長らく新機種が無かったLenovo Vシリーズですが、量販店モデルで第11世代インテルCPUを搭載した機種と、公式サイトでAMD Ryzen 5000シリーズ搭載モデルが販売開始しました。
量販店で販売されているインテルモデルは約14万円からと高いですが、本機種は5.9万円からと手ごろな値段で販売されています。
海外ではLenovoシリーズは売れているようですが、日本ではあまり人気ないですよね。本機種は低価格ビジネスノートの位置づけですが、ビジネスノートと言えばThinkPadを購入する人がほとんどだからだと思います。
ただし、本機種は意外に性能が高く、合う人も多いと思います。
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Lenovo V15 Gen 2 AMDのスペックレビュー
APU | AMD Ryzen 3 5300U AMD Ryzen 5 5500U AMD Ryzen 7 5700U |
---|---|
メモリ | 最大16GB |
ストレージ | SSD 最大512GB HDD 最大1TB |
グラフィックス | Radeonグラフィックス |
ディスプレイ | 15.6型 FHD TN液晶 光沢なし |
OS | Windows 10 Pro、Home |
無線 | WiFi5、Bluetooth V5.0 |
有線 | 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T |
生体認証 | なし |
Microsoft Office | 搭載モデルあり |
セキュリティ | TPM、ハードディスク パスワード、パワーオン パスワード、スーパーバイザーパスワード |
寸法 | 359 x 236 x 19.9㎜ |
重さ | 1.7㎏ |
バッテリー | 15.4時間 |
保証 | 1年間 |
価格 | 5.9万円~ |
パソコンの頭脳であるAPUは、最新で超高性能のRyzen 5000シリーズが搭載です。かなり高い性能で、低価格ビジネスモデルのLenovoシリーズとは言え使い勝手も高いです。
メモリはオンボードに1枚・8GBあり、メモリスロットが1つ空いており最大16GBまで増設できます。最近の安いモデルにはスロットが無いものが多いので、カスタマイザーにも好まれる仕様です。
ストレージは高速モデルのM.2 PCIe SSDが最大512GB搭載可能ですが、HDDも最大1TB搭載できるようです(執筆時現在、公式サイトではHDD搭載モデルは未確認です)。
ディスプレイはやはり低価格モデルなのでTN液晶という視野角が狭く、若干青みがかった液晶です。ただし、フルHD解像度なので、画質自体は標準的です。
その他にもWiFi 5に有線接続も可能、TPMなどのセキュリティもあるので普通にビジネス用途で使えるスペックですね。
Ryzen 5000シリーズになりバッテリー駆動時間が伸びたので、エントリ―クラスの本機種でも最大15.4時間とかなり長いです。TN液晶と言う以外は、そこまで欠点もないですね。
旧モデルとの比較
<左・本機種/右・V15>
旧モデルにLenovo V15という機種があるのですが、海外でのみ販売されていたようで私は把握していませんでした。日本の公式サイトでは一切言及されておらず、アマゾンで2021年1月29日より取り扱われています。また、スペックの詳細が載っていないので、分かる範囲で比較します。
本機種 | V15 | |
CPU | Ryzen 3 5300U Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
Core i5-1035G1 |
メモリ | 16GB(3200MHz) | 8GB |
ストレージ | SSD 512GB、HDD 1TB | SSD 256GB |
ディスプレイ | FHD IPS | HD、FHD |
無線 | WiFi5 | WiFi5 |
バッテリー | 15.4時間 | 6時間 |
重量 | 1.7㎏ | 2.1㎏ |
価格 | 5.9万円~ | 12.1万円~ |
旧モデルはインテル製で、性能が高いCore i5-1035G1が搭載ですね。本機種は筐体も小さくなり、ベゼル(画面の黒い枠)がより細く、そして重量は400gも軽くなっています。
[visualizer id=”24306″ lazy=”no” class=””]スコアは約7000ほどで「ビジネス用途でも快適に使える」目安ですが、旧モデルも本機種も高性能ですね。
旧モデルに比べ大きく価格が下がり、バッテリー駆動時間が伸びたので使いやすくなっています。
ちなみに本機種のインテルモデルは同じ筐体で、CPU以外は同じ仕様になっています。
ライバル機種
<左から本機種/ThinkPad E15 Gen 3 AMD/ThinkPad E15 Gen 2 Intel
本機種と似たようなビジネスモデルのThinkPad E15との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | ThinkPad E15 Gen 2 | ThinkPad E15 Gen 3 | |
CPU | Ryzen 3 5300U Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 Core i7-1165G7 |
Ryzen 3 5300U Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
