HP Z2 SFF G5 Workstationのレビュー・小型低価格ワークステーション

当サイトは広告、アフィリエイトを含みます

2020年4月後半のHP週間ワークステーション売れ筋ランキングで1位になったHP Z2 SFF G4(2018年販売)の後継機種で、こちらも人気の機種になります。

旧モデルは2018年販売ですが、未だに人気ですね。

本機種は筐体も新しくなり性能もアップしたのに、最低価格は下がっているんですよね。

小型で置き場所に困らないし、スペックもほどほどなので、法人で言えばCADの練習用PCとして大量購入したり、個人ならそこまで複雑な設計をしない人には十分な性能があります。

現在Winter Saleが開催中で、ビジネスPCが最大49%OFFになります。詳しくはこちらをどうぞ。

  HPビジネスPCは毎週金・土・日曜日に週末セールをやっているので、お見逃しなく!

Z2 SFF G5 Workstationのスペックレビュー

HP Z2 SFF G5 Workstation 置いた状態の正面

CPU Intel core i3-10110
Intel Xeon W-1250/1250P
Intel Xeon W-1270/1270P
Intel Xeon W-1290P
チップセット インテルW480
メモリ ECCメモリ 最大128GB
ストレージ SSD M.2 2枚+SATA 2枚 or SSD M.2 2枚+HDD 2基
RAID RAID0、RAID1
グラフィックス NVIDIA Quadro P400/P620/P1000
NVIDIA Quadro T2000
OS Windows 10 Pro
Windows 10 Pro For Workstation Plus
OSなし
無線 なし(有線のみ)
光学ドライブ 無し/DVD-ROM/DVDライター/ブルーレイドライブ
セキュリティ Kensington Cable Lock用スロット、パワーオンパスワード、セットアップパスワード、サイドパネル開閉センサーなど
寸法 338 x 308 x 100㎜
重さ 5.4㎏
電源 450W(80 PLUS 90%)
保証 3年間
価格 15万8840円~

パソコンの頭脳であるCPUにはインテルXeonが搭載で、最大で10コア20スレッドのXeon W-1290Pが搭載できます。ただし、「フルカスタマイズ エントリーモデル」を選んだ場合はCore i3-10110のみ選択可能です。

メモリは、その場でメモリシステムエラーを検出して訂正できるECCメモリが搭載で、4スロット・最大128GB搭載できます。結構大容量ですね。

ストレージにはHP Z Turboの内蔵M.2 SSDが2枚と、HDD2基、もしくはHDD+SSD SATAかSSD SATA2枚の計4つのストレージが搭載できます。

グラフィックボードにはCADなどの専門的な高度な技術計算(OpenGL)に最適化されたQuadroが搭載で、エントリークラスの3モデルと、ノートパソコン向けのT2000が選択可能です。エントリークラスとは言え、最大で2枚搭載できるのでパワフルになります。

本機種は「お勧め構成モデル」、「お勧め構成モデル(OS無し)」、「フルカスタマイズ エントリーモデル」、「フルカスタマイズ エントリーモデル(OS無し)」、「フルカスタマイズ パフォーマンスモデル」の5種類があり、お勧め構成でもフルカスタマイズモデルでも「カスタマイズできるパーツはほぼ同じ」ですが、OS無しモデルはCore i3搭載になります。

電源が450Wと若干小さいですが、スペックに対して十分なので問題ないと思います。

エントリークラスのワークステーションですが、Xeon搭載でメモリも最大128GBと大きく、最大でビデオメモリ4GBのQuadro P1000が搭載できるので、そこそこ大きな設計もやりやすいですね。

公式サイト

旧モデルと比較

HP Z2 SFF G5とHP Z2 SFF G4の筐体比較<左・本機種/右・Z2 SFF G4>

旧モデルのHP Z2 SFF G4との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)

本機種 Z2 SFF G4
CPU Core i3-10110
Xeon Wシリーズ
Core i3-9100
Xeon Eシリーズ
メモリ 128GB(3200MHz) 64GB(2666MHz)
ストレージ SSD2枚+HDD2基 SSD2枚+HDD2基
グラフィックス Quadro P400/620/1000
Quadro T2000
Quadro P400/620/1000
電源 450W 310W
重量 5.4㎏ 6.3㎏
価格 15.8万円~ 18.5万円~

本機種は筐体も新しくなり、幅が7㎝ほど小さく、約1㎏も軽くなっています。グラボはほぼ同じですが、CPUも新しくなりより高い性能、そして電源も大きくなっています。最低価格も約3万円ほど安くなっていますね。

