LG gram 16インチのレビューです。
16インチと大型なのに1190gと超軽量で、一般的な13.3インチモデルよりも軽いんです。13.3インチと言えば1.2㎏~1.3㎏くらいですが、1190gの16インチは衝撃的ですね。通常、16インチと言えば1.9㎏前後ですからね。
本機は社内や宅内移動が多い人、もしくは外出先でも大画面で作業をしたい人に合う機種です。
本機は、と言うかLGのノートパソコンは公式サイトでは販売されておらず、アマゾンなどや販売代理店で販売されており、本機はアマゾン限定モデルになります。
Contents
LG gram 16(16Z95P-KA76J)のスペックレビュー
CPU | Core i7-1195G7 |
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メモリ | 16GB |
ストレージ | SSD 512GB |
グラフィックス | Iris Xe |
ディスプレイ(16型) | WQXGA(2560×1600ドット) IPS 光沢あり DCI-P3 99% |
OS | Windows 11 Home |
無線 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
生体認証 | 指紋認証 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 355.9 × 243.4 × 16.8㎜ |
重さ | 1190g |
バッテリー | 約25.5時間 |
保証 | 1年間(バッテリーは6ヵ月) |
価格 | 20.1万円 |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは、インテル第11世代で上位モデルのCore i7-1195G7になります。通常版のCPUはCore i7-1165G7ですが、これよりもクロック数が高く高性能になっています。
CPU性能はかなり高く、内蔵グラフィックスのIris Xeも高性能なので、画像編集や簡単な動画編集も快適にできます。
メモリはLPDDR4x 16GBが1枚搭載で、動作周波数は4266MHzと高いので処理速度も速いです。
ストレージは高速モデルのM.2 PCIe NVMeで、512GBの大容量です。空きスロットが1つあるので、SSDの増設も可能です。CrucialのSSDは保証も長く、1TBでも1.5~2万円くらいなので、自分で増設できる人は安くカスタマイズできます(保証対象外になります)。
ディスプレイは2560×1600ドットと高解像度で、色域はDCI-P3 99%とかなり広いので、クリエイティブワークに向いた品質になっています。また、動画視聴や画像を見る時も鮮やかな色が描写されるので、迫力もありますね。
画面のアスペクト比は16:10と縦に長く、17インチ並みに多くの情報が表示されます。ここ最近のハイエンドモデルは16:10と縦に長いので、使いやすくなりましたね。
その他のスペックは、高速無線通信のWi-Fi 6に対応し、電源ボタンと統合された指紋センサー、バッテリー駆動時間は驚異の25.5時間となっています。米軍の物資調達規格であるMIL規格に準拠したテストもクリアしているので、安心して使えますね。
有線LANポートが無い、メモリの増設が不可、SDカードリーダーが無いと言った若干のデメリットもありますが、メモリ以外のことは別途ケーブルを購入することで解消されます。
Evoプラットフォーム認証
Evoプラットフォームは以前Engineered For Mobile Performance(エンジニアのためのモバイルパフォーマンス)という認証だったのですが、インテル第11世代CPUから名称が変わりました。
11世代CPUを搭載していたらEvo認証を得るわけじゃなく、下記項目を満たす「ハイスペックなノートパソコン」のみがEvo認証を得ることが出来ます。
- Iris Xeグラフィックス搭載の第11世代CPU搭載機種
- アプリケーションを高速かつ高レスポンスで使える
- AI推論も高速で使える
- 電源を問わずにレスポンスが良い事
- 9時間以上のバッテリー駆動時間
- フルHD以上
- 1秒以内でスリープから復帰
- 30分の充電で4時間駆動
- WiFi6対応
- Thunderbolt 4搭載
- ノートパソコンであること
第11世代CPU搭載モデルは増えてきましたが、Evoプラットフォーム認証を受けた機種は数えるほどしかありません。 そのくらい特別な機種なんですね。
また、Evoプラットフォーム認証の機種は、Microsoft Officeのパフォーマンスが最大52%向上、ビデオ会議中のOfficeの生産性が41%アップ、Adobe CCによる動画編集が最大2.5倍高速化などと、今までとは一味も二味も違う機種になっています。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/LG gram 16z90p-ka75>
旧モデルのLG gram 16Z90P-KA55との比較です。旧モデルは2021年2月に販売開始したもので、本機は2021年11月に発売しました。筐体などはほぼ同じですが、CPUなど若干違うので、差異がある個所のみ記載します。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種(2021年秋冬モデル) | LG gram 2021年 | |
CPU | Core i7-1195G7 | Core i7-1165G7 Core i5-1135G4 |
メモリ | 16GB | 8GB・16GB |
スピーカー | 1.5W×2 | 2W×2 |
OS | Windows 11 Home | Windows 10 Home |
2 in 1 PCモデル | なし | あり |
カラー | シルバー | ブラック |
バッテリー | 25.5時間 | 30時間 |
価格 | 20.1万円 | 14.4万円~ |
同じ筐体を使っているので寸法や重量は同じですが、上記した通りカラーや中身が若干違っています。一つ気になったのは、スピーカーが小さくなっている点ですね。なぜわざわざ小さくしたんでしょう?
