HuionのKamvas Slate 11のレビューです。
HUIONは、高性能かつ低価格な製品を提供することで、近年ペンタブでシェアを急速に拡大しており、液タブのKamvasシリーズ、板タブのInspiroyシリーズなどを販売しています。
今回レビューをしたKamvas Slateは、Huionでは比較的低価格の約5万円となっています。
レビュー機は購入品で、スペックはMediaTek Helio G85、LPDDR4X 4GB、ストレージはeMMC 5.1 64GBになります。
Contents
Kamvas Slateのスペック
SoC | MediaTek Helio G99 |
---|---|
メモリ | LPDDR4X 8GB |
ストレージ | UFS 128GB |
ディスプレイ(10.95型) | FHD+(1920×1200) 207PPI sRGB 99% |
WideVine | L3 |
OS | Android 14 |
無線 | Wi-Fi |
生体認証 | 顔認証 |
カメラ | 800万画素/1300万画素 |
オーディオ | スピーカー×4 |
寸法(幅×奥行×高さ) | 256.8 × 168.3 × 7.5mm |
重さ | 500g |
バッテリー | 8000mAh 最大11時間 |
標準保証 | 1年間 |
同梱 | H-Pencil、ペン先、レザーケース、USBケーブル、グローブ、SIMピン |
価格 | 44,999円~ |
<性能評価>
タブレットの心臓部であるSoCはミドルクラスのHelio G99で、絵を描いたりなど十分な性能があります。
あとでいろんなベンチマークを紹介していますが、Antutuスコアは約41万でした。
メモリはLPDDR4Xの8GBと大きく、ストレージはUFS 128GBで最大1TBのmicroSDカードを増設できます。
ディスプレイは10.95インチと大きく、解像度はFHD+(1920×1200ドット)と高精細で、光沢のないIPS液晶を採用、そして高色域のsRGB 99%になります。リフレッシュレートは90Hzとぬるぬるで、輝度は最大350ニット、コントラスト比は1000:1になります。
一般的なタブレットと違い光沢のないディスプレイなので、自分や背景が反射しないので使いやすいです。
本機は2024年発売の機種なので、OSはAndroid 14になっています。レビューをしているのが2025年なので、OSアップデートはされないようです。
無線は2.4GHz, 5GHzと記載されておりおそらくWi-Fi 5に対応しており、カメラはフロント800万画素、リアは1300万画素と一般的なタブレットのカメラで、スピーカーは4基搭載し、音質は普通です。
バッテリーは8000mAhと大きく、最大約11時間のバッテリー駆動時間があります。使い方によっては丸1日、結構使っても半日くらい持ちそうです。
書き心地はちょっと良い
付属のスタンドと4096段階の筆圧検知がある付属のH-Pencilを使って、プリインストールされているクリスタで絵を描いてみました。
光沢がないディスプレイなので自分や背景、照明が反射しにくく見やすいので描きやすいですが、グローブを使わないと手を置いたところが反応してしまいます。パームリジェクションが無いのか弱いので、グローブは必須です。
ちなみに、指紋防止コーティングが施されているので、指紋や手の油脂は付きません。
公式サイトでは紙のような質感と言うことで、一般的なタブレットよりも書きやすいですが、「紙」と言うほどでもありませんでした。
リフレッシュレートは90Hzと速いですが、遅延が結構あります。まぁ、これは慣れたら気にならないと思います。ジッタ―もちょっと確認できました。
お絵かきソフトが内蔵で、すぐに使い始めることができる
本機には「HiPaint」、「HiNote」、「Clip Studio」、「ibisPaint X」が内蔵されており、すぐに使い始めることができます。便利ですね。
H-Pencilの特徴
本機には4096段階の筆圧検知機能があるH-Pencilが付属しており、USB-Cで充電するタイプになります。
バッテリーを充電しながらも使えますが、バッテリーがペンの上に位置しているため、若干ですがペンを持った時にペンの頭が下がる感じがします。
外観
同梱物はH-Pencil、ペン先、レザーケース、USBケーブル、グローブ、SIMピンと多いです。チャージャー以外の必要なものがすべてそろっているので、買ってすぐ使い始めることができます。
10.95インチと大画面で見やすいですが、もっと大きなものが良いという人にはKamvas Pro 16と言う15.8インチもあります。
また、すべてのアイコンは少し小さく、何かわかんないのですが、いつも使っているAndroidタブレットと何かが違い違和感があります。
