本機種の特徴は、2 in 1 PCでLTE付き、セキュリティとサポートが手厚く、米軍の物資調達規格のテストにクリアしていますがスペック的には若干割高です。
ただし、ビジネスノートで2 in 1+LTE搭載モデルというのも少ないので、法人として購入する場合はサポートのことを考えると良いと思いますが、個人として、もしくは法人でもサポートが必要ないという場合は魅力が少ないです。
出だしから魅力のないレビューを紹介して申し訳ないですが、現状、同業他社を見てもサポート・LTE・2 in 1 PCのすべてを兼ね揃えて15万円から購入できる機種もあまりないので、消去法で選べば本機種が残るかな、というのが率直な評価です。
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HP EliteBook x360 1030 G4のレビュー
CPU | Intel core i5-8265U Intel core i7-8565U Intel core i7-8665U(vPro対応) |
---|---|
メモリ | 最大16GB |
ストレージ | SSD 最大512GB(Optaneメモリあり) |
ディスプレイ(13.3型) | FHD IPS 光沢なし 1000nit |
無線 | WiFi6、Bluetooth 5.0 |
WWAN(LTE) | 搭載(4G) |
OS | Windows 10 Pro |
セキュリティ | TPM、HP Sure sense、HP BIOSphere Gen 5、HP Sure Click、プライバシーシャッターなど |
有線LANポート | なし |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証(IRカメラ) |
Microsoft Office | 搭載可能 |
ペン | オプションで追加可能 |
寸法 | 305.8x205x15.8mm |
重さ | 1.32kg |
バッテリー | 最大14.8時間(急速充電対応) |
価格 | 25万2780円~ |
まずはメリットとデメリットを先にご紹介します。
デメリット
パソコンの頭脳であるCPUが第8世代のCore i5とCore i7で、現在第11世代のCPUが出ているので性能的に30%〜90%ほど差があります。(グラフをタップすると数値が表示されます)
[visualizer id=”13476″ lazy=”no” class=””]15万円もだして、ここまで差があるものを購入するメリットも薄いかなと思います。
次にLTEですが、これはnanoSIMを使って常時インターネットに接続する機能ですが、本機種は4G対応の回線(下り最大450MB)で、現在は5G回線(下り最大1GB)のCAT.16が最新なので、若干魅力が下がります。
メモリもLPDDR3という過去のものが使用されており(今はLPDDR4X)、全体的に「なぜいまさらそんなに昔のパーツばかり寄せ集めて作ったのか」疑問を感じます。
ちなみにDDR4は2015年頃から販売が始まり2017年にはほぼDDR4搭載になっているので、DDR3は結構アンティークな領域です。ここ最近は殆ど見かけないような骨董品になっています。
メリット
最初にも言ったように、LTE搭載の2 in 1 PCでサポートが手厚いものはあまりないので、貴重な機種にはなります。
もし、LTEはいらない、2 in 1 PCじゃなくてもいい、サポートは普通でOKと、どれか一つでも当てはまるのであれば他の機種を検討してもいいかもしれません。
メリットを箇条書すると、
- ストレージはデータ転送速度が速いものが搭載
- WiFi6、LTE搭載
- 指紋センサー、顔認証搭載
- バッテリー駆動時間が長い
- セキュリティが豊富
- サポートが手厚い
になります。
他の似たような13型のビジネスノートと比較してみます。(赤字がより高性能)
本機種 | ThinkPad X13 Yoga Gen 1 | ThinkPad L13 Yoga | ThinkBook 13s Gen 2 | |
幅 奥行き 厚さ 重さ |
305.8mm 205mm 15.8mm 1.32kg |
310.4mm 219mm 16mm 1.25kg |
311.5mm 219mm 17.6mm 1.43kg |
299mm 210mm 14.9mm 1.26kg |
CPU | 第8世代 | 第10世代 | 第10世代 | 第11世代 |
メモリ | LPDDR3 | DDR4 | DDR4 | LPDDR4X |
ストレージ | SSD最大512GB 3.0×4 |
SSD最大2TB 3.0×4 |