一番大きな変化は価格で、Core i7の上位モデルは必要ないという場合は、旧モデルの方がお得です(実際、同じ筐体なので、旧モデルと言うのも変ですが・・・)。
こちらは、プロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。スコアは約7000あればビジネス用途でも快適に使え、1万を超えると高い性能です。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Core i7-1195G7 | |
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Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 |
旧モデルも高性能のインテル第11世代なので、高い性能ですね。スペック的に本機が最上位モデル、旧モデルが通常モデルと言った感じです。
LG gram 16インチ 2021年秋冬モデルの特徴
LG gramの特徴は、何と言ってもこの軽さですよね。16インチで1190gと、意味が分からないほど軽いです。
一般的な重量はこの様になり、おおよそですが±100gほどになります。
・13.3インチ 1.2~1.3㎏前後
・14インチ 約1.4㎏
・15.6インチ 1.7㎏前後
・16インチ 1.9㎏前後
・17インチ 2.1㎏前後
平均的な13.3インチモデルよりも、本機16インチは軽いんです。信じられない軽さですね。
寸法は、
・幅355.9㎜(≒千円札2.5枚分/375㎜)
・奥行き243.4㎜(≒一万円札1.5枚分/240㎜)
・高さ16.8㎜(≒一円玉の直径/20㎜)
になります。寸法は、他社の16インチモデルに比べ劇的に小さいわけじゃなく、同じくらいになっています。
それでもビジネスバックに、十分入りそうな寸法ですね。
厚さは16.8㎜と薄いので、掴んで持ち運びもしやすいですね。
筐体には「航空機のボディ」などに採用されるマグネシウム合金を使用しており、軽量でも高い耐衝撃性があります。また、手触りもいいし、見た目も高級感がありますね。
米国国防総省「MIL-STD-810G」準拠の衝撃落下テストや振動テスト、高温低温テストなどの7項目クリアしており、耐久性の高い機種になっています。
大きな機種は小型モデルに比べ、ぶつけたり落としたりしやすいですが、MIL規格準拠のテストをクリアしているので、安心して持ち運びができますね。(注・MIL規格は壊れないことを保証しているわけではありません)
筐体のエッジは滑らかで丸みもありますが、ちょっとカクカクした印象です。
天板には「gram」とロゴがあり、キログラム(重たい)じゃなく、グラムで軽さをイメージしやすい名前になってますね。
WebカメラはHD画質の720pで、1.5Wのスピーカーが2つになっています。先述しましたが、なぜあえて2Wスピーカーを1.5Wにしたんでしょうね?
また、20万円越えの機種にしては、カメラやスピーカーは普通です。
電源と統合した指紋センサー
指紋センサーが電源ボタンと統合されているので、パソコンを空けて電源を入れたら、同時にサインインも完了しているので、すぐに使い始めることができます。
個人的に、キーボード内にある電源ボタンは押し間違いの可能性があるので好みじゃないですが、テンキーの一番右上なので、ミスタイプすることも少ないと思います。
キーボード
キーボードは日本語キーで、テンキー付きの101キーになり、バックライトもあります。
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は19.05×18.5㎜と、幅広いので、手が大きな人でもタイプしやすく、キーストローク(キーを押し込む距離)は1.65㎜(±0.2㎜)と比較的深いので、打鍵感も良く、タイピングしやすいと思います。
使用頻度は少ないと思いますが、エンターキーのそばのキーが若干小さくなっており、また、左右カーソルキーが通常の半分サイズなので、慣れるまではミスタイプするかもしれません。
高性能インテル11世代CPU搭載
Core i7-1195G7 | |
製造プロセス | 10nm SuperFin |
コア/スレッド | 4/8 |
キャッシュ | 12MB |
ベースクロック | 2.9GHz |
ブーストクロック | 5.0GHz |
TDP | 28W |
CPUはターボクロックが5GHzもある上位モデルで、かなり高い性能になっています。また、グラフィックスはIris Xeなので、画像編集や簡単な動画編集もしやすい性能です。マルチな事に対応できますね。
また、コア数も4コア8スレッドなので、あれもしながらこれもしてと言うマルチタスクが得意です。
<コアとスレッドのイメージ図>
こちらはCPUの性能を測る、Passmarkスコアです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ハイエンドPCに搭載される
- 17000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 5 5500U | |
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Core i7-1195G7 | |
Core i7-1185G7 | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5300U | |
Core i3-1115G4 |
Intel第11世代はCore i3でもビジネス用途で使いやすく、本機はスコアが11029とかなり高めです。このスペックで「使いにくい」と思う作業は、あまりないと思います。
こちらはGeekbench 5で、クロスプラットフォームのベンチマークになります。Cinebenchの様にシングルコア性能とマルチコア性能を測定できます。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。
Geekbench 5 マルチコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Ryzen 5 5500U | |
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Ryzen 7 5700U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i7-1195G7 | |
Ryzen 7 4700U | |
Core i5-1135G7 | |
Core i7-10510U | |
Core i3-1115G4 |
Geekbench 5 シングルコア
オレンジ色・・・計測機種 青・・・比較
