HP(ヒューレットパッカード)のビジネスノートにはElite(ハイエンド)、Probook(スタンダード)、そしてHP(エントリー)というブランドがあります。
本機種Probook 650 G5はスタンダードクラスの位置づけで、悪くないスペックになっています。
HPのビジネスモデルはスペックが低く、価格は高いのですが、法人にとっては欠かせないサポートとセキュリティが豊富でなんです。
より上の耐久性・生産性を兼ね揃えた機種で、サポート窓口も日本で行われており、同業他社を見渡してもこれほどサポートが手厚いところはあまりないと思います。
計2万時間、最大12万時間に及ぶ品質テストをクリアし、米軍調達基準のMIL規格準拠なので品質も安心ですね。
HP公式ページでは「法人向け」のPCとして販売されていますが、ビジネスモデルなので法人となっているだけで、当然個人でも購入できます。
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HP Probook 650 G5(15.6型)のレビュー
CPU | Intel core i3-8145U Intel core i5-8265U Intel core i7-8565U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大1TB+HDD 1TB |
ディスプレイ | FHD IPS 非光沢 250nit |
グラフィックス | Intel UHDグラフィックス 620 |
OS | Windows 10 Home、Windows 10 Pro |
セキュリティ | TPM、HP Sure sense、HP BIOSphere Gen 5、HP Sure Click、プライバシーシャッターなど |
無線LAN | WiFi6/AC9560(WiFi5) |
有線LANポート | 有り |
指紋センサー | 搭載 |
光学ドライブ | DVD-ROM(読み込み専用) DVDライター(書き込みもできる) |
Microsoft Office | 搭載可能 |
サイズ | 377x257x23.9㎜ |
重さ | 2.18㎏ |
バッテリー | 最大11.1時間(JEITA測定) |
保証 | 1年間 |
価格 | 税込)7万4580円~ |
パソコンの頭脳であるCPUはインテル第8世代ですが、Core i5以上を選べば比較的性能も高いです。
メモリは後述しますが、性能が低いものを使っているので大きめのメモリを搭載した方が良さそうです。
ストレージはデュアルストレージも可能で、最大でSSD 1TB+HDD 1TBも搭載できます。かなり大容量なので、外付けHDDなどを使わなくても大丈夫だと思います。
ただし、こちらもデータ転送速度が遅いSATAと言うものも使われているので、購入時には注意が必要です。
15.6型なので持ち運びが多い人というよりは、事務所で据え付け用として使うと良いと思います。しかも15.6型だから大きいというよりは、光学ドライブが搭載だし、大きめの筐体を使用しているので他の15.6型と比べても二回りほど大きく、ゲーミングPC並みに重たいです。
と、ここまではスペック面での評価でこき下ろしましたが、HPのビジネスモデルはサポートと東京生産の安心感がウリなんですね。なので、スペックは二の次といった機種になっています。
Probook 650 G5の特徴
HPのProBookは、外観からしてProBookといった感じがしますね。ベゼル(画面の黒い枠)が太く、大きな筐体です。
ビジネスモデルはどのブランドを見ても比較的ベゼルが大きいのですが・・・、ProBook 650は結構大きいですね。ベゼルだけじゃなく、全体的に。
左から本機種・Lenovo ThinkPad・Lenovo Yogaのベゼル比較ですが、ProBook 650 G5は3~4年前の筐体かと思うくらい太いです。
また、他の15.6型と比べると、その大きさが分かりやすいと思います。と言っても、HPのノートパソコンは基本的に他社に比べて大きいです。
光学ドライブ/重さ | 幅 | 奥行き | 厚さ | |
本機種 | あり/2.18kg | 377㎜ | 257㎜ | 23.9㎜ |
HP Pavilion 15 | なし/1.82kg | 361㎜(-16㎜) | 246㎜(-11㎜) | 18㎜(-5.9㎜) |
Lenovo V140 | あり/1.85kg | 363㎜(-14㎜) | 254.6㎜(-2.4㎜) | 22.9㎜(-1㎜) |
Lenovo Yoga 750i | なし/1.83kg | 356.5㎜(-20.5㎜) | 235.7㎜(-21.3㎜) | 18㎜(-5.9㎜) |
本機種は飛びぬけて大きく、飛びぬけて重いです。持ち運びをする人にはお勧めできません。持ち運びがある人でHPのビジネスノートを希望の場合は、Elite x2 G4がおすすめです。光学ドライブはないので、外付けのものを購入になりますが。
