX1シリーズの様に、カスタマイズしなくても高品質パーツが搭載しているのも特徴で、全体的に見て、ハイエンドモデルのスペックです。
ThinkPad Zシリーズの特徴
<左・ThinkPad Z16/右・ThinkPad Z13>
ThinkPad Zシリーズは本機と、同時発売された13.3インチのZ13が初めての機種になります。
Zシリーズは、インターネットで情報を収集することが当たり前の「Z世代」にも、本機を使ってほしいという意味で付いた名前だそうです。今までと違うユーザーにアピールしているので、外観もぱっと見ThinkPadと分からないですよね。
Z世代は一般的に、SDGs(持続可能な開発目標)などでよく聞くように、環境問題への取り組みや関心が高いと言われていますよね。本機はそういったサステナビリティにも取り組んでおり、ボディは再生アルミニウムを、ビーガンレザーには再生プラスチックを、そして竹とサトウキビの繊維由来の堆肥化可能なパッケージング素材を使用しています。
Z世代だけじゃなく、人々の関心はいかに環境を破壊しないかに向いているので、Lenovoでも強く意識して取り組んでいますね。
ThinkPad Z16 Gen 1(AMD)の特徴
ベゼル(画面の黒い枠)が上下左右、すべて細いですね。左右のベゼルは4㎜で、画面占有率は約92%以上と比率が高いです。
ベゼル上部はノッチじゃなく、コミュニケーションバーが搭載しており、その部分だけちょっと出っ張ていますね。
<コミュニケーションバー>
この部分には、WebカメラやIRカメラ、マイクなどが搭載しています。
正面です。コミュニケーションバーがあるので、ディスプレイを開ける時に指に引っ掛かりができて、開けやすそうですね。
寸法は
・幅 354.4㎜
・奥行き 237.4㎜
・厚さ 15.8㎜
となっており、16インチにしてはかなりコンパクトです。2022年に発売されたThinkPad T16 Gen 1(画面比16:10)と、ThinkPad E15 Gen 4(画面比16:9)と大きさを比較してみます。
幅 | 奥行き | 高さ | 重さ | |
本機種 16インチ |
354.4㎜ | 237.4㎜ | 15.8㎜ | 1.81㎏ |
T16 Gen 1 16インチ |
361.9㎜ | 255.5㎜ | 20.5㎜ | 1.64㎏ |
E15 Gen 4 15.6インチ |
365㎜ | 240㎜ | 18.9㎜ | 1.78㎏ |
本機は、アスペクト比が16:9で15.6インチのThinkPad E15 Gen 4よりも小型ですね。ただし、重量はこの中で一番重くなっており、他の機種の様にメモリやストレージに増設用のスロットはありません。
他の機種を見てもらっても分かるように、厚さは15.8㎜とかなり薄いです。ただし、薄いのでUSB-AやHDMIポートはありません。
<ボディが薄くなっているThinkPad E14 Gen 2>
通常、どのノートパソコンでも手前に行くにつれて筐体が薄くなっているのですが、筐体は他のどの機種とも違い、厚さがほぼ均一しています。
新鮮な見た目ですね。
新鮮な見た目と言えばですが、本機はThinkPadで初めて、リサイクルされたアルミニウムを使用したアークティックグレーの筐体という事です。リサイクルのアルミ使用率は全体の75%になり、環境に配慮したモデルです。
ThinkPad X1 Yogaにはグレーのモデルもありますが、やはりThinkPadは「黒」なので、違った印象ですね。
エッジは最近の流行であるラウンドエッジなので、丸くなっていておしゃれです。
もちろん、底面もアルミニウム素材で、熱やたわみに強く、耐久性も高いです。また、通気口が大きいですね。
カメラ回り
Webカメラは高画質のFHD 1080pが搭載で、f2.0なので光量を多く取り入れることができます。また、eシャッターと言うプライバシーシャッターもあるので、カメラを使わないときは、OFFにしておくと安心ですね。
360°全方位集音マイクが2つ搭載、2Wスピーカーが2つ搭載、そしてオーディオはドルビーアトモスになります。Dolby Atmosは一般的なオーディオの様な平面的じゃなく、立体的な音を体感でき、Web会議はもちろん、映画を見る時などにも重宝します。
顔認証のIRカメラも搭載しているので、サインインがサクッとでき、作業に素早く取り掛かれますね。
また、スピーカーはキーボード面にあるフロントフェイシング(Front Facing)なので、音もクリアに聞こえます。
MILスペック
本機はMIL規格と言う12項目の米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。他にも、200の項目の品質チェックをしており、安心して使える機種です。
キーボード