背面です。結構指紋が目立ちますが、通常はカバーを使っているので見えないと思います。
ボディはおそらく樹脂素材です。メタルのようなひんやり感がないし、ちょっとざらついた加工がしてあります。
背面には1300万画素のカメラがあり、フラッシュも搭載しています。フロントはカメラは800万画素です。
<本機リアカメラで撮影・編集無し>
カメラは普通のタブレットの品質で普通ですが、クリスタなどで写真を撮ってから画像を生成するのには十分だと思います。
画像のオリジナルサイズは4096×3072でした。
また、顔認証機能もあるので、便利です。
重さは実測507gで、一般的な11インチに比べると少し重たいかなと言う印象ですが悪くない重さです。バッテリーが8000mAhと大きいので、この分重くなったのかなと思います。
本機にはmicroSDカードリーダーがあり、最大1TBのカードを増設できます。
スピーカーは4つありますが音はちょっと小さめで、最大音量に近い音で普通のタブレットの半分くらいの音でした。音質は普通です。
USB 2.0 Type-Cポートがあり、OTG機能のことはどこにも書いてませんでしたが、外付けSSDをつないだら普通に使えたのでOTG機能付きです。
ちなみに、本機はボタンの配置がちょっと特殊です。
音量と電源ボタンですが、縦持ち時で言うと上に電源ボタン、下に音量ボタンがあり、これは一般的なタブレットと逆なので違和感がありました。
また、通常10インチ以上の大きなタブレットの場合は、横持の時に電源ボタンが左側面に来る(画像右下)ようになっていますが、本機は前部のボタンが上にある(画像左下)のでスクショが撮りにくいし、慣れが必要です。
バッテリーは8000mAhと大きく、最大11時間のバッテリー駆動時間があり、急速充電にも対応し2.7時間で満充電です。
生体認証は顔認証があり、認識速度も速いです。
その他の特徴
ローエンドSoCだが普段使い用途には問題なし
MediaTek Helio G99 | |
プロセス | 6nm |
コア | 8コア(Arm Cortex-A76×2+A55×6) |
最大クロック | 2.2GHz/2.0GHz |
GPU | Arm Mali-G57 MC2 |
Socはパフォーマンスの高いコアと、省電力のコアの2種類を搭載しており、低負荷なことをしているときは省電力コアで作業をするため、バッテリー駆動時間が長くなるという特徴があります。
ミドルクラスの性能で、8コアもあるので画面分割でも使えました。
ベンチマークの目安
200万以上・・・向かうとこ敵なし
150万以上・・・重いゲームも快適
100万以上・・・重たいゲームもできる
50万以上・・・中量級以下のゲーム向き
25万以上・・・低い性能だが普通に使える
総合 | 415,957 |
---|---|
CPU | 133,828 |
GPU | 65,368 |
MEM(メモリとストレージの読み書きの速度) | 107,291 |
UX(アプリ動作の速さ) | 109,470 |
Antutuベンチマークは415,957と、高いスコアじゃないですが普通に使える性能です。
MEMはメモリとストレージの読み書きの速度で107,291、UXはアプリ動作の速さのスコアで109,470とぼちぼちのスコアでした。
次はPCMark for Androidで、アプリケーション実行時の総合的なパフォーマンスを計測します。
計測スコアは10631となかなか良いスコアでした。
Work 3.0
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Snapdragon 8 Gen 3 | |
---|---|
MediaTek Dimensity 8300 | |
ThinkPhone/Snapdragon 8+ Gen 1 | |
Tab P12 Pro/Snapdragon 870 | |
Tab P11 Pro Gen 2/MediaTek Kompanio 1300T | |
POCO PAD/Snapdragon 7s Gen 2 | |
Tab P12/Dimensity 7050 | |
KamVas Slate 11/Helio G99 | |
Tab One/Helio G85 | |
Tab P11 Pro/Snapdragon 730G | |
Redmi Pad SE 8.7/Helio G85 | |
Lenovo Tab/Helio G85 | |
Redmi Pad SE/Snapdragon 680 | |
Tab M10 Plus 3rd Gen/Snapdragon 680 | |
Tab M7 (3rd Gen)/MediaTek MT8166 |
