13.3インチの2 in 1 PCで、超高性能のRyzen 5000シリーズ・Zen 3アーキテクチャが搭載です。通常のRyzen 5000シリーズよりも高い性能で、Ryzen 5に至っては6コア12スレッドのモンスタープロセッサーです。
メモリも最大で32GBまで増設できるので、ハイスペックな持ち運び用機種をお探しの人に合います。
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Contents
HP ProBook x360 435 G8のスペックレビュー
CPU | Ryzen 3 5400U Ryzen 5 5600U |
---|---|
メモリ | 最大32GB |
ストレージ | SSD 最大512GB |
グラフィックス | AMD Radeon |
ディスプレイ(13.3型) | FHD 光沢 400nit タッチ |
無線 | WiFi 5、Bluetooth5 |
オーディオ | デュアルスピーカー、デュアルアレイマイク |
生体認証 | 顔認証、指紋センサー |
セキュリティ | TPM 2.0、プライバシーシャッター、HP Wolf Security for Business |
寸法(幅×奥行×高さ) | 308.5 x 222.95 x 17.95㎜ |
重さ | 約1.45㎏ |
バッテリー | 最大約17時間(Mobilemark2018) |
保証 | 1年 |
価格 | 9万6580円~ |
まず、本機の何がすごいかって言うと、Zen 3アーキテクチャの高性能プロセッサー搭載で、13.3インチなのにメモリスロットが2つあるので大容量に増設ができるんです。
筆者は持ち運びもあるので13型が好きなのですが、ほとんどの製品はオンボードメモリなので増設できないんですね。PhotoshopやLightroomなどの編集ソフトを使うと16GBじゃカツカツになることが多いんです。本機なら安心して2~30枚の写真を、一度に放り込むことができます。
また、2 in 1 PCって重たくなりがちなのですが、本機はたったの1.45㎏!ぎりぎり持ち運びがしやすい重さです。
細かなスペックを見ていくと、ストレージはデータ転送速度が速いPCIe NVMe SSDを使用しており、最大で512GBもあります。
また、顔認証と指紋センサーの2つの生体認証が用意されているので、マスクをしていても指でサッとサインインできるし、マスクなしならパソコンを開けば自動でサインインできます。
ディスプレイは標準的なFHD IPS液晶ですが、輝度が400ニトとかなり高いです。通常、据え置き用は220~300ニト、持ち運び向けの機種は300~350ニトほどですが、本機は400ニトと屋外の明るい場所でも使いやすいですね。
バッテリーはMobilemark2018で計測すると17時間と長めですが、JEITA 2.0で計測すると11.6時間になります。どちらにしても10時間以上のバッテリー駆動時間があるので、多くの人は1日持ち歩いても大丈夫ですが、中には充電アダプターやバッテリーバンクが必要な人もいると思います。
ただし、数点のマイナスポイントがあり、WiFiが旧規格のWiFi5、液晶がTN液晶のようです。低価格モデル以外でWiFi5搭載は珍しいですね。液晶は視野角が狭いTN液晶ですが、輝度が高いディスプレイなので影響は軽微だと思います。
本機種は持ち運びが多い人で、13インチの2 in 1 PCを探しており、大容量のメモリが必要な人に合います。
旧モデルとの比較
<左/本機種・右/ProBook x360 435 G7>
旧モデルのProBook x360 435 G7との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値、バッテリー駆動時間はJEITA 2.0計測)
本機種 | ProBook x360 435 G7 | |
CPU | Ryzen 3 5400U Ryzen 5 5600U |
AMD Ryzen 3 4300U AMD Ryzen 5 4500U |
メモリ | 32GB | 16GB |
ストレージ | SSD 512GB | |
ディスプレイ | FHD 光沢 400nit タッチ | |
無線 | WiFi5 | WiFi6 |
バッテリー | 11.6時間 | 14.9時間 |
重量 | 1.45㎏ | |
価格 | 9.6万円~ | 8.4万円~(販売終了) |
プロセッサーがRyzen 4000シリーズから5000シリーズにアップし、メモリも倍の32GBまでと基本性能はかなり上がっています。
1点だけ気になるところは、以前はWiFi6に対応していたのに、なぜだかグレードダウンしています。
こちらはプロセッサーの性能を表すPassmarkスコアです。
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 5 5600U | |
---|---|
Ryzen 3 5400U | |