キーボードにはあえてテンキーを搭載しなかったようで、すべての主要キーも大きく、タイピングしやすいと思います。Fキーも大きいですね。
キーストローク(キーを押し込む距離)は1.35㎜と、ThinkPadにしては浅いですが、いつものThinkPadのタイピングのしやすさを受け継いでいるようです。
指紋センサーは電源統合じゃなく、キーボード内にあります。
<左・本機種/右・通常のThinkPad>
ForcePad(フォースパッド)と呼ばれるガラス製のトラックパッドがあり、120㎜×67㎜と大きく、クリック時などはクリックしたような振動を指先に返す、触覚フィードバックがあります。
フォースパッドの上部には今までの様な3つボタンもないので、今までのThinkPadから乗り換える人は、慣れが必要ですね。
赤いボタンのトラックポイントもあるので、この点は、今までThinkPadを使ってた人も使いやすいと思います。
トラックポイントをダブルタップすると、カメラの輝度やコントラスト、マイクの設定などができるクイックメニューがポップアップします。
ちなみに、通常のThinknPadはFn Ctrlの順に並んでいるのですが、Zシリーズでは通常のPCと同じ Ctrl Fnの順に並んでいます。ただし、今まで通り設定で並びを変えることができます。
CPU
Ryzen 5 PRO 6650H | Ryzen 7 PRO 6850H | Ryzen 9 PRO 6950H | |
アーキテクチャ | Zen 3+ | ||
製造プロセス | 6nm | ||
コア/スレッド | 6/12 | 8/16 | |
キャッシュ | 16MB | ||
基本クロック | 3.3GHz | 3.2GHz | 3.3GHz |
ブーストクロック | 4.5GHz | 4.7GHz | 4.9GHz |
GPUコア | 6 | 12 | 12 |
TDP | 45W |
Ryzen 6000シリーズはすべてがZen 3+のアーキテクチャで、以下の様な特徴があります。
・前世代と比較して最大30%高速
・最大24時間のバッテリー
・内蔵GPUがRDNA2(リアルタイムレイトレーシング対応)
・統合型グラフィック性能は最大約2倍に
・DDR5/LPDDR5のメモリに対応
・USB4対応
・PCIe Gen 4対応
・Wi-Fi 6E対応
プロセッサーはかなり高い性能で、PROモデルというセキュリティが強化されたビジネスモデルで、ハイパフォーマンスモデルのHシリーズが搭載です。クロック数も高く、高性能です。
こちらはCinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
Cinebench R23 マルチコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-12700H | |
---|---|
Core i9-12900H | |
Ryzen 9 PRO 6950H | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 7 PRO 6850H | |
Ryzen 7 5800H | |
Core i9-11950H | |
Core i9-11900H | |
Core i7-11850H | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5600H | |
Core i5-1240P | |
Core i7-1165G7 |
Cinebench R23 シングルコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-12900H | |
---|---|
Core i7-12700H | |
Ryzen 9 PRO 6950H | |
Core i9-11950H | |
Core i9-11900H | |
Core i7-1185G7 | |
Core i7-1165G7 | |
Ryzen 7 PRO 6850H | |
Core i7-11800H | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 9 5900HX | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 7 5800H | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 5 5700U |
当たり前ですが、旧モデルの」Ryzen 5000シリーズよりもかなり性能が上がっていますね。
グラフィックス
グラフィックスは内蔵グラフィックスか、Radeon RX 6500Mになります。
