HP Z2 Mini G5 Workstationのレビュー

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超小型ワークステーションの本機種は、標準構成の重さがたったの2.18㎏とノートパソコン並みの重量になっています。ただし、小さいとは言えCPUにはXeon搭載、Quadro RTX 3000も搭載可能とパワフルなマシンです。

筐体がかなり小さいので、カバンに入れて持ち運んだりもできるし、設置するにしても場所には困りません。

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Z2 Mini G5 Workstationのスペックレビュー

HP Z2 Mini G5 WorkStation 正面

CPU Intel Xeon W-1250/1250P
Intel Xeon W-1270/1270P
Intel Xeon W-1290P
チップセット インテルW480
メモリ ECCメモリ 最大64GB
ストレージ 最大 SSD2枚+HDD 1基
グラフィックス NVIDIA Quadro T1000/T2000
NVIDIA Quadro RTX 3000
OS Windows 10 Pro For Workstation Plus
OSなし
無線 なし
WiFi6+Bluetooth 5.0
光学ドライブ 無し
セキュリティ Kensington Cable Lock用スロット、パワーオンパスワード、セットアップパスワード、HP Sure Startなど
寸法 216 x 216 x 58㎜
重さ 2.18㎏
電源 280W
保証 3年間
価格 17万9300円~

パソコンの頭脳であるCPUにはインテルXeonが搭載で、最大で10コア20スレッドのXeon W-1290Pが搭載できます。

メモリは、その場でメモリシステムエラーを検出して訂正できるECCメモリが搭載で、最大64GBとそこそこ大きめです。

ストレージにはHP Z TurboのSSDが搭載で、HDDと比べると約14倍ものパフォーマンスを発揮します。ただし、最大4TBと容量は若干少なく、RAID設定もできません。

グラフィックボードにはCADなどの専門的な高度な技術計算/OpenGLに最適化されたQuadroが搭載で、より本格的な作業が可能です。

本機種は面白いことにOS無しモデルもあり、その場合はFreeDOSがプリインストールされています。

電源が280Wと若干小さいですが、そこそこの性能にできるし、この筐体を考えると発熱の関係上、妥当だと思います

公式サイト

ライバル機種

HP Z2 Mini G5 WorkStationとLenovo ThinkStation P340 Tiny、ThinkStation P340 SFFの筐体比較<左から本機種/P340 Tiny/P340 SFF>

本機種と似たような最新機種との比較です。(メモリ・SSD・電源は最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)

本機種 ThinkStation P340 Tiny ThinkStation P340 SFF
CPU Xeon W-1250/1250P
Xeon W-1270/1270P
Xeon W-1290P
Core i3~i9 Core i3~i9
Xeon W-1250/1270/1290
メモリ 64GB 64GB 128GB
ストレージ SSD2枚+HDD 1基 SSD2枚 SSD 2枚+HDD 2基(RAID 0、1)
グラフィックス Quadro T1000/T2000
Quadro RTX 3000
Quadro P620/1000 Quadro P400/620/1000
電源 280W 230W 380W
重量 2.18㎏(標準構成) 1.4㎏(最大構成) 5.7㎏(最大構成)
価格 17.9万円~ 8.4万円~ 11.4万円~

ThinkStation P340 Tinyは本機種Z2 Miniよりもさらに小さな筐体で、価格は半分ほどになります。ただし、CPUにはCore iシリーズが搭載でXeonはありません。当然、レンダリングやモデリングはXeonの方が速いですが、練習用などの用途なら問題ないという人も多いと思います。

P340 SFFは一番大きな筐体で、と言っても小さな方ですが、電源もそこそこ大きく机上に置けるほどのサイズです。スペックも高く、ストレージも多く搭載できるのでRAID設定ができます。

本機種はこの中では中間のサイズで、CPUにはXeon搭載、グラフィックボードにはモバイル向けのQuadroが搭載と、悪くないスペックですね。

メリット・デメリット

メリット

・小型軽量で持ち運びがしやすい
・おしゃれな筐体
・インターフェイスが豊富
・持ち運びもできる

デメリット

・発熱を抑えるためにノートパソコン向けのパーツを使用
・電源が小さめ

デメリットの電源が小さいですが、本機種に限らず、ミニサイズのデスクトップでは発熱を抑えるために控えめな電源が付いています。(電源については後述)

Z2 Mini G5 Workstationの特徴

HP Z2 Mini G5 WorkStation 立てた状態

個人的に最大の特徴は、この外観だと思います。かっこいいですね。筐体も名前の通り「Mini」サイズで、立てた状態で言うと、幅58㎜、奥行き216㎜、高さ216㎜となっています。

