HP ZBook Firefly 14inch G10 Mobile Workstationの実機レビュー

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エントリークラスのワークステーション、ZBook Firefly 14 G10のレビューです。

持ち運びに特化した造りで、ワークステーションとしては軽い1.6㎏、そしてバッテリー駆動時間が最大約16時間30分もあります。

個人で使う人や、持ち運び用のサブ機として使いやすいと思います。

当サイトの評価は、このようになりました。

スペック [usr 3.8]
コスパ [usr 3.9]
総合評価 [usr 3.8]

レビュー機はメーカーからお借りしており、スペックはCore i5-1335U、メモリ16GB、SSD 512GB、RTX A500、Windows Proになります。

また、本機にはAMDプロセッサー搭載モデルもあり、こちらはLTE付きですがグラボはありません。

サクッと概要をつかみたい方は、こちらの動画をどうぞ。

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ZBook Firefly 14inch G10 Mobile Workstationのスペック

CPU Core i5-1335U
Core i7-1355U
APU Ryzen 5 PRO 7640HS
Ryzen 7 PRO 7840HS
メモリ DDR5-5200/5600 最大64GB
ストレージ SSD PCIe 4.0 最大2TB
グラフィックス RTX A500
内蔵グラフィックス(AMDモデル)
ディスプレイ(14型) WUXGA 250/400/1000ニト、タッチあり
OS Windows 11 Pro
無線 Wi-Fi 6E、LTE(AMDモデルのみ)
生体認証 指紋センサー、顔認証
WEBカメラ 500万画素、IRカメラ
オーディオ Bang & Olfsen、デュアルスピーカー
寸法(幅×奥行×高さ) 315.6 × 224.3 × 19.9mm
重さ 約1.5㎏(実測1.6㎏)
バッテリー 最大約16時間33分
標準保証 3年間
価格 18.4万円~

<性能評価>

 

パソコンの頭脳であるCPUはインテル13世代の省電力モデルか、AMD最高峰のRyzen 7040HSシリーズが搭載できます。

インテルは省電力モデルでそこそこの性能ですが、RTX A500が搭載しているのでバランスの取れたスペックになっています。AMDプロセッサーはかなり高い性能ですが、グラボ無しになります。

メモリはDDR5-5600MHzで、メモリスロット2つの最大64GBです。公式サイトでは最大32GB(メモリ1枚)なので、もう1つ32GBを購入したら64GBになります。

ストレージはSSD PCIe 4.0で、高速データ転送速度があります。シーケンシャルリードも7000MB/秒近く、大きなデータの移動もしやすいです。

インテルモデルにはRTX A500が搭載し、エントリークラスのスペックです。

ディスプレイは14インチで、画面アスペクト比が16:10と縦に長く、1920×1200ドットの解像度です。一般的な14インチよりも120ドットも縦に長く、15.6インチ並みの情報が表示されます。

輝度は250/400/1000ニトの3種類があり、1000ニトはのぞき見防止のHP Sure view reflectに対応です。

その他のスペックは、OSはWindows 11 ProもしくはWindows 11 ProからのダウングレードされたWinodws 10 Proがあり、LANは最新のWi-Fi 6Eに対応し、AMDモデルはLTEにも対応です。

指紋センサーと顔認証に対応しており、Webカメラは何と500万画素!!一般的なPCにはHD(92万画素)、ビジネスノートにはFHD(207万画素)が採用されますが、本機は動画配信などもそのままできる高解像度です。

14インチのワークステーションで、重さは1.5㎏(レビュー機は1.6㎏)からと軽量で、バッテリー駆動時間は最大16時間33分と長めなので、持ち運びが多い人に向いた機種です。

 

 

公式サイト

 

旧モデルとの比較

HP ZBook Firefly 14inch G10 正面<G10とG9は同じ筐体を使用し、若干中身が変化している>

旧モデルのHP ZBook Firefly 14inch G9との比較です。(表のメモリ・SSD・バッテリーは最大値)