Core i7-1195G7 | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i7-10510U | |
Ryzen 7 4700U |
マルチコアはRyzenモデルのスコアが高いですが、シングルコアは本機がぶっちぎりですね。
クリエイター向けのディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 色域 | アスペクト比 |
WQXGA | あり | IPS | DCI-P3 99% | 16:10 |
WQXGA | 解像度は2560×1600ドット |
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FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質で解像度は1920×1080ドット |
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
IPS液晶 | コントラスト比が高く、視野角も広い |
色域 | 広い色域はより正確な色を再現できる |
ディスプレイはクリエイター向けの品質で、2.5K解像度に、コントラスト比が高く視野角が広いIPS液晶を採用、そして色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3を99%カバーしています。
<色域の例>
色域が広いと正確な色を編集できるし、動画などを見ていてもより鮮やかな色なので、迫力も違いますね。
こちらは光沢ありの液晶と光沢なしのものですが、本機の様な光沢ありは反射が大きいので、人によっては気になるかもしれません。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはLPDDR4x-4266MHzが搭載で、動作周波数(MHz)が高いので処理速度も速いです。また、メモリはオンボードで、16GB 1枚(デュアルチャンネル)になっています。
16インチなので、メモリスロットが空いていたら良かったですね。
ストレージ
SSD(PCIe NVMe) | SSD(SATA) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 15秒前後 | 30秒~2分(新品の場合) |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 中価格 | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機にはSSD PCIe NVMe 512GBが搭載で、メモリスロットがもう一つあるので増設も可能です。Crucialのストレージはおすすめです。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 3.0×4 | |
---|---|
HDD |
Wi-Fi 6に対応
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
インテルWireless-AC 9560 2×2(Wi-Fi 5) | 2.4/5GHz | 1.7Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWiFi6に対応しており、現在主流のWiFi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、カフェなどの混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
バッテリー駆動時間
バッテリーは新素材のカーボンナノチューブを採用し、高密度バッテリーなので、軽量コンパクトだけど80Whと大容量です。
JEITA 2.0測定で最大25.5時間のバッテリー駆動時間になっており、充電時間は最大3時間と短めです。
実際に使用しているとここまで持ちませんが、この軽さでこれだけバッテリー駆動時間が長いので、丸一日出先でパソコンを使う人でも充電アダプターの持ち運びは必要ないと思います。
インターフェイス
インターフェイスは比較的豊富ですが、個人的に有線LANとSDカードリーダーがあればすごくよかったと思います。
左側面にはHDMI、Thunderbolt 4が2つ、マイク/イヤフォンジャックです。
右側面にはmicroSDカードリーダー、USB 3.2 Gen 2が2つになります。USB 3.2 Gen 2はデータ転送速度が10Gbpsと速く、Thunderbolt 4は40Gbpsと高速です。
Thunderbolt 4には、こういった機能・性能があります。
- Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
- 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
- PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
- 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
- 8K出力にも対応(5Kだと60Hz)
Thunderbolt 1つでいろんなものに対応しているので、便利ですね。
サポート・保証
標準で1年間の保証(バッテリーは6ヵ月間)があり、朝9時から夕方6時まで電話やEメール、LINEでのサポートもあります。
LINEでのサポートは便利ですね。
まとめ
<性能評価>
良い点
・軽量で持ち運びがしやすい
・マグネシウム合金でおしゃれ・耐久性も高い
・Evoプラットフォームで性能が高い
・画面比が16:10で、ただでさえ大きな画面により多くの情報が表示される
・ストレージの増設が可能
・Thunderbolt 4が2つもあり、USB Type Aも10Gbpsと速い
残念な点
・メモリの増設が不可
・電源ボタンがキーボード内にある
・クリエイティブワークもできる機種なので、SDカードリーダーがあればなお良かった
・有線LANもあればよかった
総合評価
高性能・Evoプラットフォーム認証を受けた機種で、とにかくサクサク使える。今までは16インチと言えば持ち運ぶのが億劫になることもあったけど、本機種は1190gと超軽量なので簡単に持ち運びもできます。
自室で作業をしていて気分転換に庭やバルコニー、リビングなどの別の部屋で作業をする場合でも簡単に移動でき、社内での移動も楽々です。もしくはカフェなどで作業をする場合でも、大画面なので作業がしやすい。
軽いので、気にせずどこにでも持って行けますね。
残念な点もお伝えしましたが、気にならない人は気にならないと思うので、ここはご自身でどれだけ必要かを判断してください。
ただし、これだけクリエイターにも満足いくスペックなので、SDカードリーダーは欲しかったですね。