G4はいまだに人気ですが、やはり、今購入するならG5の方が性能も高くお得です。

ライバル機種

HP Z2 SFF G5とThinkStation P340 SFF、P340 Towerの筐体比較<左から本機種/P340 Tower/P340 SFF>

本機種と似たような最新機種との比較です。(メモリ・SSD・電源は最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)

本機種 ThinkStation P340 Tower ThinkStation P340 SFF
CPU Core i3
Xeon W-1250/1250P
Xeon W-1270/1270P
Xeon W-1290P
Core i3~i9
Xeon W-1250/1250P
Xeon W-1270/1270P
Xeon W-1290/1290P
Core i3~i9
Xeon W-1250/1270/1290
メモリ 128GB 128GB 128GB
ストレージ SSD2枚+HDD 2基 SSD6枚+HDD 2基 SSD 2枚+HDD 2基
グラフィックス Quadro P400/620/1000
Quadro T2000
Quadro P400/620/1000/2200
Quadro RTX /4000/5000
Quadro P400/620/1000
電源 450W 500W 380W
重量 5.4㎏(標準構成) 9.4㎏(最大構成) 5.7㎏(最大構成)
価格 15.8万円~ 11.1万円~ 11.4万円~

P340 Towerは一番大きな筐体で、電源も最大500W、最大重量9.4㎏となりますが、筐体のサイズで言えばミニタワークラスです。この機種は若干ランクが上の機種で、ストレージは本機種の倍の容量、Quadro RTX 5000も搭載できます。

P340 SFFは同じくらいのサイズで、似たようなスペックになっています。ただし、電源が本機種より小さいので、パフォーマンスも低くなります。

本機種は若干価格が上がりますが、電源もそこそこ大きく、小さな筐体で、CPUやメモリ、グラボ、そして電源と、バランスの良い機種です。

メリット・デメリット

メリット

・小型軽量でどこにでも置きやすい
・インターフェイスが豊富
・ISV認証
・電源容量も十分

デメリット

・小型筐体なので、拡張性が低い

Z2 SFF G5 Workstationの特徴

HP Z2 SFF G5 Workstation 立てた状態の正面

本機種は立てて置いてもいいし、横にしてもいいので置き場所に困らないと思うし、筐体も小さく軽いのでより一層置きやすいと思います。

  • 幅100㎜は、はがきの短辺(100㎜)
  • 奥行き308㎜は、千円札2枚分(300㎜)
  • 高さ338㎜は、一万円札2枚分(320㎜)

とほぼ同じサイズです。

HP Z2 SFF G5 Workstation 右斜め前から

寝かせて置くと、そんなに重たくないものなら筐体の上に置けるので、より省スペースですね。

HP Z2 SFF G5 Workstationの上にモニターを設置

この様にモニターを置いたりすると、より場所を取らないです。

HP Z2 SFF G5 Workstation 筐体内部

筐体内部です。小型筐体なのに内部はすっきりしています。扱える場所も多くないので、分かりやすいですね。

拡張スロットは、以下になります。

  • PCI Express 3.0×16 1スロット
  • PCI Express 3.0×4(x16メカニカル) 1スロット
  • PCI Express 3.0×1 2スロット

拡張ベイは3.5インチと2.5インチ、オプティカルベイ、ハイブリットベイ3.5インチが各1つずつになります。

小型なのでそこまでの拡張性は無いですが、この筐体サイズを考えると普通だと思います。

HP Z2 SFF G5 Workstation 置いた状態 右斜め前から

前面の吸気口はメッシュ状なので、大きく空気を取り込めますね。

HP Z2 SFF G5 Workstation ダストフィルター

その吸気口部分にはダストフィルターがあるので、ごみやほこりが内部に入りにくい設計になっています。

13年連続国内シェアNo.1

IDCと言う調査会社によると、HPのワークステーションは日本国内で13年連続でシェアNo.1を記録しており、トヨタ自動車東日本株式会社 やEIZO、医療関係の東陽テクニカなど多くの有名企業がHPのワークステーションを導入しています。もちろん、大企業だけでなく建築設計事務所や大学、イラストレーターなどもHPを使用している人が多いです。

こちらで一部企業を紹介しているので、興味がある方はご覧ください。

インターフェイス

小型ですがインターフェイスは豊富です。

HP Z2 SFF G5 Workstation 置いた状態の正面

前面にはSDカードリーダー(オプション)、オプティカルドライブ(一部モデルでオプション)、3.5インチベイ、USB-C(最大データ転送速度10Gbps)、USB-Aが4つ(内2つが10Gbps、2つが5Gbps)、そしてヘッドフォンジャックになります。