3Dグラフィックス性能
グラフィック性能はそこまで高くないですが、クリスタなど2Dモデルを使用する場合は問題ないですが3Dモデルを使う場合は、当たり前ですがグラボ付きのPCがおすすめです。
Wild Lifeはモバイルデバイスの性能を測るベンチマークで、計測結果は1242と低めでした。
Wild Life
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Snapdragon 8 Gen 3 Legion 8.8 3rd Gen |
|
---|---|
ThinkPhone Snapdragon 8+ Gen 1 |
|
MediaTek Dimensity 8300 | |
MediaTek Kompanio 1300T Lenovo Tab P11 Pro Gen 2 |
|
Snapdragon 870 Lenovo Tab P12 Pro |
|
Snapdragon 7s Gen 2 POCO PAD |
|
MediaTek Dimensity 7050 Lenovo Tab P12 |
|
MediaTek Helio G99 Kamvas Slate 11 |
|
Snapdragon 730G Tab P11 Pro |
|
MediaTek Kompanio 520 | |
Heli0 G85 Lenovo Tab |
|
Helio G85 Tab One |
|
Helio G88 Tab M11 | |
Helio G80 Tab M9 |
|
Snapdragon 662 XiaoXin Pad |
ゲームはできる?
Call Of Dutyは画質設定は普通で、ゲームは普通にプレイできました(詳しくは動画で紹介)。
ホビーユーザーなら問題ない性能です。
FHD+の解像度
ディスプレイは10.95インチと大きく、解像度はFHD+(1920×1200ドット)と高精細で、光沢のないIPS液晶を採用、そして高色域のsRGB 99%になります。リフレッシュレートは90Hzとぬるぬるで、輝度は最大350ニット、コントラスト比は1000:1になります。
一般的なタブレットと違い光沢のないディスプレイなので、自分や背景が反射しないので使いやすいです。
色域はsRGB 99%と広く、PPIは207と高いです。印刷物の確認用には200PPI以上が求められますが、それを少し超えています。
上の画像は黒の描写の比較で、左は本機、右はオリジナル画像です。黒をしっかりと描写できており、オリジナルを忠実に再現できていると思います。また、コントラスト比は1000:1なので、くっきりメリハリがありますね。
輝度は最大350ニトと屋内では十分、日が当たる屋外だとちょっと暗いです。
220ニト | 室内ならなんとか使える。明るい室内では暗く見える |
---|---|
250ニト | 室内向け。屋外では日陰ならギリギリ使える |
300ニト | 屋外の日陰でも見える |
400ニト | 屋外でも使いやすいが、直射日光が当たるとちょっとくらい |
500ニト | 屋外向け |
600ニト | 画面に直射日光が当たっても比較的見える |
WidevineはL3対応
DRM Infoで確認すると、セキュリティレベルはL3になっていました。これは、Netflixやamazon Primeビデオなど高解像度で見ることができません。
ただし、Youtubeなどは1080pで見ることができます。
Wi-Fi 5に対応
<夜7時に計測/左Wi-Fi 7、右本機>
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
無線はおそらくWi-Fi 5で、遅いかな~って思ってたら普通に速かったです。5GHz接続で330Mbps/アップロード270Mbpsでした。
左のWi-Fi 7と比較したら差はありますが、それでも十分な速度です(速度は契約回線や時間によって大きく変わるので、「このくらい出るんだ」と言う感じで見てください)。
LPDDR4Xのメモリ搭載
本機はLPDDR4Xが搭載し、8GBになります。
CPDTでメモリの処理速度を計測したら、6.16GB/秒と速い処理速度でした。
他のタブレットとの比較です。
メモリ速度
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Legion 8.8 3rd Gen/12GB | |
---|---|
Idea Tab Pro/8GB | |
ThinkPhone/8GB | |
Tab P12 Pro/8GB | |
Tab P11 Pro Gen 2/6GB | |
Camvas Slate 11/8GB | |
