HPシリーズは低価格モデルなのでちょっとトリッキーな構成ですが、概ねそこそこ良いスペックだと思います。
省電力CPU・Celeronを搭載したモデルは企業の大量購入機種としてや、のんびり低負荷な事をする人に良いかなと思います。
バッテリー駆動時間が短いので、据え置き用のノートパソコンをお探しの人に合うかもしれません。
Contents
HP 250 G8のスペックレビュー
CPU | Intel Celeron N4020 Intel Core i3-1115G4 Intel Core i5-1135G7 |
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メモリ | 最大16GB |
ストレージ | SSD 最大1TB |
グラフィックス | インテルUHD Iris Xe |
ディスプレイ(15.6型) | HD TN液晶 光沢なし FHD UWVA液晶 光沢なし |
OS | Windows 11 Home/Pro |
通信 | Wi-Fi 5/6 ギガビットイーサネット |
生体認証 | 指紋センサー |
寸法(幅×奥行×高さ) | 358×242×19.9㎜ |
重さ | 1.74㎏ |
バッテリー | 最大約6時間25分 |
保証 | 1年間 |
価格 | 5万380円~ |
性能評価 |
本機種にはモデルが3つあり、スタンダードノート・キャンペーンA、B、Cとなっています。
キャンペーンAモデルはCPUにCeleron N4020と言う省電力モデルが搭載で、かなり控えめな性能です。ディスプレイは低解像度のHDディスプレイなので、画質も荒いです。
キャンペーンAモデルは時々しかパソコンを使わない人や、時間がある人、もしくはテキスト作業用に企業が大量購入する場合に向いていると思います。
キャンペーンB、Cモデルはインテル11世代CPU搭載で性能も高く、ビジネス用途でも十分活躍できるスペックです。メモリは最大16GB(8GB×2枚のデュアルチャンネルメモリ。メモリ1枚より処理速度が速い)、ストレージは高速データ転送速度のSSD PCIe NVMe、そしてディスプレイは高画質のフルHDになります。ただし、全機種TN、もしくはUWVA液晶になっているので、IPS液晶に比べコントラスト比が低く、視野角が狭いです。
キャンペーンB、Cモデルは7万円以上するので、IPS液晶を搭載してほしかったですね。
スタンダードと言えばスタンダードな構成で、性能的には画像・動画編集や専門的な高負荷な事をしない限り、十分だと思います。
Wi-Fiは5と最新の6がありますが、全てのモデルで選択が可能です。
バッテリー駆動時間はJEITA2.0測定で最大約6時間25分で、実際の状況を考えるとこれ以下になります。パソコンを持ち運ぶことが多い人は、注意が必要です。
全体的に普通~普通以下のスペックですが、全機種「東京生産モデル」なので信頼性は高い機種です。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/旧モデル>
旧モデルのHP 250 G7との比較です。旧モデルは光学ドライブが搭載だったので、大きかったですね(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | HP 250 G7 | |
CPU | Celeron N4020 Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 |
Celeron N4020 Core i3-1005G1 Core i5-1035G1 |
メモリ | 16GB | |
ストレージ | SSD 1TB | SSD+HDD |
ディスプレイ | HD、FHD | |
無線 | Wi-Fi 5/6 | Wi-Fi 5 |
バッテリー | 6.37時間 | 9.7時間 |
重量 | 1.74㎏ | 1.78㎏ |
価格 | 5万円~ | 3.9万円~ |
プロセッサーが10世代から11世代に上がったので、(Celeronを除き)全体的に高い性能になりました。また、Wi-Fi 6が追加され光学ドライブが無くなっています。以前はSSD+HDDのデュアルストレージが可能でしたが、本機ではストレージは1つのみになります。
本機は幅が1.8㎝も小さくなり、画面占有率は77%→81%に上がっており、40gほど軽くなっています。
プロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i5-1135G7 | |
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Core i5-1035G1 | |
Core i3-1115G4 | |
Core i3-1005G1 | |
Celeron N4020 |
Coreモデルは20%以上性能が上がっていますね。
HP 250 G8の特徴
筐体が小さくなり画面比率も上がったので、ベゼル(画面の黒い枠)が細いですね。ベゼル上部は19%、ベゼル両側は55%、ベゼル株は43%小さくなっています。ベゼルが細いとスタイリッシュに見えるので、おしゃれです。
寸法は
幅358㎜(≒千円札2.5枚分/375㎜)
奥行き242㎜(≒1万円札1.5枚分/240㎜)
高さ19.9㎜(≒一円玉の直径/20㎜)
で、一般的な15.6型ノートよりちょっと大きめですが、重さは1.74㎏と平均的です。
厚さは19.9㎜と、ほぼ一円玉の直径と同じで、平均的な厚さの17~18㎜に比べると少し厚いですね。
天板はシンプルで、「hp」のロゴがあるだけです。以前は黒の筐体でこてこての「ビジネスモデル」と言った外観でしたが、シルバーになりより多くの人に選ばれそうな色になったと思います。黒は好き嫌いありますからね。
エッジは丸みを帯びていて、おしゃれですよね。
OSには最新のWindows 11が搭載なので、安心して使えます。ちなみに購入ページからWindows 10に変更もできるので、何かしらの理由でまだ11にしたくないという人にも合います。
旧モデルには無かった指紋センサーが搭載しているので、サインインも一瞬です!