SSD最大1TB 3.0×4 |
SSD最大1TB 4.0×4 |
LTE | CAT.9 | CAT.16 | ー | ー |
2 in 1 | ○ | ○ | ○ | ー |
生体認証 | 指紋センサー 顔認証 |
指紋センサー 顔認証 |
指紋センサー 顔認証 |
指紋センサー |
ビジネスノート | ○ | ○ | ○ | ○ |
MIL規格 | ○ | ○ | ○ | ○ |
バッテリー | 14.8時間 | 16.2時間 | 13.7時間 | 18.7時間 |
価格 | 約15万円〜 | 15.2万円〜 | 11.2万円〜 | 8.9万円〜 |
比較してみると改めてわかりますが、本機種はセキュリティとプレミアムサポートの分、価格が高くなっているのが分かります。
比較している他の機種にもサポートはありますが、HPのElite Premiumサポートほどではありません。(詳細は次の項にて)
HP Elite Premiumサポート
本機種購入の場合は、Elite Premiumサポートとと言って、特別なサポートが受けられます。
- サポート受付時間が長い(平日朝8時〜21時・土曜朝8時〜17時30分まで)
- 1つの窓口で対応(たらい回しなし)
- サポートセンターは日本で、熟練エージェントが対応(普通は中国などのコールセンター)
- 60分で解決しない場合は、マネージャーへ報告し対応
- 修理→発送手配を3営業日で実施
企業で使うパソコンとしては、嬉しいサポートが盛り沢山です。
この手厚いサポートを実施するために、本体のスペックを落としているのかなと思います。(これ以外に、このスペックでこの価格になる理由が見当たりません)
下記にて詳細レビューに入りますが、念の為他の機種のリンクを記載しておきます。
HP EliteBook x360 1030 G4の特徴
寸法は幅305.8mm、奥行き205mm、そして厚さが15.8mmです。標準的なサイズの範囲です。
大学ノートA4サイズ(297mmx210mm)と比べると、幅+8.8mm、奥行き-5mmとほぼ変わりないので、かばんに入れて持ち運びもしやすいです。
本機種は2 in 1 PCで、ヒンジが360度回転するので、時と場合に合わせて形状を変えて使うことができます。
<タブレットモード> | <メディアモード> |
移動中の車内ではタブレットモードで使い、集中して動画を見たいときはキーボードが見えないようにメディアモードにしたりと、場所や状況に合わせて形を変えることができます。
<テントモード>
パソコンを置くテーブルが小さい場所では、テントモードにしたら省スペースで使えます。
HP Sure Viewという「覗き見防止機能」が搭載しており、カフェや電車内など周りに人がいるときには機能をONにすると視野角が狭くなり、横から覗き見できない仕組みになっています。
ただし、視野角だけでなく輝度も落ちるので、明るさ設定が低いと正面からでも見にくくなります。
筐体はCNC加工のアルミニウムで、アルミニウムの塊から作っているので外観もよく、堅牢性も高いです。
キーピッチは18.7mmとタイピングしやすい幅で、キーストロークは1.5mm〜1.7mmと比較的深いです。
キーストロークが深いと打感がいいので、タイピングしやすいんですよね。
また、スピーカーはキーボード上部に2つ、底面に2つの合計4つもあり、マイクも3つあるので、ビデオ会議でも音がクリアに伝わるし、相手の声もクリアに聞こえます。
ノイズキャンセリング機能付きなので、周りが騒がしいところでの通話もしやすいです。
MIL規格
MIL規格とは「米軍の物資調達規格」で、簡単に言うと米軍が紛争地に持って行っても使える品質があるということですね。
水滴テストや落下テスト、振動テストなどいろいろな項目をテストしており、12万時間を超えるHP独自のテストもやっているので高い堅牢性を誇ります。
セキュリティ
セキュリティはかなり豊富で、HP独自のものが多いので堅牢です。
- HP Sure Sense・・・ディープラーニングを活用したリアルタイム検知機能があり、悪意のあるファイルを検出し、マルウェア、ゼロディ攻撃、ランサムウェアなどからPCを守るセキュリティ機能
- HP BIOSphere Gen5・・・ウイルスやマルウェアによる不正なBIOSの書き換えや、破損からシステムを保護
- HP Sure Click・・・Web閲覧のセキュリティ強化で、タブを閉じるだけでマルウェアが消滅する
- HP Sure Run・・・OSの重要な機能や設定を構成時の状態に維持し、万が一設定が無効になった場合は再起動し、安全な状態に戻す
- HP Sure Recover・・・OSがウイルス感染しても自動的にリカバリーする
