LG gramはすごいですね。いろいろなPCメーカーがありますが、超軽量の大型16インチ・17インチモデルを販売しています。
今まで17インチと言えば、「大きい・重い・分厚い」でしたが、本機は大きい・軽い・薄いと3拍子揃っています。軽めの14インチか大きめの13.3インチ並みの重さですね。
ただし、軽いだけじゃなくスペックも高く、耐久性も高い、そしてクリエイター向けのディスプレイになっています。
本機は、と言うかLGのノートパソコンは公式サイトでは販売されておらず、アマゾンなどや販売代理店で販売されており、本機はアマゾンモデルになります。
Contents
LG gram 17(17Z95P-KA76J)のスペックレビュー
CPU | Core i7-1195G7 |
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メモリ | 16GB |
ストレージ | SSD 512GB |
グラフィックス | Iris Xe |
ディスプレイ(17型) | WQXGA(2560×1600ドット) IPS 光沢あり DCI-P3 99% |
OS | Windows 11 Home |
無線 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
生体認証 | 指紋認証 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 380.2×260.1×17.8㎜ |
重さ | 1350g |
バッテリー | 約22時間 |
保証 | 1年間(バッテリーは6ヵ月) |
価格 | 21.9万円~ |
<性能評価>
パソコンの頭脳であるCPUは上位モデルの第11世代Core i7-1195G7が搭載で、かなり高い性能になっています。Iris Xeなので、グラフィック性能も高いですね。高負荷な作業も、快適にしたいという人に向いたCPUです。
メモリはLPDDR4xが搭載で、16GBになります。17インチと大きな筐体ですが、軽量化のためにメモリスロットが無いので、増設はできません。ただし、ほとんどの人は16GBあれば十分なので、問題ないかと思います。
ストレージはSSD PCIe NVMeです。パソコンの起動やデータ移動も速いです。また、SSDスロットが1つ空いているので、ストレージの増設も可能です。これは、よりデスクトップに近いスペックにしようとして、メモリじゃなくストレージのスロットを作ったと思います。
ディスプレイは17インチと大画面で、コントラスト比が高く視野角も広いIPS液晶、色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3 99%と広色域です。クリエイター向けの品質ですね。ただし、液晶は光沢ありなので、映り込みがしやすくなっています。
また、画面の縦横比は通常よりも縦が長い16:10となっており、ただでさえ大きな17インチの画面により多くの情報が表示されます。デスクトップで使う小型モニター並みですね。
その他のスペックも高く、無線LANは高速通信が可能なWi-Fi 6、電源ボタンと統合された指紋センサーもあります。
インターフェイスはThunderbolt 4を2つ搭載し、USB 3.2 Gen 2も2つと、データ転送速度が速いポートがそろっています。有線LANポートは無いですが、ほとんどの人には十分なインターフェイスだと思います。
一番の特徴は17インチと大型なのに、14インチ並みの1350g、そして最大22時間もあるバッテリー駆動時間ですね。今まで17インチと言ったら、ほぼ据え置き用で使っていたと思いますが、この重量なら会社内の移動や家庭内での移動もしやすく、外出用としても持ち運びがくじゃない重さです。ただし、いくら軽いと言っても大きいので、大きめのバックが必要になります。
ちょっとお値段は高いですが、Evoプラットフォーム認証で、機動性を高めた17インチモデルはレアな機種です。
Evoプラットフォーム認証
Evoプラットフォームは以前Engineered For Mobile Performance(エンジニアのためのモバイルパフォーマンス)という認証だったのですが、インテル第11世代CPUから名称が変わりました。
11世代CPUを搭載していたらEvo認証を得るわけじゃなく、下記項目を満たす「ハイスペックなノートパソコン」のみがEvo認証を得ることが出来ます。
- Iris Xeグラフィックス搭載の第11世代CPU搭載機種
- アプリケーションを高速かつ高レスポンスで使える
- AI推論も高速で使える
- 電源を問わずにレスポンスが良い事
- 9時間以上のバッテリー駆動時間
- フルHD以上
- 1秒以内でスリープから復帰
- 30分の充電で4時間駆動
- WiFi6対応
- Thunderbolt 4搭載
