Ryzen 5000シリーズはかなり性能が高く人気ですが、その中でも性能が高いRyzen 7 5700Uのベンチマークを取りました。
計測機種の1つはPassmarkスコアは高かったのですが、全体的に予想よりもかなり低い性能になり、パソコンの設定から「最高パフォーマンス」というプロセッサーの性能をフルに使うモードにしても、発熱の影響か、性能が上がらない感じでした。
2台目のIdeapad Slim 360は「これぞRyzen 7 5700U」と言ったスペックだったので、こちらのスコアが参考になると思います。
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Ryzen 7 5700Uの仕様
プロセッサーはデフォルトTDPは15Wですが、cTDPは10w~25Wになっています。
コア/スレッド | 基本クロック ブーストクロック |
キャッシュ | TDP | アーキテクチャ | |
Ryzen 7 5800U | 8/16 | 1.9GHz 4.4GHz |
16MB | 15W | Zen 3 |
Ryzen 7 5700U | 8/16 | 1.8GHz 4.3GHz |
8MB | 15W | Zen 2 |
Ryzen 5 5600U | 6/12 | 2.3GHz 4.2GHz |
16MB | 15W | Zen 3 |
Ryzen 5 5500U | 6/12 | 2.1GHz 4.0GHz |
8MB | 15W | Zen 2 |
Ryzen 3 5400U | 4/8 | 2.6GHz 4.0GHz |
8MB | 15W | Zen 3 |
Ryzen 3 5300U | 4/8 | 2.6GHz 3.8GHz |
6MB | 15W | Zen 2 |
APUはHシリーズやProシリーズ、Ryzen 9を除いて6種類になり、アーキテクチャはRyzen 4000シリーズと同じZen 2になります。上位モデルのみZen 3ですね。
計測機種
使用した機種はLenovoの人気ブランド・IdeaPad Flex 550とIdeaPad Slim 360 17です。低価格モデルですが使い勝手が高く、それでいておしゃれなので人気がありますね。
スペックはこちらです。
Flex 550 | Slim 360 | |
APU | Ryzen 7 5700U | |
メモリ | DDR4-3200MHz 16GB | DDR4-3200MHz 8GB/20GB |
ストレージ | SSD 512GB |
Slim 360は8GBの状態と、増設して20GBにした状態で計測しています。
計測時の設定は基本的に「高パフォーマンス(標準)」「インテリジェントクーリング」ですが、最も高いパフォーマンスでも計測しています。
Passmarkスコア
APU(プロセッサー)の性能を測るベンチマークで、パソコン購入時にこのスコアを指標にする人も多いですね。
Flex 550のPassmarkスコアです。
あまり数字が伸びなかったので購入時に執筆したレビュー記事を読んだら、その当時は「高パフォーマンス」で1万4557でした。
<購入時のスコア>
結構使っているし、いろんなソフトも入っているので遅くなったのかな?と言う感じですね。また、Ryzen 7 5700Uの世界平均は約1.6万なので、本機は若干低い性能ですね。
IdeaPad Slim 360はこちらです。
左がメモリ20GBで計測したスコアで16562、右が8GBで計測したスコア・16129です。Flex 550の方が上位モデルですが、性能は低いみたいですね。(おそらくですが、たまたま不具合があるCPUに当たったと思います)
Passmarkスコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・世界平均
Slim 360 20GB | |
---|---|
Ryzen 7 5700U平均 | |
Slim 360 8GB | |
Flex 購入時 | |
Flex 550最高パフォーマンス | |
Flex 550高パフォーマンス |
その他のCPUと比較です。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5800H | |
---|---|
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 7 Pro 5850U | |
Ryzen 5 5600H | |
Ryzen 5 Pro 5650U | |
Slim 360 20GB | |
Ryzen 7 5700U平均 | |
Slim 360 8GB | |
Ryzen 5 5600U | |
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
|
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5400U | |
Ryzen 3 5300U |
Passmarkスコアは7000ほどでビジネス用途でも快適に使えるほどなので、性能自体はかなり高いですね。
Cinebench R23
こちらはCinebench R23のスコアで、マルチコア性能はパソコンの総合性能、シングルコア性能が高いと編集などのクリエイティブワークもしやすくなります。また、ゲームをするならシングルコア性能が高いCPUを選びますね。
まずはFlex 550です。
最高パフォーマンスでも高パフォーマンスでも、全然変わりませんでした。発熱の影響でしょうか?