- HP Sure Start・・・自動復旧機能で攻撃を受けても自動でリカバリーする
- HP Client Security Software・・・パスワード関係などのセキュリティ機能
- HP Secure Erase・・・BIOSの中のSecure Eraseを使って内蔵ドライブのデータを完全に削除することが出来る
- ナノセキュリティロックケーブルスロット・・・盗難や持ち運び防止用のセキュリティワイヤーを使うスロット
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれる
CPU
本機種では第8世代のCPUを搭載ですが、法人でパソコンを一元管理しやすいvProに対応したCore i7-8665Uもあるので、法人で購入する場合は使い勝手は良いと思います。
ただし先述したように、スペック的には旧世代と言わざるを得ません。
下のグラフはCPUの性能を表すPassmarkスコアで、赤が本機種搭載CPUです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
↓グラフをタップすると数値が表示されます↓
[visualizer id=”13476″ lazy=”no” class=””]赤が本機種、青が第10世代、そしてオレンジが第11世代のCPUです。
本機種搭載のCore i7, i5ともに6000オーバーなので、普通以上の性能はあります。仕事をする上では問題ないと思います。
メモリ
先ほどお伝えしたように2015〜16年頃まで主流だったLPDDR3が搭載です。現行のDDR4と比べるとどうしても処理速度は落ちます。
また、メモリはオンボードでスロットなしなので増設はできません。
ストレージ
ストレージはビジネスモデルとしては小さめの最大512GBで、いくつか種類があります。
Core i5 | SSD 256GB PCIe NVMe PCIe 3.0×4 |
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Core i7-8565U | SSD 512GB PCIe NVMe PCIe 3.0×4 |
Core i7-8665U | SSD 512GB PCIe NVMe+Optaneメモリ32GB |
PCIe 3.0×4は最大データ転送速度の理論値は32GB/秒になり、かなり速いです(実際のシーケンシャル速度はリードで3200MBくらい、ライトで1600MBくらいです)
Optaneメモリとは、よく使うデータをすぐに表示できるようにキャッシュ(記憶)し、頻繁に使うアプリやソフト、ページなどを素早く表示できます。
ディスプレイ
FHD IPS 光沢なし 1000nitとなっています。
FHD | フル・ハイディフィニション、解像度1920x1080 |
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IPS液晶 | 視野角が広くコントラストも高い |
光沢なし | 背景や自分が画面に映り込みしにくい |
nit | 輝度(明るさ)を表す単位で、通常250前後が標準 |
最大輝度は1000ニットとかなり高く、屋外で使っても見やすいです。通常300ニットあれば結構明るい方です。
本機種にはSure Viewという内蔵プライバシースクリーンが搭載されているので、ボタン1つで視野角を狭くして覗き見ができないようにできます。
カフェや新幹線内などで作業をするときに、役に立ちますね。
また、前面カメラにプライバシーシャッターという物理カバーがあるので、使用していないときは閉じることができます。
LTE
LTEは、格安SIMなどを入れて常時インターネット接続ができる機能で、本機種は4G回線です。
今は主流が5G回線のCAT.16なので比べると遅さを感じますが、CAT9でも下り最大450MB(CAT.16は1GB)なので悪く無いと思います。
インターフェイス
- 音量ボタン
- USB Type-Cポート(Thunderbolt 3) x2
- ナノセキュリティロック ケーブル用スロット
- HDMI
- USB3.1 x 2
- コンボステレオヘッドフォン/マイクジャック
- 電源ボタン
- SIMカードスロット
Thunderbolt 3が2つに、USBも2つ、HDMIもあるので使い勝手は良いと思いますが、SDカードを使う人は、USB接続できるカードリーダーが必要になります。
最後に
HPはサポートが手厚いし、評判もいいので、この点が重要であれば満足行く機種だと思います。
スペック的には、何度も言いますが古いです。