コンパクトなミニタワーゲーミングPCの、ASUS TUF Gaming T500のレビューです。
ここ最近よく見るノートパソコン用のCPU(メモリもモバイル版Sodimm)を搭載したデスクトップで、ノートパソコン以上デスクトップ以下の性能になっています。
まずは本機の良い点、残念な点です。
良い点 | 残念な点 |
かっこいい | 排熱性能はそこまで高くない |
そこそこ高い性能 | 無線がWi-Fi 6 |
省スペース | – |
筐体内部にアクセスが簡単。若干の拡張性あり | – |
電源は500Wだが高品質の80PLUS Platinum | – |
レビュー機はメーカーからお借りしており、スペックはCore i7-13620H、メモリ32GB(16GB×2)、RTX 5060 Ti、SSD 1TBになり、電源は500Wです。
Contents
TUF Gaming T500のスペック
CPU | Core i5-13420H Core i7-13620H |
---|---|
メモリ | DDR5-5200 最大64GB |
ストレージ | SSD 1TB×2、2.5/3.5インチベイ×1 |
グラフィックス | RTX 3050 RTX 5060 Ti |
OS | Windows 11 Home |
LAN | Wi-Fi 6、ギガビットイーサネット |
冷却 | 空冷クーラー |
寸法(幅×奥行×高さ) | 155 × 296.4 × 347ミリ |
重さ | 5.9㎏ |
電源 | 500W 80PLUS Platinum |
標準保証 | 1年間 |
価格 | 13.9万円~ |
<性能評価>
CPUはちょっと昔のモデルで、ノートパソコン用のインテル第13世代Hシリーズになります。ここ最近モバイルCPUを搭載したデスクトップが増えてきましたね。
発熱も低いし性能もある程度あるので転用しやすいんでしょうね。
メモリはDDR5-5200MHzで、メモリスロット2つの最大64GBにできます。ストレージはSSD PCIe 4.0 1TBが搭載で、M.2スロットがもう1つあったので増設ができます。
グラフィックボードはRTX 3050かRTX 5060 Tiで、レビュー機にはRTX 5060 Tiが搭載していました。
性能高いですね~。私がいつもやっているZenless Zone Zeroが快適にできました。
LANはWi-Fi 6に対応し、ギガビットイーサネットもあるので無線でも有線でも高速安定通信が可能です。
電源はゲーミングPCとしてはちいさめの80PLUS Platinum 500Wで、空冷クーラーになります。
寸法が幅155ミリ、奥行き296.4ミリ、高さ347ミリのミニタワーで、これだけ小さいので机上に置いても圧迫感はありませんでした。置き場所に紺らないですね。
めちゃくちゃかっこいい外観
<普通は机の下に置いていますが、撮影用に机の上に移動しています>
これ、めちゃくちゃかっこいいんですよ。
世の中にはお金を出せばかっこいいPCはたくさんありますが、本機は13万円台からですよ?この価格でこのヴィジュアルは凄すぎです。
先ほども言いましたが、寸法は幅155ミリ、奥行き296.4ミリ、高さ347ミリのミニタワーで、小さいんですよ。
いつも使っているゲーミングPCと比べたら、こんな感じです。重さもたったの5.9㎏なので軽いですしね(白いPCは15㎏くらい)。
なんか、ASUSって見た目のPCですよね。ASUSらしいかっこよさがあります。右の写真はライティングをONした状態です。
ファンは意外にも背面に1つあるだけで、後述しますが排熱性能はあまり高くなかったです。
左側面です。サイドパネルがシースルーなのもいいですね。
これはパネルを開けた状態です。裏配線じゃないのでケーブルが色々見えますが、それでもすっきりしている方です。
右側面です。
電源ユニットは80PLUS Platinum 500Wでした。
前面インターフェイスはマイク/ヘッドフォンジャック、USB 3.2 Gen 2が2つ、そしてUSB 3.2 Gen 1 Type-Cが1つです。
背面はHDMIにDisplayPort、USB 2.0が4つ、イーサネット、そしてライン出力、ライン入力、マイク入力が各一つずつです。
必要十分なポートがあるといった感じですね。
グラボにはHDMIが1つ、DisplayPortが3つあります(RTX 3050はDPが2つ)。
ライティングがかっこいい!
