HP Z4 G4のレビュー

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HPのタワー型ワークステーションで、比較的高い性能にでき、企業向け・個人向けの機種です。電源の関係上そこまでハイスペックにしない方が良いですが、それでもハイエンドクラスのスペックにでき、個人利用であればプロ向けの機種です。

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Z4 G4のスペックレビュー

HP Z4 G4とモニター

CPU Xeon W-2100番台
Xeon W-2200番台
メモリ 最大256GB
ストレージ SSD x2+HDD x4基
グラフィックス NVIDIA Quadro P400/P620/P1000/P2200
NVIDIA Quadro RTX 4000/5000/6000/8000
RAID 0, 1, 10
OS Windows 10 Pro For Workstation
Windows 10 Pro For Workstation Plus
OSなし
有線 10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T
光学ドライブ DVD-ROM/DVDライター/ブルーレイドライブ
セキュリティ サイドパネル開閉センサー、Kensington Cable Lock用スロット、USBコントロール、リムーバブルメディア書込み/ブートコントロール、パワーオンパスワードセットアップパスワードなど
寸法 169 x 445 x 386㎜
重さ 11.3㎏
電源 750W 80PLUS 90%
保証 3年間
価格 23.4万円~

パソコンの頭脳であるCPUにはXeonが搭載で、最大で10コア20スレッドのXeon W-2255が搭載可能です。超高性能ですね。

メモリはECCメモリ搭載で、8スロット・最大256GBまで増設可能、ストレージは内蔵M.2が最大2枚、SATA接続が最大4基と大容量です。もちろん、RAID設定もでき、0、1、10が設定できます。

グラフィックスには高度の技術計算(OpenGL)に最適化されたNVIDIA Quadroが搭載で、エントリークラスのQuadro P400から、ハイエンドモデルのRTX 8000まで選べます。また、グラフィックボードは最大で2枚搭載可能です。低負荷な作業しかしない人からプロまで納得のいく性能で、解析などの専門的な事をする企業や団体にも使いやすいです。

有線は最大で1000Base-Tで、1Gbpsの通信速度があります。できればもうちょっと早いものが搭載していたら、嬉しかったですね。

あまりハイスペックにしすぎると電源が若干不安ですが、全体的に見て、コスパが良い機種ですね。

公式サイト

旧モデルとの比較

HP Z4 G4とZ440の比較<右・本機種/左・Z440>

旧モデルのHP Z440との比較です(メモリ・SSD・GPUは最大値)

本機種 Z440
CPU Xeon Wシリーズ Xeon Eシリーズ
メモリ 256GB(2933/2666MHz) 128GB(2400MHz)
ストレージ SSD x2+HDD x4基 SSD+HDD
グラフィックス Quadro RTX 8000 Quadro P5000
有線 ギガビットイーサネット ギガビットイーサネット
電源 750W 700W
重量 11.3㎏ 13.5㎏
価格 23.4万円~

CPUがXeon EシリーズからWシリーズに上がりメモリも倍増(スロット数は同じ)、GPUがQuadro Pシリーズから新モデルでより性能が高いRTXシリーズになっています。また、電源が50W大きくなっていますね。

筐体は若干小さくなっており、高さが5㎝ほど低くなっています。Z440は2014年に販売された機種なので比べるのも酷ですが、性能は大きくアップしています。

ライバル機種

HP Z4 G4とZ6 G4、Lenovo ThinkStation P520の筐体比較<左から本機種・Z6 G4・P520>

本機種と似たような最新機種との比較です。(CPU・メモリ・ストレージ・有線速度は最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)

本機種 Z6 G4 ThinkStation P520
CPU Xeon W-2255 Xeon Gold 6242R
Xeon Gold 6240R
最大2枚
Xeon W-2195
Xeon W-2295
メモリ 256GB 384GB 512GB
ストレージ SSD x2+HDD x4基 SSD2枚+HDD 4基 SSD 10枚+HDD 4基
グラフィックス Quadro RTX8000 Quadro RTX8000 Quadro RTX 8000
Quadro GV100
電源 750W 1000W 1000W
重量 11.3㎏ 13.6㎏(標準構成) 24㎏(最大構成)
有線 1Gbase-T 1G/10Gbase-T 1Gbase-T
価格 23.4万円~ 33.1万円~ 18.5万円~