Ryzen 5 4500U | |
Ryzen 3 4300U |
ProBook x360 435 G8の特徴
本機最大の特徴は、2 in 1 PCであることですね。
2 in 1 PCとはディスプレイが360°回転するので、今の状況にあった使いやすい形にして使用できます。
<テントモード>
例えばテントモードは底面の排気口を塞がないので、ボディが熱くなりにくいです。ソファやベッドに寝転がって使う時、または、飛行機や新幹線内でテーブルの幅が小さいときにも使いやすいですね。
<スタンドモード>
ペンや指で操作するときに使いやすい、スタンドモードです。
<タブレットモード>
タブレットモードは、その名の通りタブレットの様に使えますが、1.45㎏なので普通のタブレットの様に片手持ちはきついです。
HP Pro Pen(4096段階の筆圧)もオプションから購入できるので、簡単なイラストを描いたり、メモ取りもできます。
<ノートブックモード>
もちろん、がっつり使う時はノートブックモードで使えます。
この価格のノートパソコンにしては、上下のベゼル(画面の黒い枠)が若干太いですね。HPの他のモデルと比較してみます。
幅 | 奥行 | 高さ | 重量 | |
本機 2 in 1 PC/13型 |
308.5㎜ | 222.95㎜ | 17.95㎜ | 1.45㎏ |
ProBook 430 G8 13型 |
306.9㎜ | 208.4㎜ | 17.7㎜ | 1.37㎏ |
EliteBook x360 1040 G8 2 in 1 PC/14型 |
319.3㎜ | 202.6㎜ | 16.6㎜ | 1.35㎏ |
本機種は左右のベゼルが細いので幅はそこまで大きくないですが、奥行きと高さがダントツで大きいですね。奥行きは他のモデルに比べ、1.4㎝~2㎝ほど大きいです。
Elitebookは上位モデルで価格も倍以上(22.4万円~)違うのですが、14型なのにかなりスリムです。
カラーはシルバーで、おしゃれですね。人を選ばない色です。
天板はシンプルに、「hp」のロゴがあるだけです。
背面のヒンジ部分には、PROBOOKと刻印もあります。見えないところまでこだわっていますね。
筐体エッジは角がある加工がされており、個人的に好きな形です。
ディスプレイを開ける時に開けやすいように、「くの字」になっています。こう言った、ほんのちょっとの気遣いが毎日の作業をしやすくしますね。
指紋センサーと顔認証(IRカメラ)があるので、サインインは一瞬で終わります。
プライバシーシャッター
ディスプレイ上部のカメラにはプライバシーシャッターが搭載しており、Web会議の離席中や、そもそもカメラを使っていないときに閉じておくと安心です。
MILスペック
2万時間に及ぶ品質テストに加え、米軍の物資調達規格であるMIL-STD 810Gもクリアした、堅牢性の高い機種です。
テスト時間、長すぎってくらいやってますね。
キーボード
筐体が若干大きいため、キーボードは13型ににしては良い方だと思います。
キーピッチ(キーの中心から次のキーの中心までの距離)は18.7×18.7㎜で、窮屈じゃない幅があります。また、キーストローク(キーを押し込む距離)は1.5㎜と浅すぎず深すぎずなので、結構軽めのタイプで入力しやすいですね。
CPU
Ryzen 3 5400U | Ryzen 5 5600U | |
アーキテクチャ | Zen 3 | Zen 3 |
---|---|---|
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 |
キャッシュ | 8MB | 16MB |
GPUコア | 6 | 7 |
基本クロック(GHz) | 2.6 | 2.3 |
ブーストクロック(GHz) | 4.0 | 4.2 |
TDP | 15W | 15W |
CPUはRyzen 5000シリーズで最新アーキテクチャのZen 3になり、Zen 2からの大きな変更として以下があります。
- コアからアクセスできるL3キャッシュが倍増(パフォーマンス向上)
- IPCが19%向上し、電力当たりのパフォーマンスが最大24%UP
- シングルスレッドの性能が最大23%UP
- マルチスレッドの性能が最大108%UP
- バッテリー効率が上がった
また、Ryzen 5000シリーズは全てがZen 3じゃなく、通常モデル(例・Ryzen 3 5300UやRyzen 5 5500U)はZen 2になっています。
こちらはプロセッサーの性能を表す、Passmarkスコアです。
スコアの目安
- 2000~・ネットサーフィンでもストレスを感じるほど
- 5000~・web閲覧・動画視聴・Office資料作成があまりストレスなくできる
- 7000~・ビジネス用途でがっつり使ってもストレスを感じることはほぼ無い
- 10000~・ゲーミングPCや編集など専門的な機種に搭載されることが多い
Passmarkスコア
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
