SurfaceにはSurface goやSurface Laptop 3、Surface Pro 7などいくつかの種類がありますが、本機種Surface Pro Xは名前からすると一番性能が良さそうに聞こえる機種です。出だしで皆さんを幻滅させるかもしれませんが、「どうしてもSurface Pro Xが欲しくて、大した作業しかしない(WordやExcel、メールチェックなど)人向け」の機種です。
高級感のある外観に、解像度の高いディスプレイ、4K動画撮影が出来るカメラなど他にはない特徴もありますが、パソコンの頭脳であるCPUがARM系の特殊なものを利用しているため、「アレもダメ、これもダメ、それも使えない」といった弊害があるんですね。
言ってみたら、「フェラーリのボディに軽自動車のエンジンを積んでオフロードを走る」ような機種です。
Officeを使う、Youtubeを見る、メールチェックをする、Yahooニュースを見るくらいの用途であれば大丈夫ですが、これに16万円近く(本体+キーボード+ペン)も出すのってどうでしょう?
一応、「Windows向けのx64アプリケーションが先々使えるようになる」とのことなので、これを見越して購入するのはアリかなと思います。
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Surface Pro Xのスペックレビュー
<タブレット部分のみの販売。キーボードやペンは別売り>
CPU | Microsoft SQ 1 Misrosoft SQ 2 |
---|---|
メモリ | 8GB、16GB |
ストレージ | SSD 最大512GB(取り外し可能なカード型) |
グラフィックス | Adreno 685 Adreno 690 |
ディスプレイ | 13型 解像度2880×1920 マルチタッチ |
OS | Windows 10 Home(ARM) |
Microsoft Office | Office Home & Business 2019搭載 |
無線 | WiFi5、Bluetooth 5.0、LTE |
生体認証 | 顔認証 |
セキュリティ | BitLocker、TPM |
寸法 | 287x208x7.3㎜ |
重さ | 774g(タブレットのみ) 1054g(Surface Pro X Signature タイプカバー付き) |
バッテリー | 最大15時間 |
保証 | ハードウェア保証1年間 |
価格 | 14万2700円→数量限定で12万5010円~ |
パソコンの頭脳であるCPUにはQualcommと共同開発したMicrosoft SQ 1/SQ 2が搭載で、執筆現在「使えるソフトはほとんどありません」。まぁCPU性能が高いわけじゃないので、使えても快適じゃないものが多いと思いますが、
CPUは普通のWindowsパソコンに搭載されるインテルやAMDじゃなく、ARM系のプロセッサーなので、「ARM系プロセッサー向けに作られたアプリケーション(ARM64)」が使えます。
どういうことかと言うと、通常アプリの開発をする時はWindows向けのアプリか、マック向けのアプリを作ります。利用者が多いからです。なので、一般的に流通しているパソコンだといろんなソフトが使えるんですね。
でも本機種搭載のCPUはARM系なので、Windows向けに作られたアプリは使うことが出来ません。正確に言うと、Windows向けの32bitアプリもARM32もエミュレーションで動かせますが、エミュレーションで疑似的に動作させているのでパフォーマンスがかなり低下して動きます。
簡単に言うと、「今現在はまともに使えるソフトがかなり少ないので、5万円のパソコンでできることくらいしか出来ない」と思っておいた方がいいです。(x64アプリケーション(通常のWindows向けアプリ)は今後使えるようになるとのことですが、エミュレーションでの動作になると思うので、快適には程遠いと予測されます)
もしこれでもOKと言う場合は、このままレビューを読み続けてください。もしくは1㎏以下のノートパソコン、2 in 1 PC、IdeaPad Duetを参考までにどうぞ。
メモリは比較的大容量の8GBか16GBが選べるので、問題ありません。ストレージはタブレットに内蔵じゃなく、カード型のSSDが搭載です。
