HPビジネスPCの省スペースデスクトップで、ProDesk 2 SFF G1i Desktop PCのレビューです。
デスク上においてもそこまで圧迫感がなく、通常のタワー型デスクトップに比べ置き場所に困ることもありません。それでいて性能は高く、若干の拡張性もあり使いやすいPCです。
レビュー機はメーカーからお借りしており、スペックはCore i7-14700、メモリDDR5-5600MHz 16GB、SSD PCIe 4.0 512GBになります。
Contents
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ProDesk 2 SFF G1i Desktop PCのスペック
CPU | Core i5-14400 Core i7-14700 |
---|---|
メモリ | DDR5-5600 最大64GB |
ストレージ | SSD 最大512GB(+HDD増設可能) |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Pro |
LAN | イーサネット |
オーディオ | Realtec 、内蔵スピーカー |
オプティカルドライブ | DVDライター |
拡張スロット | PCI Express4.0 x16 (ロープロファイル) × 1スロット(空1 ) PCI Express3.0 x1(ロープロファイル) ×1スロット(空1) M.2 2280×1スロット(空0) M.2 (for WLAN) ×1スロット(空1) |
付属 | マウス、キーボード |
寸法(幅×奥行×高さ) | 100 × 308 × 304mm |
重さ | 5.7kg |
電源 | 180W |
セキュリティ | HP Wolf Security for business |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 11.5万円~ |
<性能評価>
本機は一応エントリーモデルに位置付けられていますが、最大でCore i7-14700+メモリDDR5-5600の64GBと純粋な性能だけを見るとすごく高いです。
SSDは最大512GBでHDDの増設ができますが、増設しないとデスクトップとしては少ない容量なので、遅かれ早かれ増設することになると思います。
LANは1ギガビットイーサネットが搭載ですが、Wi-Fiはありません。Wi-FiがないということはBluetoothもないです。購入時にカスタマイズから追加できないので、万が一Wi-Fiが必要な人は自分で増設するか別機種をお勧めします。
その他のスペックは、OSはWindows 11 Proで、電源は180W(80PLUS)になります。また、音は良くないですが内蔵スピーカーもあるので、ヘッドセットが壊れたなどの時の保険として使えます。
インターフェイスはUSB Type-C 3.2 Gen 2が1つ、USB-Aは3.2 Gen 1が3つもあり、背面にUSB 2.0が4つと数は多く、HDMIにDisplayport、イーサネットにケーブルスロットロック、3.5ミリジャックもあります。
スペック的に、オフィスで有線LANにつなげ結構重たい作業もこなし、ヘッドセットを使用する様な法人に向いた機種です。
メモリとHDDの増設ができる
本機はメモリとストレージの増設が可能で、SSDは比較的簡単に増設できます。通常であればカバーを外して増設してみるのですが、今回はシールが貼ってあったためカバーを開けることができませんでした。
カバーはこの真ん中のネジを1本で留まっているようで、すぐに外すことができると思います。
ちなみに販売モデルはメモリ1枚の8GBか16GBなので、メモリを増設しないと(メモリをデュアルチャンネルにしないと)グラフィック性能が低いです。
ストレージは3.5インチHDDが、メモリはDDR5-5600MHzが搭載可能です。
すべての拡張スロットはこちらで、ロープロのカードも搭載出来るので、Officeを多用する場合は検討してもいいかもしれません(ただし、その前にメモリを2枚にした方が良いです)。
PCI Express4.0 x16 (ロープロファイル) × 1スロット(空1 )
PCI Express3.0 x1(ロープロファイル) ×1スロット(空1)
M.2 2280×1スロット(空0)
M.2 (for WLAN) ×1スロット(空1)
省スペースでインターフェイスも豊富
いつも使っている27インチモニターを修理中なので、17インチのモバイルモニターと並べて撮影しました。
高さが約30㎝なので机上に置いても圧迫感が少なく、置き場所に困りにくいと思います。
正面です。おしゃれというわけじゃないですが、一般的なビジネスPCと言った外観です。
左側面にはメッシュ状の通気口があり、右側面は何もなしです。
排気口は背面にあります。
フロントにはDVDライター、ヘッドフォン/マイクジャック、USB-A(5Gbps)が3つ、USB Type-C(10Gbps)が1つになります。
背面にはオーディオ入出力、DisplayPort 1.4a、HDMI 1.4b、USB 2.0が4つ、セキュリティロックスロット、RJ45になります。
USB-Aは合計7個もありますが、今メインで使うUSB Type-Cは1つだけなのでドックやアダプタが必要な人もいるかもしれません。
その他の特徴
インテル14世代CPU搭載
Core i7-14700 | Core i5-14400 | |
P/Eコア | 8/12 | 6/8 |
スレッド | 28 | 20 |
L2キャッシュ | 28MB | 24MB |
ターボブーストマックステクノロジー | 5.4GHz | 5.0GHz |
Pコア最大クロック | 5.4GHz | 5.0GHz |
Eコア最大クロック | 4.2GHz | 3.7GHz |
GPU実行ユニット | 32EU | 32EU |
ベース/ターボパワー | 65/219W | 65w/154w |
※Core i7-14700はvPro対応
CPUはPコア(Performance Core)とEコア(Efficient Core)の2つを搭載しており、高負荷な作業はPコアで処理を、低負荷な事はEコアで処理することによって、パワフルでも省電力性を兼ね揃えたCPUになっています。
vPro対応モデルもあるので、企業で多くのPCを一括管理するには便利です。
また、Intel Thread Directorというハードコアが、命令をより効率よくPコアとEコアに割り当てて実行できるので、性能もかなり上がっています。
ターボブーストマックステクノロジー3.0は、プロセッサーの中の最もパフォーマンスの高いコアを識別し、電力と熱のヘッドルームを利用して、必要に応じてそれらのコアの周波数をあげることにより更なるパフォーマンスを提供します。
こちらはCPUの性能を測るCPU Markスコアで、Core i7-14700は37225とかなり高い性能でした。Core i5-14400のスコアはPassMark社公表の平均値です。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i9-14900 | |
---|---|