本機種は同等クラスの性能の機種の中で一番小型で、一番電源も小さいです。電源が小さい=スペックを上げると電力が足りない(もしくはギリギリ)可能性もあるので、スペックをそこまで上げない人に合います。スペックをかなり上げるなら、電源が大きい他機種の方が高いパフォーマンスを発揮できます。

Z6 G4は唯一10Gbpsの通信速度があるので、企業におすすめのスペックですね。その分、価格も一番高いです。

LenovoのThinkStation P520はスペックも高く電源も大きめ、でも価格が一番安いです。と言うのも、HPのワークステーションはセキュリティが豊富に付いているのですが、Lenovoは中の上クラスのセキュリティが搭載、そして法人向けに別料金でセキュリティ対策ができます。

個人利用なら、断然P520がコスパが高いです。

メリット・デメリット

メリット

・そこそこ高いスペック
・セキュリティが豊富

デメリット

・筐体内部の配線が裏配線じゃない
・電源が若干小さい

Z4 G4の特徴

HP Z4 G4の外観 正面

ワークステーションと言うと、ごつくておしゃれじゃない筐体が多かったですが、HPのワークステーションは年々進化していますね。見た目もおしゃれで、かっこいいと思います。

寸法は幅169㎜、奥行き445㎜、高さ386㎜で、

  • 幅169㎜は、一万円札の長辺(160㎜)
  • 奥行き445㎜は、千円札3枚分(450㎜)
  • 高さ386㎜は、千円札2.5枚分(375㎜)

とほぼ同じ寸法です。高さがそこまでないので、机上に置いても圧迫感が少ないですね。

HP Z4 G4の外観 右斜め前から

前面はメッシュ状になっており、エアフローは良いと思います。

HP Z4 G4の外観 左斜め前から

筐体上部には取っ手があり、重さも11.3㎏とワークステーションにしては軽い方なので、設置・移動がしやすいと思います。また、左側面にはロック付きの取っ手があり、簡単に筐体内部にアクセスできます。

HP Z4 G4の筐体内部

筐体内部です。比較的すっきりした内部ですが、裏配線じゃないのでコードが見えますね。

HP Z4 G4の筐体内部

メモリやグラボなどのカスタマイズは簡単ですが、筐体内部のメンテナンスやその他のカスタマイズのしやすさは、良くも悪くもないと思います。空冷なのでメンテンナンスは、簡単と言えば簡単ですが。ただし、上位モデルのZ8 G4やLenovo ThinkStation P520の方が筐体内部もすっきりしているし、配線も乱雑じゃない、カスタマイズやメンテもしやすい仕様になっています。

拡張スロットは

PCI Express3.0 x16×2スロット(グラボで1つ使用。グラボ2枚搭載の場合は空き無し)
PCI Express3.0 x8×1スロット
PCI Express3.0 x4×2スロット

です。

拡張ベイは5.25インチが2つ、3.5インチベイが2つあり、チップセットにSATA接続が最大6つできます。

インターフェース

HP Z4 G4の外観 正面

インターフェースは豊富で、購入時にプレミアムI/OモジュールかスタンダードI/Oモジュールが選べます。

・スタンダード・・・USB-A 3.1 Gen 1(最大データ転送速度5Gbps)が4つ、USB-A 2.0が4つ
・プレミアム・・・USB-A 3.1 Gen 1が2つ、USB-C 3.1 Gen 2(同10Gbps)が2つ、USB-A 2.0が4つ

HP Z4 G4の外観 背面

背面にはLINE IN/OUT、マイク、PS/2、RJ45が2つ、USB-A 3.1 Gen 1が6つあります。

シリアルポートやThunderbolt 3などオプションで搭載可能です。

また、最大で2枚のグラフィックボードが搭載でき、以下のインターフェイスがあります。

インターフェイス
P400 3x mini Dispaly Port
P620 4x mini Dispaly Port
P1000 4x mini Dispaly Port
P2200 4x Dispaly Port
RTX 4000 3x Dispaly Port
RTX 5000 Display Portx4,VirtualLink
RTX 6000 Display Portx4,VirtualLink
RTX 8000 Display Portx4,VirtualLink