  • 幅58㎜は、キャッシュカードの短辺55㎜
  • 奥行きと高さ216㎜は、千円札の短辺(76㎜)+長辺(150㎜)

とほぼ同じサイズです。

HP Z2 Mini G5 WorkStation 右斜め前から

立てて置いてもいいし、寝かせて置いても場所を取りません。

HP Z2 Mini G5 WorkStationの空気口

また、空気口が角4つにあるので、エアフローも良く筐体が熱くなりにくい設計になっています。また、本機種はツールレスで筐体内部にアクセスでき、トップカバーをパカっと外せば部品の取り換えや増設、メンテナンスも簡単にできます。

HP Z2 Mini G5 WorkStation 底面

底面です。空気口は四隅にあるだけで、底面にはないですね。

HP Z2 Mini G5 WorkStationをモニター背面に接続

別売りのモニターマウントキットを使えば、この様にモニターの背面に設置できるので、省スペースと言うよりも使用設置面積はゼロですね。

HP Z2 Mini G5 WorkStationを机の下に設置

こちらも別売りのスリープキッドを使えば、机の下などに設置が可能です。ただし、この場合はネジ止めが必要なので、机などに穴をあけることになります。

電源が押しにくい場所に設置した場合は、リモートパワーONと言う機能を使えば、キーボードのボタンを押す、もしくは移動検知機能付きのマウスを使っていたら、マウスを動かすだけで電源が入ります。(設定はBIOSより)

13年連続国内シェアNo.1

IDCと言う調査会社によると、HPのワークステーションは日本国内で13年連続でシェアNo.1を記録しており、トヨタ自動車東日本株式会社 やEIZO、医療関係の東陽テクニカなど多くの有名企業がHPのワークステーションを導入しています。もちろん、大企業だけでなく建築設計事務所や大学、イラストレーターなどもHPを使用している人が多いです。

こちらで一部企業を紹介しているので、興味がある方はご覧ください。

インターフェイス

小型ですがインターフェイスは豊富です。

HP Z2 Mini G5 WorkStation 正面

前面には電源ボタンがあります。

HP Z2 Mini G5 WorkStation 背面

背面にはDisplay Port 1.4が3つ、UAB-C(最大データ転送速度10Gbps)が1つ、USB-A(同10Gbps)が2つ、そしてRJ45、Kensington Cable Lock用スロットになります。

HP Z2 Mini G5 WorkStation 右側面

側面には同じく、UAB-C(最大データ転送速度10Gbps)が1つ、USB-A(同10Gbps)が2つ、そしてヘッドフォンジャックがあります。

標準でHDMIがないですが、ポートを追加できるモデルもあります。また、グラフィックボードはノートパソコン用なので、追加のインターフェイスはありません。

MILスペック

Z2 Miniは36万時間のテストをクリア、米軍の物資調達基準(MIL-STD 810G)にも対応した機種になります。セキュリティも含め、堅牢性が高い機種ですね。

ISV認証

HP Z2 Mini G5 WorkStation ISV認証

ISV認証とは、独立系ソフトウェアベンダーからソフトウェアアプリケーションの互換性や動作の認定を受けた機種になります。画像は一部のベンダーですが、AUTODESKやSolidWorks、Adobe、Bentleyなどの主要ベンダーから認証を受けています。

ZCentral Remote Boost

ZCentral Remote Boostとは、簡単に言うと複数のユーザーが送信元コンピューターのデスクトップを共有でき、リモートアクセスでも編集やビッグデータの視覚化などできます。

例えば複数の本機種をラックマウントに搭載し、リモートワークで社員が自宅や外出先から本機種に接続し、パワフルな作業ができるようになります。

HP Z2 Mini G5 WorkStationをラックマウントに設置<42Uラックなら最大56台収納可能>

パソコンを集中管理できるので、エンジニアも楽になりますね

CPU

Xeon W-1250/1250P Xeon W-1270/1270P Xeon W-1290P
製造プロセス 14nm 14nm 14nm
コア/スレッド 6/12 8/16 10/20
ベースクロック 3.3/4.1GHz 3.4/3.8GHz 3.7GHz
ターボブースト時 4.7/4.8GHz 5.0/5.1GHz 5.3GHz
キャッシュ 12MB 16MB 20MB
DirectX 12 12 12
OpenGL 4.5 4.5 4.5
TDP 80W/125W 80W/125W 125W

スコアの目安

  • 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
  • 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
  • 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
  • 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い

↓グラフをタップすると数値が表示されます↓

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W-1250はワークステーションにしては控えめな性能ですが、その他の性能はかなり高いですね。