- ノートパソコンであること
第11世代CPU搭載モデルは増えてきましたが、Evoプラットフォーム認証を受けた機種は数えるほどしかありません。 そのくらい特別な機種なんですね。
また、Evoプラットフォーム認証の機種は、Microsoft Officeのパフォーマンスが最大52%向上、ビデオ会議中のOfficeの生産性が41%アップ、Adobe CCによる動画編集が最大2.5倍高速化などと、今までとは一味も二味も違う機種になっています。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/LG gram 17Z90N-VA74J>
旧モデルのLG gram 2020年モデルとの比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値)
本機種 | LG gram 17 2020年 | |
CPU | Core i7-1195G7 | Core i7-1065G7 |
メモリ | 16GB(オンボード) | 24GB(メモリスロット2つ) |
ストレージ | SSD 512GB(スロット2つ) | SSD 512GB(スロット1つ) |
ディスプレイ | WQXGA IPS グレア | |
無線 | Wi-Fi 6 | |
その他 | Thunderbolt 4 | Thunderbolt 3 |
バッテリー | 22時間 | 19.5時間 |
重量 | 1350g | |
価格 | 21.9万円~ | 販売終了 |
筐体の奥行きが2㎜ほど小さくなり、下部ベゼル(画面の黒い枠)が若干細くなっていますが、ほぼ同じ外観です。ただし、以前はThunderbolt 3が1つだけでしたが、本機種はThunderbolt 4が2つになっています。
重さなどは同じで、ちょっとスペックが上がった機種になっていますが、旧モデルはメモリの増設が可能でした。
こちらは、プロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・旧モデル
Core i7-1195G7 | |
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Core i7-1065G7 |
以前のモデルには第10世代のCore i7だったので性能は高かったですが、本機は20%以上性能が上がっていますね。
LG gram 17 2021年秋冬モデルの特徴
最大の特徴は、この筐体ですよね。17インチと大きいのに、たったの1350gと軽量で、17インチにしてはコンパクトなんです。
一般的な重量はこの様になり、大体ですが±100gほどになります。
・13.3インチ 1.2~1.3㎏前後
・14インチ 約1.4㎏
・15.6インチ 1.7㎏前後
・16インチ 1.9㎏前後
・17インチ 2.1㎏前後
本機は、軽すぎですね。
寸法は、
・幅380.2㎜(≒千円札2.5枚分/375㎜)
・奥行き260.1㎜(≒一万円札1.5枚分/240㎜)
・高さ17.8㎜(≒一円玉の直径/20㎜)
になります。A3サイズ(297㎜×420㎜)とA4サイズ(210㎜×297㎜)の中間くらいのサイズですね。コンパクトとは言え17インチなので、持ち歩く場合は大きめのカバンが必要です。
厚さは17.8㎜と薄く、掴みやすいサイズです。
筆者が使っているLenovo IdeaPad Slim 360 17インチと大きさを比べて見ます。
幅 | 奥行き | 厚さ | 重さ | |
本機種 | 380.2㎜ | 260.1㎜ | 17.8㎜ | 1350g |
IdeaPad Slim 360 | 399㎜ | 274㎜ | 19.9㎜ | 2.2㎏ |
本機種の幅は約20㎜、奥行きは14㎜、厚さは約2㎜小さく、850gも軽いです。LG gramは画面比が16:10と縦が長いですが、IdeaPadは16:9と通常の比率です。それでもLG gramの方がコンパクトですね。
ただし、IdeaPadは大型PCの醍醐味と言いますか、メモリもストレージもスロットがあるので、増設が可能です。本機はSSDのみ増設できます。
まぁ、でもここまで軽量コンパクトなら、増設できなくても別にいいよと言う人が多いと思います。(ただし、IdeaPadは本機の3分の1くらいの価格です)
横から見ても、スリムです。
筐体エッジも若干丸みがあり、整えられています。軽いだけじゃなく、見た目にもこだわっていますね。
筐体は「航空機のボディ」などに採用されるマグネシウム合金を使用しており、軽量だが高い耐衝撃性があります。
天板はすっごくシンプルで、「gram」とだけロゴがあります。
WebカメラはHD画質の720pで、1.5Wのスピーカーが2つになっています。この点は価格のわりに普通ですね。
電源と統合した指紋センサー