注)VirtualLinkとは、VRに使うヘッドセットを1本のコネクタで接続できる入出力です。

13年連続国内シェアNo.1

HPのワークステーションは13年連続シェアNo.1

IDCと言う調査会社によると、HPのワークステーションは日本国内で13年連続でシェアNo.1を記録しており、トヨタ自動車東日本株式会社 やEIZO、医療関係の東陽テクニカなど多くの有名企業がHPのワークステーションを導入しています。もちろん、大企業だけでなく建築設計事務所や大学、イラストレーターなどもHPを使用している人が多いです。

こちらで一部企業を紹介しているので、興味がある方はご覧ください。

ISV認証

ISV認証

ISV認証とは、独立系ソフトウェアベンダーからソフトウェアアプリケーションの互換性や動作の認定を受けた機種になります。画像は一部のベンダーですが、AdobeやAutodesk、Bentleyなどの主要ベンダーから認証を受けています。

ZCentral Remote Boost

Zcentral Remote boostの仕組み

ZCentral Remote Boostとは、簡単に言うと複数のユーザーが送信元コンピューターを共有でき、リモートアクセスでも編集やビッグデータの視覚化などできます。

例えば複数の本機種をラックマウントに搭載し、リモートワークで社員が自宅や外出先から本機種に接続し、パワフルな作業ができるようになります。

しかも、社員が自宅で使っているパソコンには「データは送信されず、画面のピクセル情報のみ転送」されるので、セキュリティ面でも安心です。

詳しくは、公式サイトをどうぞ。

CPU

コア/スレッド クロック TDP コア/スレッド クロック TDP
W-2123 4/8
3.6/3.9GHz
120W
W-2223 4/8
3.6/3.9GHz
120W
W-2225 4/8
4.1/4.6GHz
120W
W-2235 6/12
3.8/4.6GHz
130W
W-2245 8/16
3.9/4.5GHz
155W
W-2255 10/20
3.7/4.5GHz
165W

スコアの目安

  • 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
  • 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
  • 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
  • 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い

↓グラフをタップすると数値が表示されます↓

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Xeonと言っても性能が低いものもあるので、選ぶならW-2235以上かなと思います。

グラフィックス

NVIDIA Quadro

Quadro P400 P620 P1000 P2200
GPUアーキテクチャ Turing
CUDAコア 256 512 640 1280
メモリ帯域 32Gbps 80Gbps 82Gbps 200Gbps
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5X
メモリ容量 2GB 2GB 4GB 5GB
単精度性能 0.641TFLOPS 1.38TFLOPS 1.89TFLOPS 3.8TFLOPS
Tensor core性能
NVLink SLI
API Shader 5.1
OpenGL 4.5
DirectX 12
Vulkan 1.0
Shader 5.1
OpenGL 4.6
DirectX 12
Vulkan 1.1
TGP 30W 40W 47W 75W

こちらはRTXです。

Quadro RTX 4000 RTX 5000 RTX 6000 RTX 8000
GPUアーキテクチャ Turing
CUDAコア 2304 3072 4608 4608
Tensorコア 288 384 576 576
RTコア 36 48 72 72
メモリ帯域 416Gbps 448Gbps 672Gbps 672Gbps
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 8GB 16GB 24GB 48GB
単精度性能 7.1TFLOPS 11.2TFLOPS 16.3TFLOPS 16.3TFLOPS
Tensor core性能  57.0TFLOPS  89.2TFLOPS 130.5TFLOPS 130.5TFLOPS
NVLink SLI NVLink NVLink NVLink
API Shader 5.1
OpenGL 4.6
DirectX 12
Vulkan 1.1
TGP 160W 265W 295W 295W
  • TFLOPS・・・単精度浮動小数点演算性能で、RTX 4000の7.1TFLOPSだと、32bit小数の乗算、または加算を1秒間に7.1兆回実行できる速度
  • NVLink・・・NVIDIAの2つの同じグラフィックボードを繋げて理論的に2倍の性能に引き上げることができるマルチGPU技術。接続にNVLink SLI Bridgeが必要