Core i7-14700平均 | |
Core i9-12900K | |
Core i7-13700 | |
Core i7-14700T | |
Core i7-14700/本機 | |
Core i5-14600 | |
Core i5-13600 | |
Core i5-14500 | |
Core i5-14600T | |
Core i5-14400平均 | |
Core i5-13400 | |
Core i5-14400T | |
Core i5-14500T | |
Core i5-13500T | |
Core i5-13400T | |
Core i3-14100 | |
Core i3-14100T |
Geekbench AIのONNXでCPUのAI性能を測りました。ONNXはOpen Neural Network eXchangeで、ディープラーニングや機械学習モデルのようなAIモデルの性能を計測します。
Single Precision(単精度)は3869とかなり高く、Half Precision(半精度)も1252と良いスコア、Quantized(量子化スコア)は6165とかなり良かったです。
Single Precision Score/単精度スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700 | |
---|---|
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 5 125U | |
Core i7-1260P | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 5700GE | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
Half Precision Score/半精度スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 258V | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 5 125U | |
Ryzen 7 5700GE | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
Quantized Score/量子化スコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700 | |
---|---|
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 5 125U | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 7 5700GE | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 3 7335U |
Cinebench 2024のスコアで、Cinema 4DのデフォルトレンダリングエンジンであるRedshiftのパワーを利用して、CPUとGPUの能力を計測します。
マルチコアは1189、シングルコアは122と、ここ最近レビューをしたOMEN 35L(Ryzen 5 8500G)やVictus 15L(Ryzen 7 5700G)よりも高かったです。まぁ、エントリークラスのデスクトップにCore i7-14700が搭載していることが凄いんですけどね。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 赤・・・OMEN 35L
Core i7-14700 | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Ryzen 7 8845HS | |
Apple M1 Max | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 7 5700G | |
Ryzen 5 8500G/OMEN 35L | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 7 258V | |
Apple M1 | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 3 8300GE | |
Ryzen 5 7535U |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 赤・・・OMEN 35L
Core i7-14700 | |
---|---|
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Apple M1 Max | |
Apple M1 | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 5 8500G/OMEN 35L | |
Ryzen 3 8300GE | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 5700G | |
Ryzen 5 7535U | |
Core i7-1260P |
こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。
総合性能の目安は以下になります。
・9000以上・・・超ハイスペック
・7500以上・・・ハイスペック
・5000以上・・・ミドルクラス
・2500以下・・・エントリ―クラス
本機種のスコアです。
- 総合性能は6207→ミドルクラス
- Essentialは11770→通常用途やビデオ会議などはすごく快適にでできる
- Productivityは7338→普通に使える(メモリが1枚のため低スコア)
- Digital content creationは7463→悪くない性能
Essential
オレンジ色・・・本機種 赤・・・OMEN 35L
Core i7-14700 | |
---|---|
Core i7-14700/別機種 | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 5 8500G | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 7 5700G | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 3 7335U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 赤・・・OMEN 35L
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Core i7-14700/別機種メモリ2枚 | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 5 8500G | |
Ryzen 7 5700G | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 3 7335U | |
