最大1000W(Titanium相当)の電源にインテルXeonが搭載、ECCメモリも最大512GBと企業でも使えるほどのスペックです。グラボには最大RTX 8000もしくはGV100が2枚搭載可能で、RTX 8000を2枚搭載したらビデオメモリ96GBです!メインメモリみたいな容量ですね。
4K編集や3DCG、トレーディング、3DCADやCAEを快適に行える性能です。
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ThinkStation P520(インテルXeon)のスペックレビュー
<モニターは別売り>
CPU | Intel Xeon Wシリーズ |
---|---|
メモリ | 最大 ECC 512GB |
ストレージ | 最大10枚xSSD+最大4基のHDD |
グラフィックス | Quadro P400/620/1000/2200 Quadro RTX 4000/5000/6000/8000 Quadro GV100 |
RAID | 0、1、5、10 |
OS | Windows 10 Pro for Workstation |
無線 | WiFi5、Bluetooth 4.1搭載可能 |
光学ドライブ | スリムDVD-ROM スリムDVDスーパーマルチドライブ |
セキュリティ | TPM、ハードディスク・パスワード、アドミニストレーター・パスワード、USBロック(BIOS)、セキュリティケーブルスロット、シャーシイントルージョンスイッチ、シャーシキーロック |
付属 | キーボード、マウス |
寸法 | 165 x 460 x 440㎜ |
重さ | 最大24㎏ |
電源 | 690W/900W/1000W |
保証 | 3年間翌営業日オンサイト修理 |
価格 | 18.5万円~ |
CPUは18種類あり、選ぶのが大変です(笑)。最大で18コア36スレッドのXeon W-2295が選べるので、性能的に困るケースはほぼないと思います。
メモリは8スロットで、2200番台のCPUを選んだ場合は最大512GBのECCメモリが搭載可能です。2100番台だと最大256GBですが、自分でメモリを増設する場合は、同じく512GBまで増設できます。また、搭載メモリはECCメモリになります。XeonとECCメモリは業務用サーバーやワークステーションに特化した組み合わせで、「データの破損」が絶対に許されないような金融機関、科学技術計算、サーバー業務などに使用する機種に搭載されます
ストレージベイはこのようになります。
・SSD オンボード2つ・AICに7つ
・3.5インチベイが4つ(標準で2つ・オプションで2つ)
・5.25インチベイが2つ
HDDも30TBまで増設でき、最大で40TB以上になるので大容量ですね。
グラフィックボードはエントリークラスのP400からハイエンドモデルのRTX 8000かGV100まで9種類が選べます。電源との兼ね合いもありますが、グラボ2枚搭載可能なので、より高いグラフィック性能が欲しい人にも合いますね。
個人向けとしては超高性能で、企業としてもほとんどの用途で十分に使えるほどだと思います。
ライバル機種
本機種と似たような最新機種との比較です。(メモリ・SSD・グラボは最大値。スマホの方は表を右にスクロールできます)
<左から本機種P520、P920、P620>
本機種 | ThinkStation P920 | ThinkStation P620 | |
CPU | Xeon Wシリーズ | Xeon Silver,Gold(2枚搭載可能) | AMD Threadripper |
メモリ | 512GB | 1024GB | 512GB |
ストレージ | 最大40TB以上 | 最大40TB以上 | 最大40TB以上 |
グラフィックス | ~RTX 8000、GV100 | ~RTX 8000、GV100 | ~RTX 8000 Radeon Pro WX3200 |
電源 | 最大1000W 92% | 最大1400W 92% | 最大1000W 92% |
重量 | 最大24㎏ | 最大31㎏ | 最大24㎏ |
価格 | 18.5万円~ | 29万円~ | 30.2万円~ |
本機種はXeon搭載モデルで電源も大きめの機種としては低価格で、パワフルですね。コスパが高い機種です。
P920は上位モデルでCPUを2枚搭載することができ、最大1400Wと大きめの電源です。個人として購入する人は一部で、主に企業向けですね。最大で20コア40スレッドのXeon Gold 6230を搭載できます。
P620は最大で64コア128スレッドのThreadripper Pro 3995WXが搭載可能で、モンスターですね。以前、藤井棋士がThreadripperを使っていると言って話題になりましたね。64コアも使えるようなソフトを使用する人は、こちらがいいかもしれませんね。
メリット・デメリット
メリット
・Xeon搭載ワークステーションとしては低価格
・最大スペックは上位モデル並み
デメリット
・カスタマイズできるパーツが多いので、自分でメモリやストレージを増設できないと価格が高くなる
ThinkStation P520の特徴
本機種は意外にスリムな筐体で、幅がたったの165㎜となっています。一万円札の長さが160㎜なので、これより5㎜大きいだけです。
・奥行き460㎜・・・千円札3枚(450㎜)
・高さ440㎜・・・千円札3枚(450㎜)
とほぼ同じサイズです。奥行きと高さはありますが、幅が比較的小さいので机の下だけでなくシェルフなんかにも置きやすそうです。
前面はメッシュ状になっており、吸気口を兼ねています。
サイドパネルはスライドすると外せる様になっており、ツールフリーで簡単に筐体内部にアクセスできます。メンテナスやメモリ・ストレージの増設がしやすいですね。