HP Z2 SFF G5 Workstation 背面

背面には、オーディオLINE OUT、Display Port 1.4が2つ、RJ45が2つ、マウスやキーボード用のUSB-A(480Mbps)が2つに、USB-Aが4つ(内2つが10Gbps、2つが5Gbps)になります。

これに加え、フレックスI/Oポートがオプションで追加できます。

また、各グラフィックボードには以下のインターフェイスがあります。

インターフェイス 最大搭載数
P400 mini Display Port x 3 2
P620 mini Display Port x 4 2
P1000 mini Display Port x 4 2

 MILスペック

MIL-STD 810G

Z2 Miniは36万時間のテストをクリア、米軍の物資調達基準(MIL-STD 810G)にも対応した機種になります。セキュリティも含め、堅牢性が高い機種ですね。

ISV認証

HP Z2 SFF G5 Workstation ISV認証

ISV認証とは、独立系ソフトウェアベンダーからソフトウェアアプリケーションの互換性や動作の認定を受けた機種になります。画像は一部のベンダーですが、AUTODESKやSolidWorks、eDrawing、Adobe、Bentleyなどの主要ベンダーから認証を受けています。

ZCentral Remote Boost

ZCentral Remote Boostとは、簡単に言うと複数のユーザーが送信元コンピューターのデスクトップを共有でき、リモートアクセスでも編集やビッグデータの視覚化などできます。

例えば複数の本機種をラックマウントに搭載し、リモートワークで社員が自宅や外出先から本機種に接続し、パワフルな作業ができるようになります。

しかも、社員が自宅で使っているパソコンには「データは送信されず、画面のピクセル情報のみ転送」されるので、セキュリティ面でも安心です。

詳しくは、公式サイトをどうぞ。

CPU

Xeon W-1250/1250P Xeon W-1270/1270P Xeon W-1290P
製造プロセス 14nm 14nm 14nm
コア/スレッド 6/12 8/16 10/20
ベースクロック 3.3/4.1GHz 3.4/3.8GHz 3.7GHz
ターボブースト時 4.7/4.8GHz 5.0/5.1GHz 5.3GHz
キャッシュ 12MB 16MB 20MB
DirectX 12 12 12
OpenGL 4.5 4.5 4.5
TDP 80W/125W 80W/125W 125W

スコアの目安

  • 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
  • 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
  • 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
  • 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い

↓グラフをタップすると数値が表示されます↓

[visualizer id=”17757″ lazy=”no” class=””]

グラフを見るとCore i3-10110の性能がかなり低く見えますが、スコア約9000なので実際はそんなに悪い性能ではありません。ただし、ワークステーションとして見ると、非力感は否めません。

グラフィックス

Quadro P400 Quadro P620 Quadro P1000
GPUアーキテクチャ Turing Turing Turing
CUDAコア 256 512 640
メモリ帯域 32Gbps 80Gbps 80Gbps
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ容量 2GB 2GB 4GB
API Shader 5.1
OpenGL 4.5
DirectX 12
Vulkan 1.0
Shader 5.1
OpenGL 4.5
DirectX 12
Vulkan 1.0
Shader 5.1
OpenGL 4.5
DirectX 12
Vulkan 1.0
TDP 30W 40W 50W
Quadro T2000
GPUアーキテクチャ Turing
CUDAコア 1024
メモリ帯域 128Gbps
メモリタイプ GDDR5
メモリ容量 4GB
TFLOPS 3.5
TGP 40-60W

グラフィックスはOpenGL(高度な技術計算)に最適化されたQuadroが搭載で、業務用ワークステーションに搭載されます。よく聞くGeForceはDirect Xで、3Dゲームに最適化されたグラボです。

Quadro P400とP620はビデオメモリも2GBと小さく、本当のエントリークラスです。学生向けのCAD練習用PCとしてなどの使い方であれば問題ないですが、パワフルな作業には向いていません。最低でも(というか本機種では最高グラボですが)、P1000は欲しいところですね。

また、グラボは2枚搭載可能ですが、2枚搭載したからと言って性能が2倍になるわけじゃありません。通常、2枚搭載のグラボの性能は最大で1.8倍くらいになりますが、2枚載せるくらいなら性能が高い1枚を載せた方が良いことがほとんどです。