 

本機種 旧モデル
CPU Core i5-1335U
Core i7-1355U
Ryzen 5 PRO 7640HS
Ryzen 7 PRO 7840HS
Core i7-1255U
Core i7-1265U
メモリ DDR5-5200 64GB DDR5-4800 64GB
ストレージ SSD PCIe 4.0 2TB SSD 2TB
GPU NVIDIA RTX A500 NVIDIA T500
ディスプレイ WUXGA 250/400/1000ニト WUXGA 400/1000ニト
無線 Wi-Fi 6E、LTE Wi-Fi 6E
バッテリー 16時間33分 7時間41分
重量 1.5㎏
寸法 315.6 × 224.3 × 19.9㎜

同じ筐体を使用しており、中身がブラッシュアップされたモデルですね。

主な変更点です。

・CPUが12世代から13世代に
・AMDプロセッサーが追加
・メモリの周波数がアップ
・250ニトのディスプレイが追加
・SSDがPCIe 4.0に
・グラボがT500からRTX A500に
・バッテリー駆動時間が倍以上になった

 

 

ZBook Firefly 14inch G10の特徴

付属品は65W電源アダプタと、説明書などになります。 電源は90W以上はあると思っていたのですが、意外に小さめの65Wでした。

 

ZBook Firefly 14inch G10 左斜め前から

すっごくかっこ良い筐体で、ワークステーションなのにワークステーションっぽくないところがいいですね。普段使い用PCに見えます。

 

ベゼル(画面の黒い枠)幅は上10.7㎜、下10.1㎜、左右約5㎜とかなり細く、コンパクトにまとまっています。

 

ZBook Firefly 14inch G10 横から

寸法は、

・幅 315.6㎜
・奥行 224.3㎜
・高さ 19.9㎜

で、普通のPCのサイズです。ワークステーションって通常ごついのですが、本機は本当にコンパクトです。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 重さ

重量は仕様書には約1.5㎏と記載されていましたが、レビュー機は1600gと100g重たかったです。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 右側面

厚さは19.9㎜とワークステーションにしては薄く、普段使い用PCとしてはちょっと太めになりますが、デザインのおかげでしょうか、全然厚さを感じないです。持っても、全然薄く感じます。

底面が若干楕円状になっているので、外見上薄く見えますね。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 天板

天板にはきらりと光る上位モデルのみに採用されたロゴがあり、シンプルなデザインです。筐体はおそらくアルミニウムだと思いますが、メタルボディでサンドブラスト加工を施したような少しざらついた手触りです。

 

 

指1本で開けることができる

HP ZBook Firefly 14inch G10 ディスプレイを指1本で開けることができる

これ、個人的にはすっごく重要な部分なのですが、指1本でディスプレイを開くことができます。

片手にドリンクや書類を持っていても開けれるし、何よりもディスプレイを開く時に片手で筐体を抑えて、もう一方の手で開くという作業をしなくていいので楽なんです。

ちなみに、ディスプレイは170度くらいまで開きます。

 

 

排熱性能

HP ZBook Firefly 14inch G10 底面カバー

底面にメッシュ状の大きな通気孔があり、ヒンジ裏に排気口があります。

省電力モデルのCPU搭載だし、最大グラフィックスパワーは30W、そして電源は65Wなので心配はないと思います。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 Cinebench計測時のCPU温度の推移グラフ

CPUの性能をフルで使うCinebench R23と言うベンチマークを使用時に、CPU温度を計測しました。

グラフにはケルビンで記載されていますが、これを摂氏に変えると30°!!あれ?おかしすぎる・・・。そんなはずはないのですが。

と言うことで、CPUクロックを確認したら、1.58GHz(笑)!!