指紋センサーが電源ボタンと統合されているので、パソコンを空けて電源を入れたら、同時にサインインも完了しているので、すぐに使い始めることができます。
個人的に、キーボード内にある電源ボタンは押し間違いの可能性があるので好みじゃないですが、気にならない人もいると思います。
MILスペック
米国国防総省「MIL-STD-810G」準拠の衝撃落下テストや振動テスト、高温低温テストなどの7項目クリアしており、耐久性の高い機種になっています。
キーボード
キーボードは日本語キーで、テンキー付きの104キーになり、バックライトもあります。
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は19.05×18.5㎜と、幅広いので、手が大きな人でもタイプしやすいと思います。また、キーストローク(キーを押し込む距離)は1.65㎜(±0.2㎜)と比較的深いので、打鍵感も良く、タイピングしやすいと思います。
CPU
Core i7-1195G7 | |
製造プロセス | 10nm SuperFin |
コア/スレッド | 4/8 |
キャッシュ | 12MB |
ベースクロック | 2.9GHz |
ブーストクロック | 5.0GHz |
TDP | 28W |
CPUは普段使いモデルに使用される第11世代の最上位モデルで、高性能です。ブースト時のクロック数が5.0GHzもあるのは、すごいですね。
また、コア数も4コア8スレッドなので、あれもしながらこれもしてと言うマルチタスクが得意です。
<コアとスレッドのイメージ図>
こちらはCPUの性能を測る、Passmarkスコアです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ハイエンドPCに搭載される
- 17000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-11370H | |
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Core i5-11300H | |
Core i7-1195G7 | |
Core i7-1185G7 | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Core i3-1115G4 |
末尾がHのCPUは、ゲーミングPCやクリエイターPCに搭載される様なハイパフォーマンスモデルですが、本機搭載のCore i7もいい勝負をしていると思います。まぁ、スコアが7000くらいあればビジネス用途でも比較的快適に作業できるので、これだけ高い性能ならほとんどの事は十分にできると思います。
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 色域 | アスペクト比 |
WQXGA | あり | IPS | DCI-P3 99% | 16:10 |
WQXGA | 解像度は2560×1600ドット |
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FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質で解像度は1920×1080ドット |
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
IPS液晶 | コントラスト比が高く、視野角も広い |
色域 | 広い色域はより正確な色を再現できる |
ディスプレイはクリエイター向けの品質ですね。
2.5K解像度に、コントラスト比が高く視野角が広いIPS液晶を採用、そして色域はデジタルシネマ規格のDCI-P3 99%です。
<色域の例>
色域が広いと、現実世界で見る色に近い色を再現でき、映像編集や画像編集をするクリエイターが一番気にするスペックです。編集などをしなくても、映画を見ているときや写真を見る時により鮮やかな色が描写されるので、没入感も違います。
DCI-P3はかなり広い色域なので、色鮮やかに描写されます。スペック的には画像編集はもちろん、簡単な動画編集もできます。
こちらは光沢ありの液晶と光沢なしのものですが、本機の様な光沢ありは反射が大きいので、人によっては気になるかもしれません。ただし、スマホやタブレットも光沢ありなので、同じ様なディスプレイになります。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはLPDDR4x-4266MHzが搭載で、動作周波数(MHz)が高いので処理速度も速いです。また、メモリはオンボードで、16GB 1枚(デュアルチャンネル)になっています。
16GBもあるので申し分ないと言えばそうですが、せっかくの大型機種だしクリエイティブワークもできるほどのスペックなので、メモリスロットがもう1つあって、メモリの増設ができたら良かったと思います。