ディスプレイは2K以上の解像度があり、ほぼ3K2Kとなっています。解像度が高いので表示される情報も多いし、単純にきれいな映像が表示されます。
顔認証があるので一瞬でサインインできますが、出先で使うときはコロナの影響でマスクをしていることが多いと思うので、この場合はパスワードの手入力になります。
LTEも搭載しているので外出先でメールチェックなどもしやすいし、比較的軽いので持ち運びもしやすいです。
全体的にまとまった構成で、ディスプレイも品質が良いのですが、本機種は例えると軽自動車のエンジンをフェラーリに搭載してオフロードを無理やり走ってる機種なので、「コレクション用に欲しい」、「近所のスーパーにしか行かないから遅くてもいい」と言った感じの客層になると思います。
Surface Pro Xの特徴
タブレットにしてはベゼルも比較的細く、おしゃれな外観です。
タブレットのみで774g、タイプカバー付きでも1054gと比較的軽いですが、ここ最近のノートパソコンは13.3型で1㎏を切るものも多いので、そこまで軽いという感じはしないですね。
タブレットとしてみたらiPadなどは500gくらいであるので、若干重たいかな?と言うくらいですが、キックスタンドが付いているので774gは、許容範囲だと思います。
また、タブレットPCは10型が多いですが、本機種は13型なのでタブレットにしては大きな方ですね。使いやすいと思います。
それでは、同じくらいの値段のノートパソコンとの比較です。
幅 | 奥行き | 高さ | 重さ | |
本機種13型 | 287㎜ | 208㎜ | 約12.2㎜(キーボード付き) | 774g(タブレットのみ) 1054g(キーボード付き) |
Lenovo Yoga 13.3型 | 295.9㎜ | 208.9㎜ | 14.25㎜ | 966g |
ThinkPad X1 Nano 13型 | 292.8㎜ | 207.7㎜ | 13.87㎜ | 907g |
寸法はノートパソコンとほぼ変わらないくらいですが、キーボードを持ち歩くときは本機種が一番重たくなります。
ぶっちゃけて言うと、Surfaceって小型軽量なイメージがありますが、実はそうでもないんですよね。マーケティングがうまいと言いますか・・・
外観は洗練されていて、タブレット部分は軽くて耐久性の高いアルミニウムが使用されているので高級感のある見た目です。
フロントカメラには500万画素のカメラが搭載で、フルHDビデオを撮影可能です。背面のリアカメラは1000万画素と高く、フルHDと4Kビデオの撮影も可能です。カメラの性能はすごく高いです。
学生であれば、ホワイトボードに書かれた講義内容を写真で撮って、その画像にペンで補足を書いたりと言った使い方が出来ます。
キックスタンドがあるので、動画視聴もしやすいです。
カラー・タイプカバーの種類
本機種はプラチナとマットブラックの2種類があり、タイプカバー(キーボード)はペン付きのものも、ペン無しのものが数種類あります。
恐らくほとんどの人は「Surface Pro X Signature キーボード(3万2560円)」を同時に購入すると思いますが、こちらはスリムペン付きで、使わないときはカバーの中に収納することが出来、充電もされます。
ペンは4096段階の筆圧感知なので、イラストも描きやすいです。
タイプカバーはブラック、アイスブルー、ポピーレッド(上画像)、プラチナの4種類になります。
キーボードにはアルカンターラという人工皮革のファブリックが使用されており、手もこすりにくいし、パソコンというメタリックな機械の中にも温かさを感じます。
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)も普通に広いのでミスタイプも少ないです。
また、キーボードはバックライトも搭載しているので、暗がりで作業をする時にも使いやすいです。
CPU
CPUはパソコンの頭脳で、一番重要な個所と言っても過言じゃないパーツです。前述したように「使い勝手が悪い」CPUで、性能は高くないです。はっきり言って、このCPUが無ければ本機種はすっごくおすすめなんですけどね。
ただし、発熱しにくい設計になっていたり、バッテリーが長持ちと言う特徴もあります。
上3つがSurface Pro 7に搭載のCPUで、下2つが本機種搭載のCPUです。CPUの性能を測るGeekbench 5の結果です。