HP ZBook Firefly 14inch G10 Cinebench計測時のCPUクロック数

最大4.6GHzのクロック数があるのですが、これはひどいですね。Cinebenchのスコア自体は良かったので性能が抑えられているわけじゃなさそうですが、おかしいですね。

ちなみに、Fire Strikeというグラフィック性能を測るベンチマーク使用時は、グラボの温度は65°近辺でした。

総合してみると、排熱はうまくいっていると思います。

 

騒音値

HP ZBook Firefly 14inch G10 ベンチマーク時の騒音計測値

Fire Strikeをやっているときに騒音値を計測したら、平均13.5dB、最大65.6dBでした。65dBというと結構うるさく感じます。

 

 

Webカメラ周り

Webカメラは超高画質の500万画素で、IRカメラにプライバシーシャッターも搭載しています。一般的なノートパソコンにはHD(92万画素)が、ビジネスPCにはFHD(207万画素)が主流ですが、500万画素もあるWEBカメラは一握りです。

上の画像で比較をしてみると本機は解像度が高いですが、ちょっと暗いですね。

動画の方が顕著に解像度の良さが出ていたので、これであればWeb会議だけじゃなく、オンラインレッスンの先生や動画配信者などにも向いています。

内蔵マイクは2つあり、スピーカーも2つ、オーディオにはBang & Olfsenが採用されており、そこそこ良い音質です。

 

 

MILスペック

HP ZBook Firefly 14inch G10 MILスペックに準拠した堅牢性がある筐体

本機はMIL-STD-810Hと言う米軍の物資調達規格に準拠しており、落下テストや気温・気圧の変化テスト、ディスプレイ部の耐久性など様々なテストもクリアしています。

 

 

ISV認証

HP ISV認証

ISV認証とは、独立系ソフトウェアベンダーからソフトウェアアプリケーションの互換性や動作の認定を受けた機種になります。HPのワークステーションはSolidworksやAUTODESK、AdobeにANSYSなどの主要ベンダーから認証を受けています。

こちらから詳しく確認できます。

 

 

キーボード

HP ZBook Firefly 14inch G10 キーボード

キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は18.5 × 18.7㎜で、十分な幅があります。また、キーストローク(キーを押し込む距離)は1.4㎜と普通ですが、打鍵感がありタイピングしやすいと思います。個人的に、ちょうどよい感じで使いやすかったです。

タッチパッドは120×81㎜と大きく、操作性も高いです。

主要キーは同じ大きさで、最下部のキーは細長くなっており、キーがそんなに小さくないのでミスタイプもしにくいと思います。

ただし、カーソルキーが小さく、電源がdeleteキーの横にあるのは好きではありません。ちょっと長押ししないと電源ボタンは反応しないですが、あまり良い位置にあるとは思いません。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 指紋センサー

また、指紋センサーも搭載しているのでサインインは一瞬ですが、指紋センサーが電源ボタンと統合されていたら2度手間にならないのでうれしいです。

 

 

CPU

Core i5-1335U Core i7-1355U
製造プロセス Intel 7(10nm)
Pコア 2
Eコア 8
スレッド 12
キャッシュ 12MB
ターボブースト 4.6GHz 5.0GHz
Pコア最大周波数 4.6GHz 5.0GHz
Eコア最大周波数 3.4GHz 3.7GHz
GPU実行ユニット 80EU 96EU
ベースパワー 15W
マックスパワー 55W

CPUはPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。

また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 CPU Mark計測結果

こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアで、本機Core i5-1335Uは15613と高めの性能でした。以降紹介しているCore i7の結果は、別機種で計測したものになります。

その他のCPUとの比較です。(以下、平均値は各ベンチマーク社が公表している数値です)

スコアの目安

  • 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
  • 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
  • 15000~・ハイエンドPCに搭載される
  • 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い

CPU Markスコア

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i7-1370P  22664
Core i7-1360P  21549
Core i5-1350P  20032
Core i5-1340P  20197
Core i5-13420H  19950
Core i7-1260P  18691
Core i7-1355U/平均  15878
Core i5-1335U/本機  15613
Core i5-1335U/別機種  13220
Core i5-1235U  13039