Armoury Crateでライティングを設定できます。
これ、本当にかっこいいんですよ。
レビューしてて、(PC何台もあるのに)これ買おうかな?って思ったくらいです。
排熱性能は△
本機はモバイル版CPUを搭載しているとはいえ、電源ユニットもあるしグラボはもちろんデスクトップ用なので、90mmのファン1つじゃちょっと足りないんじゃないかな?って思いました。
<背面にあるファン>
底面にも通気口があるので、より多くの風を吸い込めます。
Fire Strikeを計測時のPC温度は、背面48度と高かったです。
PC背面の騒音値は平均約49dBとちょっとうるさいですが、集中できないほどでもないです。
少しの拡張性あり
本機にはメモリスロットが2つとM.2スロットが2つあります。
メモリスロットは、このDDR5 RAMと書かれた裏にあります。
もうすでに2枚はいってますが、最大64GBにできます。
M.2スロットはメモリの左側になります。
簡単に増設ができますね。
CPU性能
搭載できるCPUはCore i5-13420HかCore i7-13620Hで、Core i5は8コア12スレッド、Core i7は10コア16スレッドと多コア多スレッドになります。
先述したようにモバイル用のCPUが搭載しており、TDPは45W、最大115Wになります。
CPU性能を測るCPU Markスコアは、30431と高いスコアでした。ちなみに下の表のCPUは本機のもの以外すべてデスクトップ版になります。
スコアの目安
- 7000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 10000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 15000~・ハイエンドPCに搭載される
- 18000~ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
CPU Markスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 265K | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Core i7-14700F | |
Core i7-14700T | |
Core i5-14600 | |
Core i5-14500 | |
Core i7-13620H | |
Core i5-14400 | |
Core i5-14400F | |
Ryzen 5 8500G | |
Core i3-14100 | |
Core i3-14100 | |
Ryzen 3 8300GE | |
Core i3-14100T |
Cinebench 2024のスコアで、Cinema 4DのデフォルトレンダリングエンジンであるRedshiftのパワーを利用して、CPUとGPUの能力を計測します。
マルチコアは895、シングルコアは107とどちらもなかなか良いスコアでした。
マルチコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 265K | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Core i7-13620H | |
Ryzen 7 8845HS | |
Apple M1 Max | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 5 8500G | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core Ultra 7 258V | |
Apple M1 | |
Core i7-1260P | |
Ryzen 3 8300GE | |
Ryzen 5 7535U |
シングルコア性能
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 265K | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Apple M1 Max | |
Apple M1 | |
Core i7-13620H | |
Snapdragon X Elite X1E-78-100 | |
Snapdragon X Plus X1P-42-100 | |
Ryzen 5 8500G | |
Ryzen 3 8300GE | |
Ryzen 7 8845HS | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 7535U | |
Core i7-1260P |
こちらはPCMark10の計測結果で、Essentialは「通常用途(Web検索やビデオ会議、アプリの起動など)の性能」、Productivityは「Microsoft Office(事務系のアプリ)使用時の性能」、Digital Content Creationは「コンテンツ作成(画像・動画編集など)のしやすさ」を表しています。
総合性能の目安は以下になります。
・9000以上・・・超ハイスペック
・7500以上・・・ハイスペック
・5000以上・・・ミドルクラス
・2500以下・・・エントリ―クラス
本機種のスコアです。グラボがあるので全体的に高い性能ですが、プロダクティビティだけが伸びませんでした。
- 総合性能は7487→ほぼハイスペック
- Essentialは10497→通常用途やビデオ会議などはかなり快適にでできる
- Productivityは7496→普通に使える
- Digital content creationは14474→かなり高い性能
Essential
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-14700+RTX 4060 Ti | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 265K+RTX 4070 Ti | |
Ryzen 5 8640HS | |
Core i7-13620H+RTX 5060 Ti | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 5 8500G | |
Core Ultra 5 125H | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 3 7335U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Ryzen 5 5500U |
Productivity
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 265K+RTX 4070 Ti | |
---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core i7-14700 | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 5625U | |
Ryzen 5 8500G | |
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 3 5425U | |
Ryzen 5 7535U | |
Ryzen 7 5700U | |
Ryzen 5 PRO 6650U | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 3 7335U | |
Core i7-13620H+RTX 5060 Ti | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P | |
Core i5-1235U |
Digital Content Creation