RTXシリーズはVR Readyと言って、仮想現実の作成やプレイにも対応しており、より高い性能になっています。あえてPシリーズを選ぶメリットは、金銭面以外ないと思います。

また本機種は最大でRTX 4000が2枚搭載できますが、インターフェースを増やしたいという以外はメリットは無いですね。価格もかなり高くなる割には性能はそこまで上がらないし、電力も大きく取るので、2枚選ぶなら高性能モデル1枚選んだ方がいいと思います。

公式サイト

メモリ

メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。

Xeon W-2123と2223を選んだ場合は、動作周波数が2666MHzで、その他は2999MHzで動作します。この周波数が高いと「処理速度も上がる」ので、CPUはW-2123と2223以外を選ぶと良いと思います。

メモリはデータ破損を検出し修正する機能を持つECCメモリDDR4で、8スロットあります。

ストレージ

SSD(PCIe NVMe) SSD(SATA) HDD
最大データ転送速度 最大16Gbps~32Gbps 最大6Gbps 最大6Gbps(SATAの場合)
温度 熱くなりにくい 熱くなりにくい 熱くなりやすい
価格 高い 中価格 安い

ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。

本機種には爆速のSSD M.2 PCIe NVMeが2つと、SATA接続のHDDもしくはSSDが4つ搭載可能です。

RAID設定

本機種では、RAID 0, 1、10の設定ができます。

  • RAID 0・・・読み込み書き込みが高速で出来るし、分散してデータを保存ができる反面、1つのストレージに障害が発生すると復旧できない
  • RAID 1・・・読み書きが遅いが、複数のストレージに「同じデータを書き込む」ので、1つのストレージに障害があってももう一つの方のデータを使って作業が出来る
  • RAID 10・・・ドライブが4台以上必要で、RAID 0とRAID 1を組み合わせた構成。多くの人はこの設定を利用

セキュリティ

HP独自のセキュリティが搭載しており、以下は一部になります。

  • HP Sure Start・・・自動的に攻撃や破損からBIOSを回復する自己修復BIOSで、保護された状態を維持できる
  • HP Sure SENSE・・・AIを活用し、マルウェアを検知・ブロックする
  • HP Sure Admin・・・IT管理者がネットワーク経由でBIOS設定を安全に管理できるデジタル署名を作成できる
  • ケンジントンロック・・・盗難防止用のワイヤーを設置可能

電源

パソコンの電源の種類

電源は750W 80PLUSで変換効率が90%なので、おそらく80PLUS SilverかGoldになります。最大供給電力は675Wですね。

概算使用最大電力を計算してみたので、参考にどうぞ。

  • Xeon W-2255(165W)
  • Quadro RTX 8000(295W)
  • メモリ8枚(56W)
  • HDD4基(48W)
  • SSD2枚(50W)
  • ファン2つ(6W)

計 620Wです。

電源に対しての最大消費電力は約82%となっています。パソコンがフル稼働することは少ないですが、もうちょっと余裕があっても良かったですね。

サポート・保証

保証は、土日祝日を含む3年間のオンサイト修理とパーツ保証が標準保証になっています。オンサイト修理とは、エンジニアが会社や自宅に来て、その場で修理をしてくれるサービスです。また、最長5年まで延長できます。

公式サイトではサポートの事に一切言及していないのですが、HPのビジネスPCは、通常、電話・チャット・LINEやツイッターでのサポートを展開しており、「日本でのサポート」+「月~金が朝9時から夜21時まで、土曜日が朝9時から夕方17時まで」になっています。

コールセンターは日本にあるので、質も高く、話も速いですね。

まとめ

スペックを最高にすると最大消費電力がちょっと高いとは思いますが、その他はきれいな構成だと思います。XeonにQuadro RTXも搭載可能で性能も高いので、十分なパフォーマンスで作業ができますね。

筐体内部に配線がむき出しと言うか見えているので、メンテナンスやカスタマイズ時には少し注意して作業をした方が良さそうですね。

公式サイト