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 Cinebench R23計測結果

Cinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。

本機はマルチコア7163、シングルコア1553でした。

マルチコアシングルコア

マルチコア性能

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i9-13900H 18874
Core i7-13700H 16201
Core i9-13900H 12895
Core i5-13420H 9948
Core i7-1355U/zenbook s 13 oled 9033
Core i5-1335U/本機 7163
Core i5-1335U/別機種 6639
Core i7-1355U/別機種 5775
Core i5-1235U 5545
Core i5-1340P 5251
Core i5-1335U/別機種 5104

シングルコア性能

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i7-1355U/別機種 2551
Core i9-13900H 2039
Core i9-13900H 1909
Core i7-13700H 1704
Core i5-1335U/別機種 1698
Core i5-13420H 1661
Core i5-1335U/本機 1553
Core i5-1340P 1532
Core i5-1335U/別機種 1514
Core i5-1235U 1472

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 Geekbench 6計測結果

こちらはGeekbench 6のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。一般的に、3Dレンダリングやエンコードはマルチコア、モデリングやCAD、編集中、ゲームはシングルコアを重視します。

本機はマルチコア8449、シングルコア2321と高めの性能でした

マルチコアシングルコア

マルチコア性能

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i7-13700H  12410
Core i5-13500H  12215
Core i7-13700H  11922
Core i5-1340P  10302
Core i7-1360P  9542
Core i7-1355U/別機種  9033
Core i5-1335U/本機  8449
Core i7-1355U/別機種  8378
Core i5-1335U/平均  8102
Core i5-1345U  7850
Core i7-1365U  7549
Core i5-1335U/別機種  7419
Core i5-1340P  7281
Core i5-1335U/別機種  6972
Core i3-1315U  6784
Ryzen 5 7530U  5546

シングルコア性能

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i9-13900H  2567
Core i7-1355U/別機種  2567
Core i7-1355U/別機種  2551
Core i7-1370P  2536
Core i5-13500H  2378
Core i5-1335U/本機  2321
Core i5-1335U/別機種  2319
Core i5-1340P  2317
Core i7-1360P  2306
Core i5-1335U/別機種  2288
Core i5-1345U  2240
Core i5-1340P  2217
Core i5-1335U/平均  2183
Core i3-1315U  2124
Ryzen 5 7530U  1885
Ryzen 7 7730U  1857

 

 

PCMark10

HP ZBook Firefly 14inch G10 PCMark10計測結果

こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。

グラボ付きなのでもっと高い性能かと思いましたが、グラボ無しの機種と差がありませんでした。Quadro系のグラボはこういった性能に影響しないようです。(そんなことないと思いますが・・・)

総合性能の目安は以下になります。

・5000以上・・・ハイスペック
・4000以上・・・中位モデル
・2000以下・・・エントリ―クラス

本機種のスコアです。

  • 総合性能は5099で、一応ハイスペックの部類
  • Essentialは8294→通常用途やビデオ会議などかなり使いやすい
  • Productivityは7972→高速に使える
  • Digital content creationは5441→グラボ付きにしては低く、グラボ無しの同じCPUと同じ性能

その他のCPUとの比較です。

EssentialProductivityDigital Contents

Essential

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i9-13900H  10005
Core i7-1260P  9744
Core i5-1240P  9728
Core i5-1340P  9549
Ryzen 5 7535U  9541
Core i5-1135G7  9502
Core i5-1335U/別機種  9383
Core i5-1355U/別機種  9176
Core i7-1355U/別機種  9110
Ryzen 7 5700U  8951
Ryzen 7 7730U  8831
Ryzen 3 5425U  8743
Core i5-1235U  8197
Core i5-1335U/平均  8294
Ryzen 7 7735U  7590
Ryzen 5 7520U  7546