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core Ultra 7 265K+RTX 4070 Ti | |
---|---|
Core i7-14700 | |
Core i7-13620H+RTX 5060 Ti | |
Ryzen 5 8500G | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core Ultra 7 258V | |
Core Ultra 5 125H | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 7 7735U | |
Core i7-1260P | |
Core i5-1240P |
高性能グラフィック
レビュー機にはRTX 5060 Tiが搭載しており、TDPは180Wでした。
NVIDIA GeForce RTXシリーズはリアルタイム レイトレーシングが可能で、3Dの描写が現実世界のように見えます。
「レイトレーシング」とは、光線(光)がどのように動くか追跡して表現する技術で、これを「リルタイム」でシュミレートし描写する技術なんです。また、fpsを落とさずに画質を上げることが出来るDLSSにも対応しているので、より鮮明な映像が楽しめます。
<ターボブースト>
<パフォーマンスモード>
DirectX 11で動作するFire Strikeをパフォーマンスモードと性能が上がるターボモードで計測しましたが、パフォーマンスモード時は30308、ターボブースト時は29681と若干性能が下がりました。こういうことは良くありますが、元々性能が高いのでブーストしなくても(しない方が)よさそうですね。
下の表のスコアは、3DMark公式サイトで紹介されている平均値との比較です。
Fire Strike
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
RTX 4070 | |
---|---|
RTX 5060 Ti | |
RTX 5060 | |
RTX 5060 Ti/本機 | |
RTX 4060 Ti |
少し重ためのFFXIV黄金のレガシーは、3つの設定で計測しました。
- 標準品質・パフォーマンスモード・・・24703/非常に快適
- 標準品質・ターボブースト・・・26108/非常に快適
- 最高品質・パフォーマンスモード・・・20630/非常に快適
重たいゲームのゼンレスゾーンゼロは、FHD解像度でデフォルト設定(グローバルイルミネーションやシャドウ品質な「高」設定、SFXは「中」)でやったらルミナスクエアを散策しているときは100fpsほど、戦闘シーンは100~140fpsでした。すごく快適にプレイできます。
最高設定では、ルミナスクエアを散策しているときは90~100fpsほど、戦闘シーンも90~100fpsでした。ただし、戦闘シーンでは技を出した時に70くらいまで落ちることがありましたが、全然快適にできます。
詳細は動画でお伝えします。
5分の4K動画を撮影し、Davinci Resolveでレンダリングにかかった時間です。当然ですが、時間が短いほうが高性能です。3回計測し、平均は1分48秒でした。速いですが、明らかにCPUが足を引っ張っていますね。
4K動画レンダリング速度
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Core i7-1260P | |
---|---|
Ryzen 5 7535U | |
Core Ultra 5 125H | |
Core Ultra 7 258V | |
Ryzen 5 8640HS | |
Ryzen 5 8500G+RTX 4060 Ti | |
Ryzen AI 9 HX 370 | |
Core i7-14700+RTX 4060 | |
Core i7-13620H+RTX 5060 Ti | |
Core Ultra 7 265K+RTX 4070 Ti Super |
その他の特徴
Armoury Crate
Armoury Crateでは、CPUやGPUなどの設定からライティングにゲームの管理など様々な設定ができます。
一か所で管理できるので、すっごく楽です。
メモリ性能
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR5-5200MHzで32GB(16GB×2)搭載で、先述したように最大64GBに増設できます。
Memory Markの計測結果は3940とかなり高いスコアでした。
その他のメモリとの比較です。
Memory Mark
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
本機種DDR5 | |
---|---|
LPDDR5X平均 | |
DDR5平均 | |
LPDDR5平均 | |
LPDDR4X-4266MHz平均 | |
DDR4-3200MHz平均 |
ストレージ
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
搭載ストレージはSSD PCIe 4.0の1TBになり、シーケンシャル速度を計測したら、リード(読み込み速度)は5157MB/秒、ライト(書き込み速度)は3856MB/秒と普通でした。
こちらはシーケンシャル速度の、おおよその速度です。
シーケンシャル速度
オレンジ色・・・リード 青・・・ライト
PCIe 5.0 | |
---|---|
PCIe 4.0 | |
PCIe 3.0 | |
HDD |
起動時間を5回計測した平均は17.8秒でした。デスクトップなのでこのくらいだと思います。
1回目 | 17秒 |
---|---|
2回目 | 18秒 |
3回目 | 18秒 |
4回目 | 18秒 |
5回目 | 18秒 |
平均 | 17.8秒 |
Wi-Fi 6に対応+ギガイーサネット
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11be (Wi-Fi 7) |
2.4/5/6GHz | 46Gbps |
無線はWi-Fi 6に対応しており、最大5GHzの接続です。有線を使う人がほとんどは言え、せめてWi-Fi 6Eくらいあれば嬉しかったですね。
また、1ギガビットイーサネットも搭載しています。
サポート・保証
ASUSの保証やサポートはかなり手厚いことで有名で、製品購入後30日以内に登録するだけで、破損・自損問わずに1年間保証、負担は部品代の20%のみです。
例えば、ほとんどないですが、「メモリを増設したら壊れた」などが起こっても、元のメモリを入れなおして修理に出せばOKです。
まとめ
良い点
・めちゃくちゃかっこ良い
・そこそこ高い性能
・小さいので置き場所に困らない
・若干の拡張性あり
・簡単に内部にアクセスできる
・電源は500Wだが高品質の80PLUS Platinum
残念な点
・排熱性能はそこまで高くない
・無線がWi-Fi 6
総合評価
かっこよかったですね、TUF Gaming T500。
ライティングはすごくかっこいいし、筐体自体も造りがしっかりしており、そして小さいです。これだけ小さいので置き場所に困らないのは嬉しいです。
性能的には、モバイル版CPUを採用しているとはいえRTX 5060 Tiを搭載しているので、重ためのゲームもできたし、もちろんクリエイティブワークにも全然使えます。
1つ気になった点は、排熱性能ですね。ファン1つしかないのであまりうまく排熱できていなかったようなので、毎日12時間ぶっ通しでゲームをするという人よりも、一日4~5時間くらいしか使わないという人に向いていると思います。
Author
・パソコンガイドメインライターの本田。PCやタブレット、その他ガジェットが好きで、年間2~30台ほどのPCとモニターや周辺機器を購入するマニア
・元ミュージシャン
・暖かいところが好きで、よくタイに旅行に行く
・既婚(妻と子供2人)
・最近の趣味はオーディブルを聞きながらぼけ~っとすること
・はまってることは、裸足で1日10分歩く健康法
・若く見られがちだが40代