実は、もうほとんど光学ドライブ搭載モデルってないんですよね。だって、重くて大きいし、価格も高いからです。
今では外付けの光学ドライブ(2000円くらいからあり)を購入して使うのが、一般的です。
<インターフェイスは豊富だが、分厚い>
ボディはCNC削り出しのアルミニウム合金で、耐久性も高く、安いパソコンとは見た目も質感も違い、おしゃれです。
電源ボタンは珍しく左上にあり、指紋センサーは右のパームレスト付近にあるので、ほぼ同時押しができますね。使いやすいです。
また、底面にスピーカーがあるパソコンが多いのですが、本機種のスピーカーはキーボード上の部分にあるので音がクリアに聞こえ、ビデオ会議もしやすいと思います。
正直言ってスペックや筐体面ではいいところがほとんどない本機種ですが、キーボードはさすがにビジネスモデルだけあって、タイピングがしやすくなっています。
と言うのも、キーストロークが1.5㎜~1.7㎜と深いので、押しごたえがある(打感が良い)んです。一般的なノートパソコンは1.2㎜前後と浅いので軽い打感ですが、たった0.3㎜、0.4㎜変わるだけで全然違いますよ。
MIL-STD-810G
HPのビジネスノートは、米軍の物資調達企画のMIL-STD 810Gをクリアした品質になっています。簡単に言うと、米軍が紛争地に持っていける品質があるということですね。
また、HP独自の12万時間のテストをした機種なので、耐久性や堅牢性は高いです。詳しくはこちらをどうぞ。
サポート
サポートは日本国内で行っており、たらいまわしをしないワンストップサポートになっています。
私は通常のサポートを使ったことがありますが、問い合わせしたら「ここじゃないので別のところへ」と言われ、別のところで対応してもらい、その部署の人が分からなかったのでそこから担当の人が別部署に確認を取って・・・・などしていたら1か月以上返答に時間がかかりましたもんね。(コロナの時期だったので、忙しかっただけかもしれませんが)
ビジネスモデルは日本で対応しているし(一般サポートは中国などの海外)、スピーディーに解決します。
もっと手厚いサポートが欲しい方は、同じくビジネスモデルのEliteシリーズを購入するとこういったサポートになります。
- サポート受付時間が長い(平日朝8時〜21時・土曜朝8時〜17時30分まで)
- 1つの窓口で対応(たらい回しなし)
- サポートセンターは日本で、熟練エージェントが対応
- 60分で解決しない場合は、マネージャーへ報告し対応
- 修理→発送手配を3営業日で実施
CPU
CPUはパソコンの頭脳で、性能が高いとパソコンもサクサク動くし、性能が低いと動きが遅くなります。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”13580″ lazy=”no” class=””]Core i3は3000台のスコアで、低い性能です。使い方にもよりますが、多くの人はサクサク作業ができずにストレスを感じると思います。
Core i5とi7は比較的高めの性能で、ほぼストレスフリーに作業ができると思います。
また、並行作業がしやすいかどうかの目安でコアとスレッドがあるのですが、Core i3は2コア4スレッド、Core i5とi7は4コア8スレッドとなっています。
<アプリやソフトの数は例です>
コアとスレッドが大きいと、同時に処理できるデータ量が多くなるので多くのタブを開いたり、いくつかのソフトを並行して使っても、使いやすくなります。
メモリ
メモリは一時的にデータを保存する場所で、より大きなメモリはより多くの、より大きなデータが処理しやすくなります。
本機種はDDR4-2400MHzで、最大32GBも搭載できます。
ただし、最近では2933MHzや3200MHzが多くなってきていて、本機種の2400MHzは比較的低い性能になります。
この動作周波数(MHz)が高いとそれだけ早くデータ処理ができるので、高速表示が可能になり、3200MHzだと2400MHzより40%ほど処理速度が速いです。
本機種の場合は、大きめのメモリを搭載した方がストレスも減りそうです。
ストレージ
ストレージはHDD(ハードディスクドライブ)とSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の2種類があり、どちらか一方、もしくはどちらも搭載できます。また、選べるストレージは以下になります。
- 128GB SSD SATA
- 256GB SSD PCIe NVMe
- 256GB SSD SATA 自己暗号化機能付き
- 512GB SSD PCIe NVMe(Optaneメモリ32GB搭載)
- 1TB SSD PCIe NVMe
- 500GB HDD SATA(Optaneメモリ搭載可能)