Ryzen 7 5700U | |
---|---|
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 3 5400U | |
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
Ryzen 3 5300U | |
Core i3-1115G4 |
通常版よりもかなり性能が高く、インテルのCore i7-1165G7よりも高い性能になっていますね。Ryzen 5 5600Uは特に6コア12スレッドなので、一度に多くのタブを開ける人には使いやすいです。
こちらはCinebench R23のスコアで、CPUの3DCGレンダリング性能を測定します。マルチコア性能は総合性能ですが、シングルコア性能が高いとゲームやクリエイティブワークもしやすくなります。
グラフィックス
グラフィック性能が高いと、Officeを使った作業や複数画面での作業などがしやすくなります。グラフィック性能はメモリ容量に大きく左右されるので、参考値として見てください。
Video Card Benchmarks
オレンジ色・・・本機種 青・・・比較
MX450 | |
---|---|
Core i7-1165G7 | |
Core i5-1135G7 | |
MX250 | |
Ryzen 7 5800U | |
Ryzen 5 5500U | |
Ryzen 7 5700U | |
Core i3-1115G4 | |
Ryzen 5 5600U | |
Ryzen 7 4700U | |
Iris Plus | |
Ryzen 5 4500U | |
Ryzen 3 5400U | |
Ryzen 3 4300U | |
UHD |
どちらのプロセッサーも、問題なく使える程度の性能があります。
ディスプレイ
解像度 | 光沢 | 液晶 | 輝度 |
FHD | あり | TN | 400nit |
タッチディスプレイ | |||
〇 |
FHD | フル・ハイディフィニション、一般的な画質で解像度は1920×1080ドット |
---|---|
光沢 | 光沢ありは発色が良い反面、自分や背景が映り込みしやすい。光沢無しは映り込みがしにくい |
TN液晶 | コントラスト比が低く、視野角も狭い |
nit | 明るさを表す単位。通常250nitが標準 |
ディスプレイは高画質のFHDディスプレイで、標準的な解像度です。また、輝度が高いので、日中の日の当たる場所でも作業がしやすいです。
ただし、液晶パネルはTN液晶になっており、この価格帯のノートパソコンにしては珍しく低品質です。とは言っても、輝度が高いので暗く見えることもないと思います。IPS液晶に比べ青みが強い色になりますが、本格的な画像編集などをしない限り気にならないと思います。
メモリ
メモリはデータを一時的に保存する部分で、メモリが大きいと多くの(大きな)データを処理しやすくなります。
搭載メモリはDDR4-3200MHzで、現行最高の処理速度です。また、13.3型には珍しくメモリスロットが2つあり、最大32GBまで増設できるので、大量のメモリを必要としている人は特に恩恵を受けますね。
ストレージ
SSD(PCIe NVMe) | HDD | |
最大データ転送速度 | 最大16Gbps~32Gbps | 最大6Gbps(SATAの場合) |
平均起動時間 | 10秒~15秒 | 30秒~2分 |
温度 | 熱くなりにくい | 熱くなりやすい |
価格 | 高い | 安い |
ストレージはデータを保存するだけの場所じゃなく、パソコンの起動やWebサイトの表示速度にも影響があります。
搭載ストレージはM.2 PCIe NVMeが搭載で、データ転送速度がかなり速いので大きなデータも移動しやすいです。
セキュリティ
セキュリティはHP Wolf Security for Businessが搭載で、包括的なセキュリティになっています。
- HP Sure Sense・・・ディープラーニングを活用したリアルタイム検知機能があり、悪意のあるファイルを検出し、マルウェア、ゼロディ攻撃、ランサムウェアなどからPCを守るセキュリティ機能
- HP BIOSphere Gen6・・・ウイルスやマルウェアによる不正なBIOSの書き換えや、破損からシステムを保護
- HP Sure Click・・・Web閲覧のセキュリティ強化で、タブを閉じるだけでマルウェアが消滅する
- HP Sure Start Gen 6・・・自動復旧機能で攻撃を受けても自動でリカバリ
- HP Client Security Software・・・パスワード関係などのセキュリティ機能
- HP Secure Erase・・・BIOSの中のSecure Eraseを使って内蔵ドライブのデータを完全に削除することが出来る
- ナノセキュリティロックケーブルスロット・・・盗難や持ち運び防止用のセキュリティワイヤーを使うスロット
- TPM・・・独立して機能するチップで、パスワードなどの重要情報を格納できる
