ThinkCentre MシリーズMini-Towerは比較的コンパクトなPCで、拡張性が高くカスタマイズによってはかなり高い性能になります。
Ryzen 9も選べ、メモリも最大128GB、そしてDisplay Portが2つにHDMIもあるので、複数画面を使ったトレーディングにも向いています。もしくは単純に「サクサク使いたいから高性能PCが欲しい」と言う企業や個人にも合いますね。
ビジネスモデルなので、セキュリティも豊富で保証も手厚く、個人でも企業にとっても安心して使える高性能PCです。
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ThinkCentre M75t Mini-Tower Gen2のスペックレビュー
<モニターは別売り>
CPU | Athlon Gold Pro 3150G Ryzen 3 Pro 4350G Ryzen 5 Pro 3400G/4650G Ryzen 7 Pro 4750G Ryzen 9 Pro 3900 |
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メモリ | 最大128GB |
ストレージ | 最大5TB(SSD 2TB、HDD 1TB+HDD 2TB) |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス Radeon 520 DDR5 Radeon RX 550X |
OS | Windows 10 Home/Pro |
Microsoft Office | 搭載可能 |
光学ドライブ | なし DVD-ROM DVDスーパーマルチドライブ |
無線 | なし AC 9260+Bluetooth |
有線 | 内蔵イーサネット(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T) |
セキュリティ | DASH、TPM、Smart USB Protection、パワーオン パスワード、ハードディスク パスワード、アドミニストレーター パスワード、セキュリティ キーホール シャーシ イントルージョン スイッチ(オプション) |
付属 | マウス、キーボード(カスタマイズより付属無しに変更可能) |
電源 | 180W(80PLUS Bronze) 260W(80PLUS Bronze) 310W(80PLUS Platinum) |
寸法(幅x奥行x高) | 145×281.5×340㎜ |
重さ | 最大5.9㎏ |
保証 | 1年間オンサイト修理 |
価格 | 5.8万円~ |
パソコンの頭脳であるCPUには、ビジネス用途にも使えるAthlon Goldから、専門的な用途にも使えるRyzen Pro 9が搭載可能です。
幅広いスペックのCPUを選べるので、どんな用途にも対応できます。
Ryzen 9は内蔵グラフィックが無いので、これを選んだ場合のみ自動で外付けグラフィックボードのRadeon 520かRadeon RX 550Xが搭載されます。ただし性能的には、内蔵グラフィックスと変わりありません。
メモリは超大容量です!最大128GB搭載できます。個人であれば最低8GB、ビジネス用途であれば最低16GBあれば特に困ることはないと思いますが、用途によってはより大きなメモリの方が有利なので助かりますね。
当然メモリが大きい方が処理速度が速く、高速表示されるので、個人的にはいつも32GB以上にしています。
ストレージはHDD2つとSSD1つ搭載でき、購入ページからは最大で5TBにできますが、自分で増設するのであればHDD 6TBx2+SSD 2TBとかでもいいですね。
光学ドライブは標準では搭載無しですが、読み出し専用のDVD-ROMか、読み書きが出来るDVDスーパーマルチドライブが選択できます。
有線LANは標準搭載で、無線(WiFiとBluetooth)が必要な場合はカスタマイズから追加できます。
ミニタワーで小型な筐体ですが、インターフェイスは普通のタワー型とそん色ないので困ることはないと思うし、カスタマイズからUSBやパラレルポートなどの追加も出来ます。
保証は1年間オンサイト修理と言って、技術員が直接自宅や会社に来てくれて修理してくれるので、パソコンをLenovoの工場に送る必要はありません。
サポートも電話やチャットなどのサポートがあり、法人で購入する場合は有料で「プレミアサポート」もつけていたらより安心かと思います。
スペック、保証共に値段以上だと思います。
ThinkCentre M75t Mini-Tower Gen2の特徴
約14Lの筐体で、非常にスリムです。この小さな筐体にパワフルなスペックがあると思うと、今までタワー型を買っていた意味が薄れますね(泣)。
寸法は幅145㎜、奥行き281.5㎜、高さは340㎜と小さく、机上に置いても圧迫感が無いし、「Alt+P」を押すと電源が入るので、机の下においでもわざわざかがんで電源を入れる必要もありません。
- 幅は千円札の長辺(150㎜)とほぼ同じ
- 奥行きはDVD-Rなどのプラケース2枚分(284㎜)とほぼ同じ
- 高さは1万円札の長辺2枚分(320㎜)+2㎝
高さがそれほどないし、幅も狭いのでデスク上に置いて良いサイズですね。
筐体の右側面です。
筐体左側面です。大きく通気口があります。
筐体背面です。多くの通気口があるのでエアフローはいいですね。
インターフェイスにHDMI1つとDisplay Portが2つあるので、複数のモニターを使うことも可能です。株などのトレーディングにも向いているし、調べ物をしながら資料作成をする人にも合いますね。