- 1TB HDD SATA(Optaneメモリ搭載可能)
SSD PCIe NVMe | HDD(SATA接続) | |
価格 | 高い | 安い |
動作音 | 静か | うるさい |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
データ移動 | 最大32Gbps | 最大6Gbps |
寿命 | 長い | 短い |
Optaneメモリとは、「頻繁に使うページやソフト、アプリなどキャッシュ(記憶)する」メモリで、毎回新しいものを読み込まずにキャッシュしたものから表示するので、高速表示が可能です。
また、自己暗号化機能とはデータを暗号化する機能で、万が一パソコンを紛失したなどあってもデータが漏洩する可能性がかなり下がります。
ちなみに、SSD 128GBと256GBは速度が遅いSATA接続のものがあるので、購入時にはご注意を。
ディスプレイ
ディスプレイは、FHD IPS液晶 非光沢 250nitになります。
FHD | フル・ハイディフィニション、解像度1920x1080 |
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IPS液晶 | 視野角が広くコントラストも高い液晶 |
光沢なし | 背景や自分が画面に映り込みがしにくい |
nit | 輝度(明るさ)を表す単位で、通常250前後が標準 |
WiFi6
標準搭載は属に言うWiFi5のAC 9560 802.11 a/b/g/n/acになりますが、次世代通信規格のWiFi6も選べます。
WiFi6は最大通信速度の理論値が9.6Gbpsなので快適に使えるし、混み合った回線(多くの人と共有するWiFi)でもスムーズに使えます。
セキュリティ
HPのビジネスノートにはHP独自のセキュリティが多く搭載されているので、安心してパソコンを使うことができます。
- HP Sure Sense・・・ディープラーニングを活用したリアルタイム検知機能があり、悪意のあるファイルを検出し、マルウェア、ゼロディ攻撃、ランサムウェアなどからPCを守るセキュリティ機能
- HP BIOSphere Gen5・・・ウイルスやマルウェアによる不正なBIOSの書き換えや、破損からシステムを保護
- HP Sure Click・・・Web閲覧のセキュリティ強化で、タブを閉じるだけでマルウェアが消滅する
- HP Sure Start・・・自動復旧機能で攻撃を受けても自動でリカバリ
- HP Client Security Software・・・パスワード関係などのセキュリティ機能
- HP Secure Erase・・・BIOSの中のSecure Eraseを使って内蔵ドライブのデータを完全に削除することが出来る
- セキュリティロックケーブルスロット・・・盗難や持ち運び防止用のセキュリティワイヤーを使うスロット
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれる
容量無制限のクラウド(AOS BOX Cool)
容量無制限・全自動のクラウドバックアップで、データを安全に保管が出来ます。AOSBOX Coolは一般販売を停止して、HPなどのパソコンを購入したときのみ契約ができるので、利用した方がいいです。
私はHPのパソコンを買ったときにこれをつけなくて、あとあと購入すればいいやと思っていたのですが、2020年3月ごろに一般販売を停止していたので使えませんでした。
条件なしで容量無料ってほとんどないので、すごくお勧めです。
インターフェイス
- MicroSDカードスロット
- ドッキングステーションコネクター
- VGAポート
- ネットワークポート(RJ45)
- HDMIポート
- USB 3.1(Gen 1)ポート
- USB-C
- コンボステレオヘッドフォン/マイクジャック
- オプティカルドライブ(オプション)
- セキュリティ ロック ケーブル用スロット
本機種は光学ドライブ(オプティカルドライブ)が一つの特徴で大きな筐体をしているのですが、実は「搭載無し」もあります。
搭載無しを選ぶ場合は、ProBook 450 G7がおすすめです。筐体も本機種より小さく、価格も半額くらいです。
また、DVD-ROMとDVDライターと2種類あり、DVD-ROMは読み込み専用で、DVDライターは書き込みもできるドライブになります。
VGAポートは昔の外付けモニター(アナログ接続)を使っている人は必要ですが、デジタルモニターを使っている人はHDMI経由でモニターにつなぎます。
USBポートが少ないので、必要であればドッキングステーションの購入も必要ですね。
最後に
正直に言うと、ぼちぼち良いサポート以外に目立った特徴がない機種です。パソコンのことが全然わからないから手厚いサポートが欲しいといった人以外は、購入するメリットが薄いと思います。