また、おそらくですが、2枚目のグラボはPCI Express3.0 x4に入れると思うので、4レーン接続だと16レーンの様に最大性能を発揮できないかもですね。

公式サイトではQuadro T2000の詳細に触れていませんが、T2000はノートパソコン用のグラフィックボードです。Qudaコアを見ると1024と多いですが、ノートパソコン用なので単純にデスクトップ用のグラボのCUDAコア数と比べることはできません。

メモリ

メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。

本機種はDDR4 3200MHzで、4スロットになります。最大128GBなのでそこそこ大きな容量ですね。

ちなみに、CPUのメモリ対応周波数はこの様になっているので、3200MHzでは動作しません。

・Xeon W-1250/1250Pは2666MHz
・Xeon W-1270/1270P、1290Pは2933MHz

ストレージ

ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。

HPのワークステーションには普通のストレージでなく、HP Z Turbo ドライブと言う高速化されたストレージが搭載可能で、シーケンシャルリードは約4倍向上しているということです。

SSD(PCIe NVMe) SSD(SATA) HDD
最大データ転送速度 最大16Gbps~32Gbps 最大6Gbps 最大500~600Mbps
温度 熱くなりにくい 熱くなりにくい 熱くなりやすい
価格 高い 中価格 安い

本機種ではPCIe NVMe SSDが2枚と、SSD SATAが2枚もしくはHDD2基、SSD SATA1枚+HDD1基が選べます。

容量を考えると、SSD2枚+HDD2基が一番容量が大きくなりますね。

RAID設定

本機種では、RAID 0, 1の設定ができます。

  • RAID 0・・・読み込み書き込みが高速で出来るし、分散してデータを保存ができる反面、1つのストレージに障害が発生すると復旧できない
  • RAID 1・・・読み書きが遅いが、複数のストレージに「同じデータを書き込む」ので、1つのストレージに障害があってももう一つの方のデータを使って作業が出来る

セキュリティ

HPのセキュリティ

HPでは「世界で最も安全なビジネスPC」と宣伝しており、その名の通りHP独自のセキュリティが搭載されています。

こちらは一部ですが、

  • HP Sure Start・・・自動的に攻撃や破損からBIOSを回復する自己修復BIOSで、保護された状態を維持できる
  • HP Sure SENSE・・・AIを活用し、マルウェアを検知・ブロックする
  • HP Sure Admin・・・IT管理者がネットワーク経由でBIOS設定を安全に管理できるデジタル署名を作成できる
  • ケンジントンロック・・・盗難防止用のワイヤーを設置可能

などがあります。

公式サイト

電源

電源の大きさはCPUやメモリ、グラボ並みに重要で、より大きな電源はより大きなパフォーマンスを出せます。

本機種の電源は450W・電源変換効率は90%で、80PLUS PlatinumかGOLD並みの変換率です。最大供給電力は405Wですね。

CPUにPが付くシリーズ(125W)とQuadro T2000(最大60W)を選ぶと205Wになり、その他メモリ2枚(14W)、HDD(24W)、SSD2枚(50W)で合計約273Wです。

グラボ2枚搭載しても約313Wなので、十分な電源容量だと思います。このクラスの小型筐体のPCは、発熱を抑えるためにスペックに対して小さな電源を搭載していることが多いのですが、本機種は妥当な電源だと思います。(グラボ2枚の時はQuadro Pシリーズのみ搭載可能)

サポート・保証

保証は、土日祝日を含む3年間のオンサイト修理とパーツ保証が標準保証になっています。オンサイト修理とは、エンジニアが会社や自宅に来て、その場で修理をしてくれるサービスです。また、最長5年まで延長できます。

公式サイトではサポートの事に一切言及していないのですが、HPのビジネスPCは、通常、電話・チャット・LINEやツイッターでのサポートを展開しており、「日本でのサポート」+「月~金が朝9時から夜21時まで、土曜日が朝9時から夕方17時まで」になっています。

コールセンターは日本にあるので、質も高く、話も速いですね。

まとめ

先ほど少し言いましたが、このクラスの筐体は電源が小さいことが多いのですが、見た目をよくするために高スペックにカスタマイズできることが多く、電源が足りないことがよくあるんですね。でも、本機種は、背伸びせずに無理のないスペックにできるようになっています。

性能自体はエントリーモデルですが、CADやBIM(扱うデータ規模にもよりますが)、Adobe系ソフトも全然使えるので、導入しやすい機種だと思います。

公式サイト