Core i7-14700 | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Core i5-1235U |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 赤・・・OMEN 35L
Core i7-14700/別機種メモリ2枚 | |
---|---|
Ryzen 7 5700G | |
Ryzen 5 8500G | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core i7-14700 | |
Ryzen 7 7735U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P |
グラフィックス性能は悪くないが、メモリが1枚のためレビュー機は低スペック
グラフィック性能が高いとOfficeを使った作業や複数画面での作業、そして画像・動画編集などがしやすくなります。3D Graphics Markのスコアはメモリ1枚なので1047とかなり低くかったですが、メモリ2枚だと倍以上のスコアになると思います。
3D Graphics Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen AI 9 HX 370 | |
---|---|
Ryzen 7 8845HS | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 7 7735U | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 5 125U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core i7-1260P | |
Core i7-1355U | |
Ryzen 7 5700GE | |
Core i5-1335U | |
Core i5-1340P | |
Ryzen 3 7335U | |
Core i7-14700 |
一応Fire Strikeを計測しましたが、2710と低スコアでした。
メモリ性能
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-5600MHzで、メモリスロット2枚で最大64GBにできます。メモリ性能を測るMemory Markの結果はメモリ1枚でも3038と高いスコアでした。
その他のメモリとの比較です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
LPDDR5X平均 | |
---|---|
本機DDR5 | |
DDR5平均 | |
LPDDR5平均 | |
LPDDR4X-4266MHz平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
搭載ストレージはSSD 512GBで、シーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み速度)は5034MB/秒、ライト(書き込み速度)は2810MB/秒と良い速度です。
起動時間を3回計測した平均は14.2秒でした。デスクトップですけどノートパソコン並みに速いですね。
1回目 | 15秒 |
---|---|
2回目 | 14秒 |
3回目 | 14秒 |
4回目 | 14秒 |
5回目 | 14秒 |
平均 | 14.2秒 |
ライバル機種
ThinkCentre M75q Tiny Gen 5
Ryzen 8000GEシリーズ搭載で省電力ですがパワフルな機種です。ただし、Ryzen AIを搭載しているのはRyzen 7のみなので、最新スペックを楽しむなら価格がちょっと上がります。
CPU | Ryzen 3 8300GE Ryzen 3 PRO 8300GE Ryzen 5 8500GE Ryzen 5 PRO 8500GE Ryzen 7 8700GE Ryzen 7 PRO 8700GE |
---|---|
メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD×2 |
LAN | 無し/Wi-Fi 6 |
有線LAN | イーサネット(RJ45) |
重さ | 最大1.25㎏ |
電源 | 65W/90W |
保証 | 1年間オンサイト |
価格 | 8.5万円~ |
Elite Mini 805 G8
ミニPCで片手で楽々持てる機種です。こういったミニPCにはモバイル用のCPUなどが使われることが多いですが、本機はデスクトップ用のCPUを使用しています。また、メモリとSSDの増設もできるので小さいとはいえなかなか使える機種です。
CPU | Ryzen 5 5600GE Ryzen 7 5700GE |
---|---|
メモリ | DDR4 最大64GB |
ストレージ | SSD×2枚 |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス |
OS | Windows 11 Home/Pro |
LAN | Wi-Fi 6、イーサネット |
オーディオ | Realtec 内蔵スピーカー |
寸法(幅×奥行×高さ) | 177 × 175 × 34.2mm |
重さ | 1.45kg |
電源 | 65W |
セキュリティ | HP Wolf Security for business |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 7.7万円~ |
まとめ
良い点
・小型筐体で設置に困らない
・メモリとストレージの増設が可能
・インターフェイスの数が多い
・DVDライター搭載
残念な点
・無線LANとBluetoothなし
・販売モデルはメモリ1枚のみなので、増設しないとグラフィック性能が低い
総合評価
ミニPCよりも大きいですが机上に置いてもそこまで圧迫感もなく、置き場所に困りにくい省スペースデスクトップでした。
HP公式サイトではエントリーモデルと言うことになっていますが、CPU性能は高く、メモリも最大64GBまで増設できるので、エントリークラスと呼んでいいのか、かなり高い性能になっています。
まぁ、Wi-Fiがなかったりインターフェイスの質が高くないという点を見るとエントリークラスですが、純粋なPC性能は高めなのでがっつり重たい作業をする人に向いています。
1つ分からないことは、販売モデルはメモリ1枚(8GBか16GB)のみで、メモリ2枚組はありません。と言うことは、当たり前の性能を使うには、自分で増設しないといけません。
Author
・パソコンガイドメインライターの本田。PCやタブレット、その他ガジェットが好きで、年間2~30台ほどのPCとモニターや周辺機器を購入するマニア
・元ミュージシャン
・暖かいところが好きで、よくタイに旅行に行く
・既婚(妻と子供2人)
・最近の趣味はオーディブルを聞きながらぼけ~っとすること
・はまってることは、裸足で1日10分歩く健康法
・若く見られがちだが40代