Productivity

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Ryzen 7 7730U  9276
Ryzen 5 7535U  9040
Ryzen 7 7735U  8540
Core i9-13900H  8138
Ryzen 7 5700U  8065
Core i7-1355U/別機種  7619
Core i5-1335U/別機種  7227
Ryzen 5 7520U  6952
Core i5-1340P  6632
Core i5-1335U/別機種  6452
Core i7-1260P  6187
Core i5-1240P  6167
Core i5-1235U  5542

Digital Content Creation

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i9-13900H  7394
Ryzen 7 7735U  7159
Ryzen 5 7535U  6437
Core i7-1260P  6406
Core i5-1240P  5875
Core i5-1335U/別機種  5839
Core i7-1355U/別機種  5572
Core i5-1335U/本機  5441
Ryzen 7 5700U  5282
Core i5-1335U/別機種  5141
Ryzen 7 7730U  5056
Core i5-1235U  4716
Core i5-1340P  4661
Ryzen 5 5500U  4445
Ryzen 3 5425U  4240
Ryzen 5 7520U  3660

 

 

グラフィックス

RTX A500
アーキテクチャ Ampere
RTコア 16基
Tensorコア 64基
メモリ GDDR6 4GB
メモリ帯域幅 112GB/s
TELOPS 7.3
TGP 30W

業務用のRTX A500が搭載で、こちらは一般的にゲーミングPCに搭載されるDirectX(3Dゲーム)に最適化されたGeForceじゃなく、高度な技術計算(OpenGL)に最適化されたAシリーズになります。

また、こちらは最新のAda世代じゃなく、1つ前のAmpereになります。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 3D Graphics Mark計測結果

本機の3D Graphics Markのスコアは5760とそこそこ高めでしたが、グラボ付きにしては低い性能です。これは、メモリが1枚しか搭載していないので、シングルチャンネルメモリで動作しているからだと思います。メモリ2枚組にすると、通常、かなり性能アップします。

他のCPUとの比較ですが、他の機種はCPU内蔵グラフィックスの性能で、本機のみグラボ付きです。

 

3D Graphics Mark

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

Core i5+RTX A500  5760
Ryzen 7 PRO 6850U  5663
Ryzen 7 7735U  5098
MX550  5089
Ryzen 5 7535U  3782
MX450  3715
Ryzen 5 PRO 6650U  3526
Core i9-13900H  3501
Core i7-1260P  3263
Core i7-1355U  2981
Core i5-1335U/別機種  2686
Core i5-1340P  2542
Ryzen 7 7730U  2432
Core i5-1240P  2326
Ryzen 5 5500U  2326
Core i5-1235U/nextreme  2319
Core i3-1215U  2258
Ryzen 7 5700U  2251
Core i5-1235U  2196

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 Fire Strike計測結果

Fire Strikeの性能は5730と低めでした。ローエンドグラフィックボードのGTX 1650 Max-Qが6861、インテルのArc A350Mが6770なので、ゲーム関係のグラフィック性能は低いようです。

 

 

PhotoshopでAI生成速度を計測

画像編集をしているとき、AIでアイテムや背景を生成することがありますが、その速度を計測しました。PhotoshopはWeb版を使用し、環境はすべて同じです。

レビュー機は本機とLenovo X1 Carbon Gen 10(2022年モデル)で、スペックはこちらです。

本機 X1 Carbon
CPU Core i5-1335U Core i7-1260P
メモリ DDR5 16GB DDR5 32GB
グラフィック RTX A500 CPU内蔵
ストレージ SSD PCIe 4.0 SSD PCIe 4.0

X1 Carbonの方がCPU性能が高くメモリも倍ですが、グラボはありません。

 

まずは、左の画像の背景にジャングルっぽい画像をAI生成で作った時の時間です。

本機・・・35秒32
X1・・・27秒97

 

ZBook Firefly 14 G10でPhotoshopを使って生成した画像の計測

次は、こんな感じのジャングルを生成した時間です。

本機・・・1分1秒
X1・・・35秒77

 