メモリ | 16GB | 32GB | 24GB |
ストレージ | SSD 512GB, HDD 1TTB | SSD x2 | SSD x2 |
グラフィックス | Radeon | Iris Xe MX450 |
Radeon |
ディスプレイ | FHD TN | FHD TN、FHD IPS | FHD TN、FHD IPS |
色域 | NTSC 45% | sRGB 100%もあり | sRGB 100%もあり |
無線 | WiFi5 | WiFi5/6 | WiFi5/6 |
バッテリー | 15.4時間 | 12.1時間 | 14.2時間 |
重量 | 1.7㎏ | 1.7㎏ | 1.7㎏ |
Thunderbolt 4 | なし | 有り | なし |
価格 | 5.9万円~ | 6.7万円~ | 6.9万円~ |
本機種とThinkPad E15 Gen 2、そしてGen 3との大きな違いは以下になります。
- V15 Gen 2 AMDはTN液晶のみ
- V15 Gen 2 AMDはWIFi5のみ
- ThinkPadはタイピングがしやすいキーボード
本機種は低価格モデルのビジネスノートなので若干見劣りしますが、上記3点を気にしない人なら良いと思います。
こちらはPassmarkスコアの比較です。
[visualizer id=”24316″ lazy=”no” class=””]総じてAMDモデルの方が高いプロセッサー性能になっていますが、インテルモデルはグラフィック性能が高いので、画像編集をしたり、Officeワークや複数画面での作業などが多い人はインテルモデルの方が使いやすいです。また、インテルモデルはThunderbolt 4があるので、よりビジネスに使いやすい仕様です。
購入のポイント
- 本機種・・・予算が6万円以下でRyzen 5000シリーズ搭載のビジネスノートが欲しい人向け
- E15 gen 2 Intel・・・全体的な性能は一番!
- E15 gen 3 AMD・・・Thunderboltは無いが、プロセッサーの性能はピカ一
メリット・デメリット
メリット
・低価格でビジネスノートが購入できる
・バッテリー駆動時間が長い
残念な点
・TN液晶なので見ずらい事もあり
・WiFi6がない
Lenovo V15 Gen 2の特徴
ベゼル(画面の黒い枠)が細く、おしゃれなIdeaPadとビジネスモデルのThinkPadを合わせた様な外観ですね。
通常、どこのブランドでも低価格モデルは筐体が大きいことが多いのですが、本機種はいたって普通です。
幅 | 奥行き | 高さ | 重さ | |
本機種 | 359㎜ | 236㎜ | 19.9㎜ | 1.7㎏ |
E15 Gen 2 | 365㎜ | 240㎜ | 18.9㎜ | 1.7㎏ |
Thinkbook 15 Gen 2 | 357㎜ | 235㎜ | 18.9㎜ | 1.7㎏ |
厚さは若干大きいかなと思いますが、15型なのでそこまで気にならないし、19.9㎜と一円玉(直径20㎜)とほぼ同じサイズなので悪くないと思います。重さは1.7㎏と、平均的な15.6型の重さです。
素材は樹脂(プラスチック)ですが、安っぽくないので気にならないと思います。
ディスプレイを開閉する部分が少し斜めになっているので、指にかかりやすくなっていますね。ディスプレイを開ける時に指が滑って、パソコンが中途半端に浮いて下に落ちたことがあると思うのですが、そういったことが起こりにくくなっています。
底面には比較的大きく吸気口が取られており、エアフローも良いと思います。
キーボード
キーボードはテンキー(右の数字のキー)付きなので、Excelなどで数字を扱うことが多い人は使いやすいと思います。ただし、バックライトはないので、暗がりでの作業はしにくいです。
APU
Ryzen 3 5300U | Ryzen 5 5500U | Ryzen 7 5700U | |
アーキテクチャ | Zen 2 | Zen 2 | Zen 2 |
---|---|---|---|
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 | 8/16 |
キャッシュ | 4MB | 8MB | 8MB |
GPUコア | 6 | 7 | 8 |
基本クロック | 2.6GHz | 2.1GHz | 1.8GHz |
ブーストクロック | 3.8GHz | 4.0GHz | 4.3GHz |
TDP | 15W | 15W | 15W |
CPUはRyzen 5000シリーズで最新アーキテクチャのZen 3でなく、Ryzen 4000シリーズと同じZen 2になります。ただし、全てのプロセッサーはマルチスレッディング対応で、スレッド数がコア数の倍になっているので、より多くのデータを同時に処理がしやすくなっています。
以下のグラフは一般的なRyzen 5000シリーズのPassmarkスコアです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”24327″ lazy=”no” class=””]ビジネス用途で快適に使える目安は約7000なのですが、一番性能が低いRyzen 3でもそれ以上ですね。ここ1~2年でプロセッサー性能が急激に高くなったので、消費者にとっては嬉しいですね。
また、マルチスレッディングになったことで、今まで以上に使いやすくなっています。