CPU
CPUはパソコンの頭脳で、重要な部分です。本機種ではIntel社ではなくAMD社のプロセッサーを使い、ビジネス用途でもぎりぎり快適に使えるAthlon Goldから、専門職・プロ用のRyzen 9まで幅広く選ぶことが出来ます。
CPUは世代が混じっており、Ryzenは第2世代の3000シリーズと、第3世代の4000シリーズがあります。
コア/スレッド | GPUコア | ベースクロック ブーストクロック |
キャッシュ | TDP | |
Athlon Gold Pro 3150G | 4/4 | 3 | 3.5GHz/3.9GHz | 4MB | 65W |
Ryzen 3 Pro 4350G | 4/8 | 6 | 3.8GHz/4.0GHz | 4MB | 65W |
Ryzen 5 Pro 3400G(第2世代) | 4/8 | 11 | 3.7GHz/4.2GHz | 4MB | 65W |
Ryzen 5 Pro 4650G | 6/12 | 7 | 3.7GHz/4.2GHz | 8MB | 65W |
Ryzen 7 Pro 4750G | 8/16 | 8 | 3.6GHz/4.4GHz | 8MB | 65W |
Ryzen 9 Pro 3900(第2世代) | 12/24 | – | 3.1GHz/4.3GHz | 64MB | 65W |
AMDはIntelと同様、Core i3=Ryzen 3、Core i5=Ryzen 5の様に同じナンバーを使って同等モデルにしています。
こちらはIntelと本機種搭載のAMDプロセッサーの比較です。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCなど専門的な機種に搭載されることが多い
一番性能が低いAthlon Gold Pro 3150でも7702のスコアがあり、ビジネス用途でもギリ問題なく使えます。複数のアプリを同時に使ったり、いくつものタブを開いて調べ物をしながら資料作成したり。
2DCADを使ったりと専門的なことをする人は、Ryzen 5 Pro 4650G(スコア16598)以上を目安にしたら大丈夫です。2DCADを使うのにこのスコアは高すぎますが、企業で快適に使うことを考えたらこのくらいかなと思います。
12コアのRyzen 9はかなり高い性能なので、「とにかく快適に使いたい人」や、CPUの性能が特別必要なことをする人向けです。
GPUコアは、コア数が多いと(グラフィック性能が高い)と動画編集などがしやすいですが、クリエイター向けのPCじゃないので、動画編集などの用途の場合はグラフィックボード搭載のThinkStationがおすすめです。
コアとスレッド数が高いと、並行して同時に複数の作業がやりやすいので、タブを20個開ける人や、あれもこれも同時に使うことがある人は6コア以上が使いやすいです。
<アプリの数は例です>
グラフィックス
グラフィックスは内蔵グラフィックスで、Ryzen 9のみ内蔵グラフィックスが無いので、Radeon 520かRX 550Xという外付けグラフィックボードが搭載できます。
Radeon 520 | RX 550X | |
演算ユニット | 5 | 8/10 |
ブースト周波数 | 最大1030MHz | 最大1287MHz |
最大性能 | 660 GFLOPs | 1.65 TFLOPs |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 |
メモリサイズ | 4GB | 4GB |
メモリ帯域幅 | 48GB/秒 | 112GB/秒 |
最初に言ったように、これらの外付けグラフィックボードは特に性能が高いものではないですが、Officeワークがより快適にできる仕様になっています。
インターフェイス
インターフェイスは豊富です。まず困ることはないと思います。
1. 電源ボタン 2. カードリーダー 3. マイク入力 4. マイク入力/ヘッドホン出力コンボジャック 5. USB3.1 Gen1 Type-Cポート 6. USB3.1 Gen1 x2 7. USB3.1 Gen2 x2 |
8. ライン出力 9. DisplayPort x2 10. HDMI 11. シリアルポート 12. イーサネット・コネクター(RJ-45) 13. USB2.0 x4 14. 電源コネクター |
上記に加え、カスタマイズからシリアルポートやPS/2ポート(マウス・キーボード用)、パラレルポート、光学ドライブが追加できます。
シリアルポートやパラレルポートは結構古い機器を接続するポートで、お持ちの機器が新しいものであれば通常必要ないです。現在使っている機器を確認して購入した方がいいですね。
光学ドライブとメディアカードリーダーは、モデルによっては標準搭載です。光学ドライブは読み出し専用のDVD-ROMか、読み書きできるDVDスーパーマルチドライブが選択できます。CDを焼いたり、CD-Rにデータを書き込む人はスーパーマルチドライブが必要です。
空きスロットはカスタマイズにより変わりますが、PCI Express x16とPCI Express x1が空き1つずつ、WiFi用のM.2 2230が1つ、M.2 2280が1つです。
メモリ
メモリは一時的にデータを保存する場所で、パソコンの作業台になります。メモリが大きいと、より大きなデータが、より速く処理できます。
ここ最近は標準で8GBと言われていますが、個人的には16GBや32GBなどの大きめのメモリが良いと思います。特に毎日パソコンを使うのであれば処理速度が速い方が快適に使えるので、時間も無駄になりません。