- Windows Defender・・・Windows搭載のセキュリティ機能で、マルウェアなどのウイルスからパソコンを守ってくれる
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間はJEITA 2.0測定で、最大約11.6時間となっています(Mobilemark2018では17時間)。この価格帯の2 in 1 PCで11時間以上のバッテリー駆動時間は、良い方だと思います。丸一日持ち歩いても、十分だという人が多いと思います。
インターフェイス
右側面インターフェースはセキュリティロック用スロット、USB-A 3.1 Gen 1になります。
左側面インターフェースはヘッドフォン/マイクジャック、HDMI 1.4、USB-A 3.1 Gen 1、そしてUSB-C 3.1 Gen 1(映像出力機能付き、Power Delivery)になります。
全てのUSBのデータ転送速度は5Gbpsです。
サポート・保証
HPのサポートは、電話・チャット、メール・LINEなどでやっており、対応時間は月-金9:00-21:00、土9:00-17:00になります。一番うれしいのは、電話した時に「その件でしたらこちらの部署におかけ直しください」と言う定番の文句が出てこないことですね。たらいまわしを回避し、1つの窓口で対応してくれます。また、サポートは国内になります。
保証は1年間引き取り修理が付いており、最長5年に延長ができます。また、オンサイト修理という保証にもアップグレードできます。
- 引き取り修理・・・指定業者がパソコンを引き取りに来て修理工場に配送、修理後配達される(期間内はパーツ代や配送代など無料)
- 出張修理/オンサイト修理・・・家や事務所に来てその場で修理。期間内は交換パーツ代など無料
- アクシデントサポート・・・標準保証ではカバーされない水濡れや落下破損、盗難などに対応
保守拠点は国内に420か所以上あるので、修理も速いです。
また、他にも有料サポートが多くあるので、公式サイトを確認してみてください。
ライバル機種
<左から本機種・ThinkPad・Envy>
本機種と似たような最新機種との比較です。(メモリ・SSD・バッテリーは最大値。スマホの人は表を右にスクロールできます)
本機種 | ThinkPad L13 Yoga Gen 2 | Envy x360 13 | |
CPU | Ryzen 3 5400U Ryzen 5 5600U |
Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 Core i7-1165G7 |
Ryzen 5 5600U Ryzen 7 5800U |
メモリ | 32GB | 16GB | 16GB |
ストレージ | SSD 512GB | SSD 1TB | SSD 512GB |
ディスプレイ | FHD TN | FHD IPS | FHD IPS |
無線 | WiFi5 | WiFi5/6 | WiFi6 |
バッテリー | 11.6時間 | 10.3時間 | 17時間 |
重量 | 1.45㎏ | 1.43㎏ | 1.25㎏ |
価格 | 9.6万円~ | 9.9万円~ | 12.7万円~ |
本機種は性能も高めで、唯一メモリを32GBまで増設できますが、9.6万円からと比較的安い価格です。また、本機のみHP Wolf Security for Businessが搭載で、セキュリティはかなり高いです。
ただし、同じく本機のみWiFi5でTN液晶となっているので、この点が気になる方は他のモデルを検討しても良いかもしれません。
ThinkPad L13 Yoga Gen 2はLenovoのビジネスモデルで、全体的に標準以上のスペックになっています。落とし穴がない機種ですね。
Envy x360 13は上位モデルのプロセッサーも搭載でき、バッテリー駆動時間も長めですが、本機の様なセキュリティはありません。セキュリティが高いに越したことはないですが、自信で何か有料セキュリティソフトを使用している場合は、Envyを検討してもいいかもしれませんね。
まとめ
良い点
・高性能プロセッサー搭載
・13.3インチなのにメモリスロットが2つ
・2 in 1 PCで場所を選ばずに使いやすい
・ディスプレイの輝度が高い
・セキュリティが堅牢
残念な点
・TN液晶
・WiFi6非対応
・ちょっと大きめのボディ
・インターフェースが普段使いモデル並み
総合評価
全体的に見て悪くないスペックですが、残念な点で紹介した部分が本当に残念です。サクサク使う分には問題ないですが、データ移動が多い人は「遅い」と思うかもしれません。
また、無線通信がWiFi5と旧規格なので、「超高速通信」ではありません。ただし、WiFi5と言っても悪くない速度なので、回線がギガ契約じゃない限り気にならないかもしれません。
価格が価格なのでちょっと微妙に感じる人もいるかと思いますが、13インチの2 in 1 PCが欲しくて、メモリも大きくしたい人に合うと思います。