[visualizer id=”14862″ lazy=”no” class=””]性能自体はぼちぼちで、10世代Core i5以下、Core i3以上と言った感じですね。使えるソフトがあれば、そんなに動きが悪いとは思いません。
ディスプレイ
ディスプレイはほぼ3K2Kの解像度で、2880×1920となっています。動画鑑賞にも最適で、輝度(画面の明るさ)も色域も高いので、使えるソフトがあれば画像編集にも向いているほどの品質です。
また、通常のノートパソコンは画面縦横比16:9ですが、本機種は3:2と縦が長いので、表示される部分も多く使い勝手が高いです。
メモリ
メモリはLPDDR4xで、8GBか16GBが選べます。ただし、CPUにSQ 2を選んだ場合は16GBのみです。
このパソコンでできることであれば、8GBもあれば十分だと思います。SQ 2を選んでも、メモリ16GBなんて必要ないんじゃないかな?と言うのが本音ですが、まぁ、メモリは大きいに越したことがないので良しとします。
ストレージ
ストレージはM.2 SSDで、比較的速いデータ転送速度があります。128GB~最大512GBまで選べますが、ストレージが大きいモデルは20万円前後するので予算と相談になると思います。
また、ストレージはカード型のもので自分で取り外しが可能になっていますが、その場合は保証が外れるのでご注意を。
LTE・WiFi
WiFiはWiFi5です。残念ですね。ここ最近は6万くらいのノートパソコンでも次世代通信規格のWiFi6に対応しているので、見劣りします。
LTEとは、nanoSIMカードを使ってスマホの様に「常時インターネット接続」が出来る機能です。こちらも同じく次世代規格の5Gでなく、旧規格の4G回線です。残念です。
対応バンドは多いので、日本の有名キャリアであればすべて対応しているので問題ないと思います。
対応バンド・1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 12, 13, 14, 19, 20, 25, 26, 28, 29, 30, 38, 39, 40, 41, 46, 66
また、eSIM(内蔵型SIM)にも対応しているので、ネットでeSIM契約をするだけですぐに使い始めることが出来るのも特徴ですね。わざわざ普通のnanoSIMカードを入れる必要がありません。
楽天モバイルは格安SIMもあるし、eSIMもあるので良いと思います。
セキュリティ
セキュリティはWindows DefenderにTPM、そしてBitlockerが搭載です。
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれる
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- BitLocker・・・ドライブの暗号化
インターフェイス
インターフェイスはUSB Type-C 3.2 Gen 2が2つと、Surface Connectのみになっています。USB-Aがないので、USB-C→USB-Aの変換ポートを購入したり、配線が多い人はSurface Dockというドッキングステーションがあれば楽です。
マウスや他のキーボードを使う場合は、Bluetooth接続できるワイヤレスのものがいいと思います。
保証
Surfaceでは60日以内であれば返品ができるので、万が一「不満」があれば返品できます。これは嬉しい保証ですね。
また、90日間のテクニカルサポートもあるので、分からないことは最初の3か月の間に聞いておいた方がいいです。
まとめ
一点を除き、本当に完成された機種だと思います。持ち運びもしやすいし、ディスプレイの解像度も高い、Office搭載、4K動画の撮影も可能などと、他のタブレットPCとは違った特徴があります。
アルミニウム素材なので高級感もあるし、価格も高いので高級品ですね。
現時点では「Surfaceが欲しい人で、大した作業をしない人」以外にはお勧めしませんが、ゆくゆくx64アプリケーション対応となれば、普通に今使っているソフトも使えるので、その時には考慮に値すると思います。
ただし、CPUの性能的には普通クラスなので、スペックが必要なことをする人や、「快適に使いたいヘビーユーザー」にはどちらにしても合わないと思います。