例えば、4コア4スレッドよりも4コア8スレッドだと、理論的に倍のアプリやソフトが同時に処理できます。Ryzen 7は8コア16スレッドなので、かなり高い性能です。
グラフィックス
グラフィックスは内蔵グラフィックスとしては優秀な方で、外部グラフィックボードのMX250ほどの性能があります。
[visualizer id=”24333″ lazy=”no” class=””]複数画面を使っての作業も快適で、2Dゲームはできるものが多いです。
ディスプレイ
右にスライドできます↓
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 | コントラスト比 | 色域 | 視野角 |
---|---|---|---|---|---|---|
FHD 1920×1080 |
なし | TN | 250nit | 500:1 | NTSC 45% | 90° |
FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質 |
---|---|
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
TN液晶 | コントラスト比や視野角が低く、青みがかった色 |
nit | 明るさを表す単位。通常250nitが標準 |
コントラスト比 | 最少輝度(黒色)と最大輝度(白色)の差。差が大きいとより鮮やかで、力強い描写が可能 |
色域 | 色空間の規格。一般的なノートパソコンは45%が多い。 |
ディスプレイはフルHDと高解像度ですが、TN液晶なのでコントラスト比が低く、視野角がかなり狭いです。視野角が狭いディスプレイは、画面の角度が変わると暗く見にくい角度もあります。
Web検索やテキスト中心の業務をするのであればほぼ問題ないと思いますが、動画を見たりすると色あせて見えるので没頭感や感動が減りますね。
上部のWebカメラにはプライバシーシャッターがあるので、カメラを使わない時やWeb会議の離席中・休憩中などはこのシャッターを閉じることでプライバシーが守られます。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR4 3200MHzで、オンボードに1枚、スロットに1枚搭載可能です。
公式サイトで販売されているモデルは同じ8GBでも4GB+4GBのものと、オンボードに8GB 1枚のものがあるようなので、増設を考えている人は「8GB オンボード」と書かれた機種を購入しましょう。
ストレージ
SSD(PCIe NVMe) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 30秒~2分 |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機種にはSSD PCIe 3.0×4が搭載なので、パソコンの起動も速く、Web閲覧やアプリの起動などもかなり速いです。低価格モデルに、この高性能ストレージが搭載されるとは思っていなかったです。
バッテリー駆動時間
バッテリーは3セル・45Whで、最大駆動時間は長めの15.4時間となっています。持ち運びが多い人でも、気にせずに外出できると思います。また、充電は約3.5時間で満タンになります。(電源OFF時)
インターフェイス
左側面には、USB-A 3.2 Gen 1(最大データ転送5Gbps)、HDMI、USB-C 3.2 Gen 1、マイク/ヘッドフォンジャックがあります。
右側面にはRJ45(LANケーブルポート)、USB 2.0、セキュリティキーホールがあります。
普段使いであれば十分かもしれませんが、ビジネス用途なら変換ハブがあった方が使いやすいと思います。
セキュリティ
セキュリティは上位モデルのThinkPadと同等のものが搭載で、ビジネススタンダードなセキュリティだと思います。
- パワーオンパスワード・・・電源を入れた時のログインパスワード
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでストレージにパスワードを設定
- スーパーバイザーパスワード・・・BIOSなどの設定を見たり変更する時のパスワード
- セキュリティキ―ホール・・・ワイヤーなどを繋げて持ち運びできないようにする
- Windows Defender・・・Windows 10に搭載されているウイルスから保護するセキュリティ
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
サポート・保証
標準で1年間の「引き取り修理保証」と、電話・チャット・LINE・メールでのサポートがあり、朝9時~夕方6時まで対応しています。
引き取り修理とは、家などの指定住所にLenovoの指定業者がPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれる保証です。保証期間内は、基本的に修理費・郵送費など無料です。
修理拠点は日本国内なので対応も速く、安心して任せることができます。
まとめ
スペック的には全然低価格モデルっぽくない感じで、速度に直結するプロセッサーやメモリ、ストレージも上位モデルと同じものなので、お得な機種だと思います。ただし、TN液晶の質が低いので気になる人もいるかもしれません。
「予算的に上位モデルは厳しい」と言う場合は、本機種は第一候補に入ると思います。