Radeon RX 6500M | |
アーキテクチャ | RDNA2 |
演算ユニット | 16 |
ストリーミングプロセッサー | 1024 |
ゲーム周波数 | 2191MHz |
メモリ | GDDR6 4GB |
メモリインターフェイス | 64 bit |
メモリ帯域幅 | 最大 128GB/s |
TDP | 最大 50W |
DirectX 11で動作するFire Strikeのスコアです。RTX 3050 Tiと同等性能ですね。
Fire Strike
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 3060 | |
---|---|
RTX 2060 | |
GTX 1660 Ti | |
Radeon RX 6500M | |
RTX 3050 Ti | |
RTX 3050 | |
GTX 1650 |
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 |
WUXGA WUXGA WQUXGA |
なし 反射汚れ防止 反射汚れ防止 |
IPS IPS OLED |
400nit |
コントラスト比 | 色域 | 視野角(横/縦) | その他 |
1000:1 1000:1 100000:1 |
sRGB 100% sRGB 100% DCI-P3 100% |
178°/160° 178°/160° 175°/175° |
ブルーライト軽減 ブルーライト軽減、タッチ ブルーライト軽減、タッチ、Dolby Vision |
WQUXGA | 4K相当で、解像度は3840×2400ドット |
---|---|
FHD | フル・ハイディフィニション相当で、解像度は1920×1200ドット |
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
コントラスト比 | 最少輝度と最大輝度の差。差が大きい方が力強い描写が可能。一般的なディスプレイは700~800:1くらい |
IPS液晶 | コントラスト比が高く、視野角も広い |
nit | 明るさを表す単位。通常250nitが標準 |
Dolby Vision | Dolby社のHDRの技術。従来よりもより明るく(白はより白く、黒はより黒く描写できる)表現できる |
ディスプレイアスペクト比は16:10で、一般的なモデルの16:9よりも縦に長く、より多く情報が表示されます。
一目で多くの情報が見て取れるので、スクロールアップ/ダウンをする回数も減り、作業効率が上がります。
解像度はフルHD相当のWUXGA IPS液晶と、4K解像度のWQUXGA OLED(有機EL)液晶になります。
IPS液晶もコントラスト比が高く視野角が広いですが、OLEDは完全な黒が描写でき、コントラスト比は10万対1とかなり高くなっています。Dolby Vision(HDR・ハイダイナミックレンジ)にも対応しているので、よりくっきりとシャープで、鮮やかな色彩になります。
<左・HDRなし/右・HDR>
色域はWUXGAがsRGB 100%、2.8KがDCI-P3 100%とどちらも広い色域で、クリエイター向けの色域です。
上の図は分かりやすいように極端にしていますが、通常、
・Adobe RGB 100%・・・プリント・製版向け
・DCI-P3 100%・・・デジタルシネマ規格で、映像編集向け
・sRGB 100%・・・画像編集向け
・NTSC 45%・・・普通のノートパソコンに搭載
になります。
また、1モデルを除きタッチパネルになっています。スマホやタブレットを小さなころから使っているZ世代向けなので、タッチディスプレイがメインになっていると思います。
輝度も400ニトなので、太陽光が当たる明るい場所でも使いやすく、どのモデルも高品質なディスプレイです。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはLPDDR5-6400MHzで、オンボードになります。6400MHzってかなり高い周波数で、現行最高になります。
この周波数が高いと処理速度が速いので、本機はかなり速い処理速度になります。
個人的に、16インチと大きな筐体なので、メモリスロットがあって増設出来たら嬉しかったですね。
ストレージ