タイピングしやすいキーボード
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は18.7×18.7㎜で、余裕をもってタイピングができると言われる19㎜に近いので、手が大きめの人でもタイプしやすいと思います。
キーストローク(キーを押し込む距離)は1.5㎜~1.7㎜と幅がありますが、1.7㎜もあれば打鍵感もよいので少し強めのタイピングをする人にも向いています。
キーボードの品質は良い方だと思います。
CPU
Celeron N4020 | Core i5-1135G7 | Core i3-1115G4 | |
製造プロセス | 14nm | 10nm SuperFin |
10nm SuperFin |
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コア/スレッド | 2/2 | 4/8 | 2/4 |
キャッシュ | 4MB | 8MB | 6MB |
グラフィックス | UHDグラフィックス | Iris Xe | UHDグラフィックス |
基本クロック | 1.1GHz | 2.4GHz | 3.0GHz |
ブーストクロック | 2.8GHz | 4.2GHz | 4.1GHz |
TDP | 6W | 28W | 28W |
Celeron N4020は2019年に発売開始した省電力CPUで、Coreシリーズは2021年に販売開始した新しいCPUです。
先述した様にCeleronは省電力のため、かなり低い性能です。個人がメインの仕事用PCとして使うには首をかしげる性能ですが、オフィスワークでテキスト入力のみに使うなどであればいいかもしれません。
Core i3とi5モデルは高性能で、がっつりした作業がしやすいです。
こちらはCPUの性能を表すPassmarkスコアです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1185G7 | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Core i7-1065G7 | |
Core i5-1035G1 | |
Core i3-1115G4 | |
Core i3-1005G1 | |
Celeron N4020 |
通常、スコアが7000ほどあると負荷の高い作業もしやすく、ビジネス用途でも困ることは少ないと思います。また、Core i5は4コア8スレッドなので、マルチタスクも快適にできます。
<コアとスレッドの例>
グラフィックス
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなります。グラフィック性能はメモリ容量によっても大きく変わるので、参考値として見てください。
Video Card Benchmarks
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
MX450 | |
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Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
MX250 | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 7 4700U | |
Iris Plus | |
Ryzen 5 4500U | |
Ryzen 3 5400U |
ディスプレイはちょっと微妙
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 |
HD/FHD | なし | TN/UWVA | 250nit |
HD | ハイディフィニションで解像度は1366×768ドット |
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FHD | フル・ハイディフィニション、標準的な画質で解像度は1920×1080ドット |
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
nit | 明るさを表す単位。通常250nitが標準 |
Celeron搭載のキャンペーンAモデルは、HDディスプレイと低解像度で、視野角が狭くコントラスト比も低いTN液晶になります。ここ最近あまり見ないような低品質なディスプレイです。
キャンペーンB、CモデルはフルHDで標準的な高解像度ディスプレイ、そしてUWVA(ウルトラ ワイド ビューイング アングル)と言う視野角の広い液晶になります。この価格ならIPS液晶にしてほしかったですが、しょうがないですね。
輝度は250ニトと室内で使う分には十分な明るさがありますが、太陽光の当たる場所や屋外で使用すると薄暗く感じると思います。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
Celeron搭載モデルは4GBか8GBが選べ、シングルチャンネルメモリ(メモリ1枚)になり、Coreモデルは4GB、8GB(4GB×2枚)、16GB(8GB×2枚)が選択できます。
最低でも8GBメモリあった方が快適に動くので、どのモデルを購入するにしても8GB以上が推奨です。
また、CoreモデルはDDR4-2666MHzのメモリが搭載ですが、3200MHzまで対応しているのでどうせならDDR4-3200MHzを搭載してほしかったですね。この周波数が高いと処理速度が上がるので、よりサクサク動くんです。
ストレージ
SSD(PCIe NVMe) | SSD SATA | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps | 最大約500MB/秒ほど |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 15秒前後 | 30秒~2分(新品の場合) |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 若干安い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