ストレージ
SSD(PCIe NVMe) | SSD(SATA) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 15秒前後 | 30秒~2分(新品の場合) |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 中価格 | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
本機にはSSD PCIe NVMe 512GBが搭載で、メモリスロットがもう一つあるので増設も可能です。
こちらはシーケンシャル速度のおおよそのスコアで、HDDはおおよその最大速度です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 3.0×4 | |
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HDD |
Wi-Fi 6に対応
周波数 | 通信速度 | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4/5GHz | 300Mbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
インテルWireless-AC 9560 2×2(Wi-Fi 5) | 2.4/5GHz | 1.7Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
次世代通信規格のWiFi6に対応しており、現在主流のWiFi5より約40%最大通信速度が上がっています。また、一度に多くのデバイスに電波を飛ばせるようになったので、カフェなどの混雑した回線でも安定した通信が可能になっています。
バッテリー駆動時間
バッテリーは新素材のカーボンナノチューブを採用し、高密度バッテリーなので、軽量コンパクトだけど80Whと大容量です。
JEITA 2.0測定で最大22時間のバッテリー駆動時間になっており、充電時間は最大3時間と短めです。
この軽量さでこれだけバッテリー駆動時間が長いのは、凄いです。
インターフェイス
インターフェイスは比較的豊富ですが、個人的に有線LANとSDカードリーダーがあればすごくよかったと思います。
左側面にはHDMI、Thunderbolt 4が2つ、マイク/イヤフォンジャックです。
右側面にはmicroSDカードリーダー、USB 3.2 Gen 2が2つになります。USB 3.2 Gen 2はデータ転送速度が10Gbpsと速く、Thunderbolt 4は40Gbpsと高速です。
Thunderbolt 4が2つもあると、その他のUSBは速度が遅いものが搭載されることがありますが、LG gramではこだわりの最速モデルになっています。
また、Thunderbolt 4には、こういった機能・性能があります。
- Power delivery対応、DisplayPort出力機能付き、DC-in機能付き
- 最大データ転送速度40GB/秒が2mのケーブルでも出る(以前は0.8mまで)
- PCIeの転送速度は32GB、ストレージ転送速度は最大3000Mbps
- 4Kディスプレイ2台同時に出力可能
- 8K出力にも対応(5Kだと60Hz)
Thunderbolt 1つでいろんなものに対応しているので、便利ですね。
サポート・保証
標準で1年間の保証(バッテリーは6ヵ月間)があり、朝9時から夕方6時まで電話やEメール、LINEでのサポートもあります。
LINEでのサポートは便利ですね。
まとめ
良い点
・17インチでは小型軽量で持ち運びがしやすい
・マグネシウム合金でおしゃれ・傷もつきにくい
・Evoプラットフォームで性能が高い
・画面比が16:10で、ただでさえ大きな画面により多くの情報が表示される
・ストレージの増設が可能
・Thunderbolt 4が2つもある
残念な点
・メモリの増設が不可
・電源ボタンがキーボード内にある
・クリエイティブワークもできる機種なので、SDカードリーダーがあればなお良かった
・有線LANもあればよかった
総合評価
とにかく軽い。14インチかと思うほどの軽さで、Evoプラットフォーム認証を得たハイスペックモデルなので、サクサク快適に使えます。また、ディスプレイはデジタルシネマ規格のDCI-P3 99%と広い色域で、しかも2.5K解像度、画面アスペクト比は縦に長い16:10とかなりの品質です。
基本的な部分では、ほぼ不満は出ないと思います。
ただし、小型軽量化に合わせて、RJ45がなかったり、SDカードリーダーが無かったりと、軽量化のしわ寄せもあります。
それでも、デメリット部分を完全に忘れさせてくれるほどの軽さがあり、そこまで不便はないと思います。