SSD(PCIe 4.0×4) | SSD(PCIe 3.0×4) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大64Gbps | 最大32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 30秒~2分(新品の場合) | |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい | |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機は最新のPCIe 4.0だが搭載で、最大データ転送速度が旧モデルの倍・64Gbpsになっています。パソコンの起動も、Webサイトの表示も速いです。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 4.0×4 | |
---|---|
PCIe 3.0×4 | |
HDD |
SSDも同じく空きスロットがないので、増設はできません。カスタマイザーとしては、ちょっと残念です。
セキュリティ
- パワーオンパスワード・・・電源を入れた時のログインパスワード
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでストレージにパスワードを設定
- スーパーバイザーパスワード・・・BIOSなどの設定を見たり変更する時のパスワード
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
- セキュリティキーホール・・・ワイヤーを設置できる箇所
- AMD Memory Guard・・・多くのコンピューティ ング・システムにシンプルかつ信頼性の高いセキュリティーを提供するメモリー暗号化テクノロジー
- Microsoft Pluton・・・CPU にセキュリティ機能を直接組み込むことで、通信経路が攻撃される可能性を排除する
などがあり、全方位から備えるサイバーセキュリティのThinkShieldによって守られています。ThinkShieldの詳細は、公式サイトをどうぞ。
<ThinkShieldの概要>
この様に、一般的なノートパソコンよりは強固ですが、セキュリティソフトをお考えの場合は「Lenovoパソコンにおすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。
仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
Wi-Fi 6に対応
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWi-Fi 6に対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。
LTE
LTEは執筆時現在はまだ搭載できませんが、今後対応モデルが販売されるとのことです。
搭載されるのはFibocom L860-GLで、ダウンロード最大1Gbps、アップロード最大75Mbpsになります。アップロードは普通の速さですが、ダウンロードは速いですね。1Gbpsもあったら、Wi-Fiのギガ契約よりもはやい速度です。
ちなみにLTE用の格安SIMなら、大手のIIJmioがおすすめですよ。
バッテリー駆動時間
バッテリーは4セル・72Whrと大容量で、最大約25.9時間のバッテリー駆動時間になります。
実際の使用時間はここまでもちませんが、それでも使い方によっては丸1日持つ人もいると思います。
また、電源は135Wと大きいので、より高いパフォーマンスが発揮されやすいです。
インターフェイス
右側面インターフェイスは、電源ボタン、マイク/ヘッドフォンジャック、USB4、そしてセキュリティーキーホールです。
左側面は、USB Type-C 3.2 Gen 2、USB4、そしてSDカードリーダーになります。
USB 3.2 Gen 2のデータ転送速度は10Gbps、そしてUSB4は40Gbpsになります。
USB4には主に、以下の様な機能があります。
・最大データ転送速度が40Gbps
・DisplayPort Alt Modeでの映像出力機能(接続1台)
・最大100Wの供給が可能(ただし最大値であって、すべてのUSB4ができるわけじゃない)
・最大伝送距離0.8m(USB4 20Gbpsケーブル使用時は2m)
USBポートはUSB-AやHDMIがないので、Lenovo USB Type-C 7-in-1 ハブなどのUSBハブを持っていたら、役に立ちます。
もしくは、モニターに繋ぎたいときは、USB-CーDisplayportケーブルですね。
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、最長5年まで延長できます。また、プレミアサポートと言うサポートにアップグレードができ、こちらは24時間365日専任のエージェントが電話対応します。(通常サポートは朝9時~夕方6時まで)
また、保証は引き取り修理とオンサイト修理、翌営業日オンサイト修理の3種類があります。
- 引き取り修理・・・家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