Tab Plus/8GB | |
POCO PAD 8GB+4GB仮想メモリ | |
Tab P12/8GB | |
Tab P11 Pro/6GB | |
Redmi Pad SE 8.7 | |
Tab One/4GB | |
XiaoXin Pad/6GB | |
Tab M10 Plus 3rd Gen | |
Tab M11 | |
Lenovo Tab/4GB | |
Lenovo Tab M9 /4GB | |
Blackview Tab 90 Wifi/4GB |
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、Webサイトの表示速度にも影響があります。
ストレージはUFSで、128GBになります。また、先述した様に最大1TBのmicroSDカードを増設できます。
シーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み)は362MB/秒、ライト(書き込み)は270MB/秒と、この価格のタブレットにしては速くありません。大きなデータの読み込みや保存にはちょっと時間がかかると思います。
その他の機種との比較です。
シーケンシャルリード
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
POCO PAD | |
---|---|
Legion Tab 8.8 | |
Tab P11 Pro Gen 2 | |
Tab P12 Pro | |
Idea Tab Pro | |
Tab P12 | |
Tab P11 Pro | |
Tab Plus | |
XiaoXin Pad | |
Camvas Slate 11/8GB | |
Tab M10 Plus 3rd Gen | |
ALLDOCUBE X Game | |
Lenovo Tab M9 | |
Redmi Pad SE | |
Redmi Pad SE 8.7 | |
Tab One | |
Tab M7 (3rd Gen) | |
Tab M11 | |
Chromebook CM14 Flip | |
Lenovo Tab |
シーケンシャルライト
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Legion Tab 8.8 | |
---|---|
Tab P11 Pro Gen 2 | |
Tab M10 Plus 3rd Gen | |
Tab P12 Pro | |
Idea Tab Pro | |
Tab P12 | |
POCO PAD | |
Tab Plus | |
Camvas Slate 11/8GB | |
Tab M11 | |
Lavie T8 2023 | |
Tab P11 Pro | |
XiaoXin Pad | |
Lenovo Tab | |
Lenovo Tab M9 | |
Tab One | |
ALLDOCUBE X Game | |
Redmi Pad SE | |
IdeaPad Duet Chromebook | |
Redmi Pad SE 8.7 | |
Tab M7 (3rd Gen) |
サポート・保証
なぜだかサポートや保証のページは英語ですが、しっかりとした保証が付いています。ただし、返品や交換には送料が発生する可能性があるので、問題がある場合は購入後30日以内に対処した方が良いです。
・購入から1年以内に製品に欠陥・品質に問題がある場合は交換ができます(ただし、、購入日から30日を過ぎている場合は、送料は購入者の負担)
・商品に満足できなかった場合やその他主観的な理由がある場合、商品到着日から少なくとも7日以内であれば返品・返金を申請できます。ただしこの場合は手数料(タブレットの価格の8%)と送料がかかります。
・タブレットに問題がある場合は、配達予定日から7日以内または注文日から30日以内
であれば返品が可能
まとめ
・絵を描くメイン機種をすでに持っており、外出用のサブ機
・イラストを始めたい人の入門機
良い点
・それなりの価格だがそれなりの性能がある
・光沢のないディスプレイで色域も広く見やすい
・ペンなどの必要なものは全部付属している
・ペンは4096段階の筆圧検知がある
残念な点
・イラストを描くうえでは特に不満点はないが、WideVineがL1に対応していないのでNetflixなど高解像度で見れない
・遅延があったりジッタ―も少しあったので、本格的な作業をする人には向かない
総合評価
入門機としては十分な性能に十分な付属品があり、これさえあればすぐにイラストレーターとして活動できるくらいです。
手軽にイラストを始めたいという人には、検討の価値ありです。