次は、IdeaPad Slim 360です。
メモリ8GBでも20GBでもあまり差は無いですが、Flexと比べるとかなり高性能です。
Cinebench R23
オレンジ色・・・マルチコア 青・・・シングルコア
Slim 360 20GB | |
---|---|
Slim 360 8GB | |
Flex 最高パフォーマンス | |
Flex 高パフォーマンス |
他のCPUとの比較です。
Cinebench R23 マルチコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-11800H | |
---|---|
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 5 5600H | |
Core i5-11500H | |
Ryzen 7 5700U平均 | |
Slim 360 20GB Slim 360 8GB |
|
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1185G7 | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
|
Core i7-1065G7 | |
Core i5-1035G1 | |
Core i3-1115G4 |
Cinebench R23 シングルコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-1185G7 | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i7-11800H | |
Core i5-11500H | |
Ryzen 7 5800H | |
Ryzen 5 5600H | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 7 5700U平均 | |
Slim 360 20GB Slim 360 8GB |
|
Ryzen 5 5500U | |
Core i7-1065G7 | |
Core i5-1035G1 | |
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
マルチコア性能はRyzen 7 5700Uの平均が9555に対し、本機は約5060と半分近い性能です。シングルコアも、平均より50%ほど下がった性能でした。
3DMARK 10
本機種はIdeapad Slim 360 17のみで、メモリ8GBです。
こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。
- 総合性能は5198
- Essentialは8951→通常用途やビデオ会議などはかなり使いやすい
- Productivityは8065→かなり高速に使える
- Digital content creationは5282→外部GPU無しにしては高性能
Essential
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1165G7 | |
---|---|
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i7-1065G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 3 Pro 4350G |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5700U | |
---|---|
Ryzen 7 4700U | |
Ryzen 3 Pro 4350G | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Core i7-1065G7 |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5700U | |
---|---|
Ryzen 7 4700U | |
Core i7-1165G7 | |
Ryzen 3 Pro 4350G | |
Core i5-1135G7 | |
Core i7-1065G7 | |
Core i3-1115G4 |
グラフィック性能(3D Graphics Mark)
グラフィック性能が高いとOfficeワークや複数画面での作業、そして画像・動画編集やゲームが快適にできます。
まずはFlex 550です。
高パフォーマンスも最高パフォーマンスも、ほぼ同じスコアでした。
次はIdeaPad Slim 360です。
3Dグラフィック性能はFlexと同じくらいで、20GBモデルのみ若干高いですね。
Video Card Benchmarks
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
MX450 | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
MX250 | |
Slim 360 8GB Slim 360 20GB |
|
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
|
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 4700U | |
Iris Plus | |
Ryzen 5 4500U | |
UHD |
グラフィック性能は、内蔵グラフィックスとしては高い性能ですね。
Geekbench 5
Geekbench 5はクロスプラットフォームのベンチマークで、Cinebenchの様にシングルコア性能とマルチコア性能を測定できます。機械学習などの処理も取り入れており、Cinebenchとは違った結果になっています。
<シングルコア・1036/マルチコア・3794>
こちらは最高パフォーマンスです。
<シングルコア・1142/マルチコア・3848>
Geekbench 5も低調です。
こちらはSlim 360です。
<8GBモデル>
8GBモデルはシングルコア1187、マルチコア5852と高めのスコアです。
20GBモデルはシングルコア1196、マルチコアは6238と高いですね。
その他のCPUとの比較です。
Geekbench 5 マルチコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Slim 360 20GB Slim 360 8GB |
|
---|---|
Ryzen 7 5700U平均 | |
Core i7-1165G7 | |
Ryzen 5 5500U平均 | |
Ryzen 7 4700U | |
Core i5-1135G7 | |
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
|
Core i7-10510U | |
Core i3-1115G4 |
Geekbench 5 シングルコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-1165G7 | |
---|---|
Core i5-1135G7 | |
Slim 360 20GB Slim 360 8GB |
|
Core i3-1115G4 | |
最高パフォーマンス 高パフォーマンス |
|
Ryzen 7 5700U | |
Core i7-10510U | |
Ryzen 5 5500U平均 | |
Ryzen 7 4700U |
ゲームベンチマーク
ドラゴンクエストXのベンチマークで、設定は「標準品質 FHD」です。
まずはFlex 550です。
高パフォーマンスで7186、最高パフォーマンスでも7284と、ほぼ同じスコアでした。
Slim 360です。
8GBモデルは10370の「すごく快適」、20GBモデルも10991の「すごく快適」でした。Flexと3Dグラフィック性能はそこまで差がありませんでしたが、総合性能で合が出てますね。
次はファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレです。設定はFHD 高品質ノートPCです。
Flex 550です。
高パフォーマンスで2571、最高パフォーマンスで2650と全然伸びませんでした。
次はIdeaPad Slim 360です。
こちらは8GBモデルが3731、20GBモデルが3836となり、どちらも「設定変更を推奨」と出ました。
おすすめRyzen 7 5700U搭載モデル
Ryzen 7 5700Uが搭載できる人気機種です。全機種、価格は5~6万円からです。
- ThinkPad E15 Gen 3
- ThinkPad E14 Gen 3
- ThinkBook 13s Gen 2
- IdeaPad Slim 550 15
- IdeaPad slim 550 14
- IdeaPad Flex 550 15
- IdeaPad Flex 550 14
まとめ
ベンチマークを取れば取るほど、「Flex 550は不具合があるんじゃ?」と思うくらいスコアが伸びませんでした。とは言っても、Passmarkスコア自体はそこまで低いわけじゃないし、サクサク動くので、普段使い用途であれば問題なく使え、ビジネス用途でもグラフィック性能を必要としない場合は問題なく使えますね。
ちなみに、性能に納得がいかなかったのでパソコンを初期化して試しましたが、ほぼ同じでした。いろいろ知らべていくと問題は発熱だったようで、何もしていないのにCPU温度が90度前後でした。そりゃ、CPU働けないですよね。
<CPU温度87°・ストレージ59°・GPU59°>
ちょっと本機は予想外の結果だったので、Slim 360を購入し追記しました。
Slim 360は予想通りのハイスコアでしたね。