「増設や取り換えなどの際に使う場所」に赤い線があるので、一目でどこを触って、どこを触らないようにするか分かります。
メモリは最大8枚(8スロット/4チャンネル)で、ストレージはオンボードに2枚のSSDが搭載可能で、最大10枚のSSDか、SSD 6枚+HDD 4基/SSD SATA 2.5インチ4基(3.5インチベイ最大4つ)、FlexモジュールにHDD/SSD SATAが1つ搭載できます。
PCIスロットは以下になります。
PCI x1
PCI Expressx4 x2
PCI Expressx8 x1
PCI Expressx16 x2
インターフェイス
- PS/2(キーボード・マウス)
- USB 3.0 x4
- コンポジャック
- 光学ドライブ
- USB 2.0 x2
- USB 3.0 x4
- RJ45
- マイク入力/ライン入出力
また、最大で2枚のグラフィックボードが搭載でき、以下のインターフェイスがあります。
インターフェイス | |
P400 | 3x mini Dispaly Port |
P620 | 4x mini Dispaly Port |
P1000 | 4x mini Dispaly Port |
P2200 | 4x Dispaly Port |
RTX 4000 | 3x Dispaly Port |
RTX 5000 | Display Portx4,VirtualLink |
RTX 6000 | Display Portx4,VirtualLink |
RTX 8000 | Display Portx4,VirtualLink |
GV100 | Display Port x 4 |
注)VirtualLinkとは、VRに使うヘッドセットを1本のコネクタで接続できる入出力です。
ISV認証
ISV認証とは独立系ソフトウェアベンダーによりアプリケーションとの互換性や安定稼働、運用性などをテストされ、認証を得た機種になります
Lenovoでは購入予定の機種から、どのソフトの認証を得ているかなどを確認できるページがあり、「P520、Autodesk、Autodesk 3ds Max」で検索した結果、もちろんですが「Recommended(おすすめ)」と表示されました。
まぁ、ほとんどのソフトに対応していますが、こちらから検索できるので確認してみてください。
CPU
CPUは18種類から選べます。多すぎて困りますね(笑)。主な性能と、価格順に表記しています。
コア/スレッド クロック TDP | コア/スレッド クロック TDP | ||
W-2102 | 4/4 2.9GHz 120W |
W-2104 | 4/4 3.2GHz 120W |
W-2123 | 4/8 3.6/3.9GHz 120W |
W-2223 | 4/8 3.6/3.9GHz 120W |
W-2125 | 4/8 4.0/4.5GHz 120W |
W-2225 | 4/8 4.1/4.6GHz 120W |
W-2133 | 6/12 3.6/3.9GHz 140W |
W-2235 | 6/12 3.8/4.6GHz 130W |
W-2245 | 8/16 3.9/4.5GHz 155W |
W-2255 | 10/20 3.7/4.5GHz 165W |
W-2135 | 6/12 3.7/4.5GHz 140W |
W-2265 | 12/24 3.5/4.6GHz 165W |
W-2145 | 8/16 3.7/4.5GHz 140W |
W2275 | 14/28 3.3/4.6GHz 165W |
W-2155 | 10/20 3.3/4.5GHz 140W |
W-2295 | 18/36 3.0/4.6GHz 165W |
W-2175 | 14/28 2.5/4.5GHz 140W |
W-2195 | 18/36 2.3/4.3GHz 140W |
こちらはCPUの性能を表すPassmarkスコアです。
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”21541″ lazy=”no” class=””]Xeonとは言え、W-2102などかなり性能が低いものもあるので、ご注意を。また、当然ですが2100番台より2200番台の方が高い性能です。
グラフィックス
通常のパソコンにはグラフィックボードにGeForce(3Dゲーム/DirectXに最適化)が使われますが、本機種ではQuadro(CADなどの専門的な高度な技術計算/OpenGLに最適化)が搭載です。
↓右にスクロールできます↓
Quadro | P400 | P620 | P1000 | P2200 |
GPUアーキテクチャ | Turing | Turing | Turing | Turing |
CUDAコア | 256 | 512 | 640 | 1280 |
メモリ帯域 | 32Gbps | 80Gbps | 82Gbps | 200Gbps |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5X |
メモリ容量 | 2GB | 2GB | 4GB | 5GB |
単精度性能 | 0.641TFLOPS | 1.38TFLOPS | 1.89TFLOPS | 3.8TFLOPS |
Tensor core性能 | – | – | – | – |
NVLink SLI | – | ー | ー | ー |
API | Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
Shader 5.1 OpenGL 4.6 DirectX 12 Vulkan 1.1 |
TDP | 30W | 40W | 47W | 75W |