グラフィックス

Quadro T1000 Quadro T2000 Quadro RTX 3000
GPUアーキテクチャ Turing Turing Turing
CUDAコア 768 1024 1920
ベースクロック 795/1230MHz 930/1200MHz 945MHz
ブーストクロック 1455MHz 1620MHz 1380MHz
Tensorコア 240
RTコア 30
メモリ帯域 128Gbps 128Gbps 336Gbps
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR6
メモリ容量 4GB 4GB 6GB
VR-Ready
TFLOPS 2.6 3.5 5.4
Tensorパフォーマンス 42.9TOPS
TGP 40-50W 40-60W 60-80W

注)TFLOPS・・・単精度浮動小数点演算性能で、RTX 3000の5.4TFLOPSだと、32bit小数の乗算、または加算を1秒間に5.4兆回実行できる速度

グラフィックスはOpenGL(高度な技術計算)に最適化されたQuadroが搭載で、業務用ワークステーションに搭載されます。よく聞くGeForce はDirect Xで、3Dゲームに最適化されたグラボです。

いわゆる、業務用に使用されるものですね。

また、RTX 3000のみVR-Readyで、仮想現実(VR)を使うための必要なスペックがあるという意味です。

ノートパソコン用のグラフィックボードなのでTGPも低く、発熱も抑えられますね。

メモリ

メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。

本機種は小さな筐体なので2スロット・最大64GBになります。搭載メモリはDDR4-3200MHzで、最高の周波数(GHz)があるので、処理速度も速いです。

ただし、CPUの対応周波数が以下になっているので、3200MHzでは動作しません。

・Xeon W-1250/1250Pは2666MHz
・Xeon W-1270/1270P、1290Pは2933MHz

公式サイト

ストレージ

ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。

HPのワークステーションには普通のストレージでなく、HP Z Turbo ドライブと言う高速化されたストレージが搭載可能で、シーケンシャルリードは約4倍向上しているということです。

HP Workstation搭載HP Z Turbo ドライブ G2のシーケンシャル速度

ただし、速度を見るとそこまで速いようには感じません。遅くないですが、普通の速度です。

セキュリティ

HPのセキュリティ

HPでは「世界で最も安全なビジネスPC」と宣伝しており、その名の通りHP独自のセキュリティが搭載されています。

こちらは一部ですが、

  • HP Sure Start・・・自動的に攻撃や破損からBIOSを回復する自己修復BIOSで、保護された状態を維持できる
  • HP Sure Admin・・・IT管理者がネットワーク経由でBIOS設定を安全に管理できるデジタル署名を作成できる
  • ケンジントンロック・・・盗難防止用のワイヤーを設置可能

などがあります。

WiFi6

次世代通信規格のWiFi6に対応しており、現在主流のWiFi5より約40%最大通信速度が上がっています。今まで5GHzにしか対応していなかった周波数が、2.4GHzと5GHzと2バンドに対応しており、また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、カフェなどの混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。

本機種を持ち運びすることがある人は、WiFi6+Bluetooth 5.0をオプションで付けておいた方がよさそうですね。

電源

電源の大きさはCPUやメモリ、グラボ並みに重要で、より大きな電源はより大きなパフォーマンスを出せます。

本機種の電源は280W・電源変換効率は89%で、最大供給電力は249.2Wですね。

CPUにPが付くシリーズ(125W)とRTX 3000(最大80W)を選ぶと、これだけで205Wになり、一般的なパーツの概算最大消費電力は、メモリ2枚(14W)、HDD(24W)、SSD2枚(50W)となるので、合計294Wになり足りない可能性があります。(実際、最大で電力が必要になるほど動かすことは少ないですが・・・)

CPUにPが付かない通常版(80W)にQuadro T2000(最大60W)であれば、最大229Wと安心して使えると思います。

小型な筐体なので電源はしょうがない部分もありますが、もし電源が心配なら、一つ大きな筐体の「HP Z2 SFF G5」が良いかもしれません。

サポート・保証

保証は、土日祝日を含む3年間のオンサイト修理とパーツ保証が標準保証になっています。オンサイト修理とは、エンジニアが会社や自宅に来て、その場で修理をしてくれるサービスです。また、最長5年まで延長できます。

公式サイトではサポートの事に一切言及していないのですが、HPのビジネスPCは、通常、電話・チャット・LINEやツイッターでのサポートを展開しており、「日本でのサポート」+「月~金が朝9時から夜21時まで、土曜日が朝9時から夕方17時まで」になっています。

コールセンターは日本にあるので、質も高く、話も速いですね。

まとめ

超小型で省スペースの本機種は、電源の関係上そこまで高いスペックにしない方がよさそうですが、それでもXeon+Quadro T2000も搭載できるので、十二分にワークステーションとして機能する性能です。

見た目もカッコよく、保証も充実、性能もそこそこあるので、使いやすい機種だと思います。

公式サイト