今回の結果ではRTX A500の性能があまり分かりませんでしたが、おそらくメモリが1枚なので本領を発揮できなかったのかなと思います。

 

 

ディスプレイ

HP ZBook Firefly 14inch G10 正面

ディスプレイは14インチで、すべてのモデルは、画面アスペクト比が16:10のWUXGA(1920×1200ドット)で光沢なしです。

  1. WUXGA 、LCDパネル、250ニト、タッチパネル
  2. WUXGA 、LCDパネル、400ニト、ブルーライト軽減、周辺光センサー
  3. WUXGA 、LCDパネル、1000ニト、ブルーライト軽減、周辺光センサー、HP Sure View

画面比は16:10と縦に長いので、14インチでも15.6インチに近い情報量が表示されます。

1のディスプレイはレビュー機のもので、すごく残念なものでした。250ニトと暗く、明るい屋外では見にくいです、そして色域が狭いです。ちなみに、光沢なしの液晶なのでなかなか気づきませんでしたが、タッチパネルです。

2は400ニトとそこそこ明るく、3のモデルは1000ニトとかなり明るいです。また、3のモデルはHP Sure view reflectと言って「のぞき見防止機能」付きです。

 

HP EliteBook 830 G6のSure View-min

ボタン1つで横から画面が見にくくできる機能で、人が多いところで作業をする人には、あったらうれしい機能ですね。

さて、レビュー機のディスプレイが一番残念だと言いましたが、そのわけは色域がめちゃくちゃ低くいからです(泣)

 

HP ZBook Firefly 14inch G10の色域図

i1 Display Proで色域を計測したら、

sRGBカバー率62.7%

sRGB比63.4%

でした(泣)。

通常クリエイターPCであれば、DCI-P3 100%か最低でもsRGB 100%が必須ですが、本機は画像・動画編集向けの色域ではありません。

クリエイターPCでこの色域となると、外付けディスプレイを使う人以外はお勧めできません。

仕様書には記載されていないですが、400ニトや1000ニトのモデルは広色域だと思います。(HPに確認中)

→確認が取れました。400ニトと1000ニトのモデルはsRGB 100%とのことです。こちらのディスプレイがおすすめです。

レビュー機は250ニトと低輝度ですが、屋内で使う場合は、窓際で直射日光が当たらない限り見にくいと思うことはあまりないと思います。

こちらは輝度の目安です。ディスプレイの品質にもよるので、あくまでも目安として紹介しています。本機には250/400/1000ニトがあります。

220ニト 室内ならなんとか使える。明るい室内では暗く見える
250ニト 室内向け。屋外では日陰ならギリギリ使える
300ニト 屋外の日陰でも見える
400ニト 屋外でも使いやすいが、直射日光が当たるとちょっとくらい
500ニト 屋外向け
600ニト 画面に直射日光が当たっても比較的見える

最低でも、400ニトのディスプレイのモデルを購入した方がいいです。

 

 

メモリ

HP ZBook Firefly 14inch G10 Memory Mark計測結果

メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。

本機はDDR5-5200が搭載で、2スロット・最大64GBが搭載できます。レビュー機には16GBメモリが1枚搭載しており、簡単に32GBに増設できますね。増設しやすいような構成で販売しているので、優しさを感じます(笑)。

本機のMemory Markスコアは2908とかなり高く、これがメモリ1枚と言うことを考えるとさらにすごいと思います。

その他のメモリとの比較です。

Memory Mark

オレンジ色・・・本機種 青・・・比較

DDR5-5200MHz/本機  2908
DDR5-4800MHz平均  2774
LPDDR4-4266MHz平均  2735
LPDDR5平均  2703
DDR4-3200MHz平均  2151

 

 

ストレージ

HP ZBook Firefly 14inch G10 シーケンシャル速度計測結果

ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。

シーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み速度)は6587MB/秒、ライト(書き込み速度)は3965MB/秒とかなり速いです。データ移動はサクサクできます。

こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。

シーケンシャル速度

オレンジ色・・・リード 青・・・ライト

本機種  6587MB/秒
 3965MB/秒
PCIe 4.0×4  ~約7000MB/秒
 ~約5000MB/秒
PCIe 3.0×4  ~約3000MB/秒
 ~約2000MB/秒
HDD  600MB/秒
 200MB/秒

 

起動時間を計測しました。なぜだか4回目だけ24秒もかかりましたが、概ね16秒台です。

1回目 16秒35
2回目 16秒52
3回目 16秒56
4回目 24秒66
5回目 16秒64
平均 18秒14

 

 

セキュリティ

HP Wolf Security for Business

世界で最も安全なビジネスPCをうたっているだけあり、HP独自の堅牢なセキュリティが搭載しています。

搭載している、主なセキュリティをご紹介します。

  • HP Sure Sense・・・ディープラーニングを活用したリアルタイム検知機能があり、悪意のあるファイルを検出し、マルウェア、ゼロディ攻撃、ランサムウェアなどからPCを守るセキュリティ機能
  • HP BIOSphere・・・ウイルスやマルウェアによる不正なBIOSの書き換えや、破損からシステムを保護
  • HP Sure Click・・・Web閲覧のセキュリティ強化で、タブを閉じるだけでマルウェアが消滅する
  • HP Sure Start・・・自動復旧機能で攻撃を受けても自動でリカバリ
  • HP Sure Run・・・ウイルス対策ソフトやOSのセキュリティ機能をOFFにさせない
  • HP Sure Recover・・・OSがウイルスに感染した場合でも、正常な状態に自動リカバー
  • HP Secure Erase・・・BIOSの中のSecure Eraseを使って内蔵ドライブのデータを完全に削除することが出来る
    セキュリティナノロックケーブル用スロット・・・盗難や持ち運び防止用のセキュリティワイヤーを使うスロット

 

 

Wi-Fi 6に対応

対応周波数 速度
IEEE802.11ac
(Wi-Fi 5)
5GHz 6.9Gbps
IEEE802.11ax
(Wi-Fi 6)
2.4/5GHz 9.6Gbps
IEEE802.11ax
(Wi-Fi 6E)
2.4/5/6GHz 9.6Gbps

次世代通信規格のWi-Fi 6に対応しており、現在主流のWi-Fi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のExtended(エクステンディット)版で、6GHz帯(高速通信)での通信ができるのですが、執筆時現在の日本では6GHz帯はまだないので使えません。最大で5GHz帯になります。

 

 

LTE

レビュー機にはありませんが、他のモデルにIntel XMM 7560R+LTE-Advanced ProというLTEが搭載しているものがあります。

下り最大1Gbps、上り最大150Mbpsと言うことで、ある程度大きなデータも扱いやすいです。

LTE用の格安SIMなら大手のIIJmioか、楽天最強プランがおすすめです。筆者はIIJmioでドコモ回線20GB/月 約2000円と、楽天最強プランを契約していますが、月に20GB以上使うのであれば楽天がお得です。

 

 

バッテリー駆動時間

最大バッテリー駆動時間は約16時間33分で、ワークステーションにしてはかなり長いです。どのくらいの負荷がある作業をするかにもよりますが、半日くらいならバッテリーだけで作業ができそうです。

 

 

インターフェイス

インターフェイスの数は普通で、Thunderbolt 4が2つもあるので使いやすさは高いと思います。ただし、SDカードリーダーがないので、写真や動画を撮って編集をするクリエイターにはちょっと残念な仕様です。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 右側面

右側面にはLTE用のnanoSIMトレー、セキュリティロックスロット、USB 3.2 Gen 1(データ転送速度5Gbps)、ヘッドフォン/マイクジャックです。

 