Quadro | RTX 4000 | RTX 5000 | RTX 6000 | RTX 8000 | GV100 |
GPUアーキテクチャ | Turing | Turing | Turing | Turing | |
CUDAコア | 2304 | 3072 | 4608 | 4608 | 5120 |
Tensorコア | 288 | 384 | 576 | 576 | 640 |
RTコア | 36 | 48 | 72 | 72 | ー |
メモリ帯域 | 416Gbps | 448Gbps | 672Gbps | 672Gbps | 870Gbps |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | HBM2 |
メモリ容量 | 8GB | 16GB | 24GB | 48GB | 32GB |
単精度性能 | 7.1TFLOPS | 11.2TFLOPS | 16.3TFLOPS | 16.3TFLOPS | 14.8TFLOPS |
Tensor core性能 | 57.0TFLOPS | 89.2TFLOPS | 130.5TFLOPS | 130.5TFLOPS | 118.5TFLOPS |
NVLink SLI | ー | NVLink | NVLink | NVLink | NVLink |
API | Shader 5.1 OpenGL 4.6 DirectX 12 Vulkan 1.1 |
Shader 5.1 OpenGL 4.6 DirectX 12 Vulkan 1.1 |
Shader 5.1 OpenGL 4.6 DirectX 12 Vulkan 1.1 |
Shader 5.1 OpenGL 4.6 DirectX 12 Vulkan 1.1 |
Shader 5.1 OpenGL 4.5 DirectX 12 Vulkan 1.0 |
TDP | 160W | 265W | 295W | 295W | 250W |
- TFLOPS・・・単精度浮動小数点演算性能で、RTX 4000の7.1TFLOPSだと、32bit小数の乗算、または加算を1秒間に7.1兆回実行できる速度
- NVLink・・・NVIDIAの2つの同じグラフィックボードを繋げて理論的に2倍の性能に引き上げることができるマルチGPU技術。接続にNVLink SLI Bridgeが必要
最大で2枚のグラフィックボードを搭載できますが、2枚搭載したからと言って必ずしも性能が2倍になるわけじゃないので、注意が必要です。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
メモリはECCメモリDDR4 2933MHzで、最大8スロット4チャンネルになっています。最大512GB搭載できるので、多くの用途で十分だと思います。
RAID設定
本機種では、RAID 0, 1 , 5, 10の設定ができます。
- RAID 0・・・読み込み書き込みが高速で出来るし、分散してデータを保存ができる反面、1つのストレージに障害が発生すると復旧できません。なので、RAID 1やRAID 5と組み合わせて使うことが多いです。
- RAID 1・・・読み書きが遅いが、複数のストレージに「同じデータを書き込む」ので、1つのストレージに障害があってももう一つの方のデータを使って作業が出来ます。
- RAID 5・・・ドライブが3台以上必要で、データからパリティ(誤り訂正符号)を作成し、3台以上のハードディスクに分散して書き込み。分散書き込みなので速度も速く、1つのHDDに問題が発生しても残りのHDDから作業が可能。多くの人はこの設定を利用
- RAID 10・・・ドライブが4台以上必要で、RAID 0とRAID 1を組み合わせた構成。多くの人はこの設定を利用
セキュリティ
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- Kensingtonロック・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所
- USBロック・・・USBポートを外部USBデバイスからロックする。パスワードを入れて解除できます。
- OPAL・・・自己暗号化ドライブ。データが流出した時など、暗号化されているので解読されにくいという特徴があります。
- シャーシ イントルージョン スイッチ・・・筐体へのアクセスを記録できる(誰かが勝手に開けて内部を触っても分かる)
主なものを記載しましたが、多くのセキュリティが搭載しているので企業でも安心して使えます。特に、シャーシインストルージョンスイッチは、仮に従業員などの内部の者が筐体に不正を働いてもBIOSが記憶して、次回起動時に警告を出すので鉄壁の防御ですね。
電源
電源は3種類あり、全て電力変換効率が92%と高いものになっています。92%なので80PLUSでいえばPlatinum相当です。
電源は大きい方がパフォーマンスが上がるので、最大の1000Wを搭載することをお勧めします。
サポート・保証
保証は「オンサイト修理」と言って、エンジニアが直接自宅や会社に伺い、修理をしてくれるサービスです。また、プレミアムサポートという上位サポートが付随しており、24時間365日専任のエージェントが対応してくれます。
標準で3年、最長5年まで延長できます。Lenovoはサポートが手厚いので、購入しやすいと思います。
まとめ
CPUにはインテルXeon搭載で、メモリもストレージも大容量、グラボも最大2枚搭載できるのでかなり高い性能にできます。セキュリティも豊富で、保証とサポートも手厚いので、価格以上に価値があると思います。
個人向けとしては最高峰クラス、企業向けとしてもハイエンドモデルですね。