CeleronモデルはSSD SATAのみ選択可能で、最大256GB搭載できます。
CoreモデルはHDDかSSDが選べ、どちらも最大1TB搭載可能です。ただし、デュアルストレージにはできないので、HDDを選ぶと全体的な速度が遅くなります。
他のビジネスモデルの様なセキュリティはなし
本機には以下のセキュリティがありますが、他のHPビジネスモデルの様な高度なセキュリティはありません。
- Windows Defender・・・Windows 10に標準搭載されているウイルスから保護するセキュリティ機能
- TPM・・・独立して機能するセキュリティチップで、パスワードなどの情報を格納する
基本的に個人利用であればWindows Defenderで十分だと思いますが、追加のセキュリティをお考えの場合は「おすすめのセキュリティソフト」も併せて読んでみてください。仮想環境を構築し、6つのソフト+Windows Defenederで実際のフィッシングサイトにアクセスをして遮断できるかどうかのテストを行ったので、実際の防御率が分かりやすいと思います。
もしくは、ProBookやEliteなどの他のビジネスモデルを購入するかです。こちらの「HP ビジネスノート全機種のレビュー」も参考にどうぞ。
Wi-Fiは5か6が選択可能
Wi-Fi 5はRealtek 802.11a/b/g/n/acに対応しており、この「ac」は5GHz帯で、最大通信速度が6.9Gbpsと速いですが、2.4GHz帯では「n」の600Mbpsになるのであまり速くありません。
Wi-Fi 6は「ax」になり、2.4GHzと5GHzと2バンドに対応で最大通信速度が9.6GHzとかなり速くなっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、カフェなどの混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
+4400円でWi-Fi 6に変更できるので、余裕があればアップグレードしていた方が良いと思います。
バッテリー駆動時間は短い
バッテリー駆動時間は最大で約6時間25分と短く、実際の作業を考えると5-6時間になると思います。パワーバンクや充電アダプタの持ち運びが必須ですね。
また、充電時間は2.5時間で満充電と、そこそこ速いです。
インターフェイス
左側面にはRJ45、HDMI、USB-C(データ転送のみ)、そしてマイク・ヘッドフォンジャックがあります。
右側面にはSDカードリーダー、USB-Aが2つ、そして電源ポートです。
インターフェイスは必要最低限が付いている感じですが、ほとんどの人はこれで十分だと思います。
サポート・保証
HPのビジネスノートは日本でのサポートを行っており、保守拠点は国内に420拠点以上あるので、修理対応もスピーディーです。
ビジネスサポートは通常のコールセンターよりもつながりやすく、何といってもたらいまわしがないというのが嬉しいです。時間は、月~金が朝9時から夜21時まで、土曜日が朝9時から夕方17時までになっています。
保証は1年間引き取り修理で、HP指定業者が自宅や会社にPCを引き取りに来てリペアセンターに配送、修理後、郵送してくれます。最長5年まで延長でき、保証期間内はパーツ代や輸送費は無料です。
もしくは「オンサイト修理」と言う、「エンジニアが指定住所に来て修理」をする保証にアップグレードでき、こちらも最長5年まで延長できます。
アクシデントサポートと言う通常保証じゃカバーされない「水濡れ」「落下」「盗難」などをカバーする保証もあります。
ライバル機種
<左から本機種・Probook 650 G8・Lenovo ThinkPad E15 Gen 2>
本機種と似たような15.6型機種との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | Probook 650 G8 | ThinkPad E15 Gen 2 | |
CPU | Celeron N4020 Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 |
Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 Core i7-1165G7 |
|
メモリ | 16GB | 64GB | 32GB |
ストレージ | SSD 1TB | SSD 1TB | SSD 1.5TB |
グラフィックス | UHD Iris Xe |
UHD Iris Xe |
UHD、Iris Xe GeForce MX450 |
ディスプレイ | HD TN /FHD UWVA | FHD IPS | FHD TN/IPS タッチあり |
無線 | Wi-Fi 5/6 | ||
バッテリー | 6.37時間 | 12.5時間 | 12.1時間 |
重量 | 1.74㎏ | 1.74㎏ | 1.7㎏ |
最低価格 Core i3価格 Core i5価格 |
5万円~ 7.9万円~ 9.4万円~ |
8.5万円~ 8.5万円~ 10.5万円~ |
7万円~ 7万円~ 8.6万円~ |
CPUはほぼ同じ11世代CPUですが、比較機種は上位モデルのCore i7もあり、メモリもより大きいです。
また、他のモデルはHDディスプレイがないし、バッテリー駆動時間は倍くらいなので安心して使えると思います。
ただし、本機は一番安くパソコンを購入できるので、とにかく安い機種が欲しいという人には向いているかもしれません。
まとめ
良い点
・低価格からある
・キーボードがそこそこ良い
・インテル11世代CPU搭載可能
残念な点
・メモリに数年前のモデルを使用
・ディスプレイの品質がいまいち
・バッテリー駆動時間が短い
総合評価
本機は低価格モデルもあるので、とりあえずパソコンが必要だという場合や、企業がテキスト入力に使うための大量購入に向いた機種だと思います(Celeronモデル)。
CPU性能だけを見たら、11世代のCore i3やi5があるので十分な性能だと思います。ただし、メモリの周波数が低かったり、ディスプレイがUWVAだったり(そこまで悪くないですが・・・)、バッテリー駆動時間が短かったりといろいろありますが、
「据え置き用で使用する・外付けモニターを使う」
という人であれば、購入しやすいかもしれません。