HP ZBook Firefly 14inch G10 左側面

左側面にはHDMI 2.0b、USB 3.2 Gen 1、そしてThunderbolt 4が2つあり、Thunderbolt 4にはこういった機能・性能があります。

  • Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
  • 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
  • PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
  • 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
  • 8K出力にも対応

 

 

サポート・保証

 

HP ビジネスモデルのサポート

HPのサポートは、電話・チャット、メール・LINEなどでやっており、対応時間は月-金8:00-21:00、土8:00-17:30になります。電話は専用回線になっており、電話した時に「その件でしたらこちらの部署におかけ直しください」と言う定番の文句が出てこないことですね。たらいまわしを回避し、1つの窓口で対応してくれます。また、サポートは国内になります。

保証は3年間休日修理付きオンサイト対応で、最長5年に延長できます。また、アクシデントサポートも追加できます。

  • 出張修理/翌日オンサイト修理・・・家や事務所に来てその場で修理。期間内は交換パーツ代など無料
  • アクシデントサポート・・・標準保証ではカバーされない水濡れや落下破損、盗難などに対応

保守拠点は国内に420か所以上あるので、修理も速いです。

また、他にも多くの有料サポートがあるので、購入時に確認してみてください。

 

 

ライバル機種

 

ThinkPad P16v

Lenovo ThinkPad P16vのレビューミドルハイクラスのスペックで、低価格です。インターフェイスが若干乏しいですが、Thunderbolt 4対応ドックを持っていたら大丈夫かと思います。ディスプレイの輝度が300ニトか800ニトと極端に分かれているので、屋外でも使う人は+5万円ほどかかります

CPU Core i5-13500H
Core i7-13700H/13800H
Core i9-13900H
メモリ 最大96GB
ストレージ SSD×2
グラフィックス 内蔵グラフィックス
RTX A500
RTX A1000
RTX 2000 Ada
ディスプレイ(16型) WUXGA IPS 300nit
WQUXGA IPS 800nit
無線 Wi-Fi 6E、LTE
生体認証 指紋センサー(標準)、顔認証(オプション)
WEBカメラ 1080P/500万画素
バッテリー
電源
最大約20.18時間
170W
価格 20.7万円~

レビュー

 

 

ThinkPad P14s Gen 4 Intel

Lenovo ThinkPad P14s Gen 4のレビュー持ち運び用のワークステーションで1.34㎏と軽く、最大18.1時間のバッテリー駆動時間があります。コンパクトな機種でもあるので機動性を重視している分、大きな筐体に比べ若干性能が劣ります

CPU Core i5-1340P/1350P
Core i7-1360P/1370P
メモリ 最大64GB
ストレージ SSD 最大2TB
グラフィックス 内蔵グラフィックス
NVIDIA RTX A500
ディスプレイ(14型) WUXGA IPS タッチあり
2.2K IPS
2.8K OLED
通信 Wi-Fi 6E、4G LTE、1ギガビットイーサネット
生体認証 指紋センサー、顔認証
重さ 1.34㎏~
バッテリー 最大約18.1時間
価格 17.8万円~

レビュー

 

 

まとめ

良い点

・小型軽量で持ち運びがしやすい
・メタル素材でおしゃれ・堅牢性もあり
・画面比が16:10で、14インチでも15インチ並みの情報が表示される
・生体認証付き
・メモリとSSDの性能が高い
・バッテリー駆動時間が長い
・サポートと保証が手厚い

 

残念な点

・レビュー機はディスプレイが低品質
・SDカードリーダーがない

 

総合評価

おしゃれでコンパクトなワークステーションで、軽量なので持ち運びがしやすいですね。全体的な性能は高めですが、ワークステーションとしてはエントリークラスで、そこそこ作業がしやすいといった機種です。

業務用にとはお勧めできませんが、個人で使う人や、サブ機として持ち運び用としては十分だと思います。今回のレビュー機はディスプレイが低品質だったので、購入する際は400ニトモデル以上で、メモリは32GBがおすすめです。

 

 

公式サイト