メモリスロットは4つあるので、例えば16GBx2を選んで足りない場合は自分で簡単に増設できます。
メモリは動作周波数が異なり、
- PC4-25600は3200MHz
- PC4-21300は2666MHz
- PC4-19200は2400MHz
- PC4-17000は2133MHz
- PC4-14900は1866MHz
の動作周波数です。この周波数(MHz)が大きいと、より速くデータ処理が出来ます。
ちなみに以下の2つのCPUを選んだ場合で、PC4-25600のメモリを選んでもプロセッサーの仕様上3200MHzで動作しません。
- Athlon Gold Pro 3150G ・・2933MHzでの動作
- Ryzen 5 Pro 3400G・・・・2933MHzでの動作
また、メモリは2枚挿しが一番性能が高いので、16GBを選ぶなら8GBx2、32GBを選ぶなら16GBx2の様に選んだ方がいいです。
ストレージ
ストレージはHDDが最大2つ、SSDが最大2TB搭載できます。
HDDはSATA接続で、最大データ転送速度は6Gbpsになります。
SSDは3種類あります。(最大データ転送速度の理論値)
- M.2 2242 PCIe 3.0×2(16Gbps)
- M.2 2242 PCIe 3.0×4(32Gbps)
- M.2 2280 PCIe 3.0×4(32Gbps)
上の画像はSSDのカスタマイズページの一部ですが、M.2 2242はPCIeが何か記載されていないので、安全に行くならM.2 2280ですね。2280は1種類でPCIe 3.0×4のみなので、かなり速いです。
ただし、大きなデータを扱わない人は、3.0×2でも3,0×4でも体感で速度差は分からないと思います。どちらも速いんですよ。
また、M.2 2280はOPAL対応で、自己暗号化ドライブになっています。データをハードウェアレベルで暗号化できるので、より強固なセキュリティになります。(別途設定が必要)
電源
電源は基本的に大きな方がパフォーマンスも上がるし、パソコンが長持ちするので、余裕があれば必ず大きなものを選んだ方がいいです。
マラソンって100%の力で走るより、50%の力で走った方が長く走れますよね?電源も同じで、100%の力で電気を供給するより、50%の力で十分な電力が供給できた方が長持ちします。
なので大きめの電源がおすすめなんです。
本機種には3種類の電源があり、それぞれ電源変換効率が違います。
- 180W 85%(80PLUS Bronze)
- 260W 85%(80PLUS Bronze)
- 310W 92%(80PLUS Platinum)
電源ってどの機器でも同じですが、100Wと書かれている電源でも100W丸々供給はできません。電源の種類により変換率が変わり、変換された分だけ供給されます。
例えば100W 80PLUS Standardと100W 80PLUS Platinumでは、消費電力は同じ100Wですが供給される電気はStandardが最大80W、Platinumが最大92Wになります。
言い換えると、例えば80W必要な時の消費電力は
- Standardが100W
- Platinumが約87W
なので、良い電源を搭載すると電気代も若干安くなります。
セキュリティ
ビジネスモデルなので、セキュリティは堅牢です。
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアやフィッシングなどのウイルスからパソコンを守ってくれます。
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- ハードディスクパスワード・・・ハードウェアレベルでパスワードを設定できるので、パソコン内部のデータが盗み見られる可能性がかなり減ります
- DASH(Desktop and Mobile Architecture for System Hardware)・・・保護されたアウトバンド管理やリモート管理が可能
- セキュリティキーホール・・・パソコンが持ち出されないようにロックするワイヤー設置する個所
- Smart USB Protection・・・USBポートからのデータ流出や、外部からUSBポート経由でシステムやネットワークに侵入を防ぐ
- AMD GuardMIテクノロジー・・・マルウェアやフィッシングなどのサイバーセキュリティ―に対処(プロセッサーのRyzen Proに搭載)
- シャーシ イントルージョン スイッチ(カスタマイズにより搭載)・・・筐体へのアクセスを記録できる(誰かが勝手に開けて内部を触っても分かる)
保証・サポート
サポートは、電話、チャット、メールでのサポートがあり、保証は1年間オンサイト修理で、万が一故障などの場合は技術員の方が会社や家に直接来てくれてその場で修理をしてくれます。
こちらは基本保証で1年間ですが、最長5年(約1.5万円)まで延長できます。
オプションで、画像右側のようなプレミアサポートもつけることが出来ます。こちらの場合は、専任エージェントによる24時間365日のサポートに、オンサイト修理が翌営業日など、至れり尽くせりなサポートがあります。特に企業で購入する場合は、プレミアサポートがあった方がいいと思います。
まとめ
ここまできれいにまとまったスペックで、文句の付け所が無い機種も少ないです。
省スペースで、性能も中~高まで選べるし、保証もオンサイトと、個人的にも企業的にも必要なもの全てあると思います。
メモリと電源が結構大きくできるのが、ポイントが高いですね。