- オンサイト修理・・・事務所や自宅にエンジニアが来て修理
- 翌営業日オンサイト修理・・・翌営業日(土日祝日以外)にエンジニアが来て修理
修理拠点は日本国内なので対応も速く、安心して任せることができます。
ライバル機種
<左から本機種・ThinkPad X1 Extreme・Yoga 770i>
本機種と似たような最新機種との比較です。全機種最新のCPU・メモリ・SSDが搭載で、Yogaのみ2 in 1 PCになります。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | ThinkPad X1 Extreme Gen 5 | Yoga 770i 16 | |
CPU | Ryzen 5 PRO 6650H Ryzen 7 PRO 6850H Ryzen 9 PRO 6950H |
Core i7-12700H/12800H Core i9-12900H |
Core i5-12500H Core i7-12700H |
メモリ | 32GB オンボード |
64GB スロット2つ |
32GB オンボード |
ストレージ | SSD ×1 | SSD ×2 | SSD×1 |
グラフィックス | 内蔵 Radeon RX 6500M |
RTX 3050 Ti RTX 3060 RTX 3070 Ti RTX 3080 Ti |
Arc A370M |
ディスプレイ | WUXGA IPS 4K OLED sRGB/DCI-P3 100% |
WUXGA/2.5K/4K IPS Adobe/sRGB 100% |
2.5K IPS sRGB 100% |
無線 | Wi-Fi 6E、4G LTE | Wi-Fi 6E、5G LTE | Wi-Fi 6E |
バッテリー 電源 |
25.9時間 135W |
22時間 170/230W |
20時間 100W |
重量 | 1.81㎏ | 1.88㎏ | 2.16㎏ |
価格 | 25.2万円~ | 32.7万円~ | 18.2万円~ |
Extreme Gen 5のみハイエンドグラフィックボード搭載で、頭一つ抜けたグラフィック性能がありますが、どのモデルもとにかく高い性能です。GPU重視ならExtremeですが、本機やYogaのローエンドでも十分だという場合は、外観で決めてもいいかもしれないです。
各機種の特徴です。
本機種・・・唯一のRyzen 6000 Hシリーズ搭載機種で、GPUもAMD Radeonになっています。おしゃれなThinkPadで、全体的な性能も高い
X1 Extreme Gen 5・・・Lenovo最高峰モデルで、より高性能なハイエンドグラフィックボード搭載。すべてが極上だが、価格も高い。GPU性能が高い方が良い場合は、本機がおすすめ
Yoga 770i・・・スペック的には本機と似ており、AMDじゃなくIntel製CPUとGPU搭載。筐体がすごくきれいな曲線美を持っており、おしゃれ。
まとめ
良い点
・サステナビリティを意識した機種で、リサイクル素材を多用
・小型軽量で持ち運びがしやすい
・アルミニウム素材で耐久性が高く頑丈
・今までのThinkPadとは違うおしゃれな筐体
・画面比が16:10で、16インチがより大きく見える
・CPU・メモリ・SSDが最新スペック
・グラフィックボード搭載モデルもあり
・4K OLEDもあり、ディスプレイが高品質
・色域が広く、クリエイターも満足する品質
・WEBカメラが高画質FHD 1080p
・指紋センサーと顔認証があるのでサインインも楽
・セキュリティが豊富
残念な点
・インターフェイスが少ない
・16インチと大きいのにカスタマイズできない
総合評価
新しいThinkPadで、トラックパッドも今までと違い、新鮮な機種ですね。今までThinkPadを愛用してきた人は戸惑う場面もあるかもしれませんが、ThinkPadはThinkPadなのですぐになれると思います。
初めてThinkPadを使う人にとっては、極上のキーボードに、ThinkPadの頑丈さ、そしてパソコンがいろいろとThinkしてくれる作業効率の良さに驚くと思います。
パソコンのコア性能であるCPUなどの性能が高いのはもちろん、その他細かな部分まで高スペックパーツを搭載しており、安心してがっつりと作業ができると思います。
16インチにしてはインターフェイスが少なく、カスタマイズができないですが、Z世代と言うか、若い方はあまり気にならないのかもしれません(もともとカスタマイズする人は少ないですし、保証も外れますからね)。
今ではスマホなどもUSB-Cのケーブルだし、ストレージなどもUSB-Aを使用しているのが減ってきているので、先々を考えると、こういった流れなんでしょう。